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処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第18話

1 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:37:20 ID:6+Jg2ryb0
ここは「処女はお姉さまに恋してる」のSSスレです。
優雅に礼節をもって進行していきましょう。
sage進行で。

「処女はお姉さまに恋してる」まとめサイト−「おとボク」SS作品リスト
ttp://takayan.s41.xrea.com/otoboku/ss_index.shtml

SS投稿掲示板@おとボクまとめ
ttp://takayan.otbk.root-node.net/ss/bbs_view.cgi?

おとボクSS投稿掲示板
ttp://cute.to/~hokuto/caramelkeijiban/story_bbs.php ←8月20日管理人の都合により閉鎖されました

処女(おとめ)はお姉さま(ぼく)に恋してる SSの書庫
(処女はお姉さまに恋してるSS保管庫(仮)の跡です)
ttp://th2ss.hp.infoseek.co.jp/otoboku/ ←閉鎖


メーカー公式
ttp://www.caramel-box.com/


Q&Aテンプレは>>4-5

2 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:38:56 ID:6+Jg2ryb0
・過去スレ

【女装】処女はお姉さまに恋してる【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108774069/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第2話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110222716/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第3話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1110659167/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第4話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111234071/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第5話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1111757700/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第6話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1112791250/
【女装】処女はお姉さまに恋してる 第7話【百合】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1115118638/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第8話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1117971026/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第9話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1143304515/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第10話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1156178671/

3 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:39:37 ID:6+Jg2ryb0
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第11話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1164204810/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第12話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1171703000/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第13話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1176527097/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第14話
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1185672661/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第15話
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1197634344/
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第16話
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1207387243/


・前スレ
処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第17話
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1221857171/

4 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:40:06 ID:6+Jg2ryb0
Q&A その1

(;´Д`)<オリキャラ出したいんだけど……
(・∀・)<オリジナルキャラが原作キャラよりも目立つ物、また、同程度の立場である場合、受け入れられない
     事の方が多いようです。そんな作品の場合は投稿所の方が無難ですが、最終的な判断は作者さんに
     委ねられます。
     もし、これは大丈夫だ、と思ってスレに投下して、投稿した作品にケチをつけられたとしても、
     それはそれで一つの事実ですので素直に受け止めましょう。
     次の投稿時にその経験を活かしてください。

(;´Д`)<そんな固い事言ってたらオリキャラ使えないじゃん
(・∀・)<そんなことはありません。原作に登場してはいないものの、その世界に間違いなく存在しているキャラ
     (一般生徒・店員・通行人)等のいわゆるMobは、登場させても問題ありません。
     但し、それでもし投稿した作品にケチをつけられてとしても、それはそれで一つの事実ですので素直に
     受け止めましょう。次の投稿の時に(ry

(;´Д`)<原作キャラの性格を弄りたいんだけど、どの程度なら大丈夫なの?
(・∀・)<極端に変わっていなければ大丈夫です。が、だからといってスレに投稿してケチをつけられてとしても、
     それはそれで(ry
     例外的に、笑いを取りに行った場合には受け入れられる事もあるようです。

5 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:40:30 ID:6+Jg2ryb0
Q&A その2

(;´Д`)<瑞穂ちゃんがあまりにも可愛いので、おかま掘りたいんだけど……
(・∀・)<どうぞ掘ってください。但し、作品が出来上がったときはスレの方ではなく、投稿所へお願いします。
     逆に瑞穂ちゃんが掘っちゃった場合も投稿所を利用してください。

(;´Д`)<マリみてとか、極上生徒会なんかとクロスオーバーさせたいんだけど……
(・∀・)<クロスオーバー物は、混合物の元ネタを知らない人もいますので、投稿所の方へお願いします。

(;´Д`)<瑞穂ちゃんを襲った○○が許せません! お仕置きしてもいいですか?
(・∀・)<構いませんが、必要以上の暴力・陵辱・強姦・輪姦・監禁・調教・SM・スカトロ・グロ・強制妊娠・
     達磨プレイ・死姦・人体改造・触手・食人等、読み手を限定してしまうような表現がある場合は、
     投稿所の方へお願いします。
     また、直接的な表現が無くても鬱な展開になった時は受け入れられない場合もあります。

(;´Д`)<携帯だから投稿所使えないyo!使えるけど投稿所ヤダ!
(・∀・)<仕方ないので事前に1レス使って傾向報告、あぼーんできるようにコテ、ケチつけられても
     文句言うのはやめましょう。でも可能な限り投稿所利用してください。



(・∀・)<おとぼくの雰囲気に合わないと思われる作品は投稿所へ、どうすればいいか分からないときは
     皆に聞いてみて下さい。

6 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:40:48 ID:miCBIuh/0
おっしゃ、神降臨!

7 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:43:07 ID:6+Jg2ryb0
・関連スレ

処女はお姉さまに恋してる 第67話
http://qiufen.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1223266786/
キャラメルBOX part36
http://qiufen.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1211373113/
キャラメルBOX やるきばこ part10
http://qiufen.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1213467853/

8 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:43:39 ID:6+Jg2ryb0
★過去スレのミラーです★(処女はお姉さまに恋してるSSスレ)

第1話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1108774069/
第2話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1110222716/
第3話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1110659167/
第4話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1111234071/
第5話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1111757700/
第6話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1112791250/
第7話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1115118638/
第8話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1117971026/
第9話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1143304515/
第10話 http://pantomime.jspeed.jp/test/read.cgi/monament6/1156178671/

9 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:44:23 ID:6+Jg2ryb0
第11話 http://p2.chbox.jp/read.php?host=pie.bbspink.com&bbs=erog&key=1164204810&ls=all
第12話 http://p2.chbox.jp/read.php?host=pie.bbspink.com&bbs=erog&key=1171703000&ls=all
第13話 http://p2.chbox.jp/read.php?host=pie.bbspink.com&bbs=erog&key=1176527097&ls=all
第14話 http://p2.chbox.jp/read.php?host=pie.bbspink.com&bbs=erog&key=1185672661&ls=all
第15話 http://p2.chbox.jp/read.php?host=set.bbspink.com&bbs=erog&key=1197634344&ls=all
第16話 http://p2.chbox.jp/read.php?host=set.bbspink.com&bbs=erog&key=1207387243&ls=all
第17話 http://p2.chbox.jp/read.php?host=set.bbspink.com&bbs=erog&key=1221857171&ls=all


10 :名無しさん@初回限定:2009/03/26(木) 20:52:46 ID:6+Jg2ryb0
以上
テンプレ、追加記載などありましたら補完宜しくお願いいたします。

11 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 21:56:53 ID:6+Jg2ryb0
紫苑さま誕生日。
5日遅れ
許されるのでしょうか

初めてやるきばこ2ネタで書いてみました。

12 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 21:57:37 ID:6+Jg2ryb0
『貴女のお誕生日です』


***********************
ちょっとややこしい設定
舞台は貴子ルート後
翔陽大学(西東京)に瑞穂と貴子(経済学科)・紫苑(国文学科)が同時に入学
黒澤 隼人が二回生、松下 桃子が一回生として存在
瑞穂、貴子、紫苑は学生会執行部に専属として所属
つまりやるきばこ2のシナリオで瑞穂×貴子ですが人物設定は紫苑ルートだと思ってください
***********************

 瑞穂たちが翔陽大学に進学して約一年が経とうとしている。
 3人は『学生会美少女トリオ』などと云われてすっかり学内で有名人である。

 ――3月のある日。
 この日も空いた授業時間(コマ)に瑞穂と貴子が学生会室へ顔を出す。
「こんにちは〜」
 瑞穂が声をかけて会室に入ると隼人と桃子がパソコン作業をしていた。
「おっす」
「ご機嫌さん、瑞穂っち、貴ちゃん」
「紫苑さんはまだのようですね」
 会室の中にはこのふたりの他に執行部員のA子、B美、C江の3人がいた。
 この3人ともそれぞれ挨拶を交わす。
 今の時期、学生会は忙しい。
 4月からの新入生を迎えるに当たってするべき仕事が山のように発生する。
 加えて学生会役員の異動もある。
 これまでの会長職だった三回生は引退して今度新三回生になる隼人が会長職を引き継いだ。
 そして副会長職は桃子がなった。

13 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 21:58:16 ID:6+Jg2ryb0
 桃子は瑞穂を推したが瑞穂が猛烈に嫌がった。
 そんなこんなで仕事の引継ぎということもあって、学生会は今は大忙しだ。
 執行部には総勢30人ほどが所属している。
 だが瑞穂たち3人を除いてほとんどが同好会やサークルと掛け持ちしていて、何かの行事のとき以外は会室に顔を出さない。
 自然、普段の会室は瑞穂たち3人と隼人、桃子だけが集まる溜まり場みたいになっていた。
 しかし今はやるべき事が多いため、こうして普段は現れない執行部員たちもやってきているのだ。
「しーちゃんは紅茶の葉っぱが切れたから買いに行ってんねん。もうちょっとしたら帰ってくるわ」
 桃子が答える。
 これを聞いて、瑞穂と貴子が互いの目を見て意味深な視線を交わす。
「あー、ふたりして見詰め合って。何かいやらしいな〜」
「ふふふ。違うんですよ、桃子さん。実はおふたりにご相談したいことがあったんです。紫苑さんのいない時に」
 貴子が笑いながら云うのに対し隼人と桃子が不思議そうな顔で見る。
「では私からお話しますね」
 貴子がそう云って確認すると瑞穂が頷いた。
「実は来週の21日なんですが」
「その日がどうかしたん?」
「紫苑さんの誕生日なんです」
「ふえっ!?そうやったん?」
「ええ。そうなんです」
 瑞穂と貴子がこっくりと頷く。
「そら、何かお祝いせんとあかんなぁ〜」
 桃子がそう云いながら隼人の方をみる。
「そうだな。今は忙しい時期だけどそういう事なら是非なにかしないとな」
「有難うございます」
「ん?何で貴ちゃんが礼云うの?」
「…いえ、何となく。それで何かプレゼントをしたいと思うんですが如何でしょうか?」
「ああ、それはええなあ〜。うちはええで。隼人は?」
「もちろんOKだ」
「でプレゼントもええけど誕生会なんかせえへんの?」

14 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 21:58:46 ID:6+Jg2ryb0
「誕生パーティーですか。良いですね」
「するとしたらどこでしましょうか?僕らの自宅でも構いませんが」
 貴子が賛成し瑞穂も頷く。
「ちょっと待て。十条さんには誕生パーティーのことは云うのか?」
「当然…云いません」
「やろなあ〜」
 桃子が笑い出す。
「サプライズは当たり前だな。で、どこでするかだがどこか店のほうが俺は気兼ねしなくて良いんだが」
「そんな気兼ねなんて必要ないですよ、貴子さんも住んでいるんですから。ね?」
 瑞穂が貴子に同意を求める。
「ええ」
「あ〜、もうええ。惚気になりそうやからストップ。ウチも店がええと思うわ」
「そうですか。ではどこか良いお店をご存知ありませんか?」
「近場で良いんじゃないのか。『ザスト』とか」
 それを聞いて桃子が反対する。
「それはファミレスやん。そんなんあかんわ。もっと高いところにしよ」
「高いところって云われてもな」
「しーちゃんはええとこのお嬢様なんやで。ファミレスなんかあかん」
「いや桃子さん。紫苑さんも結構ファミレス好きですよ」
 瑞穂が笑いながら云う。
「あかんあかん」
「じゃ『ジェリーパスタ』では?」
 瑞穂の意見。
「スパゲティ屋やん。あかん」
 却下された。
 続いて隼人の意見。
「ステーキハウス『丹波』」
「駄目。なんで誕生パーティーで肉食うんや、センスないな〜」
 手酷く却下された。

15 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:05:21 ID:6+Jg2ryb0
「んじゃ『マクド』」
「子供の誕生会か!真面目に考えっ!」
「いたって真面目なんだが。安上がりで食事が出来るところとなると…」
「安いところじゃなくていいやん。もおええわ」
 続いて貴子案。
「『月一堂』はどうでしょうか?」
「おっケーキハウスか…さすが貴ちゃん、ええとこつくな。だけど雰囲気がなぁ〜」
「おい桃子さん。そこで良いんじゃないか?そんなこと云ってたらいつまでも決まらないぜ」
「しーちゃんの誕生パーティーや。安っぽいところには行きたくないねん」
「桃子さんの誕生日じゃないのになんでそんなに真剣になる?」
 がやがやと意見を云い合うがなかなか決まらない。
 その内にこの会話を聞いていた別の机で書類仕事をしているA子、B美、C江の3名も参加したいと云いだした。
 瑞穂、貴子、紫苑の3名はこの大学のキャンパスビューティーとして人気があり、仲良くなりたいと考えている者は、
男性のみならず女性にも大勢いるのだ。
「勿論良いですよ」
 瑞穂が快くOKする。
 今日執行部に顔を出してラッキーだったと喜ぶ3人。
「待てよ。そうなると男は俺一人か」
「隼人先輩、僕もいますが」
「すまん。お前は綺麗どころとして勘定していた」
 そうこうしている内に、会室のドアがガチャっと開いた。
「ただいま戻りました」
 紫苑がお使いから戻ってきた。
 皆のおしゃべりがピタッと止まる。
「こんにちは、紫苑さん」
「こんにちは。瑞穂さん、貴子さん。あら、皆さんどうしたんですか?」
「いや、なんもあらへんよ。な〜貴ちゃん」
「え、ええ。なにもありませんよ」
 あまりに下手な繕いに会室の隅で書類仕事をしていたA、B、Cの3名が顔を伏せてクックッと肩を震わせている。

16 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:07:39 ID:6+Jg2ryb0
「そうですか。なんだか私、皆さんのお邪魔だったようですね。もっとゆっくりと帰ってくれば良かったですか」
「いや!イヤイヤイヤ!ほんとに何にも有りませんよ」
 わざと拗ねた風に云う紫苑に瑞穂が慌てて云う。
「本当ですか?」
 しつこい。
「本当やって!なあ隼人」
「あ、ああ」
「分かりました。私の思い過ごしだったようですね」
 全員、ほっとした表情。
「では紅茶を買ってきましたから皆さんでお茶しましょう」
 紫苑と貴子で、買ってきたばかりの箱を開けて全員分の紅茶をいれる。
 桃子が部屋の戸棚の中からクッキーの缶を持ってきて蓋を開けた。
 会室の全員、仕事の手を休め中央の机に集まってティータイム。
「ん〜。しーちゃんと貴ちゃんのいれるお茶はいつも美味しいなあ」
 桃子がそう云うと、隼人、ABC3名がうんうんと頷く。
「そうですか。過分に褒めていただき有難うございます」
「お世辞ちゃうで。これより美味しいお茶いれる人うち知らんもん」
「でも私なんかよりもっと美味しいお茶を入れる人を知っていますよ」
「へ〜。そりゃ凄いわ」
「なあ十条さん」
 隼人がおもむろに口を開いた。
「パーティーするとしたらお茶の美味しいお店が良い?それとも食事が出来る店が良いか?」
 あまりの直球に全員眼を剥く。
「このボケェー!!」
 次の瞬間、桃子のボディーブローが隼人のどてっ腹に突き刺さる。
「ごふっ…」
 腹を押さえてピクピクとしている隼人を物凄い眼で睨み付ける桃子。
「えっと、どう云うことでしょうか?」
 紫苑が訊ねるのに桃子が慌てて手を振って答える。

17 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:09:09 ID:6+Jg2ryb0
「あ、気にせんといて。訳分からんこと云ってちょっと隼人おかしいねん」
「黒澤会長、呻いてますが?」
「大丈夫やって!な、隼人」
「…う…ううぅ」
「ほら大丈夫やって云ってる」
「そうですか」
 紫苑は何故か納得した。
「それで先ほどの質問ですが、どう云う意味なのか分かりませんが私はお茶の美味しいお店が好きですよ」
「ふえ?そ、そうかいな。例えば大通りの『紅屋』とかはしーちゃん好き?」
 紅屋はコーヒー一杯1000円以上する高級喫茶である。
「はい。あそこのシナモンティーはとても美味しいですから」
 それを聞いて桃子は「あそこに決めるか」と考える。
 無事、会場が決まりそうだと皆の顔が和む。
 高い費用になりそうだが、皆が好きな紫苑の誕生会。ケチるつもりなど毛頭ない。
 誕生日当日になり「誕生会をする」と告げたら普段慌てた姿など見せたことの無い紫苑がどんなに吃驚するだろう。
 そのことを考えただけでも惜しくは無い。
 全員ほっとした表情でお茶を飲む。
「ところで皆さんに私から相談がありますの」
 紫苑が口を開き、皆が「ん?」と顔を向ける。

「私はファミレスが良いと思うのですが」

 ブゥッッ!!
 全員一斉にお茶を噴き出す。
「な、なっ…しーちゃん、うちらの話を聞いてたん!?」
「はい。さきほど帰ってきたときに。ドアに耳を当てて聞くともなしに5分間ほど聞いてしまいました」
「紫苑さん、そんなのは聞くともなしにとは云いませんよ!」
「私の誕生日を皆さんがお祝いしてくださる。そのお心遣いだけで充分嬉しいのです。本当は誕生会などして頂かなくても…」
「あかんで!しーちゃんの誕生会は絶対するんや」

18 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:12:08 ID:6+Jg2ryb0
 桃子の言葉に貴子たちもウンウン頷く。
「そうです。紫苑さんの誕生会をするのは私たちの楽しみでもあるんですから」
「有難うございます。でしたらせめて『紅屋』ではなく、もっと飲食ができるところでして頂きたいのですが」
「?…しーちゃんはそのほうがええのん?」
「はい。せっかく大勢で集まるのですから出来ることなら私の誕生日などに拘らず、楽しく遊びたいのです」
 紫苑が頭を下げる。
「わかったわ。皆で会費を出し合ったら立派なパーティーが出来るから。任せとき!
あ、それと当然、しーちゃんは主役なんやから会費はなしやで」
「しかしそれでは」
「紫苑さん、お祝いされる人間が自分で費用を出すのはおかしいですよ」
「…では最後にひとつだけお願いが。これだけは絶対に譲れないことがあります」
 紫苑のお願いは誕生日プレゼントは無しにして欲しいということだった。
 皆に自分の誕生日のお祝いで負担をかけるのは耐え難いと強く主張した結果、プレゼントについては無しになった。
「その代わり賑やかな誕生会にしような」
 店の段取りについては「知人に心当たりがあるから」と隼人が手配することになった。

19 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:12:53 ID:6+Jg2ryb0

 大学からの帰り道。
 瑞穂、貴子、紫苑が3人で歩いている。
「先ほどの誕生日プレゼントの件ですけど、私はいらないと申し上げましたが実はお二人には頂きたいものがあるんです」
 紫苑がふたりを見て話す。
「え、何でしょうか?」
「お二人と云っても主に瑞穂さんなんですけど。貴子さんには許可をして頂くということで」
「僕が?」
 紫苑がその内容を話すと瑞穂が思わず大声をだした。
「えええっ!?そんなの…」
「駄目ですか?」
「今更そんなこと…」
「あら、今でも偶になさってるじゃありませんか。奏ちゃんたちの為に」
「で、でも」
「如何でしょうか、貴子さん」
 少し考え込んでいた貴子。
「本来ならばお断りする所でしょうけど紫苑さんの誕生日なのですし…。瑞穂さん次第ですね」
「だそうです」
「そんな…貴子さん」
「ただし紫苑さま」
 貴子が紫苑に念押しする。
「瑞穂さんは私の婚約者だということをお忘れなく」
「わかっております。鏑木瑞穂さんは貴子さんの婚約者。私はただ、お友達に会いたいだけですの」
「では結構です。許可いたしましょう」
 瑞穂の意見は二の次で女性陣で既に話がついてしまった。
「…ああ〜」


20 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:16:32 ID:6+Jg2ryb0

 ――誕生日の3月21日の夕方。
 桃子、隼人、A子、B美、C江たちは誕生会の会場であるお店に集まっていた。
 紫苑の親友を迎えにいくと云って、紫苑、瑞穂、貴子はまだ来ていない。
「なあ、隼人」
「うん?」
 お店は大学からバスで20分ほどの場所にある、飲み食い処『村崎』。
 そこの2階の座敷部屋を貸切にしていた。
「こぉのアホがぁ〜!」
 桃子のコークスクリューブローが隼人の鳩尾に突き刺さった。
「ぐほぉっ!」
 隼人が腹を抱えて畳の上に沈没する。
「なんで居酒屋やねん!レストランやとばっかり思って油断してたわ」
 桃子たちは隼人から知人の店で格安で飲食できると聞いて任せていたのだ。
「あんた、『パープル』ゆう名のおしゃれなレストランゆうたやないか」
「…うぅぅ…イカす和食レストランだろ」
「やっぱ死ね」
 コークスクリューが今度はテンプルにヒットして隼人は撃沈した。

21 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:18:39 ID:6+Jg2ryb0
「でも桃子さん。座敷部屋を閉店まで借りてこの値段は確かに安いですよ」
 A子が云う。
 確かに居酒屋とはいえ、貸切部屋では破格の値段だった。今日の料理代を入れても桃子が予算していた値段の半分だ。
 しかもこの座敷部屋は仕切りだけで区分けされているのではなくちゃんと壁と襖で仕切られていて、外とは遮断されている。
「まあ確かにそうやな〜。でもなぁ〜、居酒屋っていうのはなぁ〜、とても誕生会の雰囲気とちゃうし」
 踏ん切り悪くぐちぐちと云う桃子。
「今のシーズン、送別会とかが多いですからこんなトコを借りられたことは逆に良しと思うべきでは?」
 1階からは大勢の客の喧騒が聞こえてくる。この店は今日も大勢の客が入っているのだ。
「そうだぜ桃子さん。俺のツテがあればこそ格安で借りられるんだし、浮いた分をさらに料理代に回せるんだぜ」
「うわっ、もう復活した」
 その時、桃子の携帯が鳴った。
「はいもしもし。なんや貴ちゃん。えっ、店わからん?今何処?」
 貴子からだった。隼人から聞いていた店の場所が分からないらしい。
「赤い看板みえるか?そう、そこ。え?違う違う。居酒屋や。そこの2階。ホンマやって!隼人の阿呆が…。んじゃ待ってる」
 ピッ! 店を教えて桃子が携帯を切る。
「なんか俺が悪いみたいに云っていたが」
「その通りやろ。貴ちゃんらも居酒屋やとは思ってなかったんやから」
「ふむ。説明不足だったかな」
「あんたなぁ…」
「ところで十条さんの友人も一緒なのか?」
「そうみたい。めっちゃ美人さんやって話」
「ん?女性か」
「当たり前やろ!しーちゃんの親友さんやで。男のはずないやん」
「…桃子さん。それは逆に失礼だと思うぞ」
「なんで?」
 貴子たちを待つ間、先に出された突き出しの枝豆をぼりぼりと食べながらそんな会話をしていた。
 すると突然、辺りがしーんと静かになった。喧騒が無くなったのだ。
「な、なんや?」
「有線が切れたのか?いや鳴ってるな」

22 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:27:32 ID:6+Jg2ryb0
 1階からは小音量で店内音楽が聞こえてきている。
 だが先ほどまで聞こえてきていた雑談や大声などの喧騒が止まっていた。
「音楽しか聞こえないぞ。1階の客が全員帰ったのか?」
 隼人がそう云うと、他の4人の女の子たちは皆、顔を見合わせる。
「いや、それはないやろ」
 誰かが階段を上ってくる足音がして座敷の襖が開けられた。
「遅くなってすいません」
 そう云って先ず貴子が、続いて紫苑、最後に美人さん(?)が入ってきた。
「・・・・・・」
 部屋にいた全員がポカ〜ンとその美人を見ている。
 そんな様子を見てクスクスと笑いあう紫苑と貴子。
 当の美人本人は何だか複雑な表情。
「…なあ…そのごっつい美人さんは?」
「では自己紹介をしてもらいましょうか」
 そう云って貴子に促されて、少し頬を引きつらせながら自己紹介をする。
「宮小路瑞穂です」
「どっひぇ〜!やっぱ瑞穂っちかいなっ!あまりの美人っぷりに分からんかったわ!」
 他の3人娘も赤い顔してうんうんと頷く。
 隼人はまだ呆けている。
「隼人?こら、帰って来い!」
「あ?すまん。強烈なカルチャーショックを受けて放心してた」
「カルチャーショック?」
「ニューハーフにも美人はいると話には聞いていたが…」
「隼人先輩、僕はニューハーフではないんですが」
 がっくりと落ち込む瑞穂。
「あ、すまん。つまり貴子さんや十条さん越えの女装美人というものの現物をみてショックを受けた訳だ」
「瑞穂っちが美人さんなのは分かってたけど、こうして女装して化粧したら更に凄いなあ。切れ味が増してるっていうか…」
 瑞穂の服装はブラウスにロングスカート。紫苑からの借り物である。
「褒められてますよ、瑞穂さん」
 嬉しそうな紫苑。

23 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:35:43 ID:6+Jg2ryb0
「うううっ全然嬉しくない」
「あれ?またうるさなってる」
 桃子がいつの間にか喧騒が戻っていることに気がついた。
 1階席から客たちが大声で「なんだあの美人3人組は」「芸能人か」などと話し合ってる声が聞こえてくる。
「それで何で瑞穂が名前を変えて女装して来たんだ?」
「紫苑さんのお願いなんで…」
「?」
「改めて私から説明しますね」
 そう云ってにっこり微笑む紫苑。瑞穂の右腕に自分の手を絡める。

「私のハズ(良人)宮小路さんです」

 ブッ!!
 隣で貴子が眼を剥いて噴き出す。
「ししし紫苑さん!瑞穂さんは私の婚約者ですよ」
「はい。ですから鏑木瑞穂さんは貴子さんのフィアンセ、宮小路さんは私のハズということで」
「そ、そんなこと…」
 うううっと貴子の顔がだんだん紅くなっていく。
「とまあ云いたいところですが、これ以上いうと貴子さんが怖いのでマブ(親友)という事にしましょう」
「あ〜、よく分からないんだが…」
「つまりいつも貴子さんのものである瑞穂さんが、今日だけは私の宮小路さんになって頂くようお願いしたのです」
「ふ〜ん。宮小路って何か知らんけど、それがしーちゃんの誕生日プレゼントということなんやな。貴ちゃん、心ひろいなあ」
 貴子が苦笑する。
「ふふ。紫苑さんにお願いされては嫌とは云えません。それに誕生日となれば尚更です」
「僕の意見は全く考慮されなかったんですけどね」
「じゃ皆揃ったし始めよか」
 座卓を囲んで皆が座る。
 瑞穂を真ん中に挟んで貴子と紫苑。
 瑞穂の対面に隼人と桃子、紫苑の横にA子、B美、C江たち。

24 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:36:57 ID:6+Jg2ryb0
「先ずはケーキだ」
 隼人が云うのに全員が不審そうな顔をする。
「誕生会だぜ。ケーキは必要だろう」
「でもここのメニューにケーキなんてあるんですか?」
「いや無いよ。でもここを予約したときに既に頼んである。云ったろ、この店は知人の店だって」
 ケーキが運び込まれてきた。
 直径20センチほどのデコレーションケーキ。
「うわっ、ほんとにバースデーケーキやわ」
「当たり前だろ」
「う〜ん。うち、隼人のこと見直したわ。ちゃんと考えてたんやな」
「うむ。どんどん褒めてくれ」
 続いてビールが運ばれてきた。
「なんでビールやねんっ!!」
「いや、基本居酒屋だしな」
「ケーキとビールっておかしいと思わんのかっ?」
「分かってる。こんなこともあろうかとちゃんと頼んである」
 ワインが運ばれてきた。
「ムードが大事だからな」
「座敷部屋でワインとバースデーケーキ出してムードとか云うんはどうやろ…」
「隼人先輩。お酒はどうかと思うんですが」
「そうか。瑞穂たちは次の誕生日までは未成年だったな。よし分かった。これは醗酵葡萄汁だ。それでこっちは泡麦茶だ」
「云い方を変えてるだけじゃないですかっ!」
「細かいことを気にするな」
「もう素直にジュースで良いんじゃないですか?…ってうわ!?紫苑さん!?」
 見ると紫苑は既に全員のグラスにワインを全員に注いでいた。
「どうしたんですか?瑞穂さん」
「紫苑さん、お酒…」
「せっかくのコンパですから、乾杯の一杯は宜しいのでは」
「「違います」」
 瑞穂と貴子が揃って手を振る。

25 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:40:07 ID:6+Jg2ryb0
「コンパじゃなくて紫苑さんの誕生会です」
「あらそうでしたね」
 そうこうしている内にケーキの上に20本の蝋燭がたてられ準備が全て整った。 
「それじゃ歌おうか」
「恥ずかしいですわ」
「ええやん。いくで。さんはいっ!」
 桃子の音頭で全員でハッピバスデーを歌い、紫苑が勢い良く蝋燭の炎を吹き消した。
「おめでとー!」
「おめでとうございます!」
 皆の拍手。
 紫苑が顔を赤らめて、微笑みながら礼を云う。
「じゃ皆、盛大に食べようぜ」
 バースデーケーキは卓の横に除けられて、続々と料理が運び込まれてきた。
「ケーキはデザートとして食べることにしよう。大量の料理を頼んであるから皆ガンガン食べてくれ」
 唐揚げ、お造り、焼き鳥、ポテト……
「うわっ、一瞬で飲み会になってしもうた。隼人、やっぱあんたこれがメインやったんちゃうんか」
「心外だな」
「桃子さん、私が黒澤会長にお願いしたんです。誕生会に拘らないで欲しいって」
「しーちゃんが?そうか、そんなら仕方ないな」
「んじゃ、改めて乾杯だ」
 全員、グラスを持ち上げる。入っているのは泡麦茶。
「かんぱ〜い」
 チーン!
 そして飲み食いが始まる。
 最初、渋々だった瑞穂たちも段々と仕方ないかという雰囲気になり泡麦茶を飲み始める。
「鏑木くん、どうぞ」
 酔いが回ってくるとA子、B美、C江たちも遠慮がなくなり、瑞穂の所へにじり寄って来た。
「いえ、僕はもう」
「そんなこと云ってあんまり飲んでいないでしょ」

26 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:42:48 ID:6+Jg2ryb0
「その、あの、分かりました。では一杯だけ」
 A子の酌を遠慮しようとするが強引に勧められると毎度のように断わりきれず飲まされてしまう。
「わたしにも注いでね、鏑木くん」
「あー、何をしているんですか!?」
 良い具合にアルコールが回っていつもの遠慮がなくなってきた貴子が、瑞穂を引き離そうとする。
「厳島さん、ちょっとだけ貸して」
「ダメです。これは私の独占物です」
 ぶーぶー云うA子たち。

「瑞穂さん、注いでくださいな」

 紫苑が瑞穂の前にグラスをヌッと突き出す。
 紫苑は先ほどからグラスでワインをビールのようにガポガポ飲んでいた。
「は、はい。紫苑さん」
 瑞穂がワインボトルを持ち上げ注ごうとすると紫苑がダメ出しをする。
「違います、瑞穂さん」

27 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:46:09 ID:6+Jg2ryb0
「えっ?ビールですか」
「そうではなく、膝はこう崩して…身体の向きはこう…顔はこう…そして持ち方はこう…上目遣いで…」
 紫苑が注ぐときの体勢を細かく指示する。
 瑞穂も多少酔っているので何が何だか判らないままに云われたとおりにする。
「…こ、これで良いですか」
「完璧です」
 斜め座りした下半身。スカートから出ている両足のふくらはぎが色っぽい。
 半身に構えた上半身。ややうつむき加減で上目遣いに紫苑を見ている表情がまた色っぽい。
「では注いでください」
 紫苑が突き出したグラスにビールのようにワインを注ぐ。

 トクットクットクッ……

 音を立てて注がれるワイン。
 そしてグラスをゆっくりと微笑を浮かべた口元へ運ぶ。

 グビッグビッグビッ……

 澱みなく優雅に飲む紫苑。
 グラスを口から一度も離すことなく飲み干すと「ふぅ〜」と艶っぽく大きく息を吐き出す。
 そして一言。

「・・・至 極 」

 全員がポカ〜ンと呆けたようにこのふたりを見ていた。
 やがて真っ先に我に返った桃子が、
「しーちゃん、物凄いなぁ〜」
 そう云うと貴子も我に返り、
「しししし紫苑さんっ!!」
 慌てて紫苑と瑞穂の間に割って入ろうとする。

