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処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第19話

140 :Qoo:2010/08/12(木) 01:40:20 ID:jO4NHpmO0

- G . P . P. -


At the beginning...


「…ん…ふぁ…」

ベッドの上で横になったまま、ぐう〜っと伸びをすると、
こしこしと目を擦りながら、高島一子は身体を起こした。

少しぼうっとしながら、壁掛け時計の方に視線を向ける。
いつも起きるより少し早い時間だった。
でも、寝覚めはさほど悪くない。

一子は、"目覚めて"からよく眠れるようになった。
元々特に寝付きが悪かったわけではないのだが、
生前より深く、安らかに眠れることが多いように感じる。
それはすでに死んでいるからとか、そういうことではなく。

一子の視界の隅で、何かが動いた。
視線をそちらに向ける。
そう、きっとこの人のおかげだ。


141 :Qoo:2010/08/12(木) 01:44:42 ID:jO4NHpmO0

一子の隣で向こうを向いて眠っていたお姉さまが、寝返りを打ってこちらの方へと振り向いた。
長い睫毛、秀麗な鼻筋、可憐な唇。
寝返りを打つ所作も、動きにつられて流れる御髪すら、どこまでも美しい。

エルダーシスター、宮小路瑞穂さま。

一子の憧れだった人にとてもよく似た容姿を持つ、一子の憧れの人。
そして、聖應に通う全ての生徒の憧れの人だ。

(はぁ〜〜〜……)

再びベッドに身体を倒し、幾度見ても、いくら見続けても、
決して見飽きることのないお姉さまの美貌に感嘆の溜息を吐いていると、
一子の視線の向こうで何かが小さく光った。

視線を少しずらして、そちらに目を向ける。
お姉さまの机の上に置いてある写真が、窓から微かに漏れた朝日を受けてほのかに光っていた。

その写真には、笑顔でお姉さまの首に腕を回して抱きつくまりやさんと、
少し困ったような表情で、でも楽しそうに微笑むお姉さまが写っていた。
撮影のときの光景を考えると、とても微笑ましい。
お二方とも私服で、表情が幼いような印象を受ける。
少し古い写真なのだろうか。

(写真…かぁ)

ふと、昔、クラスメイトの子が幸穂お姉さまの写真を持っていて、羨ましく思った記憶を思い出した。
一子もすごく欲しかったが、結局入手することは叶わなかった。
由佳里ちゃんも、お姉さまの写真を何枚か持っていて、
パスケースに入れていつも持ち歩いていることを以前に聞いた覚えがあった。


142 :Qoo:2010/08/12(木) 01:47:04 ID:jO4NHpmO0

(…私も、お姉さまの写真が欲しいなぁ…)

お姉さまのお顔が見られる写真であれば、何でもいい。
ただ、できればただの写真ではなく、この手で触れることのできる写真が欲しかった。
幽霊である一子は、人以外の"モノ"に触れることができない。
よしんばそれが自分のものになったとしても、触れることはできないというのは、悲しいから。
今のこの身に過ぎた望みであり、叶わない願いだと分かってはいるけど。

贅沢な悩みだと、一子自身も思う。
だって、一子は皆の憧れのお姉さまと一緒に暮らしている上に、こうやって一緒のベッドで眠ることができる。
こうやって毎日お姉さまのお顔を、誰よりも近い距離で見つめることができるのだ。
そんな、お姉さまの妹達から羨望と嫉妬で呪い殺されそうな立場にいるにも関わらず、
こんなことを思うのだから、人の欲望とは果てしない。

けど、仕方がないのだ。
だって、お姉さまが学校にいる時間は、お姉さまには会えない。

でも、一子はお姉さまと、いつでも一緒に居たいのだから。

(お姉さま、お姉さま、お姉さま…)

目を瞑り、祈るように手を組み合わせ、心の中で唱える。
ふと、まぶたの向こうが少しだけ光ったような気がした。

目を開けると、光の代わりにお姉さまの顔があった。

(はぁ……)

お姉さまのお顔を見つめながら、ちょっと切ない溜息を吐く一子だった。

143 :Qoo:2010/08/12(木) 01:49:20 ID:jO4NHpmO0

Outside 1...


