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処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第19話

529 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 08:46:23 ID:+Jp0f51V0
SS 2スレ目に1回投げたことがある名無しですわ。 
早朝から受信したのでもう1本。10話くらい。
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『教導』

学院祭。
一般の学院生にとっては、クラスメイトとの思い出を作る非日常イベントであり
文化系の部活動にとっては、日頃の成果を公開する節目でもある。

そして。
妹思いのOGが所属していた、とある部活動では‥。

***

「私はちょっと生徒会に顔を出してきますねー」
「はい。初音さんによろしくね。」
「貴子さんはいいのですか?」
「ふふっ。姑は1人いれば十分でしょうし」
「えっと、そんなことはないと思いますけどー」
「まぁ、今日のところは由佳里さんにお任せしますわ」
「はいっ!」

そんなこんなで元気に走り出す由佳里を見送る一同。

「私も、演劇部にいってくるのですよ」
「はい、いってらっしゃい。終わったら連絡くださいね」
「じゃあ、紫苑さんは奏ちゃんの付き添いですか?」
「えぇ。元演劇部長の的確な指導というのを拝見させていただきますわ。」
「はわわわ。そんな大層なものではないのですよー」

くすくすと笑い声に見送られ。
奏は紫苑とともに演劇部部室に歩みを向けた。

530 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 08:52:52 ID:+Jp0f51V0
***

「瑞穂さんもご一緒すればよろしいのに」
「でも、梶浦先生にご挨拶してくるとのことでしたし」
「ふふっ。瑞穂さんもこの学院、いろいろ想い出深いでしょうしね」
「私もそうなのですよー」

道中、そんな会話を交わしながら。

「あ。紫苑お姉様に一つお願いをよろしいでしょうか?」
「はい。奏ちゃんの頼みなら一つといわず、いくらでも」
「申し訳ないのですが、部室についたあと。
 私のうしろに立っておいていただきたいのですよ。」
「えぇ‥、それはかまいませんけれど‥?」

少し真摯な眼差しで訴える奏の真意を、
このときの紫苑はまったく理解することはできなかった。

***


531 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 08:58:49 ID:+Jp0f51V0
「失礼するのですよー」

コンコンと軽いノックの音を響かせたあと。
奏は演劇部部室のドアを開けた。

「奏お姉様!」
「わざわざ見に来ていただけたんですか!?」
「皆さん、お久しぶりなのですよー」
「はい。奏お姉様もお元気のようで」

途端にきゃいきゃいと賑わう黄色い声。
そこには尊敬されながらも一同に愛されている奏の姿があった。
そんな奏をじっくりたっぷり、微笑ましく愛でている紫苑の姿に。

「奏お姉様、この方は‥?」
「こちらは紫苑お姉様で、以前エルダーもおやりになられていたんですよ」
「まぁ! それは失礼をいたしました。」
「いえいえ。 初めまして。十条紫苑と申します。」
「こちらこそ、お初にお目にかかります。
 奏お姉様には昨年、演劇部部長として、エルダーとして。
 いろいろお世話になっていました。」
「奏さんが慕われているようで、私としましてもうれしいことですわ」

恐縮する部員を代表してぺこぺこと頭を下げる今年度部長に対して、
あくまでも丁寧に応対する紫苑。

「紫苑お姉様。 元エルダーであらせられるだけに気品に溢れていますわ」
「立ち振る舞いも本当に優雅ですわ」
「えぇ。大人の女性とはああいう方を指すのでしょうね」

たった数瞬で、一同の心をつかむ紫苑。
さすがである。伊達に齢を重ねているわけではない。

532 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:04:50 ID:+Jp0f51V0
***

「あの動きはよかったのですよー。
 でも、その後にもう少し間がほしかったかもなのです。」
「なるほど。たしかに‥」

最初は和気藹々としていたその空気は。
ある部員の「今年の劇はいかがでしたか?」という気軽な質問に
奏が真面目に回答し出したあたりで変わりはじめ。

いつしか、反省会の場へとなっていた。

「そうですね。そこで視線を向けたのはいいと思います。
 でも、立ち位置としてもう半歩右足を前に出しておけば、
 姿勢に無理なく、表情を客席にもっと見せることができたと思うのですよ。
 こんな感じでしょうか」
「おぉ、なるほど‥」