28 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:48:27 ID:6+Jg2ryb0
 反対側のA子、B美、C江たちも「私にも注いで」と殺到する。
「満喫しとるなあ、しーちゃん」
 卓の向かい側で焼き鳥を食べながらビールを飲んでいる桃子と隼人。
「俺はちょっと怖かったぞ。十条さん、物凄い貫禄だな」
「うん。しーちゃんは時々、大物の貫禄を見せるときがあるねん」
「それにしても瑞穂、モテモテだな」
「羨ましい?」
「…いや、どっちかというとあれは女難か」
 卓の向うでは瑞穂を真ん中に女性陣が奪い合っている。
「お酌して貰うだけ」
「駄目です。許可しません」
「あんな色っぽいお酌、私にも注いで欲しい」
「瑞穂さんは男です。私の婚約者なんです」
 酔った勢いで、普段の慎ましやかさをかなぐり捨てての争奪戦。
 紫苑はそういう状況を物ともせずに泰然自若として瑞穂の酌を楽しんでいる。
 当の瑞穂はどうして良いか判断がつかず、とりあえず紫苑の酌をしている。
「十条さんだけはOKなの?」
 A子たちが紫苑を指して抗議する。
「しーちゃんは特別や。今日の主役やさかいな」
「そうです。紫苑さんは特別です。仕方ないのです」
 多少、不本意そうに貴子が云う。
「ではあれも?」
 A子が指差すその先は紫苑の左手。

 紫苑は右手にグラスを持ち、開いた左手を瑞穂の太ももに乗せていた。

「きーっ!紫苑さん、何をしてらっしゃるのですかっ!?」
「左手が手持ち無沙汰だったものでつい…」
「それは幾らなんでも容認できませんわ。何度も云いますが…」

29 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 22:53:08 ID:6+Jg2ryb0
「わかっています。鏑木瑞穂さんは貴子さんの婚約者。宮小路瑞穂さんは私のマブ」
 そこまで云ってグラスを置き、瑞穂に大きく抱きつく紫苑。
「あわわ、し、紫苑さん。なに?」
 慌てる瑞穂。

「そしてこの方は宮小路瑞穂さん」

 思いっきり座が荒れた。
 急激にピッチが上がる酒の量。
 日本酒も運び込まれチャンポンになる。

 さらに2時間以上経過。
「…だから…紫苑さま……お姉さまは…渡しません…」
 酔っ払って恵泉のころの呼び名でグチグチと文句を云い続ける貴子。
 A子たち三人は瑞穂のお酌を諦め、手酌でチャンポンを飲んでぐでんぐでんになっている。
 瑞穂はすっかり諦めて、もう深く考えるのをやめて与えられた任務<紫苑のホスト>に徹することにした。
 今は枝豆の皮を剥いている。
 紫苑は瑞穂の手ずから枝豆を口に運んで貰いご満悦の体である。
 少なくともビールをピッチャ2本、ワインをボトル3本、日本酒を燗で5合は飲んでいるはずなのに全く乱れを見せていない。
 桃子と隼人はマイペースで飲食をしながら卓の反対側で展開されている修羅場を眺めていた。
「…バケモノじみてるな」
「誰が?」
「……」
 1強5弱の様子を隼人はドン引きした目で見ている。

30 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 23:02:04 ID:6+Jg2ryb0
「そやけどしーちゃん、素で楽しんでるなあ」
「もしかすると自分の誕生会だというのも忘れてるのかもな」
「そんな事ないやろ。飲食が出来る店いうたんもしーちゃんやし。まさか居酒屋になるとは思わんかったやろけど」
「だけどな、お酒が飲める店にして欲しいって云ったのは十条さんだぜ」
「えっ!?それホンマ?」
 紫苑は遠慮して誕生会を小洒落たお店ではなく飲食できる店にして欲しいと云ったのではないらしい。
 どうやらアタマっから飲む気満々だったようだ。
 紫苑はニコニコ笑いながら寝転がると、瑞穂の膝に頭を乗せた。
「ああ、いい気持ち。やっぱり大勢でのコンパは楽しいですね」
「違う違う」
 紫苑のその言葉に潰れていた者も全員、頭を上げて揃って手を振る。

『アナタの誕生会です!!』


  Fin


31 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/03/26(木) 23:03:03 ID:6+Jg2ryb0
お粗末さまでした。
かなり以前に、私の話には酒が出てくることが多いと指摘されたことがありました。
今回も出てきますが、これは仕様です。
ご容赦ください。

32 :名無しさん@初回限定:2009/03/27(金) 00:20:43 ID:a2qAjsYw0
二十歳そこらで有閑マダムの貫禄を漂わせる紫苑様がエロすぎますw

33 :名無しさん@初回限定:2009/03/27(金) 15:07:24 ID:M7VA7vnVO
GJ!
L鍋さんのSSなら5日遅れだろうが半年遅れだろうがおkですよ!
それにしても毎度毎度L鍋さんの書く紫苑さまは無敵すぐるwww

34 :名無しさん@初回限定:2009/03/28(土) 21:04:02 ID:Xet+QLOQO
「これで、女子校に潜入しても、ノープロブレム」
「ま…まっ、まて〜!いつのまに手術してるんだ!」
 そう叫ぶと共に指を引き抜いた。つーっと糸を曳くねばっとした液体が指先を包んでいた。
「ラブジュースも完璧でしょ?」
「僕には拒否権は無いの!?」
「そんなもの、ございませんわ」
 という声と共に僕は、久石弁護士と楓さんに思いっきり床に押し倒された。

35 :名無しさん@初回限定:2009/03/28(土) 21:18:28 ID:Xet+QLOQO
「な…なにするんですか!」
 僕の叫びも虚しくまりやは僕のズボンとトランクスを膝まで引きずりおろすと、僕のおちんちんをおいしそうに口に含んだ。
ちゅぱちゅぱという音が響く。サオのカリ部分に舌を這わせると同時に玉筋に軽く爪を立てる。うまい。うますぎる!さすがは元オトコだけある。小生の愚息も大満足まで一直線だよ。
 びゅくん!ぴゅるる
 あまりの気持ち良さにまりやの口の中に大放出してしまった。
ごっくん。まりやが僕のほとばしりを飲み込んだ。どこぞの大臣かよ!とつっこみたかった。

36 :名無しさん@初回限定:2009/03/28(土) 21:37:23 ID:Xet+QLOQO
「うふふ、あたしの夢が一つかなったわ」
 まりやはそういいながら微笑んだ。
「どんな願いだっていうんだー」
 僕は泣きそうになりながら聞いた。
「瑞穂くんのセーエキ飲み干すこと。きまってるでしょ?」
「おい…一つって言ったよね、まだあるの?」
「それはね、あなたの童貞を頂く事。はい、入った」
一発やった後なのに元気ハツラツぅ!な僕の愚息は本当に愚かにもかっちかだぞってことでまりやの膣におさまってしまった。
「う動かさないで…」
 僕の願いも虚しくまりやは腰を激しく動かし始めた。
「あ…あん。いく、いっちゃう〜」
 女の子の様なあえぎ声を発してまりやはいってしまった。不覚にもまりやのあえぎ声で僕は卒業してしまったのであった。もう魔法使いにはなれないんだ…

37 :名無しさん@初回限定:2009/03/28(土) 21:49:32 ID:Xet+QLOQO
「もう気が済んだでしょう? 離して下さい…って父さま!何してるんですか?」
「あ、いやな。父さん娘がほしかったんだよな。『パパーだいすきー』ってだきついてくれるとうれしいなあ」
「死んだ母さま怒りますよ!」
「こんなに母娘で似てるんだ、幸穂だってゆるしてくれるさ」
「わー!意味わかんないんですけどぉ!」
 僕は最後まで言えなかった。薬品臭いガーゼがちかずいてきたと思ったら気を失っていたから。

38 :名無しさん@初回限定:2009/03/29(日) 01:07:47 ID:XxuqW4a/0
>>31
よおっしゃああああああ(?)
スレ立て&新作ありがとうございます!

>>34
なにやらカオスの香りのするss・・魔法使い!

39 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 08:35:48 ID:/lqRm6yH0
ちょっと早起きしたので書いてみました。
推敲してないので誤字脱字はご容赦ください。

3レスごとくらいに連投対策に支援していただけるとありがたいです。

また、KDDIですのでアクセス規制に巻き込まれる場合がございます。
それに、ふらりと気が向いたときに続きを書くので、筆は遅いです。
大変勝手な振る舞いをお許しください。

最後に紫苑さん、おめでとう!

40 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 08:36:23 ID:/lqRm6yH0
おとボクあん♪・ナイト


その昔、砂漠の国アラビアにヨシユキヤールという王様がいました。
ある日、王様が戦争に出かけているあいだに王妃であるアナルダが
王宮に若い男たちを連れ込んで男遊びをしていました。

戦争から帰ってきた王様はその様子を見てしまい、女性不信となりました。
もちろん、アナルダ王妃や若いツバメたちは全員首をはねられました。

かねてから女性に魔性を感じていた王様は国中にお触れを出しました。
『すべての若い女は俺のもの。王宮へ連れてこい。しかし一夜たてば首をはねる』

それからというもの、つぎつぎと国中の若くてきれいな女性が一晩限りの王妃となっては
新月刀の露と消えていきました。

41 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 08:38:24 ID:/lqRm6yH0
ある日、大臣の娘、サチホザードが父親に言いました。
「このままでは国が滅びてしまう。こいつはダメだ。早くなんとかしないと。
 私に良い考えがあります。お父様、わたしを王宮に連れて行ってください」
王宮に連れて行くと言うことは次の朝には殺されるということです。
もちろん大臣は反対しました。
「あんな王にお前をやれるものか。私のことは良いからはやく隣の国にお逃げ」
「いいえ。王は国境にも兵を置いて逃げる人間を捕まえています。
 それよりもこちらから王宮に乗り込んでいきます」
「そうね。お姉さまはたくさん本を読んで賢いからなんとかなるかもしれないわ。
 私もお姉さまについて王宮へ行きますわ」
妹のカエデザードもついて行くと言い出した。
大臣は頭を抱えてころげまわったものの、結局は良い案が浮かばなかったので
二人の愛娘を泣く泣く王宮へ連れて行くことにしました。

姉妹は王妃としておいしい果物やきれいな服をもてなされましたが、
お風呂に入って身を清める以外はいままでどおり質素な生活をしました。

42 :名無しさん@初回限定:2009/03/29(日) 08:45:45 ID:qoM0HjYXO
自己支援

43 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 09:07:53 ID:/lqRm6yH0
その晩、ヨシユキヤール王が寝所に入ってきました。
「お前たちが今日の王妃か。あしたには首をはねるからそのつもりで」
王様はふたりを怖がらせようとしたのですが、姉妹はにこにこしていました。
「べつに怖いことありませんわ。思う存分、本を読んでこの世を楽しみましたから」
「あの世に行ってもお姉さまと一緒ならこわくないですわ。
 怖いことがあってもお姉さまの話を聞くと良い夢を見て眠れますの」
おどろいた王様はサチホザードに身を寄せました。
「そなた、余に話とやらを聞かせてみよ。
 もしおもしろくなければそなたは朝を待つまでもなくその場で息絶えることになるぞ」
「はい。心得ていますわ。長い話ですからどうぞゆっくりしてください」
「ゆっくりしていってね!」
姉妹にうながされ、王は絨毯に置いてあるクッションに身をゆだねて
サチホザードの話を聞くことになりました。

44 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 09:09:35 ID:/lqRm6yH0
サチホザードの昔話が始まりました。

「むかし、ある港に瑞穂という娘がいました。商人の子です・・・

じつは瑞穂は男の子だったのですが、かわいらしい顔立ちだったので
両親から娘として育てられたのでした。

瑞穂はある日、親の使いでとなりの港まで船で行くことになりました。
船に乗って海の上に出たとたん、すごい大風が吹いてたやすく船は沈みました。
瑞穂は木の破片にしがみつきながら海の上を漂いました。
三日三晩たった次の朝、瑞穂は砂浜にたどり着きました。

「ここはいったいどこだろ?」
見渡したところ、そこは砂漠とは違って木が多く生えて森の奥になにがあるのか
不気味なところでした。
とはいっても、食べ物も飲み水もないのですから、それらを求めて瑞穂は森の奥へ入っていきました。

45 :名無しさん@初回限定:2009/03/29(日) 09:11:23 ID:qoM0HjYXO
ケータイも規制か?

46 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 09:12:27 ID:/lqRm6yH0
瑞穂が大きな草をかき分けかき分け森を進んでいると、いきなり目の前の木に矢が刺さりました。
「うごくな!少しでも動けば矢で串刺しにする!」
そういわれては動けません。瑞穂はなすがまま後ろ手に縄で縛られ連れて行かれました。

やがて森が終わり、広場に出ました。
「ここに座っていろ」
振り向くと若い女二人が立っていました。顔に怪しい化粧をしています。
殺されるかとガクガクブルブルだった瑞穂は泣きついて土下座しました。
「た、たすけてください。命ばかりは・・・」
「それは長がきめること」
返事は素っ気ないものでした。

「良い獲物だな!」
「きれいな顔をしてるね。これなら今年の生けにえはこいつでいけるかもしれない」
「これはきっと神の思し召しだね」
なにやら物騒なことを良いながら人がわらわらと広場に集まってきました。
みんな若い女ばかりです。

「静まりなさいっ!」
みんなが振り向いたその先にはひときわきれいな女性が立っていました。
やはり顔に見たこともないような化粧を施しています。
「長、さきほど海のほうで捕まえました。ひとりだけのようです」
「わかりました。とりあえず、檻に放り込んでおきなさい」

こうして瑞穂は命乞いするまもなく岩山に掘られた洞窟に閉じ込められてしまったのです。
「とほほ・・・こんなことになるなら船に乗るんじゃなかったよ」

47 :名無しさん@初回限定:2009/03/29(日) 09:18:34 ID:qoM0HjYXO
なんか重たい

48 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 09:28:45 ID:/lqRm6yH0
日が沈み月が昇りかける頃、瑞穂は洞窟から連れ出されました。
「出ろ、長がお呼びだ」
広場に行くとみんながたいまつを持って瑞穂をじっと見ていました。
大変にイヤな感じです。
「その娘を森の王に捧げる。いけにえの準備をしなさい」
長と呼ばれるその女性が言うが早いか、みんなよってたかって瑞穂の服を脱がしにかかりました。
「いたい、やめて・・・・ちょ、そこは・・あん♪」
一糸まとわぬ裸になった瑞穂をみてみんな目を丸くしました。
胸はヒラぺったく、代わりに太ももの間にはなにか変なものがついていたからです。
「そなた・・・人間か?」
「人間だよ!人の気も知らないで!」
「そうか。ならばよい。服を持て」
女戦士の命令でこんどはみんなとおなじような異国の服を着せられました。

「むすめよ。おまえはこれから森の王に捧げる名誉のいけにえとなる。
 光栄に思うが良い。みなのもの、祭りだ!」
長が宣言すると瑞穂は戸板の上にお姉さん座りさせられ、御輿のように連れて行かれました。
森の中を進んでいく女たち。

49 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 09:31:41 ID:/lqRm6yH0
森を進んでいくと目の前に開けた一角が現れました。
そこには大きな獅子が座っていました。優雅にあくびをしています。
その様子を見て不思議な女たちは瑞穂を放り出してちりぢりに逃げました。
しかしこれから起こることに興味あるのか、木の後ろからこっちを見ています。
「やだなぁ・・・グロ趣味は良くないよ・・・」
振り向いたとたん、獅子が襲いかかってきました。
「うわあっ! はっ。とうっ!」
瑞穂はとっさに避けたものの、服をびりびりに破かれてしまいました。
上半身はだかです。瑞穂はとっさに胸を隠しました。

のどをごろごろと鳴らす獅子と対面する瑞穂。

ごろごろ?
よくみると獅子のしっぽはやわらかく揺れています。
「食事を楽しんでるんじゃないよね・・・?」
おそるおそる近づいてのどの下を撫でると、気持ちが良かったのか獅子はごろんと横になりました。
さらに耳の裏などを撫でていくととうとう獅子は仰向けになって瑞穂の膝に頭をすりつけてきました。
いわゆるヘブン状態です。

「なんだおまえ。構ってほしかったの?」
瑞穂は月が傾くまで獅子と遊んでしまいました。

日が昇る頃、獅子は自分のねぐらへと帰って行きました。
瑞穂がほっとしたのもつかの間、
「森の王の気に入られたようだな。明日の晩は風の王のいけにえに捧げる」
「ええ〜っ!なにそれ!」
「問答無用」

瑞穂はふたたび洞窟に閉じ込められてしまったのです。

50 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 09:37:20 ID:/lqRm6yH0
「そ、それで次の番はどうなったのだ!?」
サチホザードの話を聞いていた王様は話の続きを催促しました。
「もう、シリウスが地平線に沈みましたわ。今晩は遅いからここまでにいたしましょう」
「残念ですわ・・・朝にはしゃべられない死体かぁ・・・」

姉妹の様子を見て王様は困りました。
話を続きを聞きたいけど、殺してしまっては続きを聞けません。
「ぐぬぬ・・・よし、明日一晩だけ命を永らえさせてやろう。
 明日の晩は続きを聞かせるのだぞ!」
「かしこまりました。ではおやすみなさいませ〜」
ぺこりと頭を下げてサチホザードとカエデザードは王と一緒に天蓋付きのベッドに潜り込みました。
今晩はおそいからここまでです。

51 :名無しさん@初回限定:2009/03/29(日) 11:03:06 ID:IFSiRKig0
(;´Д`)これは一体・・

52 :名無しさん@初回限定:2009/03/29(日) 19:58:30 ID:gXM50ZXH0
ほんとに百夜続いたりして、このSS

53 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/03/29(日) 20:11:24 ID:/lqRm6yH0
千一夜だよw 100は百物語・・・
ほかのキャラは追々出していきます。

ちょっと風邪ひいたッぽいのでさらに筆が鈍るかも。
風の王のアイディア自体はできてるんだけど・・・

なお、瑞穂ちゃんは航海に出るたび災難に遭うシンドバッドの役柄です。

54 :名無しさん@初回限定:2009/04/04(土) 16:22:11 ID:kEfS7Z0eO
「瑞穂教授と小悪魔の秘宝」
            『親愛なる君へ


55 :名無しさん@初回限定:2009/04/04(土) 17:47:12 ID:kEfS7Z0eO
この世には触れてはいけない領域がある。だけど否応なく巻き込まれる事もあるわけで。それは、瑞穂教授と私の奇妙な冒険の始まりだったのです。』
 瑞穂教授は帝國でも、一二を争う有名人だ。何しろ帝都で発生した難事件を次々と解明していった美貌の教授。しかも帝都大学最年少で教授に就任した逸材でもあった。

56 :名無しさん@初回限定:2009/04/04(土) 19:12:15 ID:NLFgyXoh0
最近投下増えてきて有り難いですね
>L鍋さん
またまたニヤニヤさせていただきました。紫苑様のコンパ2回とも吹いたw
>34
何故まりやが元男?
>かまきりさん
アラビアンナイトネタはそういえば出てませんでしたね、是非1000話頑張ってくださいw

57 :名無しさん@初回限定:2009/04/06(月) 14:39:25 ID:sCivWZVQO
「先生。それは?」
 帝都大学に程近い書店街のカフェ。
私は問い掛けずにはいられなかった。
先程書店街で、瑞穂先生が研究の為に買い込んだ学術書の中に、奇妙な模様の書かれた紙が丁寧に折り畳まれた状態で入っていたから。
 「何かの暗号かしらね。ただ、これだけでは解読不可能ね」
 涼とした声の中にも相手をとろかす甘さがあるので学生の間では『瑞穂先生のはちみつ授業』とまで言われている。

58 :名無しさん@初回限定:2009/04/10(金) 16:29:48 ID:7xgrOlNK0
干油

59 :名無しさん@初回限定:2009/04/11(土) 09:09:55 ID:MXmAMH/N0
>>57
はみちつ授業ですね、わかります。

http://news.livedoor.com/article/detail/3550049/

60 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 18:38:11 ID:0jk2mezh0
L鍋さん、遅ればせながらスレ立てお疲れ様です。
かまきりさんお久しぶりです。

色々あってSS書きがほとんど進んでません&プロバイダごと規制を喰らってて身動きが取れませんでした。
とりあえずいつものシリーズの7話その1だけ投下しておきます。
「早く書け」と自分自身を追い込むつもりで。

61 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 18:40:17 ID:0jk2mezh0
一子の誕生日から数日が経過した。
学生寮櫻館は何とか平穏を取り戻した様に見える。由佳里と薫子の間がややぎこちないのを除けば……


『瑞穂と薫子と』〜決意〜

12月初め、聖應女学院食堂。

薫子が、初音と共に昼食を取っていた。
「なんかさ初音。最近妙に熱っぽい視線を感じる事が多くなった気がするんだけど」
パスタを頬張りながら、何とも云えない居心地の悪さを感じていた。
「……ああ、その答えは簡単です。瑞「初音!」……」
薫子は初音のセリフに強引に被せた。
「壁に耳あり障子に目あり、毒にはキアリーク○ードチアリって云うでしょ。
 こう云う場所で迂闊な事を云っちゃダメよ!」
「後半は意味がわかりませんが……それ以前の問題で、薫子ちゃんは勘違いされているみたいですが、
 私が云いたいのは、薫子ちゃんが瑞穂お姉さまに告白なさった……と云う話ですよ。
 既に学院中に広まっているらしいです」
「えっ?!」
薫子の顔が、ふたつの意味で真っ赤に染まった。
「ご、ごめん初音。迂闊な事を云っちゃいけないのはあたしの方だね」
「いえ、動揺しているのは私も一緒ですから」
「……」
(『瑞穂』って単語に、過敏に反応し過ぎだ!
 初音がこんな所で瑞穂さんの秘密をベラベラ喋る訳無いじゃないか。しっかりしろあたし!)
薫子と初音では、『動揺』の意味が異なるのだが、薫子はあえて口にはしなかった。

62 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 18:42:24 ID:0jk2mezh0
「薫子さん、隣良いかな?」
薫子が頭を上げると、そこにはトレイを持った茉清の姿が……
「どうぞ茉清さん」
茉清は薫子の隣の席に腰掛けた。
「こんにちは茉清さん」
「やあ初音さん。薫子さんにイジメられているみたいだから助けに来たのだが、大丈夫だったかな?」
「人聞きの悪い事云わないでよ茉清さん……」
「ふふっ、『まだ』大丈夫ですよ茉清さん」
「ははっ、初音さんも随分逞しくなったものだね」
「そうですね。素敵な友人に恵まれましたから」
初音は薫子の事を見つめた。
「そーゆー所は由佳里……お姉さまに似ないで良いから。姉はハンバーグで妹はハムか……」
「?」
「流石に初音さんには通じないと思うよそのネタは。それで、何の話をしてたのかな?」
ここで茉清は、ようやく自分の食事に取りかかった。

「最近薫子ちゃんに周りから熱い視線が注がれている……と云う話です」
初音はストレートに答えた。
「……ああ、何だ。答えは簡単だよ。元凶のひとりが目の前に居るじゃないか」
「へっ?初音の事?」「わ、私ですか?!」

63 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 18:48:08 ID:0jk2mezh0
先日生徒会が、前代未聞の通達を出した。

 〜降誕祭ダンスパーティーに参加される方へお知らせ〜
  お姉さま(周防院奏嬢)と踊りたい方は、『冬服』で参加して下さい。

                       生徒会長 上岡由佳里

「……確かに生徒会がお姉さまと相談して決定した事ですが、それが何か?」
聖應女学院には、奏よりも背が低い学院生が在籍しておらず、バランスを考えての事だったのだが……
「それが何か?……では無いよ初音さん。その通達を受けて、
 放課後のダンスレッスンに、冬服を着た最上級生のお姉さま方が殺到しているらしいのだが……」
ソシアルダンスを踊れる者はそれなりに居るが、流石に男性のステップを踏める者は多くない。
「あはは、そりゃそうだよね。お姉さまと踊りたいのは当然だもんね」
「で、ここからが本題。お姉さまが夏服で参加されると云う事で、今とある噂が拡がっているんだ」
「「?」」
「つまり……お姉さまのラストダンスのお相手は、冬服を着た薫子さんが務めるのではないか?と云う噂がね」
「ええっ?!」
「噂の真偽を是非、本人にお伺いしたいね」
明後日の方角からの砲撃に、薫子は目を白黒させた。

64 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 18:50:36 ID:0jk2mezh0
「無い無い!大体茉清さん、あたしがダンスを踊れる様に見える?」
「いや、見えないな」
「即答か!ならわかるでしょ。あたしはダンスパーティーに参加する気なんて無いって」
「そうなのか?しかし……」
「「しかし?」」
「1・2年生の間では、薫子さんが冬服で参加する事が決定事項になっているみたいでね。
 ダンスレッスンには夏服を着た1・2年生も殺到しているそうだよ。
 『騎士(ナイト)の君』と踊れるチャンスだ……とね」
「……初音。お姉さまの代わりに冬服でエスコートする人って居るんだよね?」
「それはモチロン薫子ちゃ……と云う冗談は置いといて、響姫お姉さまにお願いをしてありますが」
「何だ、それなら万事OKじゃない。響姫さまがエスコートするなら、あたしの出る幕なんて無いわよね」
「残念だな。殺到する下級生にアタフタする薫子さんを眺めて楽しもうと思ったのに。
 いや、私も参加する気は無いけれどね……」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「え〜っ?!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
食堂の至る所から悲鳴が上がった様な……
(……気のせいだ。多分気のせい。気のせいだと思う。気のせいだったら良いなぁ)

65 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 18:53:13 ID:0jk2mezh0
その日の夜、薫子は自室で物思いに耽っていた。

(ソシアルダンスねぇ……)
奏が(物理的な理由で)夏服で参加する……と云うのは、何となく理解が出来るのだが、
自分が(男性役で)奏のエスコートをする……と云うのが、薫子にはピンと来ないみたいだ。
昨年は寮生全員でダンスパーティーをスルーしたので、イベントの存在自体を忘れていたのも影響している様だ。
(一昨年は瑞穂さんがエルダーだったんだから、お姉さまと一緒に踊ったんだよなあ多分)
瑞穂と奏が踊っている様子を想像してみる。
(……何故だろう?瑞穂さんとお姉さまが踊っている所を思い浮かべるとイライラする。
 何処からどう見てもお似合いのシチュエーションなのに……)
薫子は、奏をエスコートした瑞穂に対して嫉妬しているのだろうか?それとも……

最近考えるのは、瑞穂の事ばかりだ。
瑞穂に対する感情が変化している……と云うのを薫子は自覚している。
(あたしは瑞穂さんの事が好き……なのかな?)

何から何まで完璧な人間である『宮小路瑞穂』。そんな彼女(彼)が見せたもうひとつの顔である『鏑木瑞穂』。
瑞穂が自ら正体を明かした時の痛々しい表情は、今でも薫子の脳裏に焼き付いている。

自分の正体を隠すのに精一杯な状態で、瑞穂は奏の姉になり、聖應女学院全生徒の姉になった。
更に数々の伝説を残し、史上最強のエルダーとして君臨したのだ。
聖應に在学中、瑞穂はどれだけ苦しんだのだろう?
バレるかバレないかの毎日、生徒達を欺いている……と云う罪悪感。
どこまでも優しい瑞穂は、その優しさに比例して苦しみも大きかったのではないだろうか?
奏と由佳里に正体を明かしたのは、結局罪悪感に耐え切れなかったからなのだろう。
由佳里の事は置いといて(由佳里「置くな!」)、瑞穂は奏との縁を切りたくなかったのだ、恐らく……

瑞穂の正体(と一子の存在)を知った時、
一子に対して罵声(と薫子は思っている)を浴びせ、部屋を飛び出したのには理由が有った。
あの時薫子は、瑞穂の事を抱き締めて「今まで良く頑張った」と声を掛ける衝動に駆られていたのだ。
平たく云えば、薫子は自分自身の感情が何なのか理解出来ず、そこから逃げ出したのである。
それは薫子にとって、生まれて初めて芽生えた何かだった。

66 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 18:55:25 ID:0jk2mezh0
コンコンッ!
「薫子ちゃん、紅茶をお持ちしました」
「お姉さま?!」
奏の声を聴いて、薫子は慌てて立ち上がった。
ガチャッ!
「ど、どうぞお姉さま」
ドアを開け、奏を招き入れた。

「さ、どうぞ薫子ちゃん」
「いただきます……」
薫子が紅茶を飲む様子を見て、奏は首を傾げた。
何十回何百回と繰り返しているからこそ、薫子の微妙な変化が奏にはわかるのだろう。
「薫子ちゃん、もしかして考え事の邪魔でしたか?」
「へ?そ、そんな事ないですよ。それにお姉さまの事を邪魔だなんて思った事は一度も無いですから」
「……と云う事は、やっぱり薫子ちゃんは何か考え事をしてたのですね。何を考えていたのですか?」
「た、大した事じゃないですよ」
「そうですか……それではせっかくですから、何を考えていたのか当ててみましょうか」
奏は薫子にやや接近して顔を見つめた。
「お、お姉さま?!」
薫子は少しだけ顔を赤らめた。
「……」
「あのーお姉さま?」

67 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 18:57:43 ID:0jk2mezh0
「わかりました!薫子ちゃん……瑞穂お姉さまの事を考えていたのですね?」
「ええっ!お姉さまってエスパー?!バッグの中に入ったり出来ます?」
「当たり……ですね?」
奏がニッコリと笑った。
「……お姉さま、鎌を掛けましたね」
「薫子ちゃんが素直に白状して下さらないからです」

「お姉さま、最近意地悪っぷりに磨きがかかっていませんか?」
「ふふふっ、そうですか?薫子ちゃんが私の方を見てくれないので妬いてるのですよ」
「へ?」
「ここ最近、薫子ちゃんは何だか上の空ですし。ダンスパーティーにも出て下さらないのでしょう?
 薫子ちゃんと踊るのを楽しみにしてたのですが……」
「とりあえずダンスパーティーは関係無いでしょう」
「会話の中に『瑞穂さん』って単語が多くなりましたし。
 瑞穂お姉さまが男性だったと云う事実を、あっさりと受け入れてしまいましたし」
「いや、あの……お姉さまにもう一度お伺いしたいのですが、
 お姉さまは瑞穂さんの事……どう想ってらっしゃるのですか?」
(お姉さまは瑞穂さんに好意を抱いてる。『姉妹』って意味じゃなくて……)
「たとえ何が有ろうとも、瑞穂お姉さまは私のお姉さまですよ」
質問の意味が前とは違う事を承知で、奏は同じ答えを返した。
「お姉さま……そう云う意味じゃなくて」
「ふふっ、それではどう云う意味ですか?」
「……やっぱお姉さま意地悪だ」

68 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 19:00:10 ID:0jk2mezh0
「ところで……何故その様な質問をされるのですか?」
「何故って、瑞穂さんとお姉さまってお似合いだなぁ……って思ったから」
「薫子ちゃん、それは『すぐにバレる嘘』……ですね」
「え゛?!」
「ではハッキリと申し上げましょう。薫子ちゃんは瑞穂お姉さまの事が好きなのですね?」
いきなり核心を突かれ、薫子の表情が目まぐるしく変化した。
「えっ?!いえ、そんな事は……」
「無いとは、云えませんよね?」
「……いや、その」
「ふふふっ、良いじゃないですか。薫子ちゃんがその気なら、私は応援しますよ。
 由佳里ちゃんには応援して貰えないみたいですが」
「あたしは……わかりません。
 瑞穂さんの事が気になるって云うのは確かですけど、それが恋愛感情なのかどうかがわかりません」
「薫子ちゃん……」
「それに瑞穂さんは、あたしの事なんか必要としてないでしょう。
 あたしには、瑞穂さんにしてあげられる事なんて何ひとつ有りませんから。
 一子さんの事で、あたしは瑞穂さんに嫌われちゃったでしょうし」
薫子の言葉に対し、奏は大きなため息をついた。半ば演技、半ば本気である。

「薫子ちゃん……らしくないですね」
「らしくない?」
「今大事なのは、薫子ちゃんがどう思っているかです。瑞穂お姉さまがどう思っているかではありません。
 私や一子さんの名前を出す前に、ご自分の事を第一に考えて下さい。
 そうすれば自ずと答えは出る筈です。しばらくひとりで考えてみて下さいね」
奏は手早くティーセットを片付ける。
「おやすみなさい薫子ちゃん」
「お、おやすみなさいお姉さま」
パタンッ!

