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処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第19話

314 :名無しさん@初回限定:2010/10/11(月) 21:41:16 ID:C4RFIqrV0
   「友情」

「エルダー選、ですか…」
 昼休みに入る前に、クラス委員が配っていた投票用紙を受け取った時の、
私の言葉がこれ。
「今年ですと…無難な所で、候補は三〜四人と云った所かしら」
 頭の中に思い浮かんだ候補を並べつつ、さて誰に投票しようか等と考えながら
廊下に出た時。
「…に投票させて頂きますわ!」
「………あら」
 丁度隣のクラスの入り口の前で、その候補の一人が取り囲まれて
『投票宣言』を受けている所だった。
「え…っと、その、あ、ありがとう………」
 ただ、どうも宣言を受けている側は、何やら戸惑っている様子。
「………ま、あの人ならそうなるわよね」
 くすっと、思わず笑みが浮かぶ。
 さて、じゃあ二年前の恩をほんの少しでも返しに行ってみようかしら。
 私はそう考えると、その集団の方に歩いて行った。

「私も『騎士の君』に投票させて頂きますわ」
「えっと、その…みんな、ちょっと、落ち着いて…ね?」
「いえ、落ち着いていますとも!」
「そうですわ! 騎士の君の正義感は我が学院で並ぶお方が居ません。
真にエルダーとして選ばれるにふさわしいと思います!」
「うう…えっと…」
 あらあら、涙まで浮かべて。何て顔をなさっているのやら。
「薫子さん、お待たせ致しましたわ」
「…えっ!? き、京花、さん?」
「ごめんなさい、クラスの用事で遅れてしまいまして。それとも、私はお邪魔でしたか?」
 そこまで云って、私は周りの女生徒に見えない様に薫子さんにウインク。
「…! い、いえ、そんな事はありませんよ」
 其れで気が付いたらしく、彼女は私の側に駆け寄ってきた。

315 :名無しさん@初回限定:2010/10/11(月) 21:42:20 ID:C4RFIqrV0
「では、行きましょうか。…皆さん、薫子さんをお借りしていきますわね」
「あ、はい! 私達は宣言に来ただけですので!」
「はい、では」
 私はそう云って、薫子さんの手を取ると、そのまま食堂の方に向かっていった。
「…ふう…京花さん、ありがとう。助かっちゃった」
「いえいえ、どう致しまして。…それにしても流石は騎士の君、大人気ですわね?」
 私がそう云いながらクスクスと笑うと、薫子さんは途端に嫌そうな顔をした。
「あのさぁ…お願いだからやめてよねそれ」
「『好きでそう呼ばれている訳じゃないんだ』でしたっけ?」
「へ? 何で知ってるの?」
 きょとんとした薫子さんの顔が可笑しくて、私はまたしばらくクスクスと笑っていた。
「噂で聞いていますわよ。薫子さんの口癖だ、って、ね?」
「そ、そんな事まで噂になってるんだ…」
 其れを聞いて少し引き攣った顔をした薫子さんを見て、少しだけ同情した。
 有名人も大変ですわね。
「さて、と。折角ですし、お昼でも一緒に如何です?」
 助けたついで、と云う訳ではないが、何となく薫子さんと話をしたくなって、
私はそう誘ってみた。
「…うん、いいよ」
 案外すんなりと、薫子さんは頷いてくれた。
「では、まいりましょうか」

「それにしてもさ、京花さん」
「はい、何ですか?」
「なんで、あたしを助けよう何て気になったの?」
 それぞれ注文をして、席に座った時に薫子さんから発せられた言葉がこれ。
「そうですね…まあ、お困りの様子でしたから助けて差し上げたかった、と云うのも
理由の一つですが…」
 そこで私はちらっと薫子さんの顔色を伺って見る。
 薫子さんは黙って続きを待っていてくれた。
「まあ、二年前の恩返しが多少なりと出来れば…と云った所でしょうか」
「…やっぱり、それなんだ。別に気にしなくてもいいのに」