ふと気が付くと、誰かがつい渡してしまった台本を手に
奏の演出指導にまで発展してしまっている。

褒めるところはきっちり褒めつつ、改善点を的確に指摘する奏。
そして、その声を真摯に受け止めようとする演劇部部員一同。
余人が立ち入る余地のないその空気を前にして。

「ほんと。奏ちゃんもすっかり皆のお姉様ですね‥」

そんな奏の成長を、紫苑は嬉しそうに見守るのであった。


533 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:09:42 ID:+Jp0f51V0
***

「といったくらいでしょうか‥‥。ふぅ。
 ‥え? はわわわっ。 な、なんか長々とごめんなさい。」

最後まで語り尽くしてご満悦だった奏であるが、
いつのまにか雰囲気が変わっていることにようやく気づいた模様。

「奏お姉様、ご指導誠にありがとうございます!」
「ありがとうございました!!!」

部長の発話に伴い、一糸乱れず深々と頭を下げる演劇部一同。
さすがの団結力である。

「はぅぅぅ‥。
 いや、私なんかまだまだで‥。」
「いえいえ。奏お姉様のご指導は的確でした」

そんな柔らかな空気が戻りかけたそのとき。


「そうだな。奏。
 第二幕ラストの音響について、指摘しないなんてあり得ない。
 そもそも、昨年指摘したのと同じミスがあるというのはどういうことだろうな」

奏の左肩に。
ぽんと手が置かれた。


534 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:14:44 ID:+Jp0f51V0
***

その瞬間。びくんと背筋を伸ばし。
おそるおそる振り向いた奏の後ろには。
ぴきゅーんと目を輝かす、小鳥遊 圭の姿があった。

「ぶ、部長さん!」

はわわわわわわ。
自動的に脳内に流れだす謎のEffect音。
冷や汗を流し、硬直する奏の急変を前に。

「か、奏お姉様、どうかいたしましたか?」

慌てる現役演劇部部長。

「といいつつも、悪くはない。
 もうこれもいらないかもな」

そう呟き、ポンと奏の頭を。
手に持っていたノートで軽く叩く。

「おまえが今年の部長か?
 今年分だ。ほれ」

わけもわからずに受け取る現役部長。
渡されたものをよくみると、それは縦横をケント紙で封している
極普通の無地A4ノートであった。


535 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:20:01 ID:+Jp0f51V0
「こ、これは‥もしや‥」
「???」

それがなにかをようやく理解した2,3年生一同のざわめきと、
なにも理解していない1年生の疑問符。

そう、それは。
ここ2年ほど、学院祭後に、部長の手の中に現れる伝説の指導ノート。
学院祭劇での出来/不出来が客観的に記されているばかりか、
主役、ヒロインはおろか端役に至るまで、出演した全員の長所/短所、
それぞれの育成方針メモまでが(なぜか役名ごとに)記されており、
今後の演劇部活動に生かされまくる逸品である。

「今年は半分以上、奏が終わらせているようだが、
 おまえらでちゃんと振り返りをおこなった後に封を切ることをおすすめしてやる」

淡々と説明したあと。
自分の用は済んだとばかり、圭は2,3歩後ろに下がる。

いまだ再起動しない奏を前に。
すべてを理解した演劇部一同は。

「お姉様方、ご指導誠にありがとうございました!」
「ありがとうございました!!!」

妹を愛し導いてくれる姉達の想いに、
先ほど以上に深く深く頭を下げるのであった。


536 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:26:38 ID:JEJMlb/c0
紫苑

537 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:39:57 ID:+Jp0f51V0
***

「ぶ、部長さん。ご無沙汰しているのですよー」
「奏、おまえも少しは頑張ってるようだな」

お。奏がようやく再起動した模様。

「すいません。奏お姉様。この方はもしや‥。」
「えぇ。私が1年のときの部長さんで、小鳥遊圭お姉様です」
「あれが伝説の小鳥遊部長‥」
(ざわ‥ざわ‥)(ひそ‥ひそ‥)(きゃーきゃー)