─ ほぼ同時刻、とある家にて。


聖應二年生である彼女は、登校の準備をしていた。
必要なものをかばんに詰め、必要でないものもこっそりとかばんに入れて。

準備を終えて立ち上がった彼女だったが、
しばらく座り込んでいたところで急に立ち上がったせいか、
不意にめまいを覚え、ふらりと体勢を崩した。

(やば…っ)

ぼやける意識の中で思わず何かを掴もうと手を宙に這わせるが、無常にも辺りには何もなく。

どんっ

小さく鈍い痛みを背中に感じた。
背中にあったのはタンスだった。
これに寄りかかったおかげでどうにか倒れこまずにすんだようだ。

144 :Qoo:2010/08/12(木) 01:59:22 ID:jO4NHpmO0

しかし、ほっとしたもの束の間。

ゴッ バシャッ

自分の横に何かが落ち、それが強い光を放った。
かなり驚いたが、気を取り直して足元を見る。
カメラが落ちていた。
タンスの上に置いていたインスタントカメラだった。
タンスにぶつかったせいで転げ落ちたみたいだ。
落ちた衝撃で誤作動を起こし、フラッシュを焚いたのだろう。

(…頭の上に落ちてこなくてよかった)

彼女は落ちたカメラを拾い上げた。
大丈夫かな、コレ。
別にへこんだりはしていない。
故障した…かどうかは、外見からは分からなかった。
が、華奢な外見からはあまり衝撃に強そうには見えない。

もし故障してて、いざという時に撮れないのは困る。
フィルムはまだ結構残っていた。
けど、不安になりながらシャッターを切るよりは…。
少し考えたのち、彼女はフィルムを現像することにし、そのカメラをかばんの中にしまいこんだ。


その時、彼女はまだ知らない ─

145 :Qoo:2010/08/12(木) 02:06:36 ID:jO4NHpmO0


Expression...


─ ある日の午前中。


一子はふよふよと学校内を散歩していた。
校内といっても、人がほとんど訪れないような場所だ。
この時期、一子は人気のない場所でなければ行動することもままならなかった。

ぱっと見れば、きちんとした制服姿な一子である。
ちゃんと地面に足をつけて堂々としていれば、見られても怪しまれる可能性は少ない。
少なくとも多少の誤魔化しは十分に可能だろう。

いや、だった。

衣替えの時期が訪れるまでは。

残暑の厳しい時期を過ぎ、生温かった風が次第に冷たさをはらみはじめるころ。
制服の切り替え日を境に、校内を歩く生徒の制服は全て冬服へと切り替わっていた。

黒い冬服の中に白い夏服の一子が混じれば、それはもう否が応にも目立つことだろう。
隠密行動において、違和感は大敵である。
となれば、一子も冬服に着替えたい。
それに、お姉さまも冬服を着ているのだ。
一子もお姉さまと同じ制服に袖を通したい。

しかし、一子は今着ている制服以外の服を持ち合わせていなかった。
それどころか、この服以外着ることはおろか触れることすらできないのだ。

146 :Qoo:2010/08/12(木) 02:11:30 ID:jO4NHpmO0

それ自体もとても残念だったが、しかしそのことはそれ以上に、一子の行動範囲を狭めていた。
移動するときはなるべく死角の多い場所を選び、
周りに人がいないか常に気を払いながら動かなければならない。

