2ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第19話

203 :Qoo:2010/08/22(日) 14:05:59 ID:iGeJw22V0

- G . P . P. -


Ripple...


ガチャッ

「瑞穂ちゃん、いる〜?」

夜も更け、扉の開く音と後ろから聞こえてきた声に、
勉強中だった宮小路瑞穂はペンを握り締めたまま後ろを振り向いた。

「ノックくらいしてよ、まりや…」

やれやれといった感じで鼻でため息を吐いた瑞穂に、
「まぁまぁ」と笑ってごまかしながら、御門まりやが部屋へと入ってきた。

「どうしたの?」
「ちょっと話があってね…一子ちゃんは?」
「由佳里ちゃんのところに行くって言ってたよ」
「そ…丁度良かったかな」
「何事?」

訝しがる瑞穂に、まりやは「ちょっとね」と濁しながら、
手近にあったクッションを手に取って抱きしめると、ベッドの上に腰を下ろした。


204 :Qoo:2010/08/22(日) 14:08:45 ID:iGeJw22V0

「ある噂が流れてるのよ。 瑞穂ちゃん絡みで」
「噂?」
「うん。 昨日EFCN覗いてたんだ。 それで、ある写真の ─」
「─ ちょっと、いい? さも常識みたいに言ったけど、イーエフシーエヌって何?」
「ん? ああ、確か、エルダーシスターファンクラブコミュニティネットワーク…だったかな。
いわばお姉さまファンサイトよ」
「…そ…んなものが存在しているの…?」
「エルダーの人気を自覚しなさい。 ってか今の時代むしろ無いほうがおかしいでしょ。
でまぁ、それは置いといて。 掲示板で噂が囁かれててさ。 瑞穂ちゃんの写真なんだけど…」
「ボクの写真?」
「そ。 その写真を手に入れたんだーって、自慢したヤツがいたのよ」
「ちょっと待って、その写真、もしかしてまりやの─」

「まりやの仕業じゃないの?」そう言いかけた瑞穂を、
まりやは広げた手のひらをばっと押し出して制する。

「待った。 あたしじゃない。 今回あたしは、何もしてない」
「そ、そう…」
「でも、瑞穂ちゃんの写真を盗撮するのってファンクラブ規約に違反してるから、
色々と突っ込まれたわけなんだけど」
「…ファンクラブまであるのね…規約とかも…」
「今更そこに突っ込むんだ…。 ファンサイトよりファンクラブのほうが先に決まってるでしょ」
「そういうことじゃなくて…」

少し頭が痛くなった瑞穂だが、まりやは気にする様子もなく話を続ける。

「んで、そいつが言うには、撮った覚えがないのに現像したら勝手に写ってたんだって」
「…勝手にって…どういうこと?」
「さぁ。 嘘かホントか分からないけど、他に心当たりは無いって言ってた」
「そんなことって…」

205 :Qoo:2010/08/22(日) 14:16:31 ID:iGeJw22V0

「まぁ、最初はあたしもイタズラかなって思ってたんだけど、
ちょっとして私も同じことあったって書き込みが何レスかあってさ。
中には瑞穂ちゃんの寝顔の写真が写ってたっていう話もあったんだ」
「ね、寝顔!?」
「真偽は別としてだよ?」
「う、うん…、それにしても…」

「瑞穂ちゃん」
「…何?」
「そこら辺の妹ちょこっと摘んでお持ち帰りしたとか、ないよね」
「あ、あるわけないでしょ!」
「だよねぇ」
「もう…」
「じゃあ、聖應に来てから自分の部屋のベッド以外で寝た経験は?」
「…ないよ」

「だったら、そんな写真があるわけがない。
でもさ、こんな学校だし、掲示板内でもそんなイタズラって少ないんだ。
書き込んだ何人かは皆ID違ってたし。
一応一人で複数の書き込みに見せかけたりはできるけど、それにしては話が眉唾すぎるんだよね。
愉快犯の仕業なら、ある程度話に信憑性を持たせないと旨味がない」
「そう…だね。 でも、かといって本当とは思えないし…」
「うん。 ただのイタズラだったらそれでいいんだ。
というか、実際にただのイタズラだと思う。 でも、何となく気になってね」
「うん…でも、確かめる方法がないよね」
「ん〜確かにね。 ま、とりあえずちょっとだけ調べてみる。
話はそれだけだから。 じゃあ、あたしはそろそろ戻るね」