演劇部内にはすでに知れ渡っている伝説の先輩が、
自分らのためにあんなに丁寧に指導してくれた。
感動のあまり、黄色い声が上がり始めたその瞬間。

「ほほぅ。おまえら、舞台後だというのにまだまだ元気そうだな。」

きゅぴん、と音を立てて、圭の目が怪しく光る。
その視線に気圧される娘たち。

「元気が有り余っているようなら、しょうがない。ひとつ後輩達のために一肌脱いd」
「部、部長さん! 最近はい、いかがお過ごしなのですよ??」
「‥‥ちっ。」

必死にフォローする奏と。
その泣きそうな目配せを受けて、慌てて部員をとりまとめる部長たち。

妹たちは、伝説の伝説たる由縁を、今まさに実感した。


538 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:41:17 ID:kEFIudvz0
紫煙

539 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:45:49 ID:+Jp0f51V0
***

なんでこんなことになってしまったんだろう‥。
てんぱる頭で必死に後輩を守る奏は、先ほど、紫苑にしたお願いを思い出した。

「そういえば、紫苑様は‥。あ。」

視線の先には紫苑とにこやかに会話する美智子の姿があった。
奏の視線に気づいたようで、小さく手を振ってくれる。

orz...

「奏お姉様! 今度はど、どうしましたか‥!」

急に崩れ落ちたお姉様を前に、慌てて支えにはいる部長。
あぁ、部長も気配りに大変だ。。


540 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:49:12 ID:+Jp0f51V0
***

「そうそう。生徒会劇を指導したのはここにいるか?」
「は、はい! 私です!」

突然の指名に固まる玲香。
見据えられたあとのしばしの沈黙に。
何を言われるのかと背筋に冷たい汗が流れ出す。

「‥‥ぐっじょぶ(棒読み)」

ぐっと親指を突き出す圭。

「あ、ありがとう‥ございます‥。」

「脚本も悪くない。文芸部か?」
「は、はい! 文芸部の宮藤さんにまとめていただきました」
「配役も悪くない。」
「は、はい! 生徒会の土屋さんの案をベースに検討を進めました」

「ふむ。ぐっじょぶ」

もう一度突き出される親指。

「あ、ありがとうございます‥」

もうなにがなんだか、さっぱりわからない。


541 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:54:49 ID:kEFIudvz0
支援

542 :名無しさん@初回限定:2010/11/07(日) 09:57:15 ID:+Jp0f51V0
***

後輩達にこれ以上の迷惑はかけられないと、
そろそろ撤収する準備にかかりはじめていた奏は。
そういえば‥‥、と1つの疑問を深く考えずに思わず口に乗せてしまった。

「ところで、あのー。さきほどの奏の指導について、
 部長さんはいつ頃から見ていらっしゃったんですか?」
「そこの一年が、紫苑様はさすがお年を召しているだけはあるとか漏らしたあたりから?」

その瞬間。
凍った。空気が凍った。

涼しい顔をした圭と。
何も変わらない様子でニコニコと微笑む美智子以外は。
その空気に絶望した。
あ。耐えられず、一年女生徒が1人失神した。

(そ、そんなこといってない‥はず‥。いってないよね? え、え?)
名指しされた一年生徒はあまりの絶望に、身を震わせることもかなわず。
ただただ、呆然と立ちすくむのみ。あ。ちょっとちびったかも。

その視線の先には。
さきほどと変わらない優雅な笑顔をたたえた紫苑が。
なぜか、少しだけ雰囲気が違うような気もしなくもない紫苑が。
ニコニコと優雅に笑みを浮かべていた。

「‥なんてな。冗談、冗談(棒読み)」
「まったく、圭さんってばお茶目さんですねー(ニコニコ)」

(ほんと、もう勘弁してください‥。)
演劇部一同はOGの傍若無人な振る舞いに内心涙するばかりであった‥。

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