一応以前もそうやって行動してはいたのだが、
それにも増して、より慎重にならざるをえなくなってしまった。

どうにかならないものだろうか。
そんなため息を吐いていると。

「…でね、現像し………だ。そ……これよ」

どこからか、声が聞こえた。
こんなところで人の声…秘密の話だろうか。

「これ?……っても、もしかしてこれっ、おおねっ、お姉さま!?」
「ちょ、声大きいって!」
「ご、ごめんっ」

"お姉さま"と確かに聞こえた。

"誰々お姉さま"ではなく、"お姉さま"と。
つまりそれは瑞穂お姉さまのことを指している可能性が高い。

聞こえてきた話が俄然気になってきた一子は、
こそこそと身を潜めながら声のする方へと近づいていった。

147 :Qoo:2010/08/12(木) 02:17:05 ID:jO4NHpmO0

「どう見てもお姉さま、でしょ?」
「…うん。 …どうしたの?これ」
「どうしたのって言われても、さっき言った通り。
私にもよく分からないんだけど、現像したら勝手に写ってたのよ」
「え…本当に…?」
「ほんとなのよ。撮った覚えなんかないし、
というより、撮ろうと思っても絶対撮れない写真じゃない?お姉さまの寝顔なんて」
「まぁ…確かにそうね…」

寝顔…?

会話している二人の後ろに回りこみ、
片方の子が持っている写真を覗き込む。

それは確かに、見紛うことなくお姉さまの写真だった。
安らかに眠るお姉さまのお顔が、
寝息さえ聞こえてきそうなくらいに鮮明に写っていた。

「綺麗…」
「だよねぇ…」

二人が呟く。

それはそうだろう。
だって、お姉さまなんだから。

148 :名無しさん@初回限定:2010/08/12(木) 02:17:46 ID:oMUOeKmS0
とりあえず。支援


149 :Qoo:2010/08/12(木) 02:23:17 ID:jO4NHpmO0

「…ねぇこれ、焼き増しとかできないの?」
「あ〜、それがね、私もそれ考えたんだけど…できないんだ」
「ど、どうして?」
「私も最初はびっくりしたけど、お姉さまの写真には違いないし、
で、そうなったらまだ何枚か欲しいから写真屋さんに持っていったの」
「うん」
「そしたらね、その部分には何も写ってないから現像できないって言われたんだ」
「…本当に?」
「ほんとほんと」
「…………」
「ほ〜んとなんだってば〜」
「…でも、それってもしかして心霊写真とか、そういうのだったり…?」
「あ〜、かもねぇ」

肯定した少女はあははと笑いながら、「でもさ」と付け加える。

「こんなに素敵に写ってるお姉さまの写真が、悪いもののはずが無いじゃない?」
「…それが罠だったりして」
「も〜、変なこと言わないでよ〜」

少女が笑い、もう片方の少女は「でも、いいなぁ…」と羨ましげに呟いた。

撮った覚えもないのに勝手に、なんて、不思議なことがあるものだ。

自分のところにも、そんな都合のいい奇跡が舞い降りたりはしないものだろうか。

(幽霊だって、そんなことを願うくらいはしたって罰は当たらないですよねぇ)

150 :Qoo:2010/08/12(木) 02:28:44 ID:jO4NHpmO0

一子がそんなことを思った瞬間。


キィン…


一子の身体がほんの少し、淡い光を放った。

しかし、今は晴れの日の野外。
木陰の中とはいえ明るい場所であったため、一子自身はそれに気づくことは無かった。


お姉さまは今何をしているだろうか。
そういえば次の時間は確か、体育だった気がする。
体育の時間は、授業中、死角から安全にお姉さまの姿を見られる数少ない機会だ。

お姉さまは運動神経も抜群でいらっしゃるから、体育でもいつも大活躍をされている。
その度に周りの生徒から歓声が上がり、
そして一子は思わず叫びそうになる口を慌てて押さえることもしばしばだった。

これは見逃せない。
今日はグラウンドと体育館のどっちだろう。
とりあえず、グラウンドのほうから見に行ってみようかな。

一子は二人から離れ、ふよふよとグラウンドの方へと飛んでいった。



                           ... to be continued.

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