206 :Qoo:2010/08/22(日) 14:23:21 ID:iGeJw22V0

そう話を切ると、まりやが立ち上がった。

「うん。 でもまりや、やけに熱心だね」
「何言ってるの瑞穂ちゃん。
もし瑞穂ちゃんの正体がバレるような写真が出てきたら、大変じゃない。
まぁ、噂が本当だったらの話だけど」
「あ…そっか、そういう危険性もあるんだ…ごめん、そこまで至らなかった」
「ま、気を付けようがないからどうしようもないし、とりあえず忘れといてもいいと思うよ。
それじゃ、おやすみ。 瑞穂ちゃん」
「ん、ありがと。 おやすみ、まりや」

ガチャ…パタン

まりやが去ったドアを見つめ、少し考える。
確かに、もし噂が本当で、瑞穂の正体がバレるような写真が誰かの手に渡れば、
とんでもないことになる。
そう考えると、とても厄介な事件なのかもしれない。

考えるほどに眉唾な話だ。
でも、何となくだけど、これはただの噂じゃないような気がする。
…でも、なぜだろう。
そのくせこの話…噂の根底に、黒いものが感じられないのは。

(ボクが楽観的過ぎるだけかな…)

207 :Qoo:2010/08/22(日) 14:31:30 ID:iGeJw22V0

ただ、プライベートな写真がばら撒かれるかもしれないというのは、
やはり少なからず危険を孕んでいるのは事実で。
反面、今はただの噂に過ぎず、相手も正体不明となれば、警戒しようもない。

(考えても、どうしようもないよね)

もし悩み事があって、でもそれが自分の手の届く範囲ではなく、
どうにもならないのなら、その時は…。

「忘れますわ」

いつぞやに聞いた、貴子さんの言葉を思い出す。
手が届かないことを悩んでも、結果は変わらない。
今の状況では、きっと気にしないのが一番だ。

頭の中を切り替え、姿勢を正した瑞穂は、
まりやが来た後もずっと握りっ放しだったペンを持つ指に再び力を込めた。


  ………

208 :Qoo:2010/08/22(日) 14:38:06 ID:iGeJw22V0

Outside 2...


─ とある日の放課後。


色々な薬品のにおいが入り混じる暗室の中で、
彼女は一枚の写真を握り締めていた。

元々、この写真は現像するつもりはなかったのだけど…。


話は、数日前に遡る ──

209 :Qoo:2010/08/22(日) 14:45:44 ID:iGeJw22V0

  ………

その日、新聞部である彼女は、何かいい被写体はないかと、
休み時間にカメラを持って、窓からグラウンドのほうをぼうっと眺めていた。

しばらく適当に漂わせていた彼女の視線が、ある一点でぴたりと止まった。
彼女の目に止まったのは、体操着に身を包んだ一人の女生徒だった。
もちろん、ただの女生徒ではない。
恐れ多くも現エルダーシスター、宮小路瑞穂お姉さまだ。

その辺りに石を投げれば、エルダー信奉者に当たるこの学園である。
無論、彼女とて例外ではない。

遠目に見ても、お姉さまは素敵だった。
身体を動かすからか、長く美しい御髪をポニーテイルにして纏めていて、
それがなんとも麗しく、なんとも可愛らしい。
被写体としてはこれ以上あるわけがなく、最高である。

しかし、何の断りもなく人の写真を撮るという行為は、盗撮というものだ。
ファンクラブ規約的にも、お姉さまの盗撮はご法度とされている。

彼女はカメラを握り締め、迷っていた。
でも、目線の先にある光景はあまりに魅力的で…。
彼女は思わずファインダーを覗き込んでいた。

(見るだけ、見るだけ…)