ひとり残された薫子は、途方に暮れた。
(やっぱりわからないよ。お姉さま、瑞穂さん……)

69 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 19:06:23 ID:0jk2mezh0
翌日の放課後、薫子は礼拝堂に向かっていた。
(はぁ……確かにあたしらしくないな)
結局瑞穂に対してどうすれば良いのか、その答えは出なかった様だ。
藁にも縋る思いで礼拝堂の扉を開ける。
(すると中には祈りを捧げている魚住響姫の姿が……なんてね)

「あら」
丁度祈りが終わったらしく、ひとりの女性が薫子の方に振り向いた。
「ひ、響姫さま?!」
本当に響姫が居たので、必要以上に驚いてしまった。
今日は取り巻きの人達は居ないのか、などと失礼な事を考えたが……
(良く良く考えれば、あたしもお姉さまの取り巻きみたいなものか)
「ごきげんよう、薫子さん」
相変わらず優しい声だ。薫子の心が少しだけ落ち着いた。
「ごきげんよう響姫さま」
「私は終わりましたから、どうぞ」
「はい……それでは」
薫子が跪いて祈るのを、響姫は笑顔で見守っている。
「……お待たせしました」
「いいえ。どうぞ、お座りになって下さい……ふふっ」
「あの、あたしが何か?」
いきなり響姫が声に出して笑った(悪い意味ではなさそう)ので、薫子は首を傾げた。
「ごめんなさい。いえ、私達が初めて会った時もこんな感じだった……と思いまして」
「ああ……確かに」
「と云う事は、また何かお悩み事でしょうか?あ、いえ……聞いても宜しければ、ですが」
近しい存在とは云い難い響姫だが、だからこそ相談しようか?……と薫子は考えた。
近くに居ないと云っても、薫子は響姫の事を信頼に値する人物だと思っている。

70 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 19:09:29 ID:0jk2mezh0
(響姫さまになら、瑞穂さんの事……相談してみても良いかな」
「あらあら、何やら脳の中身が洩れていらっしゃいますよ?」
「はっ?!えっ……?!」
(ああっ?!主語をぼかすつもりだったのに、いきなりど真ん中へ直球投げちゃった!)
「ふふふっ、なるほど。噂には聞いていましたが、
 薫子さんが瑞穂お姉さまに告白なさった……と云うのは本当だったのですね」
響姫がクスクス笑うのを見て、薫子の顔が真っ赤に染まって行く。
「ち、違いますって。あたしはただ単に、瑞穂さんに宣戦布告をしただけなんです!
 それなのに周りの人達が、明後日の方向に勘違いしちゃったんです!」
(そう、あたしは『まだ』告白してない)
「……宣戦布告?どう云う事でしょう?」

「ええと、こう云うのを何て云うんでしたっけ?釈迦に説法……だったかな?」
薫子は1から瑞穂の事を説明した。
瑞穂がどれだけ凄い人物なのか。そして、奏にとってどれだけ大切な存在なのか……

「あたしは不安なんです。あたしの存在なんてお姉さまには必要無いんじゃないかって。
 あたしは瑞穂さんの代役でしか無いんじゃないかって。
 だからあたしは瑞穂さんに宣戦布告をしたんです。瑞穂さんに追い着く事が出来れば、
 その時初めてお姉さまの本当の妹になれる……そう思ったんです」
「薫子さん……」
「でも、追いかけても追いかけても、差が縮まる気がしないんです。
 瑞穂さんの事を知れば知る程、その凄さを思い知らされるんです。
 あたしは小さい頃から剣道をやっていて、それだけは自信が有ったんですが、
 その剣道ですら、瑞穂さんには全く歯が立たないんです」
瑞穂は男だから、敵わないのは仕方が無い……と云う思考回路は、薫子には存在しない。
「瑞穂お姉さまが凄い御方だ……と云うのは、私も理解しているつもりですが……
 薫子さんのお話は、例えるなら『武蔵野の逃げ水』でしょうか?」
「?……何ですかソレ?」

71 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 19:12:43 ID:0jk2mezh0
〜武蔵野の逃げ水〜
 東京の西部、武蔵野地方に古くより伝わる言葉。
 遠くに水があるように見えるが、近付くと逃げてしまう幻の水。
 今でも運が良ければ見る事が出来るらしい。要するに蜃気楼の一種。
 『蜃気楼』……読めるかね?薫子クン。
 「『しんきろう』でしょ、あたしはそこまでバカじゃないわよ」
 ……す、すみませんでした。

「確かに瑞穂お姉さまは、つかみ所の無い蜃気楼の様な方でしたが……
 それにしても、薫子さんはやはり凄い方ですね」
「は?」
「瑞穂お姉さまの様になりたい、と声に出した方は大勢いらっしゃいます。
 私もその中のひとりだったのだろうと思います。しかし……」
「しかし?」
「憧れと云うのは、強過ぎるとマイナスに働いてしまうのかもしれません。
 あの方の様になりたいと思うのと同時に、私には無理だ……と云う諦めが出てしまうから。
 そして結局、遠くから羨望の眼差しで見つめるだけで終わってしまうのです」
「響姫……さま」
「薫子さんは、知れば知る程凄さを思い知らされる……とおっしゃいました。それなのに諦めてらっしゃらない。
 だから私は、薫子さんの事を凄いと思うのです」
「……」
「既に答えは出ていると思いますよ。
 遠くにある水が蜃気楼だったとしても、歩いて向かわなければそれが蜃気楼だと云う事すらわからない。
 あれは蜃気楼に違いない……と決め付けて、歩くのをやめてしまったらそれで終わりです。
 瑞穂お姉さまは蜃気楼ではなく、実在する方ですし……ね」

72 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 19:16:18 ID:0jk2mezh0
「う〜んそうですね。響姫さまの意図とは少し違う意味で吹っ切れた気がします。ありがとうございます。
 あたしは……あたしなりに頑張ってみようと思います」
「お役に立ててなによりです。それともうひとつ」
「……はい?」
「薫子さんが『本当に』悩んでいる事を、出来ればお聞きしたいのですが……聞いても宜しければ、ですが」
「ぶはっ?!……え、えっと……宜しくないからダメです。
 ところで、あたしも響姫さまに聞きたい事が有るんですが……」
薫子は強引に話題を逸らす事にした。
「何でしょうか?」
「響姫さまは何を祈ってらっしゃったんですか?あ、いえ……聞いても宜しければ、ですが」
お返しのつもりで響姫の口調を真似て見せた。響姫が持つ独特の雰囲気には程遠いが……

「私ですか?私は……降誕祭ダンスパーティーのエスコート役を仰せつかりましたので、成功を祈願に」
「えっ?!」
「私はお姉さまの代役でしかないですが、精一杯務めるつもりですので。
 ……ああ!ある意味私は、薫子さんの代役でもあるのですね、考えてみれば」
「……」
どうやらやぶへびだった様だ。
「薫子さんは、ダンスパーティーには参加されないのですか?」
「無理ですよ。あたしはダンスなんてさっぱりですし。それにパーティーは任意参加でしょう?」
「それはそうですが……薫子さんは、今やこの学院でお姉さまに次ぐ人気を誇る方ですから。
 皆さまの期待も大きいのではないかと……」
「そ、そんな事無いですって!えっと、今日は話を聞いていただいてありがとうございました。失礼します!」
情勢の不利を悟った薫子は、ボロが出る前に礼拝堂から逃げ出した。流石に響姫は、まわりこむ様な真似はしなかった。

「ふふっ、今日のインタビューは55点……と云った所でしょうか?
 一番大事な所を聞きそびれる様では、私は放送委員としてまだまだですね」
響姫はもう一度、マリア像に向かって跪いた。
「薫子さん、瑞穂お姉さま。私は祈りましょう。貴方がたに幸多からん事を……」
(恐らく薫子さんの本当の想いは……)
薫子の本当の想いが成就します様に……と、響姫は心の底から願った。

73 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 19:19:23 ID:0jk2mezh0
寮への帰り道、薫子は改めて自分の考えをまとめてみた。
響姫との会話の中に、直接の解決策は存在しなかったが、良い気分転換にはなった様だ。
(あたしがどう思っているか……以前の問題で、あたしにはやるべき事が有る。
 あたしが自分に対して立てた目標、そしてあたしが瑞穂さんに対して立てた目標は……)


12月の第1日曜日。学生寮櫻館に瑞穂が訪れた。
「今日は薫子ちゃんと話がしたくて来ました」
瑞穂の表情は、2年半前初めてこの場所に来た時と同じ憂い顔だった。

瑞穂は薫子の部屋に通され、奏はふたりに紅茶を出してすぐに部屋から出て行った。
瑞穂と薫子がふたりっきりになり、瑞穂が口を開こうとした瞬間、薫子が機先を制した。

「瑞穂さん。あたしと勝負して下さい!」

『―― Next Episode 〜決戦〜』

74 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/04/11(土) 19:25:58 ID:0jk2mezh0
とりあえず以上です。なんか連投規制&ばいさるがきつくなってるみたいで、少々手こずりました。
7話その2を今執筆中です(17k)。その4までの予定。
4話に続きやりたい放題モードに入ってます。『ついていけない人は置いていく』がモットーです。

続きは期待しないで待ってていただけるとありがたいです。

それでは駄文失礼致しました。

7話その2『瑞穂と薫子と』〜決戦〜。Comming ……う〜ん?

75 :名無しさん@初回限定:2009/04/11(土) 19:32:56 ID:6J3Xx24d0
GJです。
続編、気長にお待ちしています。

76 :名無しさん@初回限定:2009/04/13(月) 14:41:27 ID:Akj1T/62O
おおっ!GJです!
なんか読んでるうちに引き込まれますね
続きが楽しみですが焦らせる気はないのでご自分のペースで頑張ってください

77 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/04/14(火) 14:31:17 ID:koa7pnKE0
久々に中国故事シリーズを書かせていただきます。

78 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/04/14(火) 14:36:59 ID:koa7pnKE0
〜五十歩百歩〜

 昔々、中国のあるところに、茉莉耶という名の女王がいました。彼女は民のための政治をしているつもりですが、なかなか評判が上がりません。
「ねえ瑞穂ちゃん、あたしいい政治してるはずなのに、なんで評判が上がらないかな?」
 そこで、茉莉耶は王族の1人でもある参謀の瑞穂に相談してみました。
「うーん……茉莉耶はいたずら好きだから、それをした時の反応にたとえてみるわね。
 たとえば、貴子さんと由佳里ちゃんの前で幽霊を召喚して、貴子さんが50歩、由佳里ちゃんが100歩逃げたとするわね。
それで、貴子さんが由佳里ちゃんを臆病だと笑っていいと思う?」
「いや、あの2人なら50歩や100歩どころか、それこそ地の果てまで逃げるわよ」
「だから、たとえばの話だって……」
 瑞穂のツッコミを、茉莉耶はまるで聞いていません。
「よおし! そこまで言うなら実際にやって証明してみましょ?」
「だから、何も言ってないから……」
 こうして、大臣兼将軍の貴子と、茉莉耶の妹の由佳里を怖がらせることになりました。

79 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/04/14(火) 14:41:52 ID:koa7pnKE0
「女王様、なんですの、こんなところまで呼び出して?」
「お姉さま、プレゼントがあるって聞いたんですけど……」
 王室に呼び出された貴子と由佳里は、引き気味になっています。
「いやいや、たまには労をねぎらっていいものあげようと思ってさ」
 茉莉耶はそう言うと、ランプを取り出してきます。
「け、結構ですわ」
「わ、私もいりません……」
 2人は早々に退散しようとします。それはそうでしょう。こういう時の茉莉耶はろくでもないことを考えているのが、
長年の付き合いでわかるのですから。
「まあまあ、そう言わずに……美智子! 圭!」
「はい……」
 茉莉耶は国随一の呪術者である圭と美智子を呼びました。2人がランプに火をつけると、黒い炎がともり、
たちまちのうちに煙がもうもうとたちこめます。そして……。
 ボンッ!
「わわわっ!!」
 そこから、1人の幽霊が出てきました。

80 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/04/14(火) 14:46:46 ID:koa7pnKE0
「わ、私また呼び出されちゃったんですか!? ファイ○ルファン○ジーですか? 魔道師○ビディですか?」
「落ち着いて、一子ちゃん、そこにいる2人を紹介しようと思って。貴子さんと由佳里ちゃんよ」
 瑞穂は一子に蒼白になっている2人を紹介した。
「わあ、貴子さんと由佳里ちゃんですか。綺麗な方ですね。一子のお友達になってくださいますか?」
 一子は笑顔で語りかけるが、貴子と由佳里は……。
「きゅうううう……」
 ブクブクと泡を吹いて気絶してしまいました。
「うえーん……やっぱり私は嫌われ者の悪霊なんですう……」
「ああっ! 一子ちゃん、泣かないで……」
 それを見た一子は、部屋の隅でしょげかえってしまいました。
「これじゃあどっちが臆病かの言い争いにはできないわね」
 茉莉耶は、1人のんきにそうつぶやいてました。

81 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/04/14(火) 14:52:59 ID:koa7pnKE0
「そういうわけで、一子ちゃんは怖くないから」
「は、はい……」
 瑞穂の説得と、一子の人柄もあって、最初は怖がっていた貴子と由佳里も、徐々に一子に心を開いていきました。
「怖がってしまって申し訳ありません」
「ごめんなさい、一子さん」
「いえいえ、こっちこそ怖がらせてしまってすみませんでした」
「じゃあ、仲直り、ですね」
「そうですわね」
「大賛成です! 人間、仲良くするのが一番ですから!」
 そう言って、貴子と由佳里は一子に歩み寄りました。貴子は歩幅10cmで100歩。由佳里は歩幅20cmで50歩。

82 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/04/14(火) 15:06:40 ID:koa7pnKE0
「私のほうが一子さんに心を開いてますわ! 私は一子さんに100歩も歩み寄ったんですから! 
あなたは50歩しか歩み寄ってないではないですか!」
「まあまあ、どちらも私に心を開いてくださったという点では変わりませんから、みんなで仲良くしましょう!」
「えへへ、そうですね」
「そうですわね」
 その様子を見た瑞穂は、茉莉耶に進言します。
「貴子さんも由佳里ちゃんも、一子ちゃんに歩み寄って仲良くしようと思ったのは同じでしょ? 茉莉耶の政治も同じ。
ちょっとはましかもしれないけど、結局は他の国と似たり寄ったりなの」
 このことが「五十歩百歩」のことわざとして後の世に語り継がれることになるのでした。
 ちなみに茉莉耶の国はこの後、瑞穂のほか、紫苑、奏など、数々の逸材を召し抱えることで、評判がぐーんとあがったそうです。

Fin

83 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/04/14(火) 15:11:43 ID:koa7pnKE0
以上です。お目汚し失礼いたしました。

84 :名無しさん@初回限定:2009/04/14(火) 18:52:27 ID:8qvfUKZH0
僕はプレイしたの去年くらいなので
今もいろんな人がss書いてくれてうれしいっす

85 :名無しさん@初回限定:2009/04/16(木) 12:27:46 ID:r5BVlBh6O
ばんくーばーさんぐじよぶ

86 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2009/04/18(土) 04:06:51 ID:RgPnxT/Y0
KDDIアクセス規制で書き込めなかった。
Bフレッツから変わったのだけど、最近規制が多いなぁ・・・

87 :名無しさん@初回限定:2009/04/18(土) 12:59:18 ID:dJj68gDQ0
>>86
KDDI(PC)はどこから接続しているか(地域)がわからないホスト名の付け方をするので、
何かあると常にプロバイダごと規制されてしまうんですよね……。
とりあえず「まだかな」の確認は必須かと。
ttp://qb6.2ch.net/_403/madakana.cgi

お話しの続き、楽しみにしていますよ。

88 :オムバーグ:2009/04/18(土) 23:38:00 ID:58uhMRoy0
紫苑「昼食は・・そうね、オムライスにしますわ」
瑞穂「じゃあ・・私もオムライスにしようかしら」
奏「奏もオムライスにするのですー」

由佳里「ハッ・!」
「「「は・・・?」」」
由佳里(駄目だ、ハンバーグなんて言えない・・・)




(こんなのが初投稿だなんて・・・悔しい・・でも)

89 :〒□□□-□□□□ :2009/04/19(日) 00:13:46 ID:vyGo2tPP0
なぜか運転手の西岡さん

                 ∧ ∧    これは俺のおごり
                 (´・ω・)シュッ
                つ と彡 /
  わんこそば        /   /
                /   /
     ,.-''" ̄ ̄" ̄`ヽ, /     /
  /゙ ノ --    --ヾヽ
 /   /  ●    ● | i   ズルズル
 `ヽ,,_(  ´ ( _▼_ )` ノノ    /
,.-''' 、/    ,,川 |   ''-.,    /
( ,i''゙(   __/ )|川( \ ゙'' i,)/
.| ゙-..;;_''  ''''',, '',,,._ ,,,..-'゙.|
l,    ̄ ̄ ̄ ̄     .|
'l,             ,/
  \          /
    ゙l'-、..,,,,,,,,,,,,..,、-'l゙  
    |`ー=====一 |/
  /`ー―――‐一´./
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |


90 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/04/19(日) 18:34:53 ID:4wLLMXUs0
>>88
オムバーグさん
私も新規投稿職人さんの出現は嬉しいです。
これからもどんどん投稿してください。期待しています。

91 :名無しさん@初回限定:2009/04/21(火) 12:45:02 ID:XS4YML5pO
タイトルがオムバーグかと思った

92 :名無しさん@初回限定:2009/04/30(木) 00:12:12 ID:+f2dZNx70
age

93 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 18:30:19 ID:oam3CyqA0
6時半になりました。>>73の続きを投下します。
かなり長いんで、今日全部投下するかどうかは不明です。

94 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 18:32:54 ID:oam3CyqA0
『瑞穂と薫子と』〜決戦〜

「瑞穂さん。あたしと勝負して下さい!」
「……は?」
「もう一度云います。あたしと勝負して下さい!」
「な、何で……?」
瑞穂は呆気に取られている。

「出来れば何も云わずに受けて貰えると有り難いんですが。
 んでもって、あたしが勝ったら、あたしのお願いをひとつだけ聞いて欲しいんです!」
「いや、そんな事しなくたって、薫子ちゃんのお願いなら、余程の事じゃない限り聞くつもりなのだけれど……」
「それはダメです。だってあたしがお願いしたいのは余程の事なんですから」
瑞穂は重ねて何かを云い返そうとしたが、薫子の真剣な表情を見て考えを改めた。
「……わかりました。何だか良くわからないけれど、薫子ちゃんの挑戦受けて立ちます。で、何で勝負するの?」
「剣道で!」
「剣道?」
「はい。あたしの得意分野で勝負を挑むと云うのは卑怯かもしれませんが、
 あたしが瑞穂さんに勝てる可能性が有る物……って考えると、コレしか思いつきません」
「それで……勝負って今からするのかな?」
「いえ、日時はもう決めてあります。今月25日、終業式が終わってからです!」
「えっ?!25日って、ダンスパーティーが有るんじゃ……」
「良いんです。あたしはダンスパーティーに出る気なんて無いですから。
 それにお姉さまはエルダーとして出席されますから、あたしの出番なんて有りません」
「……薫子ちゃんがそれで良いなら僕は何も云わないけれど。
 それでは25日の予定は空けておきます。終業式が終わる頃にココに来れば良いのかな?」

95 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 18:35:49 ID:oam3CyqA0
結局この日の会談は、勝負の段取りを確認する事で終了した。
「ところで……薫子ちゃんが勝ったらお願いをひとつ聞くって話だけれど、もしも僕が勝った場合は?」
「そ、その時は、あたしが瑞穂さんのお願いをひとつ聞きますよ。お願いが有れば……の話ですけど」
「うん、わかった。それじゃ25日に……」
「あっ、ちょっと待って瑞穂さん!」
薫子は、帰ろうとした瑞穂を呼び止めた。
「何かな?」
「わざと負けるのだけはやめて下さいね」
「……それは大丈夫だよ。薫子ちゃんの眼は誤魔化せないからね」


就寝前のティータイム。奏はやや機嫌が悪い様だ。
「薫子ちゃん、瑞穂お姉さまに剣道の勝負を申し込んだそうですが」
「はい。それが何か?」
「せっかく気を利かせてふたりっきりにして差し上げたのに……では無くて、
 喧嘩はいけませんって、口を酸っぱくして云っておいたのに!」
「喧嘩じゃありません。勝負です」
「……ッ!」
薫子から発せられた言葉には、奏を瞬く間に黙らせる程の重みが有った。

96 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 18:38:56 ID:oam3CyqA0
「以前由佳里さんが云ってましたよね。
 人には、それぞれ何か羨ましがられるものが有って、でも自分はそれに気付いてないって」
「ええ」
「お姉さまや由佳里さんは、瑞穂さんには出来ない事をする事が出来ます。でもあたしはどうなんでしょう?」
「どう……とは?」
「あたしは気付いたんです。あたしには何も無いって。あたしには瑞穂さんを上回るモノが何ひとつ無いって」
「そんな事は……」
「じゃあお姉さま、あたしには何が有るんですか?教えて下さい!」
「薫子ちゃん……」
薫子は今にも泣きそうな顔をしていた。しかし本当に泣きたいのは奏の方だろう。
奏は薫子に掛ける言葉を失い、呆然と立ち尽くしている。

「……すいません。あたしは今、お姉さまに答えを求めている訳じゃ無いんです。
 あたしはお姉さまを護る剣になりますって誓いましたが、実際はどうなんでしょう?
 仮にお姉さまが左手に装備しているのが『イージスの盾』だとしたら、
 右手に装備しているのは『ひのきのほ゛う』とか、
 百歩譲っても『と゛うのつるき゛』クラスでしか無いって思うんです。
 武器で攻撃するよりも、盾で殴った方が遥かに強いみたいな……」
「……その例えはどうかと思いますが」
「今のあたしは、良く云っても『劣化瑞穂さん』とか『プチ瑞穂さん』でしか無いと思うんです。
 あたしは瑞穂さんと同じ舞台に立ってすらいないって思うんです。
 何かひとつだけでいい、一回だけでいい。兎に角あたしは瑞穂さんに勝ちたいんです。
 そうする事で、あたしは初めて瑞穂さんと正面から向き合う事が出来るんです」

「それで……薫子ちゃんは瑞穂お姉さまに勝ったら何をお願いするつもりなのですか?」
「お姉さま、わかって云ってるでしょう」
「さあ、何の事でしょうか?」
「……意地悪なお姉さまには教えません」
真っ赤になった薫子を見て、奏はクスクスと笑った。

97 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 18:41:43 ID:oam3CyqA0
「しかしまあ瑞穂さんって、良く良く考えれば『女子校に通ってた変態男』の筈なんですがねぇ。
 怒りや嫌悪感が全く無いってのは不思議ですよね」
薫子が話題を逸らしたのは明らかに照れ隠しなのだが、奏は追及しなかった。
「薫子ちゃんは、ついても良い嘘は2種類有るっておっしゃいましたけれど、私はもうひとつ有ると思うのです」
「もうひとつ……ですか?」
「はい。それは……『嘘を本当にする』です!」
「は?」
「瑞穂お姉さまはずっと悩んでいたそうです。男の自分がココに居るなんて嘘だろう……と。
 でも私……私達にとって、お姉さまは理想のお姉さまだったのです。
 お姉さまは私達の知らない所で血のにじむ様な努力をされて、最高のお姉さまになられたのです」
「それが『嘘を本当にする』ですか?」
「そうです。事実瑞穂お姉さまは誰よりも『お姉さま』なのですから」
「瑞穂お姉さまは実在する……か」
「え?薫子ちゃん、それはどう云う意味ですか?」
「あ、いえ、何でもないですよ。とりあえず怒りが無いってのは訂正しときましょうか。
 男なのに、あたしなんかより遥かに女らしいってのは正直腹が立ちますから」
「……ぷっ」
あまりにストレートな薫子の愚痴に、奏は思わず吹き出してしまった。
「あーっ、酷いですよお姉さま」
「ふふっ……ごめんなさい薫子ちゃん。その件に関しては、私も全く同感ですので。
 由佳里ちゃんは『女としてのプライドをズタズタにされた』と、結構長い間ヘコんでいましたし……」
尤も、この話を聞いて一番ヘコむのは瑞穂本人なのだが……

98 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 18:44:51 ID:oam3CyqA0
「ところで薫子ちゃん。非礼を承知で伺いますが、勝つ自信はおありなのですか?」
「もちろん……勝ちますよあたしは。瑞穂さんに勝つ為の策は考えてありますし。九分九厘あたしの勝ちです!」
奏は薫子の表情から、一目で虚勢だと云う事を悟った。
勝つと宣言する事で、あえて自らを追い込んでいるのだろう。
『九分九厘勝つ』と云うのは、『九割一厘負ける』と云う意味なのではないか?と奏は推測した。
薫子は、心配そうな表情の奏に向かって重ねて宣言をした。
「しんぱい入りませんよお姉さま。策を考えてあるってのは本当の事ですし。
 明日から瑞穂さんに勝つ為の特訓を始めますので、何も云わずに見守ってやって下さい」
「薫子ちゃん……あたまがヘンになっちゃったのでしょうか?やっぱり心配です」
奏と薫子は、呆れ半分と云った感じの笑顔を互いに向けた。


翌日から薫子の特訓が始まった。と云っても、特訓に割く時間は1日2回、朝食前と夕食後約1時間ずつだけだった。
ただし特訓中の薫子は、奏すら近付く事が出来ない程凄まじい闘気を放っていた。

奏は朝夕の特訓を何回か(遠くから)見学したが、『朝』は兎も角『夕』の特訓風景は異様だった。
朝の特訓は、軽い体操・ランニング・竹刀の素振りと云ったオーソドックスなものばかり。
ところが夕食後に行われるのは、どう見ても剣道の練習ではなかった。
薫子は、何回も何十回も、学生寮の前を往復していた。
直立状態から突然の前方ダッシュ、そしてすぐに停止&回れ右。ただひたすらそれを繰り返していたのだ。

99 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 18:47:50 ID:oam3CyqA0
或る日、奏は薫子に尋ねてみた。
「薫子ちゃん。夕食後のアレは……一体何をされているのですか?」
「特訓です」
「それはわかってますが、もう少し具体的に」
「秘密の特訓です」
「……」
「あたしの策は、お姉さまにも秘密です。もう一度云いますが、何も云わずに見守ってやって下さい」
「薫子ちゃん。実は生徒会劇の事……根に持ってますね?」
「さあ、何の事でしょうか?」
「……」

「ま、正直な所お姉さまに云っても仕方が無い……ってのが本音なんですけどね。
 あたしと瑞穂さんの勝負ってのは、あたしの中ではもう始まっていて、
 それは文字通り、あたしと瑞穂さんだけのモノなんです。
 だからお姉さま、今回の勝負に関しては、あたしと瑞穂さんに干渉しないで欲しいんです」
「……わかりました薫子ちゃん。薫子ちゃんは今回の事をとても重要に思っているのに、
 興味本位で聞こうとした私が間違えてました。ごめんなさい」
奏は深々と頭を下げた。
「あ、いえ……あたしの方こそごめんなさい生意気な事云って。
 妹としてやるべき事はやりますんで、大目に見て貰えると有り難いです」
薫子も深々と頭を下げた。

100 :名無しさん@初回限定:2009/05/04(月) 18:51:48 ID:TlXvsEpuO
ある日曜日の夕方。寮母が用事があって晩ご飯は外食する事になった。
‐ねえ、みんな。提案があるんだけど?
‐賛成ですう。まりやお姉さま!
‐こらっ、由佳里!まだ何も言ってないんだけど、あんた聞く気ないでしょ?
‐そんな事ないですってばぁ!まりやお姉さまのいけずぅ…
ぐりぐりぐりぃっ!
‐ぎゃうん!いたいいたいぐりぐり反対っ!
‐ま…まりやってばよしなさいってば、由佳里ちゃんが死んじゃうわ…
‐この程度で死ぬかあ!はあはあ
‐で、提案はなんなのですか?
‐奏ちゃん、よくぞ聞いてくれました、じつは駅前に自分で揚げられる串揚げ屋さんができたので行ってみたいなと思ってたんだ
‐へえ、面白そうね。
‐立ち飲み屋がベースなんで、女の子だけだと行きにくいからねえ。
‐あのう?私たち女子だけなのですよ?
‐まりやお姉さまは男の人、誘うつもりなのですか?‐ちがうわよ。勢いつけないと行きにくいってこと。
‐お姉さま?顔が赤いのですよ?
‐み、瑞穂ちゃん!期待してたんならごめん。

101 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 18:52:26 ID:oam3CyqA0
「良く良く考えたら、瑞穂お姉さまと薫子ちゃんの勝負を、私は見る事が出来ないのですね。
 何故勝負の日を25日に決めたのですか?」
「25日にすれば、あたしは降誕祭に出ないで済みますから」
「……」
「い、いや……それだけじゃないですよ。
 お姉さまには失礼だと思いますが、一番の理由は誰にも干渉されたくないからです。
 25日なら、お姉さまも由佳里さんも、立ち会う事は出来ないでしょう?」
「それはつまり、どなたも立ち会わせないと云う事ですか?」
「そうです。観客も、審判も要りません。あたしは、外的要因が何も無い状態で、瑞穂さんと雌雄を決したいんです」
「それは残念ですね。『無敵のお姉さま』と『最強の妹』の真剣勝負。
 お金を払ってでも見たいビッグイベントですのに……」
「瑞穂さんは兎も角、あたしはそんな大層なモノじゃないですよ。
 それにあたしは、魅せる戦いをするつもりはありませんから。
 この前お姉さまにダメ出しされた気がしますが、あたしはただがむしゃらに勝ちに行くだけです」
「わかりました。頑張って下さい……とは云いません。薫子ちゃんは私に中立を望んでいる様ですから。
 ところで……雌雄と云うのは、『雌』が瑞穂お姉さまで『雄』が薫子ちゃんですか?」
「シャレになってないです、お姉さま……orz」
「ふふっ、冗談ですよ。薫子ちゃんの素顔がとても女の子らしいと云うのは、私も知ってますから」
「あはは、お世辞ってわかってても嬉しいですよお姉さま……ん?私『も』ってどう云う意味ですか?」
薫子の疑問に対し、奏は何も答えずに思わせぶりな笑顔を返した。

102 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 19:00:11 ID:oam3CyqA0
そして遂にやって来た12月25日朝。
終業式を控え、教室で待機する学院生達。その中にひとり、明らかに異常なオーラを纏っている者が居る。
あの真行寺茉清ですら話し掛けるのを躊躇する程だ。だが意を決して茉清は声を掛けた。
「……どうしたの薫子さん」
「どうした……とは?茉清さん」
茉清は心の底から驚いた。薫子の口調が、放っているオーラとは裏腹に物凄く柔らかだったから。
「いや、明らかにおかしいでしょう。何か有ったの?」
「何か有った……と云うよりは、これから何かが有るって云った方が正しいのかな。
 今日は終業式が終わってからやる事が有ってね。その準備の為に、昨日の朝から食事を抜いてるの」
「昨日からって……大喰らいの薫子さんが良く我慢出来るね」
「あはは、昨日は辛かったけどね。1日過ぎると結構平気になるみたい。
 それに水分だけは取ってるから(奏の紅茶がメイン)大丈夫よ。今日の夕飯は食べるから」
「いつもの薫子さんだったら、『あたしは恐竜か何かか?!』なんて突っ込みが返って来るのだがな。
 一体今日……何が有るの?」
茉清の問いに、薫子はしばし考え込んだ後、静かに答えた。
「あたしだけのダンスパーティー……かな」
「……?」
薫子の落ち着きっぷりに、茉清は薄ら寒いものを感じた。


終業式が終わり、薫子は寮に帰還した。
奏は薫子よりも早く寮に帰って来ていた。どうやら薫子の事が心配らしい。
由佳里と初音は降誕祭の準備に奔走していて、寮には帰って来ていない。

奏の表情は冴えない。それはそうだろう。大事な妹が昨日から食事を抜く……と云う暴挙に出ているのだから。
「本当に大丈夫なのですか?薫子ちゃん……」
「心配掛けてすみません。でも……これは瑞穂さんに勝つ為に必要な事なんです。
 お叱りは後でいくらでも受けますので、今日まではあたしの好きにさせて下さい。お願いします」
薫子の言葉に力が無い。
「……わかりました。後で耳にタコが出来るほど説教しますので、覚悟していて下さいね」
奏は無理矢理笑顔を作った。本当に後が怖そうだ。