316 :名無しさん@初回限定:2010/10/11(月) 21:43:47 ID:C4RFIqrV0
 私が言葉を継ぐと、予想していた言葉が薫子さんから帰ってきた。
「いえいえ。あれで気にするなと云う方が無理ですし。それに、それでは私の気が
済みませんわ」
「うーん、本当に良いんだからね?」
「とは云っても、私が出来る事はこれくらいでしょうかしらね…これで多少なりと
返せたなら良いのですけれど」
「うん、もうそれは十分に。本当に助かっちゃったよ、ありがとうね」
 そう云って、薫子さんが微笑んでくれている。
「どう致しまして。それなら良かったですわ」
 私も微笑み返す。
 良かった、少しでも恩返しは出来たみたい。
「…それにしても、随分意外というか」
「意外? 何がかしら?」
「いや、あたしの頭にある京花さんのイメージと、何か随分変わったなぁって」
「変わった? …私が?」
 そんなに変わったかしら?
「うん。…こう云うと失礼かもだけど、何て云うか、同じクラスだった時と比べて、
随分とアクティブな雰囲気になったと云うか」
「………ああ」
 薫子さんとクラスが一緒だったのは一年の頃だけ。
 だから、こうしてゆっくりと話をするのは実は一年生以来の事だったりするのだけれど。
「そうですね…あの頃は私、まだ子供でしたし」
 そう云いながら、私はあの時に起きた『事件』を想い出していた。
 今思えば、あの頃の私は本当にどうかしていた、と今なら思う。
「二年も経てば、色々有ると云う物ですよ」
「…それもそっか」
「ええ。薫子さんだってそうでしょう?」
「あたし? …まあ、無かったと云えば嘘になるわよね」
「そうでしょうとも」
 そう云って顔を見合わせる。
 次の瞬間、二人同時にぷっと吹き出していた。
「…でもそうですわね、一番のきっかけはやはり……」

317 :名無しさん@初回限定:2010/10/11(月) 21:45:53 ID:XF+06a320
支援

318 :名無しさん@初回限定:2010/10/11(月) 21:46:17 ID:C4RFIqrV0
 そう云うと、私は薫子さんの顔を見つめる。
「ん? 何?」
「………いえ、何でもありませんわ」
 多分、それは口に出す物じゃないのだろう。
 薫子さんの顔を見ていると、何故だかそんな気がしてきた。

「それにしても…投票宣言とは、流石に六月ですわね」
 先程の集団の事をふと思い出して、思わずそんな言葉が口から溢れ出る。
「それなんだけどさあ………なんであたしなんだろうね?」
 まるで解らない、と云う様な顔をして薫子さんが聞いてきた。
「…あら、薫子さんはご自身の人気に気が付かれてないのかしら?」
「あ、あたしが人気!?」
「ええ。昨年のエルダーの『妹』にして、『騎士の君』の二つ名が示す正義感の持ち主。
注目を集めない方がおかしいですわよ?」
「そ、それにしたって、別に何かしたって訳じゃないし…あ、あたしみたいながさつなだけの
女よりもさ、他にもふさわしい人って居るじゃない?」
「ふさわしい人ねえ…例えば?」
「うーん…初音とか?」
 少し考えた後、薫子さんは寮の友人の名前を出してきた。
「皆瀬会長? …そうね、多分候補の一人にはなっているんじゃないかしら?」
 リサーチはしていないのでまだ解らないけど、その名前も頭に浮かんだ候補の一人だ。
「うん、初音も投票宣言受けてるみたいだよ」
 予想通りの言葉が薫子さんから聞かされる。
「なるほどね。後は恐らく…茉清さんも候補に挙がってるんじゃないかしら」
 その名前を出した時、少しだけ心に痛みが走った感じがした。
「茉清さんかー。そうだよね、彼女も人気者だしね」
 そんな私の心の葛藤も知らずか、薫子さんはそう云ってうんうんと頷いている。
「後は…今年薫子さんのC組に編入されていらっしゃった、妃宮さんでしたっけ? あの銀髪が
お美しいお方。彼女なんかも下級生に人気があると伺っていますけれど」
「あー………千早、ね。確かにそうだよね」
 ん?
 妃宮さんの名前を出すと、何やら薫子さんが微妙な反応をしていた。