そう、見るだけならば何の問題もないはずだ。
そう自分に言い訳しつつ、カメラのズームの倍率をゆっくりと、目いっぱいに上げる。

210 :Qoo:2010/08/22(日) 15:04:28 ID:iGeJw22V0

カメラのズーム機能を、今ほどに有難く感じたことはない。
お姉さまとの距離がぐんぐん縮まっていく。
最大倍率まで引き上げると、目の前にお姉さまがいっぱいに広がった。

ごくり、とひとりでに喉が鳴る。
丁度こちらの方向を向いて誰かと話をしているようで、
お姉さまのお顔をここからバッチリ捉えることができる。
遠目に見ても綺麗だったのに、近くで拝見するとなお一層美しい。
時折浮かべる楽しそうな笑顔は、胸がぎゅうっと締め付けられるほどに可憐だった。

(ああ、どうしよう…)

見るだけ…そう思っていたのに、
その想いは、あっという間にお姉さまの姿を写真に収めたいという欲求に代わってしまった。
それが良くないことだというのも分かっている。
余程のスクープでもない限りそういうことはしないと心に決めていた…はずだったのだが。

鼓動が高まる。
ファインダーから少しだけ目を切り、ちらりと視線を辺りに這わせる。
周りにはおあつらえ向きに誰もいなかった。
そう、今は、誰も見ていない。
少し迷った挙句、彼女はシャッターのボタンに人差し指を掛ける。

(うわぁ、私、弱ぁ……)

欲望に負けた自分の弱い心を自覚しつつ、人差し指に力を込めた、その時だった。


211 :Qoo:2010/08/22(日) 15:11:45 ID:iGeJw22V0

「あっ」

カシャッ


決心するまでに時間を掛けすぎてしまったのか。
お姉さまが後ろを向いてしまったのだ。

シャッターを切る瞬間には、もう振り返りかけていたのが分かったから、
撮影失敗なのは明白だった。

(……はぁ……)

ため息を吐きながら、ファインダーから目を離し、
カメラを少し恨めしげに見つめる。

…いや、カメラは悪くない。
これはただの八つ当たり。
ワルイことをしたのは、自分なのだ。

(あ〜あ……悪いことはできないなぁ…)

もう一回小さくため息を吐くと、彼女は頭を軽く振った。

(…お姉さま、ごめんなさい)

誰かと一緒に並んで歩いていくお姉さまに心の中で謝罪しつつ、
彼女は教室に帰るべく踵を返した。

結局、撮影後に残ったのは、一枚分ダメになったフィルムと、
罪悪感だけだった。

212 :Qoo:2010/08/22(日) 15:19:11 ID:iGeJw22V0

  ………


─ その罪悪感と一緒に残ったフィルムの中の一枚が、コレなのだ。

後ろ姿とはいえ、お姉さまの写真である。
正直捨てがたかったが、後ろめたさもあり、この写真は現像しないことにした。

…はずだった。

しかし、このフィルムを現像する段階になり、フィルムを眺めていたら、

(あの写真を現像しなければ!)

…そんな強い衝動に駆られたのだ。

なぜかは分からない。
理由なんてないけど、とにかくそう感じたのだ。
天啓、というものだろうか。

それから、その衝動に衝き動かされるように身体が勝手に動いた。
いつもより淀みなく作業をこなし、気が付くと、いつの間にかこの写真を握り締めていた。

何だったんだろう。
この写真に何かあるのだろうか。

暗い部屋の中で、じっと写真を見つめる。

「え………」

213 :Qoo:2010/08/22(日) 15:42:35 ID:iGeJw22V0

思わず、声が出た。
そんな、ありえない。
幾度か瞬きを繰り返し、何度も見直す。

…見間違えじゃない。
写真に写っているお姉さまは、その度にこちらに笑いかけてくれる。

そう、体操服のお姉さまがこちらを向いて、"しぃ〜"というポーズだろうか、人差し指を唇に当て、
「困った子ね…」とでも言いたげな表情で優しく微笑んでいらっしゃるのだ。