103 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 19:03:07 ID:oam3CyqA0
ピンポーン!
薫子を助ける様なタイミングで、寮の呼び鈴が鳴った。

「ごきげんよう薫子ちゃん、奏ちゃん」
「ごきげんようお姉さま」「……ごきげんよう瑞穂さん」
薫子は瑞穂の様子に違和感を覚えた。と云っても具体的に何が違うのかはわからない。
兎に角いつもとは違う……と感じただけだ。
「準備は出来てるかな?薫子ちゃん」
「はい。いつでも大丈夫ですよ」
「それでは早速行きましょうか。奏ちゃん、しばらく薫子ちゃんをお借りしますね」
奏は、瑞穂と薫子を交互に見つめた後、突然薫子に抱きついた。
「ちょ……お姉さま?!」
「……行ってらっしゃい薫子ちゃん」
「はい。行ってきますお姉さま」
そして奏は、続いて瑞穂に抱きついた。
「奏ちゃん?!」
「……行ってらっしゃいませお姉さま」
「うん、行ってきます奏ちゃん」

剣道の道具一式を抱え、瑞穂と薫子はリムジンに乗り込んだ。
「西岡さん、お願いします」
「……かしこまりました」
いつもの西岡だったら、「いや、それにしても、綺麗なお嬢様方をお乗せするのは張り合いがありますな」
などと云ってからからと笑うのだが、
乗り込んだ瑞穂と薫子の異様な雰囲気を瞬時に察し、余計な事は何も云わずリムジンを静かに発進させた。
流石は『空気を読む事に定評のある西岡』である。

ふたりを見送った奏は、誰にも聞こえない様にそっとつぶやいた。
「お姉さま、薫子ちゃん。帰って来たら『おかえりなさい』と云って差し上げます」
泣き出したい衝動を必死に堪え、表情をエルダーモードに作り直した後、寮に戻り降誕祭へ向け支度を始めた。

104 :しょーきゅーしー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 19:06:31 ID:oam3CyqA0
すみません。これから夕飯&用事があるので一時中断します。
続きは深夜か明日に。

105 :再開 ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 23:34:50 ID:oam3CyqA0
数十分後、薫子が手配した場所に到着した。
「ありがとうございます西岡さん。終わった頃に連絡しますので、またよろしくお願いしますね」
「はい。ではまたのちほど……」
必要最小限の挨拶のみでリムジン西岡は去っていった。賢明な判断だ。
決して西岡のセリフを考えるのが面倒だった訳ではない。

「ここで勝負するんだね」
「はい。ここはあたしの知り合いに紹介して貰った道場です。道場主さんにお願いして貸切にして貰いました」
『お願い』と云うのが力づくだったのかどうかは定かではない。
「ん?審判とかはどうするの?」
「そんなモノ要りません。やられたら自分から負けを認める、それで良いでしょう?
 瑞穂さんもあたしも、『当たった』『当たってない』ってダダをこねる様な真似はしないでしょ」
「まあ……そうだね。それじゃ着替えようか」
「はい。あの……着替えは別々ですよ」
「あはは、何て云うか……嬉しい言葉だね」
「へ?何でですか?」
「薫子ちゃんは僕の事を男だって認識してくれているみたいだから……ね」
「ああ、あたし自身は男の人の着替えを見るのは平気ですけどね」
(でも瑞穂さんの着替えを見るのは平気じゃない気がする)
男に対する免疫と云う点では、薫子は聖應女学院歴代最高クラスだろう。
要するに薫子は、男に対して幻想を全く抱いていないのだ。(厳島貴子とは違う意味で)
鏑木瑞穂と云う存在は、薫子が初めて(生涯唯一?)幻想を抱いた男性なのかもしれない。

別々に着替えながら、薫子は現状を再確認した。
(うん、気負わずに普通の会話が出来てる)
薫子が食事を抜いたひとつ目の理由、それは『緊張しない為』である。
正確には『緊張する気になれない』と云った方が良いのだろう。
圧倒的な実力差、一子の事から発した気まずさ、そして瑞穂に勝ってからの事……
そう云ったモノを一切考える事無く、ただ『瑞穂に勝つ』その一点だけに集中する事が出来ている。

106 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 23:39:04 ID:oam3CyqA0
だだっ広い道場に、防具に身を包んだ瑞穂と薫子ふたりだけ。
暖房の類は一切入っておらず、凍える様な寒さなのだが、両者共寒がる様子は無い。
「ルールはどうするの薫子ちゃん。オーソドックスな三本勝負で良いのかな?」
「いえ、一本勝負で。それと時間制限ナシ、場外もナシで」
「時間無制限一本勝負。これだけ聞くとプロレスみたいだね」
「大丈夫ですよ。すぐ終わりますから……あたしの勝ちで」
「心情的には薫子ちゃんに勝たせてあげたいけれどね。でも……手加減はしないよ」
「はい。望む所です!」

道場の中央に立ったふたりが互いに礼をする。それが勝負の始まり。
審判……と云うか、第三者が居ないので、「始め」の合図は無い。

ふたりの実力差を考えれば、真っ先に思い浮かぶ構図は、
いちかばちかの奇襲を仕掛ける薫子と、それを正攻法で迎え撃つ瑞穂……なのだが、
その点から考えると、両者が取った構えは意外なモノだった。

薫子が取ったのは、最もオーソドックスな中段の構え。攻守のバランスに優れる構えである。
ところが瑞穂は中段には構えず、腰をほんの少しだけ落とし、左足を引いて、竹刀を左斜め下後方に構えたのだ。
(?!……あれは脇構え?しかもサウスポースタイル??)
脇構えを実戦で使用する者はほとんど居ない。
現在の剣道のルールでは、脇構えにするメリットが全くと云っていい程無いからである。
(面ががら空き・攻撃のバリエーションに乏しい等)
薫子は冷静に、瑞穂の構えを分析してみた。
(恐らく……瑞穂さんの狙いは『後の先』だ。と云う事は、瑞穂さんは『予想通り』あたしの策を見抜いてる!)

107 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 23:43:24 ID:oam3CyqA0
薫子の策、それは『間合いのギリギリ外から一歩だけ最速で踏み込み瑞穂の喉下へ突き』である。
言葉にするのは簡単だが、実行するにはそれ相応の実力(&覚悟&運)が必要だ。
実際にやってみればわかるが、ほぼ静止状態からいきなり最速のダッシュをするのは足に過大な負担がかかる。
最も重要なのは足の親指。(薫子の場合は右足)
親指に全ての力を集中させて床を踏み抜く。(本当に踏み抜いたら困るが)
そして足首を直角に固定したまま、足の筋肉全体を使い身体を前に押し出すのだ。
生半可なスピードでは瑞穂に難なく対応されてしまう。
薫子が目指したのは、『一歩だけ、一瞬だけ、一回だけ』の最速だった。

薫子が食事を抜いたふたつ目にして最大の理由、
それは一切の邪念を払い『一歩だけ、一瞬だけ、一回だけ』に全ての力を集結させる為である。
瑞穂に攻撃を打ち込む絶好の機。その時が訪れるまで、薫子は力をひたすら体内に溜め込んでいるのだ。
完全な脱力状態から技を発動させる事で、威力(スピード)を底上げする狙いもあった。

瑞穂とまともに打ち合ったら勝ち目は無い。そこで薫子は、超短期決戦にする事を目論んだのだ。
瑞穂が『後の先』で来る事を想定し、薫子はそれを承知で『先の先』で戦うつもりなのだ。
理想は瑞穂に何もさせずに勝つ事。瑞穂に反応すらさせずに突きを叩き込む事だった。

一瞬だけ訪れるチャンスに全てを注ぎ込む。防御や回避を全て捨て、ただ一発の突きに全てを懸ける。
瑞穂が反応出来なかったら薫子の勝ち。瑞穂が反応して突きが防御されてしまったら薫子の負け。
三本勝負ではなく一本勝負にしたのは、一発の突きで全てのエネルギーを使い果たしてしまう為だ。

瑞穂に策を読まれているイコール薫子に絶対不利な状況なのだが、薫子は嬉しくて仕方が無い。
何故なら、それは瑞穂が薫子の事を深く理解している……と云う事だから。
試合が始まってまだ数秒しか経っていないのだが、
瑞穂と薫子の間で、無言のまま何年分にも相当する意思の疎通が行われていた。

108 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 23:47:36 ID:oam3CyqA0
(まだだ、まだ遠い。あと三歩……)
瑞穂が採るであろう作戦は、
1.薫子の突きを紙一重でかわしつつカウンターの胴打ち。薫子が生徒会劇でやった(やらされた)動作に近い。
2.突きに来た薫子の竹刀を狙い打ち、突きの軌道を逸らしたら後は煮るなり焼くなり。
恐らくどちらかなのだろう、と薫子は予測した。
(瑞穂さんが竹刀を左に構えてるのは、『居合』をイメージしてるのかな?刀を納める鞘があるのは左側だもんね。
 ま、そんな事はどうでもいいや。瑞穂さんが何をするつもりでも、あたしがやる事は変わらないから)

瑞穂は薫子の策を見抜いている。もっと詳しく説明するなら、
瑞穂が薫子の策を見抜いてると云うのを承知で薫子は作戦を変更する事無く最速の突きを放って来る……
と云う事を瑞穂は見抜いている。更に詳しく説明するなら、
瑞穂が薫子の策を見抜いてると云うのを承知で薫子は作戦を変更する事無く最速の突きを放って来る……
と云う事を瑞穂が見抜いているのを承知で薫子は作戦を変更する事無く最速の突きを放(以下無限ループ)

(あと二歩……)
薫子が摺り足で慎重に間合いを詰める。

いつからだろう?と薫子は思う。
薫子が瑞穂に武術全般を教わっているのは、強くなる為、お姉さまに相応しい騎士(ナイト)になる為、
ずっとそう思っていた。いや、その事自体は間違えていない。
だがいつの間にか、薫子が瑞穂に武術を教わる最大の目的は『瑞穂と手合わせする事』になっていたのだ。
瑞穂と手合わせする為に瑞穂と手合わせする。目的と手段がごちゃまぜになってしまっている典型例だ。
瑞穂の指導で実力は着実に上がっている……のだが、
それよりも、剣(拳)を交えている間、ふたりだけの世界に入り込む事に喜びを見出していたのだ。
もちろん瑞穂の正体(性別)を知る前からだ。
(ああ、そうか。やっぱりあたしは瑞穂さんの事が好きなんだ)
以前十条紫苑が『瑞穂さん、私の事だけを見て下さい!』と、薫子を茶化した事があったが、
もしかすると正解だったのかもしれない。

真剣な表情で瑞穂と向かい合う。それだけで薫子は信じられない程の高揚感を得る事が出来るのだ。
それはあえて例えるなら性的なモノに近かったのだが、
そちらの方面に滅法疎い薫子は、その事を全く自覚していない。

109 :名無しさん@初回限定:2009/05/04(月) 23:52:00 ID:sRLDLT+00
連投用支援っていくつ単位だっけ

110 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 23:52:39 ID:oam3CyqA0
(あと一歩……)
薫子はこの戦いに勝ったら、その勢いで瑞穂に告白するつもりである。しかし瑞穂に交際を強要する気は無い。
「お願いをひとつだけ聞いて欲しい」と云ったが、「お願いをひとつだけかなえて欲しい」とは云ってないのだ。
一回だけで良いから瑞穂に勝つ。そして告白して華々しく散る。
薫子は、自分の想いが瑞穂に届く事は無い……と思っているのだ。
(瑞穂さんはお姉さまの事が好きなんだろうし。お姉さまは否定(?)したけど、どう考えたってお似合いだもんね)
ダメだろうが何だろうが兎に角前に進む。それが七々原薫子なのである。
(全ては『逃げ水』を捕まえてからだ)

薫子は瑞穂に追い着く為、懸命に前に進んでいる。瑞穂が立ち止まっているならいずれは追い着く事が出来るのだが、
云うまでも無く、瑞穂も薫子と同じかそれ以上の速度で前に進んでいるのだ。
それならば、瑞穂が前に進む暇を与えずに一気に間合いを詰めてしまえ……と云うのが、今回の作戦の趣旨である。
(我ながらバカ全開と云うか意味不明だね。でもあたしの頭じゃ、こんなやり方しか思いつかない)

111 :以前は10レス単位でした ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 23:55:41 ID:oam3CyqA0
ついに薫子が想定する間合いに入った。
(……今だ!)
断食する事で一切の邪念を払い体内に溜め込んでいた力を、一気に開放した。(ある意味邪念だらけだが)
瑞穂と対峙する事で大量に分泌された脳内麻薬をプラスして、薫子は限界を超える力を発揮する事が出来るのだ。
そして更にダメ押しで、瑞穂に対する想いを付け加えた。
(優しくて、大らかで、暖かく、気高い。頭が切れるけど肝心な所では鈍感で、めちゃめちゃ強いけど案外脆い。
 信じられない程女性らしく、誰よりも美しい。ついでに付け加えるなら結構男らしい。
 あたしはそんな瑞穂さんが大好きです。瑞穂さん、あたしの想い……受け取って下さい!)
薫子の右足の親指を起点にした最速の一歩が発動した。

(!)
足に伝わる感触で薫子は確信した。これは自分の今までの人生最速の一歩だ……と。
しかも下半身から上半身をスムーズに連動させ、完璧なタイミングで突きを繰り出す事が出来た。
恋はきっと生命(いのち)のエネルギー。最初に云い出したのは誰なのだろう?
「突きィィィィッ!」
面を被っているので表情がわかりづらいが、瑞穂が薫子の突きに反応した様子は無い。
(勝ったッ!第3部完!)
薫子の竹刀の先が、瑞穂の喉下を正確に捉えた

112 :00分になるとばいサル解除 ◆dRSEVGhpDg :2009/05/04(月) 23:58:31 ID:oam3CyqA0
……筈だった。
(?!……手ごたえが……無い)
薫子がそう思った時、既に瑞穂の姿は薫子の視界から消えていた。
(一体どこへ?)

コツンッ!
「えっ?」
薫子の小手を、瑞穂が竹刀で優しく叩いた。
視界の外からの攻撃に驚いた薫子が左を向くと、そこには面の下で微笑む瑞穂の姿が……
「小手。薫子ちゃん、まだ続ける?」
普通に剣道のルールを適用するなら、今の瑞穂の小手は有効打突として認められない。
『優しく叩く』では、攻撃とは見なされないからだ。
しかし薫子は、
「いえ、あたしの……負けですorz」
あっさりと負けを認め崩れ落ちた。いずれにせよ、もう薫子に戦う力は残されていないのだ。

結局薫子は、今回も瑞穂の掌の上に乗っかったままだった。
瑞穂が取った構え(居合?)を、薫子は攻撃の為の構えだと思っていた。『後の先』の為の構えだと思っていた。
その時点で薫子の負けは確定していたのである。
瑞穂が竹刀を後方に構えた真の理由。それは『竹刀を使わずに薫子の突きを回避する』と云う意思表示だったのだ。
薫子は防御と回避を捨て、攻撃のみに全てを集中させた。
それと同様、瑞穂は攻撃と防御を捨て、薫子の攻撃を回避する事のみに全てを集中させたのだ。

瑞穂は薫子の突きに反応しなかった。その理由は簡単で、瑞穂は最初から最後まで薫子の竹刀を見ていなかったのだ。
瑞穂が見ていたのは薫子の足元。薫子が右足の親指から力を開放したのを確認すると、
瑞穂は左足の親指を起点にした最速の右ステップを発動させたのである。
突きを眼で見て確認する一瞬のタイムラグが命取りになる。
「突きを見てからカウンター余裕でした」などと云っていたら、間違いなく薫子の突きが届いていただろう。

瑞穂は『後の先』ならぬ『後の後』を見事に成功させ、瑞穂と薫子の十秒にも満たない勝負は幕を閉じた。

113 :名無しさん@初回限定:2009/05/05(火) 00:00:38 ID:sRLDLT+00
10単位か、把握。ありがとうといいつつ念の為カット

114 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/05(火) 00:03:07 ID:oam3CyqA0
「ここまでやっても勝てないか……あれ?足が……動かないや」
薫子の右足がガクガク震えている。それは限界以上の力を出してしまった事に対する代償だった。
「薫子ちゃん、無茶し過ぎだよ」
瑞穂は面を外し、薫子の目の前で正座した。
「あはは。でも、あたしが無茶をするって、瑞穂さんはわかってたんでしょう?」
「まあね……っと。とりあえず薫子ちゃんはそのままで良いから、試合後の礼をしようか」
瑞穂は正しい姿勢(正座)で、薫子は何とか面を外したがまともな姿勢を取れず足を崩したまま、互いに礼をした。
「「ありがとうございました!」」

今薫子の心を、『充実』『安堵』『悔しさ』が仲良く占めていた。
(ん?安堵って何よ?全ての入力が1だった場合、出力は0になる……ってそれじゃ納戸だよ)
薫子は瑞穂に勝ったら告白するつもりだった。つまり薫子が負けた場合は告白しないと云う事だ。
(あたしは心の底では現状維持を望んでる?いや、それじゃダメだ。次こそは……)

今薫子の心を、『充実』&『悔しさ』が仲良く占めていた。
(これで良し……と)

「あーあ。負けたのはもちろんだけど、それよりも瑞穂さんに全力を出させる事が出来なかったのが悔しいです」
まだ右足は思い通りに動かない。
「え?そんな事無いって。僕は薫子ちゃんの突きを回避するのに、本気を、全力を出したから。
 薫子ちゃんのスピードは、僕の想像を遥かに超えてたしね」
瑞穂は嘘偽り無く感心している……と云う顔になった。だがそれはそれで、薫子は面白くない様だ。
「えーっと、そーゆー意味じゃ無いです。あたしが云いたいのは、瑞穂さんが本気で戦ってくれなかったって事です。
 なさけむようで勝ちに行くなら、あたしが攻撃を出す前に終わらせる事だって出来た筈なんです。
 瑞穂さんはあたしの戦法を完全に読み切ってたんですから。
 瑞穂さんは本気で戦った……では無くて、瑞穂さんは本気であたしのバカに付き合ってくれたって所でしょうか」
「薫子ちゃん……」
「ま、結局はあたしが不甲斐なかったって事です。
 負けたのは悔しいけど、やるべき事をやって負けたって意味では満足してます。ありがとうございます。
 それじゃ、瑞穂さんのお願いを聞きましょうか。あたしに出来る事なら何でも」

115 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/05(火) 00:06:29 ID:buBOSGt90
「……ええっと、念の為聞いておきたいんだけれど。薫子ちゃんのお願いって何なのかな?」
「へ?そんなのどーでも良いじゃないですか。勝ったのは瑞穂さんなんですから」
「それはそうだけれど……余程の事って云うから個人的に興味をそそられてね。
 奏ちゃんと二度と会わないで欲しい……とか、一子ちゃんを追放しろ……なんて云われたらどうしようって思ってた」
「いや、そんな事云ったら、あたしはお姉さまに絶縁状を叩き付けられてしまいますから」
(やっぱ瑞穂さんって、とてつもなく鈍感だ……)
「……確かにそうかも。ごめん薫子ちゃん。物事をネガティヴに考えるのは、僕の悪い癖だね」
「だからあたしの事はどーでも良いですから、瑞穂さんのお願いをどーぞ!」

「えっと、その……薫子ちゃんの事をどーでも良いなんて思ってないと云うか……
 僕のお願いも余程の事だから、間違い無く薫子ちゃんに断られるだろうな……とか」
瑞穂の態度が、妙〜〜〜に歯切れが悪い。
「瑞穂さん、あたしは負けた時点で覚悟は出来てますから。
 もちろん『お姉さまの妹をやめろ』なんてのは聞けませんが」
「いや、そんな事云ったら、僕が奏ちゃんに絶縁状を叩き付けられちゃうよ」
「そんな事は無いと思いますけどね。だ・か・ら、さっさとお願いを云って下さい!」
薫子はいい加減焦れて来た様だ。
「う……わ、わかりました。かっ……」
瑞穂は薫子の迫力に圧倒されてしまっている。どう見ても勝者には見えない。
「か?」

116 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/05(火) 00:09:38 ID:buBOSGt90
瑞穂は聖應女学院に初めて来た時以上の緊張を何とか克服し、決定的な言葉を放った。
「かっ……薫子ちゃん!僕とお付き合いして下さい!!」
瑞穂の顔が真っ赤に染まった。

「な〜んだ。そんな事で良いなら喜ん……ええっ?!それってどう云う意味ですか?」
(ちょっと待て。今瑞穂さん何て云った?!)
薫子の顔も真っ赤に染まった。
「どう云う意味って、一から云わないとダメ……かな?」
「え……えっと……その、瑞穂さんはあたしの事がす……すす、好きって事ですか?」
瑞穂は無言のまま首を縦に振った。
「な、何を云ってるんですか?!冗談はよしこさんですよ。
 あたしみたいなオトコオンナに、瑞穂さんが好きになる要素なんて無いでしょ?!」
「そんな事無いよ。僕はずっと薫子ちゃんの事を羨ましいって思ってたんだもの。
 何故なら、薫子ちゃんは『何でも出来る人』だから……」
「へ?『何でも出来る人』ってのは瑞穂さんみたいな人の事を指……」
薫子は最後まで言葉を発する事が出来なかった。瑞穂の顔が、突然悲しみに満ちた表情になったから。

117 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/05(火) 00:12:57 ID:buBOSGt90
「周りの人達は、僕の事を指して『何でも出来て羨ましい』なんてはやしたてていたけれど、そうじゃないんだ。
 僕は『何でも出来る人』では無くて『何も出来ない人間』なんだから。少なくとも、聖應に入る前の僕はそうだった」
「?」
「聖應に入る前の僕は、良くも悪くも『親の人形』みたいなものだったから。
 勉強も、運動も、習い事も、云われた事をただ『こなす』だけだったんだ。
 僕は聖應女学院で学びました。『こなす』と『出来る』には大きな違いが有るんだって」
「う〜ん……あたしには違いが良くわからないです」
「『出来る』って云うのは、自分の意思が大事だと思うんだ。
 薫子ちゃんはいつでも真っ直ぐで、やりたい事、やるべき事に向かって兎に角突き進む。
 そんな薫子ちゃんの意思(意志)の強さが僕には羨ましい」
「……ただ単に、あたしが単純バカなだけなんだと思いますけどね。瑞穂さんは真っ直ぐ進んでないんですか?」
「僕は……薫子ちゃんとは違う意味で真っ直ぐ進んでたんだと思う。
 例えるなら、僕は親が敷いたレールの上を走る『サハ103形』ってところかな。
 薫子ちゃんの道にはレールなんか敷かれてない……って云うのが大きく違うんだと思う。
 聖應女学院に入ったのは明らかに脱線なんだけれど、僕は良かったって思ってる。
 奏ちゃん、由佳里ちゃん、一子ちゃん、紫苑さん、貴子さん、他にも沢山の人達のおかげで、
 僕は少しだけ、自分の意思で何かを『出来る』人間になった気がするから。もちろん薫子ちゃんにも感謝してる。
 まあ……『変態女装男』って云う汚名は甘受するしかないけれどね」
「う〜ん……『例えるなら』がさっぱりわからないんですが」
「おっとっと……話が脱線しちゃったね。薫子ちゃん、その……返事を聞かせて貰えるかな?」

118 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/05(火) 00:16:53 ID:buBOSGt90
「えっと……だからあたしは、見ての通りのオトコオンナですよ」
「薫子ちゃんがオトコオンナなら、僕はオンナオトコになるのかな。
 それ以前の問題で、僕は薫子ちゃんの事をオトコオンナだなんて思ってないよ。
 薫子ちゃんの素顔がとても女の子らしいと云うのを、僕も知ってるつもりだから……」
「僕……『も』?」(……あっ?!)
薫子は「男の人の着替えを見るのは平気」と云った。
それは裏を返せば「自分の着替えを男の人に見られるのはイヤ」と云う事だ。
事実薫子は、瑞穂と一緒に着替えるのを回避したのだから……
瑞穂は、薫子が女の子としての恥じらいを持っている事を嬉しく思っているのだ。
(紫苑さんとは大違いだよね。まあ紫苑さんの場合は、未だに僕の事を男だと思ってないだけ……なのかな?)

「でもでも、瑞穂さんはお姉さまの事が好きなんじゃないんですか?」
「……そうね。私は奏ちゃんの事が大好きよ」
「へ?」
いきなり瑞穂がお姉さま口調になった……と思ったら、次の瞬間には元に戻っていた。
「周防院奏は『宮小路瑞穂』の大事な妹。七々原薫子は『鏑木瑞穂』が大好きな女の子……って云うのは卑怯かな?」
「え……あ……その……」
「ふたりには本当に感謝してます。奏ちゃんは『私』の心に安らぎをくれました。
 そして薫子ちゃんは『僕』の心を開放してくれたんです。
 薫子ちゃんの前だと、僕は何ひとつ遠慮のない自分を出す事が出来るんです。薫子ちゃんには迷惑だと思うけれど」
「……あたしは遠慮ナシの方が嬉しいですよ。まどろっこしいのは性に合わないんで」

「薫子ちゃん。嫌なら嫌で、ハッキリ云って構わないから。
 薫子ちゃんに僕のお願いを聞いて貰ったけれど、無理にかなえる必要は無いから」
「あ……いえ……別に、嫌とかそう云うのは……」(?!瑞穂さん。あたしと同じ事考えてた……どこまでも!)
薫子の態度が、妙〜〜〜に歯切れが悪い。
それとは逆に、瑞穂に迫力が出てきた。すっかり開き直ったらしい。
「これでも僕は、清水の舞台からスワントーンをする覚悟で告白したんです。
 我ながらデリカシーが無いとは思うけれど、返事を聞かせて下さい!」
瑞穂はいい加減焦れて来た様だ。

119 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/05(火) 00:20:01 ID:buBOSGt90
「もしかして瑞穂さんってプロレス好きですか……?
 ま、いいや。それじゃ瑞穂さん。これからあたしの事は『薫子』って呼んで下さい!」
「え?それってどう云う……」
「一から云わないとダメ……ですか?」
「そ、それって、つまり……」
「だ〜か〜ら〜〜〜っ!瑞穂さんの申し出を受けるって云ってるんですよ!」
「あの……無理はしないで良いんだよ薫子ちゃん」
「か・お・る・こ!って呼んで下さい。瑞穂さんはどこまで鈍感なんですか?
 あたしが好きでもない男と交際する様な安い女に見えますか?
 ……念の為云っときますが、そもそも女に見えないって突っ込みはナシですよ。
 瑞穂さんは云われないと男に見えませんが。いや、云われても男には見えませんが……」
薫子は、自分自身も救い様の無い鈍感だと云う事を、棚の上に放り投げた。
「orz……大丈夫だよ。薫子ちゃんは素敵な女の子だから。
 それじゃ本当に、薫子ちゃ……薫子は僕の、その……彼女になってくれるの?」
薫子は顔を真っ赤にし、無言のまま首を縦に振った。
「あ、ありがとう!」
瑞穂が衝動的に薫子に抱きついたのだが……
「ちょっ……瑞穂さん?!」
まだ右足が完全に回復していない薫子は、瑞穂の身体を支えきれず後ろに倒れ込んだ。
その結果、瑞穂が薫子を押し倒す格好になった。
両者共防具を着けたままなのでかなりマヌケな構図なのだが、幸い見ている者は居ない。

120 :支援感謝! ◆dRSEVGhpDg :2009/05/05(火) 00:21:34 ID:buBOSGt90
良い意味での沈黙がふたりを包んだ。しかし自称『デリカシーが無い』瑞穂があっさり沈黙を破ってしまった。
「ご、ごめんっ!神聖な道場でこんな事しちゃいけないよね」
立ち上がろうと足をジタバタさせたが、左足が思い通りに動かない。世紀末はもう過ぎている。
瑞穂は自覚していなかった。自身の左足が薫子の右足同様ダメージを受けている事を。(薫子程酷くはない)
「あの……瑞穂さん!」
「……?」
瑞穂の動きが一旦停止した。

「今日は寮に誰も居ないんです」
「……え?」

『―― Next Episode 〜決着〜』

121 :名無しさん@初回限定:2009/05/05(火) 00:23:42 ID:LJ5ttlIY0
乙。
遭遇するとは思ってなかった。
正直楽しみにしていた。
また続きを楽しみにする期間が始まる。

122 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/05(火) 00:24:37 ID:buBOSGt90
以上です。
これを読んだ皆様の足の親指が、不自然に力んでいたら私の勝ちです(嘘)。
やりたい放題にも限度が有るって思いました。バカ全開なのは私ですね……
俺、このシリーズが完結したら『使用した小ネタ集』を作って投下するんだ(嘘)。

その3は短くなる予定。それほどお待たせせずに投下出来る……様な気がします。
それでは駄文失礼致しました。

P.S.1
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1239554435/
なんとなくこのスレを眺めてました。
嫁ランキングは一子ちゃんと紫苑さまが1票(1P)ずつ。
婿ランキングはお姉さまが6位にランクイン。(結果は222から)
この結果ってどうなんでしょう?

P.S.2
takayanさんに業務(?)連絡です。
                                  ↓
シリーズ『瑞穂と薫子』第7話のタイトルは、『瑞穂と薫子と』です。
〜決○〜というのはサブタイトルのサブタイトル(?)です。
紛らわしくて大変申し訳ないです。

123 :名無しさん@初回限定:2009/05/05(火) 02:16:35 ID:QmhPvVZx0
ttp://page6.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f79539357

124 :おとボクまとめ中の人 ◆OTBKTbDm8M :2009/05/06(水) 01:30:23 ID:792wOU0i0
>>122
ばんくーばーさん、
バカ全開、大いに結構。
楽しく読ませていただいています。

以下業務連絡。
P.S.2. について……大変失礼いたしました。リストを修正しておきましたのでご確認くださいませ。
P.S.1. について……は、ここではスレ違いになってしまうので、某サイト戯れ言にて触れておきますね。

125 :名無しさん@初回限定:2009/05/08(金) 13:18:34 ID:+8D9emZoO
‐(ごめん、瑞穂ちゃん。)
‐(まりやがいきなり問題発言するから、びっくりしちゃったじゃない)
‐まりやお姉さまたぢなんかあやしー
‐こら、由佳里。ごまかすなあ!
‐いやあー!ぐりぐりはいやぁ!
‐というわけで全員賛成らしいのでしゅっぱ〜つ!
ここは、駅前。『串揚げハウス』前。私服でやってきた四人がいた。

126 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/11(月) 20:28:19 ID:5QBYv2Bn0
『先輩?』(『瑞穂と薫子』外伝)

奏が聖應女学院を卒業した後の春休み。鏑木邸瑞穂の部屋にて。

「薫子が聖應に来たきっかけって、お父様に勧められたから……だったっけ?」
「は、はい。親爺に良い学校だからって熱心に勧められて。他に行きたい学校とか無かったですし。
 初めて来た時は、あまりの異世界っぷりに唖然としたもんですが」
「ふうん、わかる気がするなぁ。僕も初めて来た時は途方に暮れたからね」
「いやいや、瑞穂さんの場合は全然意味が違いますから。ま、あたしは聖應に入って良かったって思ってますよ。
 そのおかげで、あたしは女として少しはマシになった気がしますし。それに何より……
 お姉さまと瑞穂さんに会う事が出来ましたから!」
「あはは、ありがとう薫子。でも……薫子のお父様は、どうして聖應を勧められたんだろう?」
「どうしてって?」
「云うまでも無く聖應は『女学院』な訳で。それなのに……」
「確かに。あの熱心さは、まるで自分が通ってたかの様な口ぶりだったけど」
「もしかして、薫子のお父様も過去に女s……」
「だーーーっ!瑞穂さん、この話は終わり!オワリ!お・し・ま・い!」

『お・し・ま・い!』

127 :DLキー:mizuho ◆dRSEVGhpDg :2009/05/11(月) 20:31:04 ID:5QBYv2Bn0
以上、薫子父のビジュアルが(多分永遠に)無いから出来る一発ネタを。駄文失礼致しました。

聖誕祭記念はダメっぽい……というか、話のタネ(ネタ)が全く思い浮かびません。
薫子のシリーズは完結させますが、多分。それ以外の話がサッパリ……

少し早いですが、お姉さま誕生日おめでとうございます。とりあえず缶ビールで乾杯!