319 :名無しさん@初回限定:2010/10/11(月) 21:47:58 ID:C4RFIqrV0
「妃宮さんが、どうかなさったのですか?」
「へ? …ああいや、千早も寮生だから話してたんだけれど、彼女もあたし同様かなり
戸惑っていたわよ?」
「そうでしょうね。転入してきていきなりエルダー候補とか、本人にしてみれば青天の霹靂と
云った所でしょうか」
「まあ、そうだよね…」
「………?」
 何やら微妙な反応が続いている。
 恐らく彼女と妃宮さんとの間には何かあるんだろうけれど、部外者である所の私にどうこう
出来る事でも無いだろう。
「あーもう、どうすればいいんだろう…」
「どうすれば…って、こればかりは他薦ですしね。どこか、心休まる場所で大人しくしているとか?」
 余りにもげっそりとした表情を浮かべているので、消極策ではあるけれどそんな提案をしてみる。
「やっぱりそれしかないかなぁ…ああ、憂鬱だわ」
「ふふふっ。其れでしたら、私もクラスの皆さんには出来るだけ『投票宣言』を自重する様に
お願いしてみますわ」
 果たして其れが効果があるのかどうかは解らない…いや、多分効果は無いだろうけれど。
「うん、お願いするわー」
 それで多少なりと薫子さんが心休まるなら、無駄骨でも無いのかも知れないと思った。

「っと、もう予鈴前だね。…帰ろうっか」
「ええ、そうですわね」
 気が付けばもう昼休みも終わり。
 恐らくは、この先薫子さんと話す機会もそうそう無いかも知れない。
 そう思うと、少しだけ淋しい様な、そんな感情が胸に湧き上がる。
「…あ、じゃあ私、ここだから」
「あ………」
 気が付くと、もうあっという間にクラスの前。
 扉を開けて、薫子さんがクラスに………。
「………っ、か、薫子さんっ!」
「? どうしたの、京花さん?」
「あの……も、もし宜しければ、その………」

320 :名無しさん@初回限定:2010/10/11(月) 21:49:17 ID:PgblZHd+0
キマシタワー

321 :名無しさん@初回限定:2010/10/11(月) 21:49:45 ID:C4RFIqrV0
「ん?」
 薫子さんは私の言葉に首をかしげながら聞いてくれている。
 マリア様、私にほんの少しの勇気を………!
「…その、お、お友達になって頂けます?」
「…お友達?」
「ええ。………ダメ、ですか?」
 私がそう云うと、薫子さんは少しだけきょとんとした顔をしていたが。
「何だ、そんな事。京花さんとはもうお友達、でしょ?」
「!!」
 帰ってきたのは、予想外の言葉。
 その言葉が、余りにも嬉しくて。
「………ええ!」
 私は、出来る限りの笑顔で答えた――。

「ただいま戻りました」
「あ、お帰りなさい京花さん。………?」
「? どうかなさいました?」
 声を掛けてきてくれたクラスメイトが、何やら不思議そうな顔をして私を見ている。
「いえ、その…。京花さん、何か良い事でもありました?」
「良い事? どうしてかしら?」
「だって、とっても嬉しそうな顔をなさっていますから」
「………」
 そんなに顔に出ているのだろうか。
 だとすれば、これ程嬉しい事は無いのだろう。
「…ええ。私、エルダー候補のお一人と友誼を結んで頂きましたの☆」
「まあ! それはどなたですか?」
「え? 京花さん、エルダー候補の方とお近づきになられたのですって?」
「ええ、そのお方はですね………」

 そんな話をしながら、私は手に持っていたエルダー選投票用紙に、彼女の名を書き記したのだった。
(ごめんなさいね、薫子さん。でも、私は貴女こそエルダーに相応しいと思いますわ)
 後日、エルダー選が終わった後にその事で彼女に愚痴られたのは、また別なお話。

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