…そんなこと、ありえるわけがない。

間違いなく、撮影は失敗した。
シャッターを切る寸前に、もう後ろに振り返りかけていたのが分かっていたし、
それに撮影の前後において、お姉さまはこんな表情もポーズもされてはいなかった。

断言できる。
こんなの、写っているはずがない。

なぜこんな写真が?
誰かの仕業とも考えたが、勝手にカメラを使って写真を撮った、とかならともかく、
他のところはそのままに、お姉さまの写真のところだけ挿げ替えられているのだ。
そんな巧妙で珍妙なことをする人がいるとは思えない。

もしかして、自分の中に隠れていた念写能力でも開眼したのだろうか。
…なんて、そんなわけはない。

こんなポーズのお姉さまなんて、想像したこともないし。
確かに可愛いけど。
すっごく可愛いけど。

214 :Qoo:2010/08/22(日) 15:51:02 ID:iGeJw22V0

じゃあ、これは噂のナントカ写真?
まぁ、どれも推測の域を出るわけもなく。

残りの現像を後回しに、彼女は写真を手に暗室を出た。
外の明るさに目を細め、目が慣れてから、もう一度写真に視線を落とす。

にへら…

自分の顔がにやけて崩れるのが分かる。
明るいところで見た、こちらに微笑みかけるポニーテイルのお姉さまは、
それはもうその辺りを転がり回って悶えてしまいそうになるほどに可愛らしかった。
今まで頭の中にあった疑問を、脳の地平の遥か彼方まで軽く吹き飛ばしてしまうほどに。

(まぁ、いっか)

今、この写真がこの手にあるのが一番大事な事実だ。
写真の中のお姉さまが、「仕方のない子ね」なんて言ってる気がした。
…完全に妄想だけど。
でも、こんな風にお姉さまに窘められても、
見とれてしまって反省など頭に残らないに違いない。

今日は他の部員はネタでも探しているのか、誰一人部室にやって来ない。
あのフィルムはまだお姉さまの写真しか現像してないけど、
何だかそういう気分ではなくなってしまった。
今日はもう後片付けだけやって、このまま帰ってしまおう。

思い立った彼女は再び写真へと視線を落とし、だらしなく表情を崩すと、

(帰りにフォトケース買って帰らなきゃ)

そんなことを思いながら、再び暗室の中へと戻っていった。

215 :Qoo:2010/08/22(日) 16:04:15 ID:iGeJw22V0

Idle talk......


「そういえばまりや、噂のことは何か分かった?」
「ん〜、まだ全然〜」
「そう…」
「噂? って何ですか?」
「ん〜、ちょっとね……あ、そうだ由佳里、
あんたの周りで、撮った写真現像したら撮った覚えのない瑞穂ちゃんの写真が写ってたとか、
そういう話聞いたことない?」
「お姉さまの写真…ですか?
いえ、聞いたことないですけど…そんなことがあったんですか?」

「まぁ、噂なんだけどね。
撮った覚えがないのに、瑞穂ちゃんの寝顔が写ってたりとか」
「ね、寝顔ですかっ!?」
「さすがに寝顔を見られるのは、恥ずかしいわね…」
「やっぱ知らないか……やっぱりただの噂なのかなぁ…」

「お姉さまの写真なんて、ファンクラブオフィシャルのか、
まりやお姉さまから頂いたものしか持ってないですよ」

「ばっ、由佳里っ」
「……ねぇまりや、ファンクラブオフィシャル写真って、何?」
「な、な〜んであたしに聞くのかな〜瑞穂ちゃん。 あたしが知るわけ…」
「私の写真を"オフィシャルに"公開するような人間なんて、まりや以外ありえないじゃないっ!」
「い、いや〜、さすがは瑞穂ちゃん、名推理だね! じゃあワトスン君、あとは任せた」
「ちょ、まりやお姉さま!?」
「こ、こら、待ちなさい!まりやーっ!」

... to be continued.

501 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.03.00 2017/10/01 Mango Mangüé ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)