おまけ
http://uproda55.2ch-library.com/000939.zip.shtml
これもしょうもない一発ネタです。12日が終わったら消します。

128 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/05/13(水) 23:27:08 ID:qBajBE9I0
『売約済』

5月12日、瑞穂の誕生パーティー終了後……

「ねえ瑞穂ちゃん。これからふたりっきりでお出掛けしようよ!」
「なっ?!まりやさん、抜け駆けは許しませんわよ!み、瑞穂さん。今日はわたくしと……」
「あらあら、まりやさんと貴子さんは仲良く喧嘩してらっしゃる様ですから、わたくしとデートしましょうか瑞穂さん?」

「え?!あの……」
瑞穂は困り果てた。3人に迫られているからではない。
「……もしかして、奏ちゃんと手を繋いでるのに気付いてない?」
「レ"リTヮノi、j お三方とも、お姉さまのお顔(の高さ)しか見てらっしゃらないのですよー」

……大きくなれよ(無理)。

『完』


「……『完』じゃないですよ!私の出番はどこですか?!」
「何云ってんのよ。ちゃんとゆかりんにも見せ場があったでしょ?」
「え?」



以上です。22時半にネタを思いついて一気に書いて少し後悔。
改めて、お姉さま誕生日おめでとうございます!

※お詫びと訂正
 乾杯した酒は、『ビール』ではなく『発泡酒』でした。お詫びして訂正致します。

今度こそ、発泡酒で乾杯!

129 :名無しさん@初回限定:2009/05/16(土) 13:55:15 ID:F5l+KRSM0
乙でございます
……大きくなれよのところで丸大ハンバーグのテーマとゆかりんが
浮かんできたのは何故だろう(・∀・)ニヤニヤ

130 :名無しさん@初回限定:2009/05/17(日) 07:51:18 ID:5t2AZKM90
ttp://otoboku.org/

131 :名無しさん@初回限定:2009/05/17(日) 12:33:44 ID:f4VBf2i+O
「犯人は、上岡由佳里さん。あなたですね!」
瑞穂教授はパイプの吸い口を相手に向けて決めぜりふを叫んだ。
「ぷっ、何?いったい何なわけ?それ、仮装大会でもやってるの?」
 そういいながら由佳里はバッグからペシェを取出しライターで火をつけた。そのまま煙を二人にふきかけた。

132 :名無しさん@初回限定:2009/05/17(日) 12:48:26 ID:/25i//5q0
ペシェはもうすぐペティルに改名するんだよなあ

133 :名無しさん@初回限定:2009/05/17(日) 13:04:34 ID:f4VBf2i+O
「帝国式バリツをなめないことね。上岡さん」
トレンチコートに葉巻と言ういでたちであらわれたのが帝警の切れ者厳島貴子だった。
「なんだとう!」
「庶民なあなたは知らないでしょうけど帝国貴族の嗜みなのですわ。」
かくして、帝都を震撼せしめた世紀の大事件は幕をとじたのであった。

134 :名無しさん@初回限定:2009/05/17(日) 14:01:38 ID:f4VBf2i+O
次回、瑞穂教授の終生のライバルとなる悪の天才博士十条紫苑登場!
帝都を守れ!宮小路瑞穂教授

紫苑「奏さん。こんなに濡れて。期待してたのなら、応えてあげませんとね」
帝暦2009年夏休み劇場公開決定!

135 :名無しさん@初回限定:2009/05/24(日) 20:06:27 ID:Npe84nzK0
本スレから移動してきました

SSの捜索ってここでしてもいいかい?

お姉さまが全員に男バレしたあとでの学園のハーレムがみたいっす

136 :〒□□□-□□□□ :2009/05/25(月) 01:46:58 ID:0eFyhwR+0
まとめスレで探してください。

137 :名無しさん@初回限定:2009/05/26(火) 02:10:33 ID:1zRgPsZQ0
まとめサイト内での他ページへのリンクの多くが
takayan.s41.xrea.com
から始まるアドレスですが、その何ヶ所かが
localhost:8080
から始まる変なアドレスになっているように思われます。
(例:『SS作品リスト/作者別・その1』での上部の方にある『作者別・その2』へリンク等)

138 :名無しさん@初回限定:2009/05/29(金) 14:24:35 ID:V3RVef0eO
まとめサイト主宰者はやるやる詐欺の常習犯なので期待する方が間違っている。

139 :東の扉:2009/06/02(火) 12:53:50 ID:77OK/gl00
作品投稿させていただきます。
よろしくお願いします。

140 :東の扉:2009/06/02(火) 13:02:08 ID:77OK/gl00
「白雪王子」

 昔々、あるところに、瑞穂という名の、それはそれは美しい王子様がいました。
もっとも、彼は“女として”美しいのであって、本人はそう思われることを何より嫌ってますが。
 ある時、瑞穂の母が死に、父である王は、まりやという名の女と再婚しました。
彼女は衣装選びのセンスとメイクの技術においてもプロ級で、その美貌が自慢でした。
「ねえねえ鏡ちゃん、この国で一番美しい女は誰?」
 まりやは今日も自分の魔法の鏡に向かって語りかけます。
「もちろん瑞穂王子さまですわ! 間違ってもあなたのような顔も性格も最悪の女ではありませんわ!」
 鏡の精貴子は、まりやの問いにそう答えました。
「くーっ! あんたは質問にだけ答えりゃいいのよ!」
 まりやは鏡の返答にご機嫌斜めです。

141 :東の扉:2009/06/02(火) 13:06:23 ID:77OK/gl00
「ねえねえ瑞穂ちゃん、あたし面白い鏡持ってんだけど、見せたげよっか?」
 ある日、王妃まりやは瑞穂王子に意地悪な笑みを浮かべて言いました。
「え? べ、別にいいよ、まりや」
 瑞穂王子、この表情のときのまりやはろくでもないことを考えていると悟り、辞退しようとしました。
「まあまあ、悪いこといわないからさ」
「わーっ!」
 しかし、まりやの強引さに負けて鏡のところに連れて行かれました。

142 :東の扉:2009/06/02(火) 13:13:05 ID:77OK/gl00
「ねえねえ鏡ちゃん、この国で一番美しい女は誰?」
「もちろん瑞穂王子さまですわ! 間違ってもあなたのような顔も性格も最悪の女ではありませんわ!」
 鏡の精貴子は、今日もまりやの問いにそう答えました。
 ガーン!!
「ぼ、僕が……この国で一番美しい……女……」
 瑞穂王子は、ショックのあまり心臓発作を起こしてしまいました。
「み、瑞穂王子様!」
「貴子、あんたが不用意なこと言うから瑞穂ちゃんショック死しちゃったんじゃないの。
やーい、人殺し!」
「ううっ……」
 貴子は、何も言い返せませんでした。
「やっと貴子に仕返しできたか……しっかし一番美しいって言われてショック死するなんて、
なんか腹立つわね」
 いや、まりや、そんなこと言われても……。

143 :東の扉:2009/06/02(火) 13:20:16 ID:77OK/gl00
「ま、まりやおきさき様、どうなされたのですか?」
 まりやは、森の3人の小人の家を訪れます。
「あんたら瑞穂ちゃんのファンじゃない。だからあげようと思って」
 そう言って、意識不明のままの瑞穂王子を差し出します。
「ちょ、ちょっとおきさき様、王子様、意識ないじゃないですか!」
「大変なのですよ!」
「ええーっ!? どうしましょうどうしましょうどうしましょう(以下略)……」
 瑞穂ファントリオの奏、由佳里、一子は大慌て。
「お医者様の話じゃこの森で何かある食べ物で目を覚ますらしいから、
もしみんなにそれができたら、一気に瑞穂ちゃんにお近づきになれるわよ。じゃあね」
 まりやは、そう言って去っていきました。

144 :東の扉:2009/06/02(火) 13:27:09 ID:77OK/gl00
「王子様、全然目を覚ましませんね……」
「困りましたのですよ……」
「ううう……王子様に何もできないなんて、小人二等兵はつらいです……」
 毎日、奏は苺ケーキを、由佳里はハンバーグを、一子はいちご大福を食べさせますが、
瑞穂は一向に目を覚ましません。

「お邪魔いたしますわ」
 そんなある日、隣の国の紫苑姫が、小人の家に泊まりに来ました。
「あら? その方は、どうなされたのですか?」
「紫苑さま……実は……」
 3人の小人たちは、紫苑姫に事情を話しました。
「なるほど。そういうことでしたか。でしたら、私も協力いたしますわ」
 3人の話に、紫苑姫は喜んで協力を申し出てきました。

145 :東の扉:2009/06/02(火) 13:34:15 ID:77OK/gl00
「紫苑さま!」
「紫苑さん!」
「ありがとうございますのですよ」
 と、その時、4人の前に金色のりんごが突如現れました。
りんごには「最も美しい者へ」と書いてあります。
「こ、これは、黄金のりんごです! これをめぐって、ギリシャ神話の3人の女神が争ったとか……」
 キリスト教や神話に詳しい一子がそう語ります。
「ねえ、奏ちゃん、もしかしてこれじゃないかな?」
「確かにそうかもしれないのですよ! 由佳里ちゃん、ナイス発言なのですよ!」
「なるほど……しかしこの状況では口移しでしか食べさせられませんが、
どなたが食べさせましょうか?」
「それは……」
 相談の結果、満場一致で紫苑姫が選ばれました。

146 :東の扉:2009/06/02(火) 13:37:34 ID:77OK/gl00
「んっ……」
 紫苑姫は、口移しで瑞穂王子に黄金のりんごを食べさせます。
3人の小人は、その様子をドキドキしながら見ていました。
「うん……あれ? ここは?」
 と、途端に瑞穂王子が意識を取り戻しました。
「王子様!」
 4人は大喜び。そして、瑞穂王子に事情を説明しました。

147 :東の扉:2009/06/02(火) 13:44:10 ID:77OK/gl00
「そうですか……紫苑さん、あなたは僕の命の恩人です! もしよければ、僕と結婚してくれませんか?」
「ええ、喜んで」
 瑞穂王子のプロポーズに、紫苑姫は喜んで承諾しました。
「あの……瑞穂王子様、紫苑姫様、奏たちもお仕えさせていただきたいのですよ」
「わ、私たち、長年瑞穂様にお仕えするのが夢だったんです!」
「何の役にも立たない小人二等兵ですけど、よろしくお願いします!」
「ええ。あなたたちのような可愛い小人さんでしたら、大歓迎ですわ」
「もちろんだよ。奏ちゃんも由佳里ちゃんも一子ちゃんも、一生懸命頑張ってくれたものね」
 こうして、瑞穂王子と紫苑姫は、3人の小人とともに、末永く幸せに暮らしましたとさ。

 ちなみに、まりや王妃と鏡の精貴子は、ほどなくして仲直りしたそうです。

Fin

148 :東の扉:2009/06/02(火) 13:50:09 ID:77OK/gl00
以上です。お目汚し失礼いたしました。

149 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/08(月) 00:00:01 ID:YN8uZPGW0
皆様おはようございます。6月8日、爽やかな朝を迎えました。
まりや話?を投下します。貴子エンド後の話です。
私はやるきばこ2は(多分永遠に)未プレイなので、設定とかに矛盾があっても知りません。(無責任)

150 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/08(月) 00:03:00 ID:iZINF6zi0
『右左』

アメリカへ留学していた御門まりやが、久方ぶりに日本に帰って来た。
帰国したまりやを祝う為、御門邸で盛大なパーティーが開かれた。

まりやは貴子に「この後瑞穂ちゃんとふたりきりで過ごしたいなぁ」とお願いしたが、あっさり却下された。
「わたくしの婚約者を寝取るつもりですか?!」
「んな事しないって。瑞穂ちゃんと貴子がラヴラヴなのはイヤって程わかってるから。
 あたしはただ幼馴染と積もる話をしたかっただけよ。何でそんな物騒な想像するかなぁ」
結局パーティーが終わった後、まりや・瑞穂・貴子の3人でのんびりする事になった。3人なら問題無い様だ。

「しかしまぁ、あたしが留学に行ってる間に、貴子は自分の居場所を完全にモノにしたわね」
この言葉に喜んだのは、貴子ではなく瑞穂だった。
「本当に、貴子にはいつも助けられてるよ。公私共に……ね」
「ありがとうございます瑞穂さん。これからも瑞穂さんのお力になれる様頑張りますわ」
「……何で瑞穂ちゃんにしか礼を云わないかな。あたしが珍しく貴子の事を褒めてるってのに」
「まりやさんがおっしゃると、何か裏があるのでは?と勘繰ってしまうのです」
「別に裏なんて無いわよ。貴子って会社では『社長の右腕』なんて呼ばれてるんでしょ?」
鏑木テクスタイルプランニングは、近年着々と業績を伸ばしている。その原動力になっているのは、
新たに就任した社長『鏑木瑞穂』&社長室長『厳島貴子』の存在だ……と云うのが全社員共通の認識になっている。
「『右腕』などと呼ばれるのは気恥ずかしいのですが」
「いやいや、貴子にピッタリな称号じゃない」
「何故ですか?」「何で?」

151 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/08(月) 00:06:00 ID:iZINF6zi0
「だって……貴子って右寄りだし」
「「は?」」
「あれ?意味わかんない?堅物の貴子には『右』って単語がお似合いだと思うけど?」
「……やはり裏があったではないですか。大きなお世話です!」
「だから褒めてるんだって。瑞穂ちゃんは肝心な時に甘い所があるからね。
 要所要所で貴子みたいなのがビシ!っと締めてくれた方が良いのよ」
「まりやさん……」
「貴子の事を褒めてくれたのを喜ぶべきか、僕がヘタレなのを嘆くべきか……orz」
「ま、これからはあたしも鏑木テクスタイルプランニングを盛り立てて行くから、大船に乗った気でいなさい!」
「あはは、よろしく頼むよまりや。そうすると、まりやは『左腕』になるのかな?……左寄りだし」
「まりやさんの場合、『左』と云うよりは、ただ単に無秩序なだけだと思いますが」
「うんにゃ、あたしは左腕にはならないわよ。あたしは瑞穂ちゃんの『左手』になるから」
「「は?」」
「あれ?意味わかんない?」
「うん、わからない」「わかりませんわ」

152 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/08(月) 00:09:00 ID:iZINF6zi0
ここでまりやは、少しだけ顔を赤らめた。
「あのね瑞穂ちゃん。貴子に飽きたらいつでもあたしの所へいらっしゃい。あたしが左手で慰めてあげるから。
 瑞穂ちゃんもある意味左寄りだからね……」
「ぶはっ?!……ケホッ!ケホッ!」
明らかに瑞穂は動揺している。
「……何だか良くわかりませんが腹が立ちますわね」
「ま、まま、まりや?!それってどう云う意味かな?」
「どう云う意味って、あたしに云わせる気?うら若き乙女のあたしに?!……ハッ!これってもしかして羞恥プレイ?」
「いや、まりや、乙女って……」
明らかに瑞穂は引いている。
「瑞穂さん、その態度はまりやさんに失礼ですわ。まりやさんは正真正銘の『おとめ』ですから」
「「え?」」
瑞穂とまりやは目をパチクリさせた。
「そう、まりやさんは『おとめ』ですから。『乙女』ではなく『処女』と書いて『おとめ』ですから」
「……流石に『処女』じゃない方は云う事が違うわねぇ」
何やら雲行きが怪しくなってきた。

「まあまあ、貴子もまりやも落ち着いて……」
瑞穂が効果の薄い仲裁を試みる。
「ま、おふざけはこれくらいにして……
 瑞穂ちゃんと貴子はこれから夫婦になるんだから、隠し事とかしない関係にならないとね。
 瑞穂ちゃんのアッチ方面の遍歴とか教えといてあげようか貴子?」
「結構です!まりやさんはそう云うのは意図的に脚色しそうですから、瑞穂さんに直接伺います。
 み・ず・ほ・さん!帰ってからゆっくりお話を伺いますね。まりやさん、今日はこれで失礼致します!」
「そ、それじゃまりや……」
貴子は瑞穂を引きずりながら御門邸を後にした。

「貴子に捨てられたら、いつでもあたしの所へウェルカムよ!」

153 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/08(月) 00:12:00 ID:iZINF6zi0
帰り道……

「貴子……怒ってる?」
明らかに瑞穂はビクビクしている。
「怒ってはいないですが。そうですね……例えるなら、DVDを叩き割ってメーカーに送り返したい気分でしょうか」
「……ソレハオコッテルトイフイミデハ?」
「大丈夫ですよ瑞穂さん。わたくし過去にはこだわりませんから。
 ただ、現在(いま)とこれからは瑞穂さんが誰のモノか?……と云う事を再確認しないといけませんわね。
 今夜は寝かせませんから、覚悟しておいて下さいね」
「……はい」

傍から見ると瑞穂が貴子に押されっぱなしなのだが、家に帰り、寝室でふたりきりになると立場が逆転する。
案外貴子は、その点に関して学習能力に欠ける様だ。

「ねえ貴子。叩き割ったDVD……元に戻してよ」

『完』


「昔は兎も角、今の貴子は十分に『左』よね……
 ま、瑞穂ちゃんを独占してるんだから、これくらいのイジワルは許容して貰わないとね。にゃははっ!」

154 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/08(月) 00:15:00 ID:iZINF6zi0
以上、安田記念で4番9番2頭軸の3連複流しを買って涙目のばんくーばーがお送りしました。rz
タイトルの読みは特に考えてません。『みぎひだり』でも『うさ』でも『みずほちゃんぷりちー』でも御好きな様に。

※お詫びと訂正
 瑞穂お姉さま聖誕祭時に乾杯した酒は、『発泡酒』ではなく『第3のビール』でした。お詫びして訂正致します。

それでは……缶チューハイで乾杯!まりあさん誕生日おめでとう!
「……それ、去年もやったわよね」

155 :名無しさん@初回限定:2009/06/08(月) 00:22:10 ID:YAIB66Lc0
>>154
あたしは(ry
ばんくーばーさん、お疲れさまです。



156 :名無しさん@初回限定:2009/06/15(月) 03:21:57 ID:MCUGQESF0
久々に来たら新作が。
>>154
お疲れ様です。やるき2未見はうらやましいです。

157 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 20:36:01 ID:JN6LR48t0
まりや話書いてて中断してたんですが、やっとの事でいつものシリーズ7話その3を書き終えたので投下します。

158 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 20:37:42 ID:JN6LR48t0
『瑞穂と薫子と』〜決着〜

「今日は寮に誰も居ないんです」
「……え?」
「「……」」
先程よりも甘い沈黙がふたりを包んだ。しかし……

グーーーッ!ギュルルルルル!!
「「?!」」
薫子のお腹の音が全てをぶち壊した。
「ぷっ……くくくっ」
「……あはは。なんか気ぃ〜抜けちゃいました」
気心の知れた男友達の様な関係。ふたりにはそれがお似合いなのかもしれない。

159 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 20:40:47 ID:JN6LR48t0
約2時間半後、瑞穂と薫子は学生寮櫻館に到着した。
道場を出発するのが遅れたのは、ふたりの足の回復を待っていたからだが、もうひとつ……

 「さ、瑞穂さん。着替えましょうか一緒に」
 「え?い……一緒?!」
 「あたしは瑞穂さんの彼女になったんでしょう?それなら問題無いですよね?
  と云うか、今になって腹が立ってきました」
 「腹が減っている……では無くて?」
 「ッ!……瑞穂さん。紫苑さんに着替えを手伝わせてましたよね?男なのに。
  聖應に在学中なら兎も角、彼女でもない女性にそんな事をさせるのはどうかと」
 「そ、それは紫苑さんが……」
 「えーえー、わかりますよ。瑞穂さんは『そ、そこまでしていただかなくても』って云ってるのに、
  紫苑さんが『瑞穂さん、私たちお友達でしょう?』なんて良くわからない事を云って、
  瑞穂さんの着替えを強引に手伝うんでしょう?
  そんな事が何回かあって、瑞穂さんは断る気力を失ってしまいました……と」
 薫子は、瑞穂と紫苑の口調を真似て見せた。
 「どこまでもその通りなのは、薫子……の推理力を褒めるべきなのかな?それとも僕の性格がわかりやすいだけ?」
 「百歩譲って今までの事は無かった事にしますから、
  たった今から瑞穂さんの着替えに立ち会っていい人間はあたしだけって事で。ドゥーユーアンダスタン?」
 「ア……アンダスタン!」

キレ気味の薫子をなだめるのに時間がかかってしまった様だ。

160 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 20:44:07 ID:JN6LR48t0
薫子の宣言通り、寮には誰も居なかった。
奏はエルダーとして、由佳里と初音は運営側で、降誕祭に参加している真っ最中だ。

「誰も居ないけど、ただいま帰りました〜っと!」
「……空腹の割には元気だね。お邪魔します」
「まだ引っ張りますか。ま、お腹が空いてるのは事実だから、何か食べようかな」
薫子は冷蔵庫を漁ろうとしたが……
「ん?薫子ちゃ……薫子、コレ……」
瑞穂が食卓の上に置いてある便箋を発見した。

「何ですかコレ……お姉さま?!」
便箋に書かれていたのは、奏からのメッセージだった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 前略

 お姉さま、薫子ちゃん、おかえりなさい。そしてお疲れ様です。
 極度の空腹時にいきなり重い物を食べると胃に良くないので、大鍋に野菜スープを作っておきました。
 ゆっくり、良く噛んで召し上がって下さい。
 病気でも無いのに、一日以上食事を抜くなどと云う無茶な真似は、二度としないで下さいね。
 餓死寸前カップルなんて、私は見たくないですから。
 
 私は、世話が焼ける姉と妹を持って、本当に幸せです。
 おふたりが恋人同士になった事を、心から祝福致します。

                                                             草々

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

161 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 20:46:47 ID:JN6LR48t0
「「……」」
短いながらも突っ込み所満載の内容に、ふたりの表情は完全に固まってしまった。
現在の自分の表情を相手に見られたくない、そして相手の表情を見るまでもない……そんな状況だ。
「お姉さま……盗聴器でも仕掛けてるのかな?」
「……そんな事、奏ちゃんはしないでしょう」
「もちろんわかってますよ。もしかしてあたし達って、ふたりまとめてお姉さまの掌の上ですか?」
(お姉さまはわかってたんだ。あたしと瑞穂さん、どっちが勝っても同じ結果になるって事……)
「否定できな……」
グーーーッ!ギュルルルルル!!
「「?!」」
「……い、今のはあたしじゃないですよ?」
「あはっ、あはははは……」
瑞穂のお腹の音と乾いた笑いが全てをぶち壊した。

ここでようやく、薫子は瑞穂の違和感の正体に気付いたのだった。
「な〜んだ。瑞穂さんも食事を抜いてたんですね」(そこまで同じか?!)
「……僕は僕なりに、本気で勝ちにいったって事だよ」


……
「「ごちそうさまでした!」」
約2日ぶりの食事を終え、ふたりは元気な笑顔を互いに向けた。
「それじゃ片付けます」
「僕も手伝うよ」
「いえ、瑞穂さんはお客様ですから、休んでて下さ……おっとっと」
薫子が勢い良く立ち上がったのと同時に、食卓の端っこに置いておいた便箋が床に落ちてしまった。
「僕が拾うよ……って、ええっ?!」
拾い上げた便箋を見て、瑞穂は驚きの声を上げた。
「どうしたんですか瑞穂さん?」
「こ、これ……裏にも何か書いてある!」

162 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 20:49:45 ID:JN6LR48t0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 追伸

 お姉さまのお部屋は、綺麗に掃除しておきました。
 私と由佳里ちゃん、そして初音ちゃんは、午後10時までここには帰りませんので、
 ふたりでゆっくりしていって下さい。
 念の為、内側から鍵を掛けておいて下さいね。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「「……」」
微妙な空気が場を支配した。
「お姉さま……何て云うか、紫苑さんに影響され過ぎな気がする」
「いや、もしかすると楓さんの影響かも……って、ふたつとも同義語だった」
「……」
「と、とりあえず片付けよう。僕も手伝うから。
 僕はここを第二の故郷だと思ってるから、お客様扱いはしないで欲しいんだ」
「女子校の寮が第二の故郷ってのは、男としてどうかと思いますが……瑞穂さんならまあいっか!」
「……」

163 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 20:52:55 ID:JN6LR48t0
片付けが終わると、薫子は意を決して声を上げた。
「それじゃ瑞穂さん。部屋に行きましょうか!」
「えっ?!」
「内側から鍵を掛ける必要は無いですよ。
 基本的に瑞穂さんの部屋は『開かずの間』ですからね。それが開いてるなら見てみたいじゃないですか」
部屋の鍵は奏が管理していて(たまに掃除をする為)、それ以外の者は原則として部屋には入れない。
一応瑞穂も合鍵を所持しているが、自身の卒業以降、部屋には一度も入っていない。
「……別に珍しい物が置いてある訳じゃないんだけれどね」
「瑞穂さんのお母さんの思い出の場所なんでしょ?それだけでも興味有りますよ。
 あたしには、母親の思い出とか全然無いですから……」
「……」
「やだなぁ、そんな顔しないで下さいよ。母親が居なくたって、今あたしは幸せですから。
 あたしは死んだ人の事よりも、生きている人の事を考えて生きて行きたいって思ってるんです。
 過去を振り返るよりも、現在と未来を大切にしたい……なんて、ちょっとキザですかね?
 死んだ人の事を蔑ろにするって意味じゃないですよ。
 過去を振り返るのは、あたし達が爺さん婆さんになってからで良い……ってね」
「それなら僕の部屋なんて、見る必要無いじゃない……」
「いやいや、それはそれ!!これはこれ!!です。
 ぶっちゃけ瑞穂さんがどれだけ可愛らしい部屋に住んでいたのか知りたい……って云う個人的興味ですよ」
「うわぁ……って、見た事ある筈だよね?僕の部屋」
「一応チラっとは。ま、いいじゃないですか。ささっ、行きましょう!」
薫子は瑞穂の事を、背中を押しながら急かした。(感触がお気に入りらしい)
薫子の言動と行動の元になっているのは『照れ隠し』なのだが、案の定瑞穂は気付いていない。

瑞穂の部屋に到着するまでの短い間、ふたりは何を思い階段を上がったのだろう?
甘い期待か?それとも不安か?

164 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 20:55:02 ID:JN6LR48t0
瑞穂はひと呼吸置いてから部屋の扉を開けた。と同時に、ふたりの想いは見事に打ち砕かれた。

「お待ちしてました。お姉さま、薫子さん……」
部屋の中には既に、先客が居座っていたのだ。

「い、一子ちゃん?!」「……ッ?!」
部屋の中でフワフワ浮いている一子を見て瑞穂は驚きの声を上げ、
薫子は控えめ……ではなく、ハッキリと不快に顔を歪めた。
一子の存在そのものを認めていないからか?瑞穂とふたりきりの時間を邪魔されたからか?
瑞穂は前者だと思ったが、正解は……どちらかと云えば後者だった。

「一子ちゃん、どうしてここに?」
「おふたりに……お別れを告げに参りました」
「「ええっ?!」」
「私はここで人間としての生涯を終えました。ですので、幽霊としての最期もここで迎えようと思ったのです」
「……あー、それは良かったですね。それじゃ、さっさと消えて下さい」
「ッ……薫子?!」

165 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 21:00:24 ID:JN6LR48t0
「良いんですお姉さま!薫子さんはこれで良いんです!」
「「?」」
「お姉さまを始め、皆さん私に対して過剰な程優しくして下さいました。でもそれだけじゃダメだったんです。
 私はいつの間にか、そんな皆さんの優しさに溺れてしまっていた。要するに、現実から逃げていたのです。
 薫子さんが怒っているのは、瑞穂お姉さまや、薫子さんのお姉さま……つまり奏ちゃんを、
 私の逃避に巻き込んでしまったからなのだと思います」
「……」
「私が本当に必要としてたのは、私に手を差し伸べる人ではなくて、私に引導を渡してくれる人だったのです。
 私に止めを刺してくれる人だったのです。薫子さんは、そんな私の期待に見事に応えてくれました」
「ん?あたし、一子さんに止めを刺す様な事しました?」
一子の事を全否定しておいてそれは無いだろう……と瑞穂は考えたが、口には出さなかった。
『引導』は仏教用語だろう……と云う突っ込みも、口には出さなかった。

「私はお姉さまのお嫁さんになるのが夢でした。その夢を、薫子さんが見事に打ち砕いて下さいました」
「「?!」」
「私がここに来た最大の、そして最期の目的は、お姉さまのお嫁さんになる方にご挨拶をする事なのですから」
「瑞穂さんのお嫁さんって……話が飛躍し過ぎです!」
「……ところで一子ちゃん。今気付いたのだけれど、
 奏ちゃん・由佳里ちゃん・初音ちゃんって来て、どうして薫子『さん』なの?」
「それはモチロン、お姉さまのお嫁さんになる方に敬意を表して」
「え?!それって変じゃない?一子ちゃん」
「いいえ、私は薫子さんに初めてお会いした時に確信しましたから。この方がお姉さまのお嫁さんになる方なのだなと」
「「……は?」」
「薫子さんは初見で瑞穂お姉さまに憑依した私の存在を見抜いたのです。
 何の躊躇も無く『瑞穂さんじゃない』と云い放ったのです。
 そんな方は、後にも先にも現れません。断言しても良いです!」
「一子ちゃん……」
「尤も、奏ちゃんはそれよりも前にわかってたみたいですが。お姉さまと薫子さんが結ばれるって事を……」
瑞穂と薫子は、互いに顔を見合わせ赤面した。
どうやら一子と奏は、瑞穂と薫子が知らない所で密談(?)していたらしい。

166 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 21:03:26 ID:JN6LR48t0
「お姉さま、今日は降誕祭です!今頃奏ちゃん達はダンスパーティーの真っ最中です。お姉さまも踊って下さい!」
「踊るって、一子ちゃんと?」
「まさか、私なわけないですよ。お姉さまのパートナーはただひとり、そうでしょう?」
一子の視線の先に居る人物が驚きの声を上げた。
「あ、あたし?!ちょっと待って、あたしは……ダンスなんてガラじゃないですよ」
「以前薫子さんと同じ様な事をおっしゃった方は、今では聖應でのソシアルダンスの第一人者なのですが」
「へ?誰ですかそれ」
一子は薫子の問いをスルーした。
「薫子さん。あなたは私に消えて欲しいのでしょう?でしたら証明して下さい。
 あなたがお姉さまのパートナーに相応しい方なのだと云う事を」
「でも……あたし、踊った事ないですよ」
「誰だって最初はそうです。大丈夫、お姉さまがきっちりフォローして下さいますから」
「ええっ?!やれって云っといて、瑞穂さんに投げっぱ?!」
「こう云うモノは、やはりパートナーに教えていただくのが一番ですから。
 私はおふたりが気付かない所を指摘する役目になりますから」
「あ……え……その、瑞穂さん……は?」
瑞穂は数秒程考え込んだ後、薫子に向かって仰々しく礼をして、片手を差し出してみせた。
「ご一緒に、踊っていただけますか?」
「あ、あたしは……」
一子の表情が物語っている。「薫子さんが踊らないなら、お姉さまのパートナーは私ですね」と。
「よ、喜んで!」
一子にノセられてしまった気がするが、もう後には引けない。

167 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 21:05:50 ID:JN6LR48t0
3人は食堂に移動した。食卓などを片付け、踊る為のスペースを作る。
その後薫子は夏服に、瑞穂は(薫子に借りた)冬服に着替えた。
薫子が宣言した通り、一子は瑞穂の着替えに立ち合う事が出来なかった。
「一子ちゃん、制服じゃないとダメなの?」
「ここは聖應女学院の敷地内ですから。踊る時は制服が正装です!
 久し振りにお姉さまの制服姿を見たくなったとか、そう云う事では無いです……よ?」
「何故疑問形?」

瑞穂と薫子はお互いの腕を組み、かなり近い距離で向かい合う。
「うあ……」(これは相当恥ずかしい!)
「どうしたの薫子?」
「薫子さん、お姉さまに見惚れてらっしゃるのですね」
「いや、何と云うか……瑞穂さんって本当に男ですか?ここまで近付いてもわかんないです」
「僕の胸がパットなのを見た癖に。一子ちゃん、ここは僕が薫子に見惚れてるのかを聞く場面でしょう?」
「……あ!モチロン薫子さん『も』お美しいですよ!」
「あからさまにやっつけな意見ですね。ま、瑞穂さんの方が遥かに美しいってのは同意しますよ」
「そんな事ないって。僕は薫子に見惚れてるんだから!……あ゛」
必要以上にムキになってしまった瑞穂が、ふと我に返る。
「ヒューヒューッ!お姉さまと薫子さんはアチチですね!」
「「……」」
瑞穂と薫子は、再び顔を見合わせ赤面した。

「とりあえず、最初はゆっくりやるから。僕のステップに付いてくればいいから」
「簡単に云ってくれますね……ま、やるだけやってみます」
ふたりの事を知らない者が聞くと、かなりぶっきらぼうなやり取りなのだが、これこそが瑞穂と薫子の間合いなのである。

168 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 21:09:36 ID:JN6LR48t0
「それじゃ、まずは基本のステップから。僕が誘導するから付いてきてね」
「はい!」

1・2・3・1・2・3……
パッと見、瑞穂が薫子をやさしくエスコートしている様だが、薫子は瑞穂に付いていくだけで精一杯だった。
「僕が誘導する」と云う宣言そのまま、瑞穂は半ば力づくで薫子の事を動かしていた。
理屈で覚えさせるよりも、身体に直接教え込んだ方が早い……と云うのが瑞穂の判断だった。
(な、なるほど……)
瑞穂が左足を引いたら薫子は右足を出す。瑞穂が右足を横にしたら薫子は左足を横にする。
極々短時間で、薫子は基本となるステップを何とか覚える事が出来た。
薫子に素質が有る……と云うよりは、瑞穂の強引な教え方が功を奏したと云うべきか。

「うん、薫子って結構才能有るかも。運動神経抜群だから、これならイケそうだね」
「あ、ありがとうございます瑞穂さん」
「……お姉さま。煽動した私が云うのも何ですが、無茶苦茶ですね」
「まりやを強引に制御してた頃の経験が役に立っ……イタッ!」
突然薫子が、瑞穂の足を踏んづけた。
「み・ず・ほ・さん!踊っている時に他の女の話をするのはどうかと」
「……ごめんなさい」(もしかして薫子って、独占欲全開だったりする?!)
「薫子さんのお尻に敷かれない様、気を付けて下さいねお姉さま」
「あまり自信が無いですorz……そ、それじゃ今度はルーティンを組んで踊るから。一子ちゃん、フォローお願いね」
「了解しましたお姉さま!」
「お、お手柔らかにお願いします……」
「「断る!」」

169 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 21:12:22 ID:JN6LR48t0
……
「ちっがーーーう!そこは右足からのクローズドチェンジです!もう一回!」
……
「おっそーーーい!ナチュラルからリバースへの繋ぎが悪い!ワルツでのターンミスは致命的です。もう一度!」
……
「足元を見ちゃダメです!姿勢が悪く見えてしまいますし、癖になってしまいます。
 足元を見ずに、お姉さまのリードに身を任せる事に専念して下さい!」

本格的な練習が始まった途端、一子が豹変した。

「コーチ!アタイ、アタイもう無理です!」
「「……」」
「何であたしこんな事してるの?おかしくない?コレおかしくないですか?」
「こらこら、いきなり素に戻らない様に。やると決めたら最後までやり通す、それが七々原薫子だよね?」
「うぐぅ……」

170 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 21:15:53 ID:JN6LR48t0
そして約2時間が経過した。

瑞穂と薫子が、食堂の中央でホールドして立つ。
瑞穂は真剣な眼差しで薫子を見つめ、薫子はそれに応える様に見つめ返す。

♪宝石のワルツ 作品418 ワルツNo.2
用意したラジカセ(奏が練習で使っていた様だ)から曲が流れ出し、ふたりは同時にステップを開始させた。

速いテンポでターンを繰り返す為、悠長に次の動作を考えている暇は無い。
薫子は、身体で覚えた動きと瑞穂のリードを信じ、自信を持って円舞を続けていく。
連続したターンが続くポイントで、瑞穂が目で合図を送る。軽く頷き、歩幅を巧みに調整させ身体を回転させた。

集中力が持続している時、薫子は瑞穂の想像をも超える力を発揮する。
では薫子は今、何に集中しているのだろう?

『ダンス(ワルツ)』と云う答えでは60点。『瑞穂が踊っている姿』と云うのが正解だ。
瑞穂の教えで、薫子のダンスもそれなりに見られるモノにはなったが、やはり瑞穂の動きは次元が違った。
(美しい……)
薫子は文字通り、瑞穂に見惚れていた。そしてそれが薫子の動きに良い影響をもたらしているのだ。

瑞穂に引っ張られる様にして円舞は続き、そして再びホールドしてフィニッシュした。
ラジカセから流れていた曲も同時に終了し、場は静寂に包まれた。

……
「凄いよ薫子!こんな短時間でここまで踊れる様になるなんて!」
「あはっ、あははっ……もう足ガクガクですよ」
崩れ落ちそうになる薫子の身体を瑞穂が受け止めた。
「……振り回しちゃってごめんね」
「いえ、意外と楽しかったですよ。でもまだまだです。何時か必ず瑞穂さんの隣の席をあたし専用にして見せますから!」
「そうだね、楽しみにしてるよ。一子ちゃん、見ててくれた?薫子のダンスを……」
一子に感想を聞く為、瑞穂は一子の方に顔を向けた……筈だった。

171 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 21:19:25 ID:JN6LR48t0
「……一子ちゃん?」
瑞穂の視線の先には、何も存在しなかった。
「一子ちゃん?一子ちゃん?!」
何度も呼び掛けるが返事は無い。そして瑞穂は、一子の存在を全く感じていない自分に気付いた。

「……そうか、一子ちゃん昇天出来たんだ。僕と薫子の事……認めてくれたのかな?」
「あー、ようやく消えてくれましたか。これでやっと清々しました!」
「薫子?!云って良い事と悪い事が……」
まさかの暴言に、瑞穂は薫子を叱ろうと薫子の方に視線を戻し、そして見たのだ。
薫子の顔が涙でグシャグシャになっている様を……

「か……お、るこ……」
「やだなぁ、どうしたんですか瑞穂さん。泣いてるんですか?綺麗な顔が台無しですね」
(違う。泣いてるのは僕じゃない!)
「幽霊は居る?居ない?……幽霊の存在を信じる?信じない?
 こんな問いをされたら、あたしはこう答えます。『幽霊なんて存在しちゃいけないんです!』ってね」
「……」
「良い悪いは関係無い。幽霊なんて、この世に居てはいけないモノなんですから」
(もう、もうやめて薫子……!)
何かに耐えかねた瑞穂は、薫子の身体を抱き締めた。

「……うわああああああああああああああぁぁぁっ!」
瑞穂の行動が薫子の緊張の糸を切ったらしい。瑞穂の胸に顔を埋め、薫子は号泣した。
涙で服が濡れるのも構わずに、瑞穂は薫子を抱き締め続けた。

薫子が泣き止むまで。そして薫子が泣き止んでからも。ずっと……ずっと……

『―― Next Episode 〜決別〜』

172 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/16(火) 21:22:09 ID:JN6LR48t0
以上です。某ゲームの縦ロール芸人(某になってない?!)から、派手にパ……引用しちゃいました。
投下ペースが少しずつ落ちてる気がします。改めて頑張らねば。

さーて来週の『瑞穂と薫子』は、
・『瑞穂と薫子と』〜決別〜
・一子視点の外伝(7話裏、タイトル未定)
・奏視点の外伝(7話裏、タイトル決定済)
の三本です。来週も見てくださいね。んがぐぐ……

って違うよ!来週とか無理だし!
というわけで、どれかを書きます。多分……そう遠い未来に。

それでは駄文失礼致しました。

173 :名無しさん@初回限定:2009/06/18(木) 08:53:01 ID:86j+v6wOO
油断してたら続編が来てた…
一子ちゃんの昇天シーンは本編だろうが二次だろうがウルっときますね…
外伝?楽しみにしてます、GJでした!

174 :名無しさん@初回限定:2009/06/19(金) 09:50:55 ID:MCVncMU60
ああもうなんで俺は絵もssも描けないんだ

175 :名無しさん@初回限定:2009/06/19(金) 11:04:37 ID:SauQY9aZ0
>>174
絵やSSのネタを書けばいいと思うよ。
いいネタならきっと職人さんが作品にしてくれるさ。

176 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/20(土) 20:21:31 ID:bx8ToBWx0
奏視点の外伝をちまちま書くつもりが、サクサクと書き終わってしまいました。
来週とか無理なので、今週中に投下しておきます。(マテヤ)

177 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/20(土) 20:24:04 ID:bx8ToBWx0
『白と白』(『瑞穂と薫子』外伝)

12月25日夜。聖應女学院体育館で、毎年恒例降誕祭ダンスパーティーが開かれた。
本来降誕祭とは、12月24日の日没から25日の日没までの間を指すのだが、深い事は気にしないでおこう。

会場にエルダーシスター周防院奏が現れると場が大いに沸いた。告知通り夏服での登場である。
そしてそんな奏の両サイドを固めているのは、ある意味このパーティーの真の主役になるふたりだった。

魚住響姫。放送委員長にして『セイレーンの君』の二つ名を持つ、聖應一の美声の持ち主。
上岡由佳里。生徒会長にして『琥珀の君』の二つ名を持つ、聖應女学院におけるソシアルダンスの第一人者。

「流石はお姉さま。相変わらずの人気ですね」
「そうですね。奏ちゃ……お姉さまの親友として鼻が高いです。
 でも今日の場合、皆さんの注目の半分は、響姫さんに向いてるのではないですか?」
「そうでしょうか?私はあくまで代役ですから、あまり目立ちたくはないのですが」
「それは無理ですね。今日はエスコート役、よろしくお願いしますね響姫さん!」
響姫と由佳里の会話を黙って聞いていた奏が口を挟んだ。
「由佳里さん?本日のエスコート役は、響姫さんと由佳里さんのダブルキャストですよ」
「……え゛?」
「可奈子さんにお聞きになっていないのですか?」
「……」

178 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/20(土) 20:26:26 ID:bx8ToBWx0
由佳里は会場の隅っこに初音の姿を見付け、つかつかと歩み寄り、小声で話し掛けた。
「……初音、これはどう云う事?」
「え?……あの、その……」
「本番では裏方だからって理由で、ダンスレッスンに駆り出されて大忙しだったあたしの立場は?」
今年の放課後ダンスレッスンは大盛況だった。
「騎士の君(七々原薫子)と踊りたい」と云う1・2年生が殺到したのが最大の理由なのだが、
講師のひとりが由佳里だった事も大きな要因のひとつになったのだ。

「その……今回は夏服シングルで参加されている方が例年より多いと云う事で、
 響姫お姉さまおひとりでは負担が大きいだろうから……と、副会長がおっしゃってました」
薫子がパーティーに参加しないと云う事は、かなり前から明らかになっていたのだが、
練習したからには本番でも踊りたい……と云うのが、シングル参加者達の本音なのだろう。
ただ今年の場合、冬服シングルで参加している生徒も多い為、一応バランスは取れている。

「今更だけどさ初音。あたしって本当に生徒会長なのかな?」
「も、もちろんですよ!だからこそ由佳里お姉さまには表舞台で活躍していただかないと!」
「……ふぅ。初音に怒っても仕方が無いわね。どうせあの『黒幕姉妹』が全部仕組んだんでしょ?」
『黒幕姉妹』と云うのが誰の事なのか、説明の必要はあるだろうか?いや無い(反語)。

「なんつーか、踊るって云うよりは踊らされてるって感じね。
 ま、いいわ。それじゃあたしは思う存分踊ってくるから。3人でちゃんと運営できるのよね?」
「は、はい。由佳里お姉さまのダンスの為に頑張ります!」
「なっ?!」
由佳里の顔が赤くなった。初音がたまに見せるストレートな感情表現は、時として由佳里を困らせるのだ。

179 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/20(土) 20:29:04 ID:bx8ToBWx0
色々と異例尽くめなダンスパーティーなのだが、いざ始まれば例年と大差は無い。
ふたりのエスコート役は、それぞれの役目をキッチリと果たし、夏服シングル参加者達を満足させた。
初級者向けの響姫と中上級者向けの由佳里、『静と動』と云ったところか。

今回最も異質だったのは、やはり奏が踊っている空間だったのだろう。
憧れのお姉さまをエスコートすると云う『プチ逆転姉妹』状態が、冬服シングル参加者達を喜ばせた。


中略……ついにラストダンスの時が来た。
ここで薫子が現れるのではないか?と期待した者が結構居たらしいが、無論そんな事にはならなかった。
奏のラストダンスの相手は、何のヒネリも無く響姫が務めた。

♪宝石のワルツ 作品418 ワルツNo.2
「この様な事をお姉さまに申し上げるのは失礼なのかもしれませんが……」
華麗なターンを決めながら、響姫が奏に話し掛ける。
「?」
「やはりお姉さまには夏服が似合いますね。『白菊の君』……云い得て妙なのだと思います」
「ふふっ、ありがとうございます。『セイレーンの君』に惑わされて、調子に乗ってしまいそうです」
「まあ!お姉さま……意地悪ですわ」
「周りの方々に恵まれた結果なのだと思います」
奏と響姫は互いに微笑みあった。

180 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/20(土) 20:31:18 ID:bx8ToBWx0
「それにしても……意外でした」
「……何がでしょう?」
「結局薫子さんが来られなかった事です」
響姫も薫子がここに現れると思っていたひとりの様だ。「無理ですよ」と薫子が宣言したのを知っていながらだ。
「誤解を恐れずに云うならば、薫子ちゃんはここに来てはいけない人なのです」
「お姉さま?!」

「薫子ちゃんがダンスパーティーに参加する場合、冬服で参加する事を求められます。
 しかしそれは、薫子ちゃんの本意ではないのです」
「しかし……お姉さまの相手をされるなら、冬服を着る必要があるのでは?」
「薫子ちゃんと一緒にダンスを踊るべき相手は、私ではないのです。
 薫子ちゃんがダンスを踊る時に着るべき服の色は、黒ではなく白なのです。
 薫子ちゃんは白騎士様……なのですから」
「お姉さま……もしや『白騎士VS.黒騎士』と云うのは……?!」
この時奏が見せた笑顔を響姫は忘れないだろう。
妹と姉に対する深い想いと、極々僅かに存在する悲しみがそこにはあった。

「私の勘が正しければ、今頃薫子ちゃんは……」

奏はまだ知らない。同時刻、櫻館で起きた出来事を……

『完』

181 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/06/20(土) 20:32:03 ID:bx8ToBWx0
以上です。前半部分は書く必要なかったんですが、ゆかりん分が足りなかったのでつい。
由佳里ルート以外だと、ゆかりんはダンスの達人になってない気がしますが、深い事は気にしないでおこう。
一子ちゃん相手に鍛え上げていたって事にしておきます。

今回は軽くお茶を濁させていただきました。
本当は3〜4話あたりから奏ちゃん視点の話を書くべきなのですが、面倒なのでやりません。

これで今度こそしばらくは打ち止めです。少しずつ書き進めていきますのでしばしお待ちを。

それでは駄文失礼致しました。

182 :名無しさん@初回限定:2009/06/21(日) 08:18:58 ID:ePaTMrrUO
乙&GJです!
しばらく打ち止めとのことですが、ちまちまがサクサクになると嬉しかったりします。
おっといけない、つい読み手のワガママが…
とにかく続き楽しみにしてます。

183 :名無しさん@初回限定:2009/06/21(日) 11:01:49 ID:7tiYrK8P0
ばんくーばーさんのもしんみりしてて良いね。
乙です。

184 :名無しさん@初回限定:2009/06/21(日) 23:54:23 ID:26Z9fK0U0
乙・・です!

185 :名無しさん@初回限定:2009/07/03(金) 21:15:03 ID:cAnlGxZX0
保守

186 :名無しさん@初回限定:2009/07/11(土) 11:44:50 ID:Ue2SXfPR0
没収^H^H保守

187 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 09:26:17 ID:bHBwhUz80
やっと規制解除されました……。
書いてあったSSを投稿させていただきます。
設定はまりや、由佳里、一子ルートの12月頃です。

なお、バカ話ですので、そのつもりでお読みください。

188 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 09:32:09 ID:bHBwhUz80
「由佳里、最近タイムどんどん落ちてきてるじゃない。どうしたのよ?」
 その日、グラウンドでは陸上部を引退して後輩の指導に来ていたまりやが、由佳里に声をかけた。
「どうって言われても……一生懸命走ってますよ」
「そうは見えないけど……ていうか、あんたやる気あるの?」
「だって、最近サボってる人も多いし……私だけそんなこと言われても……」
 こりゃやる気出させるようにするのが先決ね、とまりやは思った。

〜虎を出す鬼ごっこ〜

「というわけで、由佳里のやる気を出させるには、どうすればいいと思う?」
「それは……走ることの面白さを感じさせるのがいいと思うのですよ……」
「走ることの面白さ?」
 夕食後、まりやは瑞穂と奏を呼び出して意見を聞いてみた。
「はいなのです。ただ走るだけじゃなくて、ゲーム感覚で走る方法を見つけるのはどうでしょうなのですよ」
「なるほど。いいきっかけにはなるかもね。瑞穂ちゃん、いい案ある?」
「そうね……鬼ごっことかは?」
「却下。安直すぎ」
「それじゃあ……」
 それから瑞穂は色々意見を出すが、まりやにことごとく却下された。

189 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 09:37:30 ID:bHBwhUz80
「もう、そう言うならまりやも考えてよ。由佳里ちゃんをいじめてばかりいないで」
「いじめてなんか……そうだ! この手があった!」
 呆れた顔で言う瑞穂にまりやはいつもの調子で反論しようとするが、そこでハッとなった。
「この手って?」
「鬼ごっこ。それもただの鬼ごっこじゃなくて、虎を出す鬼ごっこよ」
「虎を出す……って?」
「それはその時になったら教えてあげる。瑞穂ちゃんの協力が必要だから、賛成してくれる?」
「……内容もわからないのに賛成できないよ」
「賛成してくれないなら内容はずっと秘密のまま。きっと由佳里は落ち込んだままね。かわいそ」
「わ、わかったわよ! 賛成します! すればいいんでしょ!?」
「さすが瑞穂ちゃんね。今度の日曜に体育館でやるから、説明はその時するわね」
 確か一休さんでそういう話があったな……おおかたそういう感じの余興でもするんだろう……そう瑞穂は思った。

190 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 09:42:32 ID:bHBwhUz80
 そして、次の日曜日、体育館。瑞穂、まりや、奏、由佳里の4人が集合し、いよいよ特殊な鬼ごっこが始まろうとしていた。
「じゃあ、そろそろ始めましょうか」
 見ると、奏と由佳里が緊張していた。
「由佳里、今日の祭りの主役はあんたなんだから、もっとしゃんとしなよ。
もちろん奏ちゃんも参加していいから、それなりに楽しんでね」
「は、はい……」
「はいなのですよ」
「じゃあ、存分にお楽しみください、お姫様方」
「……ってまりや、虎を出す鬼ごっこって何? 私はどうすればいいの?」
 期待に満ちた表情になった奏と由佳里とは対照に、瑞穂は浮かない顔。
「ああ、そうね。今日の鬼ごっこはずっと瑞穂ちゃんが鬼。そして、身体にタッチするんじゃなくて、
スカートの中を見て、相手の耳元でその感想を言う。そういう鬼ごっこ」
「………!!」
 それを聞いた瑞穂は真っ赤っか。無論奏と由佳里も。
「な、なんでそれが虎を出す鬼ごっこなの!」
「だって、鬼のパンツって虎の皮じゃない。だから、虎を出す鬼ごっこ。おわかり?」
「……それってただのスカートめくりじゃないの?」
「そうとも言うわね」
「そうとしか言わないわよ!」
 ジト目の瑞穂に、まりやはあっけらかん。
「だいたい、それってセクハラじゃない」
「嫌がってるのを無理やりすればセクハラ。相手がやってほしいと思ってたらセクハラにはならないの」
「か、奏、お姉さまにでしたら、是非していただきたいのですよ!」
「わ、私もです!」
「2人もこう言ってることだし、もうやるしかないわね」
「でも……」
 結局、瑞穂はまりや達に押し切られ、鬼ごっこをやることになった。

191 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 09:47:14 ID:bHBwhUz80
「じゃあ始めるわね。イヤだと思ったら動かないでくれれば十分サインになるから、安心してね」
 この鬼ごっこのルールは、走って逃げている者でなければスカートをめくることは出来ない、らしい。
「大丈夫ですよ。お姉さまにされるのでしたら、イヤだと思う人なんていませんから」
「奏もそう思うのですよ」
「そ、そう……」
 期待まんまんで答える2人に、瑞穂は引き気味。
(まあ2人がしてほしいって言ってるならやるべき……か)
 そう思い直すと、瑞穂は2人を追いかけた。
(お、お姉さまが奏のスカートの中をご覧になるために追いかけて来てくださるのですよ)
(お、お姉さまが私のスカートの中を見てくださろうと……)
 奏と由佳里の頭の中は、もう夢の世界にトリップしかかっていた。
 ふわっ。
「ひゃあっ!」
 と、瑞穂が奏に追いつき、スカートをめくって中を覗くと、ピンクの縞模様のパンティが見えた。
「ふふっ、奏ちゃん、可愛い下着をつけてるわね」
「ふにゃあああ……」
 瑞穂が奏の耳元で囁くと、奏は恍惚の表情を浮かべて倒れてしまった。
「奏ちゃん!」
「予想通りね。瑞穂ちゃん、とりあえず奏ちゃんをマットの上に寝かしといて」
「う、うん。じゃあ、次は由佳里ちゃんね」
「は、はい……」
 真っ赤になって走る由佳里を瑞穂が追いかける。

192 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 09:52:46 ID:bHBwhUz80
「まりやさん!」
 と、そこへ、体育館に駆け込んできた者がいた。瑞穂と由佳里も止まって、開いたドアを見る。
「何よ貴子。いきなりわいて出て」
「し、失礼な! それよりどういうことですの、これは!?」
「どうって?」
「まりやさんが今日体育館を使用すると聞いていやな予感がしたら案の定、
聖央の生徒が、なんという破廉恥な催し物を……」
「貴子、頭固すぎ。寮生だけだし、ちゃんと目的もあるんだからいいじゃん」
「まりやさんがいい加減すぎるだけですわ! 目的も、どうせろくでもないものに決まってます!!」
「決めつけられるなんて心外ね。っていうか、参加したいならはっきりそう言えば? 素直に言えば考えてあげるわよ」
「なっ……私がそのようないかがわしい行事に参加するわけないでしょう!!」
「楽しそうですわね。私は参加いたしますわ」
 と、まりやと貴子が言い争っていると、入り口からまた別の声が。
「し、紫苑さま!!」
「紫苑さん、どうして?」
「街を歩いていたら何か楽しそうな予感がいたしましたので。私も参加してもよろしいかしら?」
「もちろんですよ、紫苑さま」
「ま、まあ、紫苑さまがそうおっしゃられるなら……」
 紫苑の参加で、貴子も頬を染めて、小さな声で認めた。
「では、行きますわよ?」
 紫苑の号令で、再びスカートめくり鬼ごっこが再開されようとしていた。
「それでは、用意、スタート!」
 と、まりやが号令をかけた。

193 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 09:57:30 ID:bHBwhUz80
「私も参加させてください!」
「私も参加いたしますわ!」
「私もお願いします!」
 と、その時、またもや入り口から今度は何人もの女生徒が登場した。
「みなさん、どうして!?」
 これには全員がびっくり。
「街で紫苑さまが嬉しそうにこちらに向かっておられましたので、何かいい事があると思いまして……」
「そうしたらお姉さまにスカートをめくっていただけるということらしいですので……」
「あ、これ、少ないけど参加費用です」
 女生徒たちは、次々にそう言ってまりやに3万円ずつ渡す。
「ちょ、ちょっとみんな、あたしゃこんなもんいるなんて言った覚えないって!」
「どうかお納めになってください! せめてこれぐらい出さないと、私たちの気が済みませんから!」
 みんなの必死の気迫に、まりやは圧倒された。
「そ、そう……そこまで言うなら、ありがたくいただいとくわ……じゃあ瑞穂ちゃん、まずはみんなから相手してあげて?」
「わかったわ。じゃあみなさん、よろしくお願いするわね」
 2桁の期待に満ち満ちた瞳に瑞穂は引き気味。そして、鬼ごっこは再開された。

194 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 10:02:31 ID:bHBwhUz80
 ふわっ。
「きゃあっ♪」
「あら、キレイなパンティね」
「きゅうううううう……」
 バタン!
「あなたの下着、ずいぶん色っぽいわね」
「ふにゃああああ……」
 バタン!
「ふふっ、素敵なのはいてるわね」
「はあああああん……」
 バタン!
 こうして、瑞穂がつかまえてスカートめくりをするたびに、気絶した女生徒が増殖していった。
「由佳里と奏ちゃんはそっちをお願い!」
「わかりました!」
「はいなのですよ!」
「あたしはこっちを運ぶから、紫苑さまと貴子はあの娘をお願いね」
「わかりましたわ」
「お任せくださいませ」
 そしていつもメンバーは気絶した女生徒を体育館のマットに寝かせていった。

195 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 10:07:12 ID:bHBwhUz80
「はあ……はあ……」
「疲れましたわね」
 一般生徒全員の分のスカートめくりを達成して一段落すると、全員の疲れが一気に放出し、
しばらく休憩することになった。
 体育倉庫には、気絶した一般生徒たちであふれている。
「じゃあ瑞穂ちゃん、次はあたしたちの番よ」
「まりやたちの番……って」
 やっと終わったと思った瑞穂は、呆れ顔でまりやを見る。
「それでしたら私の方が先でしょう?」
「なんで貴子の方が先なのよ! 主催者のあたしをさしおいて、独断で割り込む権利がどこにあるのよ!」
「まりやさん、参加者から大金を巻き上げるだけじゃ飽き足らず、順番まで独断で決めようなど、
図々しいにも程がありますわ!」
「誰が巻き上げたか! みんな頼んでもないのに寄付してくれたんじゃない!」
「あ、あの……今日の趣旨を考えると、まず私が先じゃないかと思うんですけど……」
 まりやと貴子の言い争いに、由佳里が細々と意見する。
「あなたは黙っていなさい!」
「すっこんでなさい、由佳里!」
「あうう……」
 しかし、ヒートアップした2人には届かなかった。

196 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 10:12:17 ID:bHBwhUz80
「瑞穂さん、どうやらお2人の言い争いは時間がかかりそうですわね。せっかくですから、私にしていただけませんか?」
「紫苑さん……」
 紫苑の言うとおり、2人が収まるにはまだまだ時間がかかりそうだ。瑞穂にも抑えられそうにないし、
紫苑の相手をすることで落ち着くまで待っていよう、瑞穂はそう思った。
「そうですね。それじゃあ紫苑さん、お相手よろしくお願いします」
「こちらこそ」
 瑞穂は知り合い同士だと見られるのが恥ずかしいので、念のため倉庫の扉を閉めた。
そして紫苑が走り出したのを見て、瑞穂は追いつき、紫苑のスカートをめくる。中から黒い花柄のレースの下着が見えた。
「ふふっ、すごくセクシーですね。ドキッとしちゃいましたよ、紫苑さん」
 それを聞いた紫苑、心底嬉しそうに目を細めて、頬を染めてうっとり。そして、しばらく瑞穂は紫苑と鬼ごっこを続けた。

「お姉さま、では次は私が……」
「貴子さん……」
 結局まりやと貴子、2人のじゃんけんで次を決めることになり、勝った貴子が出てきた。
「でででは、よろしくお願いいたしますわね」
「こちらこそ」
 そういう前に貴子は全速力で逃げ出す。瑞穂は必死に追いかける。一方、紫苑も奏と手をつないで体育館から外に出た。
 瑞穂は貴子に追いつき、スカートをめくる。中からはごく普通の飾り気のない白い下着が出てきた。
「可愛いですよ、貴子さん」
「………!!」
 その瞬間貴子の目は見開かれ、全身が真っ赤になった。そして身体が震え……。
 ブーッ!!
 鼻血が勢いよく体育館全体に飛び散った。そして、体育館の床上30cmが血の海になり、
瑞穂、まりや、由佳里の3人の衣服をはじめ身体中がその被害にあった。
 慌てて全てのドアを開け鼻血を外に逃がしたものの、緋紗子先生に見つかり、
説教された上3人で拭き取りをする羽目になり、鬼ごっこはそこで没収試合となった。

197 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 10:17:28 ID:bHBwhUz80
 その夜、瑞穂は……。
「服は洗わなければいけないけど、みんな僕の言葉で幸せそうだったし、まあよしとするかな」
 部屋で自分がスカートめくりした相手の幸せそうな表情を思い出して、くすりと笑っていた。
「って、ちょっと待って! 今日僕のしたことって……」
 ガーン!!
 よく考えれば、何人もの女の子のスカートをめくった上、セクハラまがいの言葉を浴びせてただけじゃないか!
しかもそれで喜んで舞い上がってるなんて!!
「そ、そこまで魂が腐り果てていたのか……僕は……僕はっ……!!」

 一方、まりやと由佳里は……。
「うわーん!! 何が今日は私がお姫様のお祭りですか!!」
 結果的に裏方で忙しかったというだけで終わった上、衣服まで台無しにされた由佳里は、まりやに不満をぶつけていた。
「あはは、ごめんごめん。あんなことになるなんて想定外でさ」
「私の番も回してくれなかったじゃないですか! もうこうなったら陸上部やめてやります!」
「腐るな腐るな。そんなに由佳里にセクハラ願望があるなら、あたしがいつでもやってあげるからさ」
「お断りします! 私は瑞穂お姉さまにしてほしいんです! まりやお姉さまは願い下げです!」
「なんだとー! それがお姉さまに対する口の聞き方か! うりうりうり!」
「あたた! 痛い、やめてくださいまりやお姉さま!」

198 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 10:22:08 ID:bHBwhUz80
「それで、お2人ともお部屋にこもっていらっしゃるのですか? 奏、心配なのですよ」
 そういうわけで、その日の夕食にはまりやと奏しか出てこなかった。
「大丈夫だって。瑞穂ちゃんはいつものことだし、由佳里もあたしたち流のスキンシップなんだから、
明日には2人ともけろっとしてるわよ。だから、慌てるほどのことじゃないって」
「なら、よろしいのですけど……」
 結局、次の日由佳里が顧問の先生に退部届けを提出しようとしているのを見て、ようやくまりやは大慌て。
その日の夜、スカートめくりの代わりに瑞穂の腕の中で寝させてもらうということで話は落ち着いた。

「瑞穂さん」
「なんですか、紫苑さん?」
 翌日、瑞穂は相談があると屋上に呼び出された。
「私、以前お話したとおり、体力が弱いですから、体力をつけようかと思いまして。
それで家で瑞穂さんと2人っきりで鬼ごっこをしようと思いますの」
「えっ……?」
「次の日曜は家に誰もいませんから、その日にお願いできますか? 一日中ではお疲れでしょうから、
寝所はこちらでご用意いたしますわ」
 紫苑は、瑞穂を見てくすりと妖しく微笑んだ。

Fin

199 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/07/20(月) 10:30:38 ID:bHBwhUz80
以上です。
今まで3ヶ月も範囲の絞り込みもされずに全規制されてましたから、解除されたここから
またSSを投稿してくださる職人さんが沢山いらっしゃればいいな、と思います。

ちなみに、由佳里ちゃんが瑞穂くんと一緒に寝た時、2人がどんな格好だったのかはご想像にお任せします。

それでは、今回はこれで。お目汚し失礼いたしました。


200 :名無しさん@初回限定:2009/07/21(火) 13:22:05 ID:Z7np2WCnO
また規制されればいいのに

201 :名無しさん@初回限定:2009/07/21(火) 15:16:35 ID:c3o2zlVtO
>>199
GJ!面白かったです

202 :名無しさん@初回限定:2009/07/22(水) 00:26:31 ID:dCj2Agyb0
おつかれー
やっぱおとぼくっていいな

203 :なー:2009/07/23(木) 12:20:09 ID:Aylr+yKG0
ずっと規制されっぱなし。
おバカ業者のおかげで、
メールサーバーのポートまで規制された。
OTL



204 :名無しさん@初回限定:2009/07/23(木) 22:10:07 ID:U7q+ByEl0
理想郷の話だしクロス作品で恐縮だが、瑞穂お姉様と真・恋姫†無双のクロスSSがあるな
まだ序盤だが、ネタじゃなくマジメに書いててなかなか面白い

205 :名無しさん@初回限定:2009/07/24(金) 10:22:01 ID:k0UZV3Qn0
ssで18スレ・・ほんとすごいな・・。このゲーム、
リアルタイムでプレイした人は女装だとかツンデレだとか属性で騒いで終わりで楽だったかもシレンが
後からプレイした俺はFDとかで学園の作風壊れてね、とか紫苑が表紙にいるキャラなのにFDで動かし方雑すぎじゃねみたいに
思えて綺麗に終わった本編に後味悪いの残っちまったんだよなぁ
ssたくさん見て消化不良をなくすか・・

206 :名無しさん@初回限定:2009/07/24(金) 11:43:06 ID:k0UZV3Qn0
あーだめだ、これは駄文か、スマソ、あんま細かく考える俺も馬鹿だな、
作者もネタギレの中依頼されて作った程度にしか考えてないだろう

207 :名無しさん@初回限定:2009/07/25(土) 19:46:33 ID:y3Uy0Z/I0
新参な上に微妙な話題で申し訳ないんだが、どこで聞けばいいかわからんのでここで聞かせてくれ。
おとボクのクロスものに興味があるんだが、何処で探せばいいかね?
自分なりにぐぐってみたり理想郷の捜索の過去ログあさったりしてるが予想以上に見つからない。
そもそもの作品の数が少ないんだろうか・・・
気分悪くしたら済まない。〜〜行けカスでもいいんでヒント頼む。

208 :名無しさん@初回限定:2009/07/26(日) 10:30:28 ID:JVUIJ27t0
>>207
まぜるな危険……ではないが、まぜにくい作品世界なのもあって、はっきり言って数は少ない。
で、ご希望のクロスジャンルは何?

209 :名無しさん@初回限定:2009/07/26(日) 10:41:13 ID:W9I2FsiD0
お!
>208さんがSS書いてくれそうな雰囲気キター!w

身供も前の続き、早く書かなきゃな・・・orz

210 :名無しさん@初回限定:2009/07/26(日) 18:58:19 ID:IVFWSLGq0
>>208
これがいい!というジャンルはあまり無いんだよね。強いてあげるなら同じように高校が舞台の作品かなぁ…
どちらかといえばこういうのはちょっと…という方が挙げやすい。
まったく親和性のないファンタジーやロボットものなんかはイマイチ好きではないかな。
いや上手く融合させてるなら良いんだけどね。>>204の恋姫クロスもチェックしてるし。
とりあえず今のところどの作品のクロスでもいいからチェックしてみたいって思ってる。サンプル例が少なすぎて好き嫌いの判断ができない段階やね。

211 :名無しさん@初回限定:2009/07/26(日) 20:30:45 ID:DZ1f2uwHO
コミケで装丁がコバルト文庫そっくりなマリみてクロスがあった。クロスがミックスか微妙なんだがアイデアはおもしろかった

212 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:06:45 ID:S+LPAcpc0
クロスですか……
以前如月さん家の修ちゃんが聖應に潜入する話ってのを考えた事がありますが、多分気のせいです。

話をぶった切る様で申し訳ないですが、7話その4(ラスト)を投下します。

213 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:11:11 ID:S+LPAcpc0
12月25日午後10時。奏・由佳里・初音の3人が学生寮櫻館に帰って来た。

「由佳里ちゃん、初音ちゃん。今まで足止めしてすみませんでした」
「いやいや、天下のエルダーさまに片付けまで手伝わせちゃったし」
(ダンスパーティーの)片付けと云っても簡単な物で、明日有志が改めて片付ける事になっている。
「あの……何故なのかお聞きしても宜しいでしょうかお姉さま?」
「……そうですね。おふたりには話しておきましょうか」

……
「ええっ?!」「ほ、本当ですかお姉さま?!」
予想通りの反応に、奏は顔を綻ばせた。
「尤も、どちらが先に行動されたのかはわかりませんが。いずれにせよ結果はひとつです!」


玄関前で急に奏が小声になった。
「念の為、そ〜〜〜っと入りましょうか」
「……奏ちゃんって結構小悪魔よね」
そ〜〜〜っと扉を開けて寮に入った3人は、意外な光景に立ちすくむ事になる。

「……おかえりなさい」
聖應の冬服に身を包んだ瑞穂が、食堂の中央でうなだれていた。
「ただいま帰りました。お姉さま、どうされたのですか?」
ここまで悲壮感溢れる瑞穂を見るのは、奏と由佳里に正体を明かした時以来だろうか?


……こうして3人は、瑞穂の口から高島一子が昇天した事を告げられたのだ。

214 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:17:52 ID:S+LPAcpc0
『瑞穂と薫子と』〜決別〜

12月26日早朝。目が覚めた薫子はピンク一色の世界に居た。
「ん、ココは誰?私は何処?……って?!」
一気に覚醒した薫子はガバッと飛び起きた。

瑞穂の胸で(パットだが)泣き疲れて、そのまま(夏服のまま)眠ってしまったらしい。
瑞穂が『開かずの間』に運んでベッドに寝かせたのだろう……と云う事は、容易に想像出来た。
薫子を寝かせた時、奏の手で綺麗にベッドメイキングが施されていたのを見て、
瑞穂は苦笑したとかしなかったとか……

薫子は一旦自分の部屋に戻り、身だしなみを整えた後、階段を降り食堂へ向かった。


「おっはようございます!」
午前7時。既に食卓に着いていた奏達3人に、薫子が元気良く挨拶をしたのだが、元気が良いのは声だけだった。
「おはようございます薫子ちゃん」「……おはよう薫子」「お、おはようございます」

「あれ?みんなどうしちゃったんですか?」
通夜の様な食卓を見て、一子の昇天を3人が既に知っていると云う事を、薫子は悟った。
「その……薫子ちゃん、大丈夫なのですか?」
奏達も落ち込んでいるのだが、薫子の落ち込みっぷりが遥かに勝っていた為(カラ元気なのがバレバレ)、
薫子に対する態度を決めかねている様だ。
「えーっと、大丈夫じゃないですよ。昨日は色々ありましたからねぇ。全身筋肉痛ですよ」
全身筋肉痛と云うのは嘘ではない。最速の一歩&慣れないダンスで、薫子の筋肉は酷使されていたのだ。
尤も、それを口実に本心(?)を誤魔化しているだけなのだが……

215 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:22:59 ID:S+LPAcpc0
「……とりあえず、ひとつだけ宣言しときましょうか。あたしは……謝りません、絶対に!
 瑞穂さんにも、お姉さまにも、由佳里さんにも、初音にも、そしてもちろん一子さんにも。
 あたしは間違った事はしてないですから!」
強気な言葉とは裏腹に、薫子の表情はとても痛々しい。

「「「……」」」
色々薫子には云いたい事があったのだが(特に由佳里は)、皆何も云えなくなってしまった。
一子の「薫子さんって、優しい方なんですね」と云う言葉は、恐らく真実だったのだろう。


結局七々原薫子は、生涯に渡り高島一子を肯定する言葉を口にしなかった。
『何が有ろうが徹底的に隠し通す嘘』と云うのを、自ら実践したのだろうか?

余談だが、これ以降年に一度(11月24日)、一子の墓を訪れる薫子の姿があった。
この日だけは薫子は終始無言になる……と云うのは、共に墓参りをする瑞穂の証言だった。

216 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:28:18 ID:S+LPAcpc0
12月31日朝。学生寮櫻館に居るのは奏と薫子だけだ。由佳里と初音は既に親元へ帰っている。

 由佳里は帰り際、薫子の肩を静かに叩いた。
 「……ま、頑張りなさい逆転カップルさん!」
 「ちょ……?!それはあたしよりも瑞穂さんが傷付くんじゃないですか?」
 奏と初音は必死に笑いを堪えていた。

思ったよりも早く由佳里達は立ち直った。自分よりも遥かに落ち込んでいる者が居る、と云うのが影響したらしい。

薫子も既に立ち直っていた。と書くと「いや、あたしは元々落ち込んでないし」などと突っ込まれそうだ。
今薫子の興味は、過去の事よりも、これから起こる事に向けられている。

薫子と奏は、年末年始を鏑木家で過ごす事を瑞穂から提案された。
「薫子ちゃん。その……今日は薫子ちゃんおひとりで行かれた方が良いのでは?」
奏は瑞穂と薫子に気を遣ったつもりだったのだが……
「……二度とそんな事云わないで下さい。あたしはお姉さまをひとりぼっちにする気は無いですから!
 お姉さまが行かないって云うのなら、あたしも行きませんよ。お姉さま、これだけは覚えておいて下さい。
 今までも、これからも、お姉さまはあたしのお姉さまで、瑞穂さんの妹です。
 お願いですから遠慮なんてしないで下さい!」
「ごめんなさい……いえ、ありがとうございます薫子ちゃん。
 私は幸せ者です。こんなに素敵な妹と姉に恵まれているのですから」
「すみません、ちょっと云い過ぎました。でもねお姉さま、今のってほとんどお姉さまの受け売りなんですよ。
 それに、あの馬鹿でかい屋敷にひとりで行くのは正直遠慮したいです」
「ふふふっ、私には遠慮しないで下さいと云っておきながら、薫子ちゃんは遠慮するのですね」

217 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:32:45 ID:S+LPAcpc0
ピンポーン!
ふたりがほのぼのしかけた所で寮の呼び鈴が鳴った。
「ん?瑞穂さんかな?」
「……まだ午前9時ですが」
しかし今日ここに来る人間は瑞穂以外ありえない。奏は慌てて玄関に向かった。

「おはようございます。薫子、奏ちゃん」
思ったよりも神妙な面持ちで瑞穂が挨拶をする。そして……
「……おはようございます」
瑞穂の後ろに硬い表情をした楓が立っていた。

「おはようございます。瑞穂さん、どうしたんですか?こんな早い時間に」
「その……薫子にお願いがあります」
『お願い』と云う単語に、楓が過剰に反応した。
「瑞穂さま、本当にされるのですか?」
瑞穂と楓のただならぬ雰囲気に、薫子と奏は頭にクエスチョンマークを浮かべた。

218 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:37:54 ID:S+LPAcpc0
……
瑞穂のお願いを聞いて、薫子と奏は仰天した。
要約すると「髪をバッサリ切りたいから、薫子にハサミを入れて欲しい」と云う内容だった。

「こんな事を云うのは母様に失礼だと思うけれど、
 この髪がある限り、僕はずっと『鏑木幸穂の息子』のままなんじゃないかって思うんだ」
「「「?」」」
薫子達3人は「娘でしょう?」と云う突っ込みをかろうじて飲み込んだ。ジョークを云える雰囲気ではなかったから。
「僕の長い髪は、良くも悪くも僕の事を縛る鎖になってしまっていると思うんだ。
 だから……一子ちゃんの事を解放してくれた薫子に、僕の鎖を断ち切って欲しいんだ。
 僕にとってこの髪を切る事は、鏑木幸穂との決別であり、高島一子との決別なんです。
 未来へ進む為の儀式……なんて云うのは、ちょっとキザかな?
 母様や一子ちゃんの事を蔑ろにするって意味ではないよ」
瑞穂は薫子に向かって笑って見せた。
「う〜ん……理由が何であれ、あたしは反対しませんよ。
 鎖だか何だか知らないけど、髪型なんて本人の好きにすれば良いんです。遺言なんて知った事か!ですよ。
 いきなり『モヒカンにする』とか云い出したら流石に反対しますけどね」
楓が睨んでいる気がするのだが、薫子は一切気にしない事にした。

「あっ、そうだ!奏ちゃんにもお願いがあるのだけれど」
「は、はい!何でしょうお姉さま?」
瑞穂は悪戯っ子の様な笑顔で奏に耳打ちをした。

219 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:43:03 ID:S+LPAcpc0
「瑞穂さま、やっぱりやめませんか?旦那様に何と云ったら良いのか……」
「僕の意志が固いって云うのは、楓さんもわかってますよね?」
「……まあ、その」
「楓さんに止められると困るから……奏ちゃんお願いね!」
「はい、お姉さま!」
返事と同時に、奏は楓に抱きついた。
「奏さん?!」
あまりに嬉し過ぎるシチュエーションに楓は戸惑った。
「私……瑞穂お姉さまにフラれてしまって傷心がハートブレイクなのです。楓さん、私の事慰めて下さいますか?」
「も、もちろんです!私で宜しければ喜んで!」
奏を抱き締めた楓は、心の底から幸せそうだ。

「はぁ……やっぱりぷにぷにしてて、奏さんの抱き心地は最高です〜♪」
「お姉さま、薫子ちゃん。ここは私が食い止めますから早く!」
抱き締められながら、奏は瑞穂と薫子に向かって声を上げた。相当わざとらしい演技なのだが……
「よろしくね奏ちゃん!」
「……瑞穂さんって、結構凶悪ですよね」
楓の事を奏に任せ、ふたりは薫子の部屋へ移動した。
「えっ?!瑞穂さまを止め……でも奏さんの感触が……ああっ、私はどうすれば?!」
奏を抱き締めたまま身動きが取れず、楓は困り果てた。

220 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:48:02 ID:S+LPAcpc0
一通り準備を終え、瑞穂は椅子に腰掛けた状態で、薫子にハサミを入れられるのを待っている。
「それじゃ瑞穂さん、どの様に致しますか?」
薫子が瑞穂の髪にハサミを当てた。
「短めにバッサリやって下さい。細かい部分は後で楓さんに調整してもらうから。でも……モヒカンだけは勘弁ね」
「わかりました。やりましょう!」
ザクッ!
「……え?」
瞬きする暇すら与えずに、薫子は瑞穂の髪を豪快にぶった切った。
「こんなもんですかね?……あれ、どうしました?瑞穂さん」
「い、いや、思い切りが良いなあって」
瑞穂は呆気に取られている。
「もっと引っ張った方が良かったですか?
 ドラムロールを鳴らすとか、『この後とんでもない事態が!』なんてナレーションを入れるとか、
 『ショートカットの瑞穂お姉さまはCMの後で!』なんてテロップを表示するとか……」
「……そんな必要は無いね。ありがとう薫子」
「こう云うのは覚悟が出来ない内にやっちゃった方が良いんですよ。
 時間が経てば経つほど、決心が鈍っちゃったりしますからね」
薫子は瑞穂に鏡を見せた。
「うわぁ……自分なのに自分じゃないみたいな感覚だね」
「ショートカットの瑞穂さんも美人ですよ」
「美人はヤメテ……orz」

221 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 21:53:24 ID:S+LPAcpc0
「瑞穂さま!」
奏を抱いたまま移動すると云う荒業を駆使して、楓(&奏)が部屋に乱入したが、時既に遅かった。
「あっ、丁度良い所に。楓さん、微調整をお願い出来ますか?」
「……」
瑞穂の頭と切られた髪の毛の束を交互に見やった後、楓は無言で瑞穂の後ろ髪へハサミを動かした。
少しずつ髪型がそれらしくなっていくのを見て、奏と薫子は楓の器用さに感心した。

「ふぅ……これで宜しいですか?」
楓が仕上げた髪型は、由佳里とほぼ同じ……と表現するとわかりやすいだろうか?無論アホ毛の形は元のままだ。
楓は少し表情を引き締めた後、瑞穂にだけ聞こえる様に耳打ちした。
「瑞穂さん、どうなっても知りませんからね」

222 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:00:52 ID:S+LPAcpc0
奏お手製の昼食の後、鏑木邸に移動した4人は、主人である鏑木慶行に挨拶をする為書斎へ向かった。
しかし……いや、楓が危惧した通り、瑞穂の頭を見るや否や、慶行は客人を放ったらかしにして怒り出し、
一子が乗り移ったかの様なマシンガントークで瑞穂をなじった。
全てを書き出すとキリが無いので割愛するが、要するに「幸穂との約束が……」と云う事らしい。

瑞穂は相当な覚悟で髪を切る事を決めた。故に、慶行に云わせっぱなしにするつもりは無い。
嵐が一旦途絶えた所で、瑞穂は自分の決意を口にしようとした。
ところが、そんな瑞穂よりも速く……もとい、早く動いた者が居た。あえて人名は出さない。

パーンッ!
彼女はつかつかと慶行の前に歩み寄り、強烈な平手打ちをお見舞いした。
吹っ飛ばされただけで倒れなかった慶行は流石だが、他の面々は完全に凍り付いてしまった。
「瑞穂さんは親の道具でも人形でもありません!
 死んだ人の事よりも、今目の前に居る生きてる人を大事にして下さい!
 ……何が『遺言』だ。ふざけるな!」

223 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:04:44 ID:S+LPAcpc0
いきなり彼女が大暴走して、瑞穂はこれから先の事を思い頭を抱えたのだが、結果は予想外のモノになった。
慶行と楓が、薫子の事をえらく気に入ってしまったのだ。慶行がドMだから……ではない。
「なるほど……これからも瑞穂の事を、よろしくお願いします」と、慶行は薫子に向かって深く頭を下げ、
楓は「これからは『薫子さん』とお呼びしても宜しいでしょうか?」などとのたまい、
薫子との間に引いていた線をホワイトで塗り潰した。
慶行は兎も角、何故楓が突然フレンドリーになったのか、薫子には理由がサッパリわからなかった。
その真相を知るのは、何年か後の事になる。

……
慶行がおもむろに幸穂の遺影を取り出し、
「幸穂。お前が生んだ娘が、イケメンの彼氏を連れて来たぞ」
などと発言した為、瑞穂と薫子にボコボコにされた……と云うのは、あくまでも後に語られた噂だ。

「う〜む、瑞穂の嫁にするには惜しいな。せっかくだから、瑞穂の母親になる気は無いか?」
などと発言し、瑞穂と薫子と楓と楓と楓と楓と楓にボコボコにされた……と云うのも、あくまで噂です……よ?

ちなみに「今日はお祝いだ。楓、酒を持って来てくれ!」などと発言し、
薫子達に酒を飲ませようとしたのは本当の事だった。
「父様?!高校生にお酒を飲ませようとしないで下さい!」
「何を云っている。登場人物は全て18歳以上なのだから、問題は無いだろう?」
「……酒と煙草と競馬は20歳からです!」

224 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:07:54 ID:S+LPAcpc0
夕食(年越し蕎麦)後、瑞穂はようやく慶行&楓から薫子を引き剥がし、奏を含めた3人で自分の部屋に退避した。
酒を飲まされるのは何とか避ける事が出来た。
「……はぁ。今日だけで寿命が5年は縮んだ気がするよ」
「私もです。暴力はいけないと何度も云っておいたのに!」
瑞穂は完全にぐったりしていて、奏は薫子を(半ば演技だが)睨み付けている。
「う……ご、ごめんなさい。
 瑞穂さんの事を全否定されたと思って、ついカッとなってやっちゃいました。今では反省してます。
 でも、一応アレでも抑えたつもりなんですよ。グーじゃなくてパーだったでしょ?」
「そうだね。チョキだったら大変だ……って違うよ!兎に角暴力はダメ、絶対!
 打撃とか投げとか関節とかやりたいなら、何時でも僕が相手になるから」
「……そうですね。男5人をあっと云う間に片付けた瑞穂さん。これからもお相手よろしくお願いします!」
「男5人?お姉……瑞穂さま、それって……?」
奏が瑞穂の事を『お姉さま』と呼ばないのは、慶行が在宅だからだろうか?
「薫子も結構意地悪だね」
「そうですか?ここ最近お姉さまがとてつもなく意地悪なんで、伝染っちゃったのかもしれないですね」
「……確かに」

「瑞穂さま?!薫子ちゃん?!」
奏が顔を真っ赤にして怒る様子を見て、瑞穂と薫子は吹き出し、しまいには3人で笑い転げた。
『男5人』のエピソードは、後日薫子が奏に説明したそうだ。瑞穂の格好良さが必要以上に誇張されて……

225 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:10:15 ID:S+LPAcpc0
「あ、瑞穂さん?」
風呂から上がった瑞穂(もちろんひとりで入った)を、楓が呼び止めた。
「何ですか?」

「今日は、客間の方にお布団を敷いておきましたから」
「えっ?!」
「一緒に寝て下さい……3人で」
「楓さん……ってマズいでしょう?一昨年とは違うんですよ!」
一昨年は『宮小路瑞穂』だったが、今年は『鏑木瑞穂』なのだ。
しかしそれよりも、奏と一緒に寝る事で、薫子がまたキレてしまうのではないか?と心配したのだ。
「これは私ではなく、薫子さんのご提案なんですよ」
「ええっ?!」


楓が云う通り、客間に布団が敷かれていた。ダブルサイズの布団が一組だけ……
「確かに布団が敷かれてるね、一組だけ」
3人で寝るには少し狭そうな布団。そこに枕がみっつ並べられていた。
「……あの、やはり私は別室で寝た方が良いのでは?」
奏はこの期に及んで遠慮しようとした。
「だ・か・ら!今日はお姉さまをひとりぼっちにはさせませんって。
 3人で寝るのが嫌なら、瑞穂さんを放ったらかしにして、ふたりで寝ましょうお姉さま。
 と云う訳で、瑞穂さんはご自分の部屋へお帰り下さい」
「うん、そうだね。僕は部屋に帰るよ。おやすみ奏ちゃん、薫子。良いお年を!」
瑞穂はあっさり部屋に帰ろうとした。
「あ〜あ、あたしは3人で一緒に寝たかったんですけど、お姉さまがダメって云うんじゃ仕方がないですね」
薫子はわざとらしく肩をすくめて見せた。
「……瑞穂さまと薫子ちゃんって良いコンビですね。多分瑞穂さまの方は天然なのでしょうけれど」
奏は呆気無く薫子に屈した。

226 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:12:57 ID:S+LPAcpc0
「あの……何故私が真ん中なのでしょう?」
薫子・奏・瑞穂と云う配置で、3人は布団に潜った。
中央は薫子の為の空間だと思っていたので、奏は動揺している。
当然だろう。布団が狭い為、瑞穂と密着しているのだから。
「それはバランスの問題ですよ。この配置だと『川』の字っぽくなりますから」
そう云った後、薫子は奏にだけ聞こえる様に耳打ちした。
「……いきなり瑞穂さんと一緒に寝るのは恥ずかしいんで、
 お姉さまにクッション代わりになって貰った……ってのが本音なんですけどね」
「ぷっ……くくく」
「奏ちゃん、どうしたの?」
奏の身体が小刻みに揺れたので、瑞穂は首を傾げた。
「いえ、その……薫子ちゃんがあまりに可愛かったものですから」
「なっ?!」
この時薫子が見せた表情は……ご想像にお任せします。


ゴーン!
布団に入って十数分後、除夜の鐘が始まった。
ふと中央を見ると、奏は既に寝息を立てていた。
「ふふっ、今年も奏ちゃんはダメだったみたいだね」
「お姉さまはもう挑戦しないみたいですよ」

227 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:16:00 ID:S+LPAcpc0
奏が眠りに就いた事で、瑞穂と薫子は少し突っ込んだ話を始めた。
「それにしても……薫子がコレを提案したって云うのは意外だった」
「何でです?」
「その、今までの薫子の言動を考えると……ね」
「お姉さまは特別ですから」
「薫子……」
「それに、お姉さまをひとりぼっちにする様な事をしたら、
 あたしは瑞穂さんに愛想尽かされちゃうんじゃないかって思ったんです。
 髪を切ろうが何をしようが、瑞穂さんは『周防院奏のお姉さま』なんですから」
「……薫子は優しいね」
「優しいのは瑞穂さんですよ」

「ところでさ、改めて聞きたいのだけれど」
「……何をでしょう?」
「薫子のお願いって、結局何なの?」
「は?」
「やっぱり気になるなぁ……と」
「瑞穂さん、本気でわかってないんですか?」
「うん、わかんない」
薫子は瑞穂の凄まじい鈍感さに呆れ果てた。
「……何と云うか、瑞穂さんってある意味絶望的ですね。
 ま、いいや。あたしの願いは、あたしが瑞穂さんに勝ったら教えて差し上げます。
 念の為云っときますが、わざと負けるのはナシですよ」
(既にかなってるなんて云えないじゃない……)
「それじゃ僕は、永遠に薫子のお願いを聞けないのかもね」
「へ?」

228 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:19:26 ID:S+LPAcpc0
「薫子は信じてくれないと思うけれど、僕は生まれてこのかた、何かに勝ちたいと思った事が一度も無いんだ」
「……それって変でしょう?瑞穂さんはあたしにフェンシングを教えてくれたし、
 お姉さまを助ける為に生徒会を敵に回した……なんて話を、由佳里さんに聞いた事がありますよ」
「うん。でもそれは、僕自身が勝つ為ではなかったからね。僕は自分自身には無関心だったから」
「今は違うんでしょ?」
「う〜ん、あまり自信はないのだけれど。でもこれだけは云える。
 薫子に出会って、薫子に惹かれてから、僕の胸に生まれて初めて芽生えた感情があるんだ」
「……?」
「『僕は薫子にだけは絶対負けたくない!』って云う感情がね」
「ええっ?!」

「初めて手合わせした時から考えると、薫子の実力は信じられない程上がってる。
 剣道、フェンシング、空手、合気、他にも色々。後は……ソシアルダンスもかな?
 でもそれと同時に、僕は恐怖を感じたんだ。
 僕が薫子に負けたら、その瞬間薫子は僕に対する興味を失ってしまうんじゃないか……ってね」
「……あー、それは無いですよ。仮に剣道であたしが瑞穂さんに勝ったとしても、あくまで剣道だけですからね。
 頭脳、運動、性格、女らしさ、鈍感さ。あたしは何ひとつ瑞穂さんに勝てないでいるんですから。
 全ての面であたしが瑞穂さんに勝ったら興味を失うかもしれませんが、そんなの不可能ですし。
 だからあたしは、何かひとつだけで良いから瑞穂さんに勝ちたいって思ってるんです」
「何か余計なモノが混ざってませんか?orz」
「もしかすると今のあたしの願いは、『瑞穂さんにだけは絶対勝ちたい!』って事なのかもしれません。
 今でもあたしは覚えてるんです。『男5人』の時に味わった屈辱を……」
「く、屈辱?!」
「あの時瑞穂さんはあたしにこう云ったんです。『お前は足手まといだからあっち行け』って」
「え?云ってない云ってない!」
「言葉のニュアンスはそんな感じですよ。事実瑞穂さんの判断は正しかったんですから。
 生徒会劇の時もそう。あたしは何も出来ずに子供扱いされて……
 だからあの日、あたしは誓ったんです。いつか必ず、瑞穂さんが背中を預けてくれる存在になってやるって」
「……生徒会劇って何の事かな?」

229 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:21:37 ID:S+LPAcpc0
ゴーン!
107回目の鐘が鳴った。もうすぐ年明けだ。

「……今更追及する気は無いからいいや。兎に角あたしは、瑞穂さんに勝つまで……
 いや、勝ってからもしつこく付きまとう気でいますんで、覚悟しておいて下さい!
 勝ち逃げはこの私が許さない……ってね。負け逃げも許しませんけど」
「あはは、それは大歓迎かも。父様も薫子の事を認めてくれたしね」


ゴーン!
年が明け、108回目の鐘が鳴り響いた。

「……あけましておめでとう薫子。今年もよろしくお願いします」
「お、おめでとうございます。こちらこそよろしくお願いしま……んんっ?!」
薫子は最後まで言葉を発する事が出来なかった。奏の頭越しに、瑞穂が薫子の唇を塞いだから……

「ぷはっ!……な、なな、いきなり何を?!」
薫子は目を丸くして驚いている……まあ、当然か。
「嫌……だったかな?」
「え?!い、嫌じゃないですけど……」
「こう云うのは覚悟が出来ない内にやっちゃった方が良い……だったっけ?」
「あたしが髪を豪快にバッサリやっちゃったのを根に持ってます?」
「まさか。薫子には感謝してるよ。これからはニュー瑞穂として頑張るから」

230 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:24:09 ID:S+LPAcpc0
「あけましておめでとうございます、瑞穂さま、薫子ちゃん。
 私の目の前でイチャイチャするのは、それくらいにして貰えませんか?」
「「えっ?」」
何時からなのだろう?奏が目を見開いて瑞穂と薫子の事を見つめていた。

「か、かかかか、奏ちゃん?!」「お、おおおお、お姉さま?!」
綺麗にハモる(?)ふたりが、奏には微笑ましくもあり、シャクでもあった。
「奏ちゃん、何時から起きてたの?」
「私は最初から寝てませんが」
「「は?」」
「紫苑お姉さまの言葉をお借りするなら……
 『この様なオイシイ場面、見逃すとでもお思いですか?』と云った所でしょうか」

「嗚呼、あの純真無垢だった奏ちゃんが……」
(奏ちゃん……それは……それは悪人の表情です、悪魔の様な笑顔です……)
「私がこうなったのは、瑞穂お姉さまを始めとする周りの方々のおかげですから!
 ……あの、瑞穂さま。私の事嫌いになりました?」
「そんな事無いよ。奏ちゃんは大好きな妹だからね」
「……ありがとうございます瑞穂さま。薫子ちゃん、どうかされたのですか?」
何やら考え込んでしまった薫子に奏が声を掛けた。

「……お姉さま、もう除夜の鐘は鳴り終わってますけど」


「「……あっ!」」

『―― to be continued?』

231 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/26(日) 22:25:55 ID:S+LPAcpc0
以上で今度こそ第3部完!といいますか、薫子メインの話はこれで終了です。
一応その1〜その4で、4話でやった起承転結を再現したつもりです。ええ、あくまでつもりです。
エピローグは奏ちゃんが主人公……とだけ。

次回投下する日付がある意味バレバレな気がしますが、それが正解になるか否かは私次第です。

それでは駄文失礼致しました。

232 :208:2009/07/26(日) 23:25:50 ID:JVUIJ27t0
>>ばんくーばーさん
そういう意味での「決別」でしたか……ある意味薫子さんらしいかも。

>>210
オフラインで最近のものとしては「ひとひら」とのクロスが。同人堂通販でまだ売ってる。
ほかにとらハとのクロスとかあったが、もうずいぶん前の話だしなあ……。
マリみてとのクロスならオンラインにもあることはある。
「おとボク マリみて クロス」あたりで検索すると見つかる。

あとは、「おとボク」の登場人物をほかの時空にあてはめたら……といった感じのものになってしまうなあ。

>>209
申し訳ないが、そこまでの力はないので……ごめん。

233 :名無しさん@初回限定:2009/07/26(日) 23:43:07 ID:IVFWSLGq0
>>ばんくーばーさん
少々場違いな話なのでお気になさらずです

>>232
うーんやっぱり相当少ないのか…上二つは機会があれば読んでみるよ。
マリみてクロスはまとめでも紹介されてるのは読了したなぁ。
まとめのもうひとつ、シティハンターのは短かったけど面白かったな。
とりあえず情報ありがとう。気長に探してみるよ。

234 :名無しさん@初回限定:2009/07/26(日) 23:43:54 ID:W9I2FsiD0
マクロス オンラインに見えた。

時空とか出てるしw
まずおれはやらない。

235 :名無しさん@初回限定:2009/07/27(月) 11:01:36 ID:WzeigchA0
駄目だ・・書けない、そして以前より楽しめない・・・前はあんなに楽しく妄想できたのに
畜生・・

236 :名無しさん@初回限定:2009/07/28(火) 01:50:41 ID:NTNIDMsT0
>>231

乙。
相変わらずクオリティ高いなぁ

でもお母さんの遺言は「大きくなった時に好きな髪形にさせたいから当分切らせるな」だから
お父さん怒りはしないんじゃないかと言うところだけ引っかかった
いや激しくうろたえるのはうろたえるんだろうからいいのか?

237 :はんばーぐー ◆dRSEVGhpDg :2009/07/28(火) 20:35:11 ID:ze3Wwtvz0
ご意見ありがとうございます。まったくもってごもっともです。
正直慶行さんのキャラがわかってないので、その辺りは相当アバウトです。
私が知ってる慶行さんの口調って、(瑞穂ちゃんに向かって)「うおおーーっ、幸穂ぉーーーっ!」くらいですし。(違う)

紫苑ルート(だったかな?)をプレイした限りでは、かなり幸穂さんを神格化してるみたいですし、
「髪を切らないで」だけが(慶行パパの中で)ひとり歩きしちゃってるってイメージです、私的には。
むす○(瑞穂)の姿に幸穂さんの面影を見出してるって感じの描写はどこかで入れたかったんですが。
姿形が幸穂さんじゃなくなっちゃったから怒ってるみたいな……

あのシーンでは、瑞穂よりも幸穂を大事にする慶行っていうのを表現したかったんです、ハイ。

以上で納得いただければ幸いです。


瑞穂ちゃんが髪を切った……と言っても、いまいち実感がわいてません。作者本人が。
文章だけではどうしてもインパクトに欠けるので、無理矢理作ったイベント……と言う意味合いもあります。
どなたか挿絵とか描いてもらえませんか?(ぉぃ)
そしたらサクッと話を完結させて、文章を推敲して、本にしてオンリーイベントに出撃するのですが。
1話からエピローグまでで200KB弱って、一体何をやってるんだ私は……orz

まぁすぐにバレる嘘は置いといて、
今日はハンバーグ(一応自作)を食べてスタミナ補充したので、頑張ってエピローグを書きます。
もうちょっとだけお付き合い下さい。

長文失礼致しました。

238 :名無しさん@初回限定:2009/07/28(火) 21:10:01 ID:TW1uZrJ60
>>237
うおぃ!名前ww
それはともかく読みごたえありました。GJ!
エピローグ楽しみにしてます。

239 :名無しさん@初回限定:2009/07/28(火) 23:16:58 ID:zCEubd3Z0
>231
ばんくーばー氏は上手いねえ。GJ!


240 :名無しさん@初回限定:2009/07/29(水) 07:24:58 ID:kBqvyCSA0
>>237
おのれ、ついに正体を現(ry

慶行のキャラはSSスレ標準から外れていないから、気にしなくていいと思う。
あと挿絵は、某チャットあたりで相談するといいと思うよ。
オンリーイベントに出撃歓迎! 待ってます。

241 :名無しさん@初回限定:2009/07/29(水) 16:08:07 ID:Ce/TYKZZ0
師お疲れ様でーす。
半年くらいしたらまた部屋あさってCD引っ張ってくるか

242 :名無しさん@初回限定:2009/08/03(月) 17:01:43 ID:KwwZ7zTr0
まりや「貴子!貴子!貴子!どいつもこいつも貴子!何故奴を認めてこの私を認めねえんだ!」

243 :名無しさん@初回限定:2009/08/03(月) 19:20:22 ID:+zxET61o0
>>242
自分のことを『私』と言ってる時点でパチモン確定

244 :名無しさん@初回限定:2009/08/03(月) 19:37:40 ID:uEcA7F970
CD-ROM版プレイヤーの俺は本編構成上紫苑まりやが1番手2番手とか瑞穂がメインなわけではないとかわかってるから
落ち着いてくれまりやさん・・・確かに今までネタ扱いしすぎたか・・

245 :名無しさん@初回限定:2009/08/03(月) 20:45:47 ID:LEyvDIr90
由佳里「私は・・・どこまでネタ扱いされるんですか? ねぇお姉さま〜」

246 :名無しさん@初回限定:2009/08/03(月) 22:11:14 ID:Nti+Wrhh0
紫苑様「このスレでは存在すら忘れ去られる可哀想なメインヒロインもいるのです。その子に比べたら幸せだと思いませんか?」

瑞穂「で、先程からその髪でぐるぐる巻きにして抱きしめている子は誰ですか紫苑さん?」

247 :オムバーグ:2009/08/07(金) 01:00:48 ID:oVw7rnks0
いつかssを描く。

未だ見ぬ明日への期待に包まれながら僕は睡魔に落ちた
今日より明日、明日より明後日、いつだって未来は光に満ちているのだから

248 :名無しさん@初回限定:2009/08/09(日) 14:10:47 ID:Y3BIN19C0
よく考えれば後方展開の歪みの消化不良感を原料に二次創作してるな俺…
あんまり好きじゃねぇんだよなそういうの・・・なん、だかなぁ・・うーん・・・悩む

249 :名無しさん@初回限定:2009/08/09(日) 15:37:01 ID:92zMzhua0
>>248
それがあなたの「味」ならそれを生かしていこうぜ。

素材を生かすか殺すかはシェフの腕前にかかっている。

250 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:38:57 ID:ACWjmz/C0
盆休みで戻ってまいりました。
なので投下させていただきます。

お姉さまは第72代エルダーシスター ←キーワードです。

251 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:41:22 ID:ACWjmz/C0
『歴代…』


 この日、放課後に恵泉女学院の父母懇親会が体育館にて行われることになっていた。
 懇親会は学院の教職員と生徒の父兄が話し合いを行う定期的な会合である。
 

 ――昼休み。
 生徒会長の貴子の指揮の下、生徒会役員や一般の生徒たちが体育館に机と椅子を並べて会場作りを行なっていた。
 その手伝いの生徒たちの中に、瑞穂の姿も見られる。
 今日の懇親会に来る父兄の数はそんなに多くはなく60人ほど。昼休みの間に会場作りは終了するだろう。
 キビキビと椅子を並べている瑞穂の姿を眺めて、貴子は「ハァ〜」と小さくため息を吐いた。
 実は今日の懇親会について、心配事がひとつあった。

 恵泉女学院にもPTAが存在するが他の学校と違い固有の名称がある。名称は『育優会』という。
 その役割は通常のPTAと同様、保護者と教職員との交流・寄付金・学院支援・生徒教育補助等だが、
組織構成が普通のPTA組織と若干違う。
 会員は恵泉女学院の現生徒の父兄の有志。ならびに学院の卒業生(OG)による有志。強制参加の組織ではない。
 そして役員は現生徒の父兄のみとなっている。父兄といってもここは女学院の為、男性の役員はいない。
 会の内部は新入生部・2年生部・3年生部・OG部の4つの小グループに分かれている。
 それぞれに代表の役員長が一人とその他の役職の数人の役員がおり、PTA会長に相当する育優会会長は、
3年生部代表役員長が就くことになっている。
 今日の父母懇親会は育優会の新、2、3年生部役員の会合を兼ねているのだが、一部の役員の間でエルダーである
瑞穂の評判が良くない。
 瑞穂はつい先日、バスケット部の練習試合の応援で他校に応援に出向いた。
 それがキッカケで他校に小規模ながらエルダーのファンクラブのようなものが出来てしまった。
 これは勿論のこと瑞穂が望んで出来たものではなかったのだが、このことを知った父母の一部に眉を顰める人も出てきた。
 本当にごく一部の人たち、具体的に云うと本日やってくる新入生部の代表役員長とその周辺の数人だけなのだが。

252 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:43:15 ID:ACWjmz/C0
 その人たちが云うには、おしとやかで慎み深く固く貞節を守る、世間にそういうイメージを持たれている恵泉女学院の
生徒の代表たるエルダーシスターがそのような有様なのは如何なものか…。周りに媚を売って人気を稼ぐのは破廉恥では
ないか。まるで芸能人気取りではないかということらしい。
 貴子はこの的外れな内容を先日、家にやって来ていた3年生部の役員と母親の会話を漏れ聞いて偶然知ったのだが、
当の瑞穂や殆どの生徒たちはそんなことは当然知らない。

(あの方は悪い人ではないと思いますが、ちょっと真面目すぎますわね…)
 
 貴子は新入生部役員長のことをそう考えている。
 そもそもこれに関しては殆どの2年生部、3年生部の役員たちは何も云ってはおらず、新入生部役員長と
周りにいる役員だけが問題だと云って声を上げているのだった。
 貴子はこの新入生部役員長のことを知っている。
 厳島系列の製鉄会社の専務取締役婦人でこの学院の卒業生でもあった。
 貴子は以前、会社主催の社交的な催しの席で2度ほど顔を合わせたことがあった。
 挨拶を交わした程度で親しく話をした訳ではなかったが、そのときの印象ではちょっと堅苦しい人物に感じられた。
 つまりは生真面目な人。

(君枝さんが今のままの性格で大人になったらああいう感じになるのでしょうか)

 自分の性格のことは棚に上げて、瑞穂と並んで机を並べている君枝を見ながら貴子はその代表のことを思い出していた。

(今日の懇親会でエルダーシスターについて何か云い出すかも知れませんね。まあ、何か云ったところでこの制度が変わる
などという事はないでしょうが…)

 数人の保護者の意見で長い伝統をもつこの制度が変更させられるなどということは先ずないであろうが、瑞穂を
発端として何か云われるのは貴子としては全く面白くない。「私たちのお姉さま」にケチをつけられている感じがする。
 それに気がかりがもうひとつ。現在の新入生部の代表役員長は、順当に行けば2年後には3年生部の役員長になって、
育優会会長になる。そうなると発言力が段違いに変わる。
 そのときにエルダー制の見直しなどと云われたら将来どうなるか…。


253 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:45:27 ID:ACWjmz/C0
 以前の催しの場で専務取締役婦人が貴子と会ったとき、厳島会長の娘だということで貴子のことをとても尊重して
丁寧な挨拶をしてきたことを思い出した。

(もしエルダーが私でしたら、同じようなことがあった場合何も云わないかも…)

 考えて直ぐに否定する。
 自分だったら他校にファンクラブが出来るなどあり得ない。瑞穂がエルダーだからこそ、この様な騒動になる。
 そして自分の代のエルダーがその様な人物であることに最近、貴子は楽しさと誇りを感じている。
 ともあれ、瑞穂を懇親会に来る父兄と会わせない方が良いと考える貴子。

「貴子さん、机の配置はこれで良いですか?」
 机を並べ終わった瑞穂が貴子に尋ねてきた。
「はい。これで会場の準備は出来ました。お姉さま手伝っていただいて有難うございました。後は私たちでしますので
教室にお戻りください」
 会場作りを行う生徒会の仕事を、瑞穂は自主的に手伝いに来てくれたのだ。今回に限らず、よく瑞穂は生徒会の仕事を
手伝いに来てくれる。その心遣いと優しさはとても嬉しいのだが、今日に限ってはちょっと困ってしまう。
「いえ、最後までお手伝いしますよ」
 にこやかに微笑みながら答える瑞穂。周りにいる生徒会メンバーたちもとても喜んでいる。
 君枝が「有難うございます。とても助かります」などと返事をした。
 それを貴子が、ギンッ!と睨み付ける。
 ビクッと硬直する君枝。
「な〜に殺気立ってらっしゃるのかしらね〜」
 いきなり貴子の背後からまりやが顔を出した。
「ひっ!?ま、まりやさん。いつのまに…」
「ねえねえ、貴子さん。何かあるのかしら〜?」
「な、何もありませんわ。変な勘ぐりは止めてください。それよりも何しにいらしたのですか?」

254 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:46:21 ID:ACWjmz/C0
「もしかしてまりやも会場作りを手伝いに来たの?」
 瑞穂がそう云うと、
「「違う違う」」
 貴子とまりやが揃って手を振った。
「・・・って何でそこは息ぴったりなんですか?」
「まりやさんが自主的に手伝いに来るなんて太陽が西から昇るよりもありえません!」
「その通り!あたしが生徒会の仕事をロハで手伝うなんて日本が沈没してもあり得ないわねっ!」
 フンッと胸をそらして云い切るまりや。
「・・・威張って自分を否定してどうするの?」
「次の授業は体育だから瑞穂ちゃんを迎えにきたの」
「ああそうだったの。有難う」
「ではお姉さまはお戻りになってください。他の皆さんも教室に戻ってくださって結構ですよ。
お手伝い有難うございました」
 貴子は瑞穂に礼を云うと、周りの生徒たちにも声をかけた。
 生徒会のメンバーを除き、手伝いに来ていた生徒たちが教室に戻り始める。
 実際、机椅子は並べ終わったのだから作業は殆ど終わっている。
 後は放課後、懇親会にきた父兄にお茶を出すくらいだ。その程度なら少人数で事足りる。
 だが貴子はお茶出しは自分ひとりでしようと考えていた。
 もしエルダーのことが話題に出てきた場合、そのことを他の生徒の耳に入れたくないからである。
「分かりました。では戻りますね。放課後にお手伝いすることは何かありませんか?」
「ええ、大丈夫です」
 その貴子の表情をじ〜っと見つめていたまりやは、瑞穂の腕を取って引っ張った。
「ほら、早く戻りましょう。着替える時間が無くなっちゃうわよ」
「そ、そうね」
 まりやに引っ張られるように体育館を出て行く瑞穂を貴子は微妙な表情で見送った。



255 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:48:30 ID:ACWjmz/C0
 ――放課後。
 体育館では懇親会が行われていた。
 学院からは教頭以下、数人の担当教師とシスターが参加して父兄たちと議事に則った話し合いを行っていた。
 話し合いといっても殆どが、学院側から父兄に対する報告のようなもので荒れる要素は何も有りはしない……筈だった。
 
 始まって1時間が過ぎた。
 議事予定通りに進んでいればあと30分ほどで終了予定である。
 生徒会メンバーと共に生徒会室に控えていた貴子は、君枝たちがついて来ようとするのを断わり、独りで廊下に出た。
 お茶のおかわりを差し入れる為に給湯室で用意を整えるとポットを載せた配膳台を押して体育館に向かう。

 懇親会は荒れていた。いや変に熱くなっていた。
 中に入った貴子は雰囲気が緊張したものになっているのを直ぐに感じた。
 貴子が僅かではあるが可能性として想像していた展開。
 とても父兄会の雰囲気とは思えない。まるで会社の株主総会のよう。
「厳島さん、どうしましたか?」
 学年主任の教師が貴子に声をかける。
「お茶の替えをお持ちいたしました」
「有難う。そちらの方に置いて退出してくださって結構ですよ」
「はい」
 教師として生徒会長とはいえ、生徒にこのような有様を見せたくはないのだろう。
 貴子にもその意図がわかるので気にはなるが配膳台を置いて早々に退出することにする。
「あら厳島さん。こんにちは」
 新入生部役員長が貴子を見て声をかけてきた。
 貴子も挨拶を返す。
「生徒会長が自らお茶を運んできてくださったのですか。お気を使っていただき恐縮です」
「いいえ。当然のことですから」
「流石は厳島さん。謙遜することもお知りになっていらっしゃる。恵泉の生徒の鏡ですわ」
 やけに貴子を持ち上げる。
 意図が分からず多少、警戒する貴子。

256 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:50:55 ID:ACWjmz/C0
「貴女のような生徒こそエルダーシスターになるべきでしたのに」
「……」
「やはり人気投票のようなエルダーシスターの決め方には問題があるのでは?」
 周りの少数の役員たちの間で、「そうですね」「全くです」といった私語が囁かれる。
 それを聞いて貴子の心に少なからず動揺が走る。
「何度も云ってますがエルダーシスター制度は我が学院の伝統なのですよ」
 教師のひとりがそう云うのに多数の父兄たちが頷く。
「何もエルダー制度を廃止すべきなどと云っているのではありません」
 エルダー制否定側の役員がそう発言するのに他の父兄や教師たちが困惑した表情をする。
「エルダーシスターの選出方法を変更するのは如何かと云っているのです」
「しかし…」
「例えばエルダーシスターになる資格として過去に級長の経験者だけにするとか」
「それではエルダーシスターになる資格者が限られてしまいます」
「では教職員による選抜生徒のみが候補者となるというのはどうでしょうか?」
「それでは生徒による選抜という自主性が損なわれてしまいます」
 目の前で起こった乱暴な内容の応答に貴子は驚いてしまった。
 貴子が入室してくる前の時間から、この場でエルダー制についての議論はされていた。
 そして少数の役員から提起されたエルダー制度の是非について意見が二つに割れていた。
 二つといっても存続と廃止という訳ではない。
 72代続いた伝統を廃止などということは先ずあり得ない。
 それに問題提起した父母たちにしても、エルダー制を廃止しようなどとは思っていない。
 なぜなら育優会には多数の恵泉OGがいるし、かく云う新入生部役員長も卒業生のひとりだからだ。
 この人たちの考えるところは、「エルダーシスターはアイドルではなく、全校生徒の手本たる模範生であるべき」
というものである。
 なのでこの否定派の人たちの頭には、現エルダーシスターは生徒会長が兼任するべきであったとの思いが強くあった。
 もしくはエルダーシスターの発言力をもっと弱くすればよいのではないかとも考えていた。

257 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:53:48 ID:ACWjmz/C0
「ではエルダーシスターをひとりとせずに複数人選出するのは如何でしょうか。たとえば3人とか」
 それほどの人数のエルダーが選出されたらそのカリスマ性は相当に薄れる。
 自然、学院内でもっとも発言力を持つ生徒は生徒会長となり、その次に生徒会役員たち、
それに並ぶ形でエルダーシスターになる。
 その意見を聞いて、教師たちは首を振った。
 それではエルダーシスターは一般生徒にいる二つ名持ちの生徒と変わりがない。
 エルダーシスター選出の意味が全く無くなる。
「あとエルダーに選出されたあと、相応しくないと思われる場合は再選出するなどのシステムも必要ではないでしょうか」
「エルダーに相応しくないと誰が判断するのでしょうか」
「もちろん教職員や父兄です」
「何度も云うようにそれでは生徒の自主性を損なってしまいます」
 教師たちが何を云おうと否定派の父兄たちの意見は頑なだった。
 貴子が考えたように、この人は悪意を持った人ではないのだが、エルダーシスター制がこの学院にとって
良くない影響を与えるものではないかと考えてしまいその影響力を排除しようと突っ走ってしまっている。
 学院側はこの制度を変更したり廃止しようという考えは毛頭ない。
 懇親会に参加している父兄たちも2年部、3年部の役員たちをはじめ、大部分の人たちは現状に不満はない。
 ただこの少数の人たちが云っているだけ。その云っている内容に、そんなこともあるかなという程度にしか考えていない。
「エルダーシスターは学院の代表。全生徒の手本となる人物であるべきではないのですか?」
 そのように問いかけられた教師は頷いた。
「そうです」
「ならば今回のような事態を引き起こした生徒がエルダーシスターであるということについてどうお考えでしょうか?」
 まるでエルダーが問題を引き起こした不良生徒のようなその云い草に、傍で聞いていた貴子は怒りで顔を朱くした。

(なんですのこれは。まさかこのような下らない議論を今までやっていたのですか)


258 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:55:08 ID:ACWjmz/C0
 生徒の手により選び出されるエルダーシスターの選出方法に父兄が口を出すのは完全にお門違いだし、
なにより瑞穂が問題生徒のように話に出されるのは許しがたい。勘違いも甚だしい。
 貴子はその過ちを正したいと思わず口に出してしまいそうになったが、この場での自分の発言こそお門違いである
と思い、口をぐっと引き締めて言葉を飲み込んだ。
「何か問題があるのでしょうか?」
 問いかけられた教師、梶浦 緋紗子は判らないという風に首を軽くかしげた。
 学院側としては特に問題が起こったという認識はない。
 それどころか現エルダーシスターの評判は教師の間でも相当高い。
「困りますわね。そのような低い認識では」
「どのあたりが問題なのでしょうか?」
「現エルダーが自分の存在意義をアイドルと履き違えている節がある点についてです。
学院内で高い人気があるのは聞いていますが、何故外部にまで人気取りに出かける必要があるのですか。
外部に自分のシンパを持とうとする生徒が過去にいましたか?私たちはその様な生徒がエルダーシスターで
あるということに疑問をいだいているのです」
 瑞穂は歴代最高の支持を受けているエルダーなのだからそれ故に過去に例がない問題が起こることもあるだろう、
と貴子は云ってやりたい気持ちになった。
 我慢しきれない貴子が思わず身じろぎをすると、その様子に気がついた学年主任が貴子に、退出を促した。
 貴子としても意見を云う立場ではない以上、もう聞くべきではないと思い退出しようとする。
 周りの大多数が現状支持しているのでは、エルダー否定派が何を云っても今のところは変更されることは無いだろう。
 ただ、瑞穂が誤解されたままなのが悔しくはあったが。

259 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/11(火) 23:55:59 ID:ACWjmz/C0
「厳島さん」
 その貴子に否定派の役員長が声をかけた。
「厳島さん。生徒会長として貴女はどう思いますか?」
「え、私…ですか」
「生徒に直接聞くというのは…」
 学年主任がそう云って遮ろうとする。
「生徒といっても厳島さんは生徒会長。しかも成績優秀な模範生。参考意見としてお聞きしたいのですよ」
 この役員長や周りの役員たちは、貴子が現エルダーに対して否定的な意見を云うのを期待しているようだった。
 否定的な意見を云えば、それを生徒の総意のように拡大解釈してしまおうと考えていることが貴子には分かった。
 まさか自分がこれだけ持ち上げている貴子が、瑞穂のシンパになっているとは新入生部役員長は思ってもいない。
 貴子はちらりと学年主任の目を見た。
 何も云わずに直ぐに退出するようにその目は云っていた。
 続いて緋紗子先生の目を見た。
 こちらは何だか楽しみにしているような、期待するような目をしていた。
 遠慮無しに発言することにする。



260 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:05:44 ID:aH144ZFQ0
 その頃、生徒会室。
「貴子さんが戻ってこない?」
「はい。会長がひとりでお茶の交換に行ったのですが」
 生徒会室にやってきた瑞穂とまりやに君枝が云う。
「もう30分以上になります。何かあったのでしょうか」
「う〜ん」
 まりやが腕を組んで考え込む。
「やっぱアレか」
「なに?心当たりがあるの?」
 放課後に手伝うことは無いから帰宅してもらって良いと貴子に云われていたにも関わらず、瑞穂たちが生徒会室に
やってきたのは、まりやが「いいから行ってみましょ。何かあるかも」と云ったからだった。
「中を覗いてみるということも出来ませんし」
 心配そうな君枝。
「まあ、そんなに心配することはないと思うんだけど」
「まりや。何を知ってるの?」
「まあ知ってるという事じゃないんだけどね。もしかしたら…という程度かなあ」
「だから、ナニ?」
「いやね、昼休みの貴子の様子がちょっとおかしかったから調べてみたの。そしたら育優会について
ちょっと面白いことが分かってね」
「……」

261 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:06:36 ID:aH144ZFQ0
「今年の新入生部の役員長は恵泉の88期卒業生なの」
「…OGってこと?」
 まりやの話を瑞穂や生徒会メンバーが囲むようにして聞いている。
「図書室で卒業者名簿も見てみたけど、間違いないわね」
「で、OGだからどうだって云うの?」
「この人が見当違いのことで怒っているという…」
「は?」
「ま、娘が自分の母校に入学して、自分は役員長になって張り切っているというのは分からないでもないんだけどね。
ちょっと迷惑なのよ。そこで…」
 まりやが瑞穂をビシッと指差した。
「瑞穂ちゃん。お茶のお替りを持って行きなさい」
「はあぁ?」
「もしあたしが思っているようなことになっているなら、きっと何かしら進展があると思うから。
まあ中の様子を見てきてよ」



262 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:09:55 ID:vog8jZM10
 貴子が口を開いた。
「それでは意見を云わせていただきます。人気取りですか。お姉さまはそのような方ではありません」
 予想外の貴子の言葉に多くの父兄たちが意外そうな表情をする。
 父兄たちは自分の娘から厳島生徒会長はエルダーシスターの座を最後まで争ったと聞いていた。
「お姉さまこそ全恵泉生徒にとって模範となるにふさわしい方です。私などよりも遥かに」
 否定派の役員たちが目を白黒させる。
「厳島さん。貴女までまさか人気取りの行動を肯定するなんてことは…」
「お姉さまに絶大な人気が集まっているということの何がいけないのか私には理解できません」
「…まあ」
 役員長は、呆れたという風に首を振った。

263 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:10:58 ID:vog8jZM10
「厳島さんともあろう人がそんなことを云うなんて。貴女のお母様も私たちの意見に賛同してくださってましたよ」
「母は母。私は私です。エルダーはそもそも生徒たちの支持を受けて立つ者。父兄がそれに異を唱えるのはお門違いです」
 貴子は強い口調で否定する。それを受けて眉を顰める否定派の父兄たち。
 自分たちの娘と同年代の者に正されるような口調で云われて相当に不快に感じたものもいた。
「エルダーシスターは恵泉の代表なのです。それに相応しい者が選ばれるべきで人気投票と履き違えて選ばれては
それこそ伝統に傷がつくでしょう!」
 そう云う役員に対し、貴子はきっぱりと否定する。
「それは違います」
 貴子はエルダー選出投票時の壇上でのやり取りを思い出していた。
 あの時の自分はこの役員と同じ論調で瑞穂のエルダーに異議を唱えた。
 そんな自分を諭したのは紫苑だった。
「エルダーの資格とは生徒の自主的な推薦でありそれに伴う憧憬です。生徒全てが目標とする対象。それこそが
エルダーという存在の原動力なのです。私は敬愛する先輩にそのように教わりました。代々のエルダーシスターも
そのようにして選ばれてきたはず。ここにいらっしゃるOGの方々の代のエルダーもそのようにして選出されたのでは
無いのですか?まして現エルダーシスターは過去最多の得票によって選出されました。それ以外になんの資格が必要だと
いうのでしょうか?それとも代々のエルダーも選出方法が間違っていたとおっしゃられるのですか?」
 その言葉に役員たちの言葉が詰まる。
 完全に貴子の勢いに飲まれてしまっていた。
 学年主任はハラハラした様子で貴子を見ている。

264 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:12:41 ID:vog8jZM10
 新入生部役員長は、先ほどの貴子の言葉を聞いて自分の恵泉時代を一瞬、思い出していた。

 自分の一つ上の87期生には、敬愛していた素晴らしい人がいた。

 才色兼備で優しいその先輩は皆に愛される存在だった。

 自分にとっては大変に恩のある人でもあった。

 その人は最上級生になったときにエルダーシスターに選出された。

 自分を始め周りのクラスメートたちも熱狂的にその人を支持したものだった。

「…で、ですが、学生の本分というものは…」
 役員のひとりがかろうじて反論を口にする。
 それに対し緋紗子が反論する。
「本来生徒個人の成績についてこのような場で口にすべきではないのですが、宮小路さんの成績は学年トップです」
 貴子も続けて云う。
「宮小路さんは人格的にも素晴らしい方です」
 その言葉を聞いて、役員長はハッと我に返った。
 確認すべきことがあったのを思い出した。
 以前にその『名前』を聞いたとき、確認しようと思ったのだがつい忘れてしまっていたのだ。
 なぜなら『娘』がいたとは聞いていなかったので、親戚か同姓だろうと考えたからだった。


265 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:18:59 ID:vog8jZM10
 育優会役員たちと教師たちの意見が飛び交う中、新入生部役員長は手を上げてそれを遮り、質問の為に口を開いた。



「現エルダーシスターの宮小路さんという方、お母さまもこの学院の卒業生なのでしょうか?」



 緋紗子が答える。



「22年前の87期生です。お名前は宮小路幸穂さん、第50代エルダーシスターでした」



 その時、体育館のドアが開いて誰かが入ってきた。
「失礼します。お茶の替えを持ってまいりました」
 貴子が「お姉さま!」と声を上げた。
 その声に反応して講堂中の父兄たちの視線がその人物の方へ向いた。

「・・・!!」

 新入生部役員長は驚愕の表情を浮かべて立ち上がった…。




266 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:21:38 ID:vog8jZM10
〜えぴろーぐ〜
 瑞穂のその美しい容姿と立ち居振る舞いに多くの父兄が感心していた。
 しかし美しい容姿に感心するどころではない人たちもいた。
 育優会には恵泉女学院のOGが沢山いる。
 そして年代的に近い所為か87期、88期、89期生が何人か懇親会に来ていた。
 それらの人たちが皆、一斉に息を呑む。
 瑞穂の姿かたち、声までも幸穂に生き写しだった。
 役員長は瑞穂の姿を見て胸を詰まらせていた。

 瑞穂の登場で場の雰囲気は変わった。
 現エルダーを問題視する意見はまるで存在しなかったかのように出なくなり、代わりに瑞穂自身に対する父兄たちからの
興味本位の質問が次々と飛び出した。
 多数のOGや役員たちに話しかけられたり、質問されたりしてそれまでの経緯を知らない瑞穂が戸惑っている。
 それを横にいる貴子が微笑みながら助ける。
 そんな光景を役員長はただ黙って見つめていた。

 何だかよく分からないままに瑞穂が生徒会室に帰ってくるとまりやがいつものにやにや笑いで迎えてくれた。
「遅かったわね。どうだった?」
 訳が分からないまま、起こったことをまりやに説明すると、まりやは「そう」と云って頷いた。
 瑞穂が説明を求めると、
「明日にでも貴子に聞いてみたら良いわよ」
 と云って教えてくれなかった。
 ただ気になることは云った。
「母娘2代のGT制覇。名牝よね〜」


267 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:22:48 ID:vog8jZM10
 次の日、瑞穂は貴子の処へ云って昨日のことを聞いてみた。
 貴子は微笑みながら、
「いえ、何も変わったことはありませんでした。単なる私の杞憂に過ぎませんでしたから」
「杞憂?」
「ええ」
 そう云うだけだった。
 結局、エルダー制度の問題については何ら変更なしということになって終了した。
 あの後、新入生部役員長は 一度だけ、瑞穂に対して、
「貴女のお母さまはこの学院の…」
「はい。卒業生でした」
「そうでしたか」
 という短い会話をしただけで後は何も話さなかった。

 それから数週間後。
 朝、瑞穂が登校すると貴子がやって来た。
「お姉さま、本日の放課後にシスターと保護者の方々の茶話会が催されるのですが…」
「茶話会?」
「はい」
「……ではいつものように私も伺えば宜しいのですね」
「はい。是非お願いしますとのことです」
 それを横で聞いていたまりやが云う。
「またなの?最近頻繁よね〜」
 懇親会以降、保護者行事が急激に増えた。

268 :名無しさん@初回限定:2009/08/12(水) 00:24:28 ID:vNqY7ZPf0
エアグルーヴwww

269 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:29:18 ID:vog8jZM10
 ほぼ週に一回は保護者の集まりが催されている。
 しかも学院主催ではなく、保護者側からの申し入れによるものが殆どである。
「その度に瑞穂ちゃんが呼ばれるし」
「父兄の方々が生徒の意見も聞くために代表者が必要だと仰ってるとかで」
「生徒の意見ねぇ」
「生徒の代表と云えばエルダーシスターだろうと」
「でも私は大したことは云っていませんよ。なんで毎回私を呼びに来るんでしょうか?」」
「先生方からの要望でもありますわ。お姉さまに出席していただくと父兄の方々がとても機嫌が良くなって
議事が大変スムーズに進行するんだそうです」
「なんですか、それは」
 ここのところ立て続けに育優会の議事会を行った為、最近は確たる議題もないままに集まってお茶を飲むだけ
という事が続いている。
 そして本日に至っては茶話会という有様。
「それから本日は学院からはシスターがひとり出席するだけですので」
 意味なくお茶を飲むだけの会に出席するほど教職員も暇ではないのだろう。
「私が出席する意味はあるの?」
「あるわよ。今日もお土産を期待してるわよ!」
 まりやがバンッと瑞穂の背中を叩く。
 出席するたびに瑞穂は、複数の保護者たちから差し入れだと云ってプレゼントを渡される。
 食べ物関係が殆どなので寮に持って帰って、皆で美味しく頂いている。
 何故かハートマークの形のケーキが入っていたこともあったが…。
「さあ行ってこーい!歴代最強の我らのエルダー!」
「とほほ〜」
 学院の生徒のみならず、PTA組織にも発言力を持つエルダーシスターは後にも先にも瑞穂ただひとりのみである。


  Fin


270 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/08/12(水) 00:33:39 ID:vog8jZM10
お粗末さまでした。

最近競馬にも行ってないなぁ・・・

271 :名無しさん@初回限定:2009/08/12(水) 12:27:23 ID:jcp7EfPz0
お盆休みで覗いてみれば

満腹でございます。

272 :名無しさん@初回限定:2009/08/12(水) 16:03:37 ID:YqSRu7280
さすがL鍋さんGJ!
また一つ瑞穂ちゃんが歴代最強エルダーだと証明されましたねw

273 :名無しさん@初回限定:2009/08/12(水) 22:07:13 ID:N/X28r7F0
GJです。
楽しませて貰いました。

274 :名無しさん@初回限定:2009/08/13(木) 12:22:45 ID:MFZF8vEmO
GJです

実は一子さんの同級生かもね
一子「ちょっと挨拶してきますね」
瑞穂「ちょ」

275 :名無しさん@初回限定:2009/08/17(月) 23:54:00 ID:BJLRsclD0
GJです

…が、無粋な感想を。
コレ読んで最初に思ったのは、正体がバレるんじゃないか? でした。
それほどの幸穂スキーなら、幸穂が誰と結婚して、何という名前の子供がいるかくらい知ってても不思議では無いので。

まぁそれさえ考えなければ、いつもの、SSスレ最高級のおもしろさでした。

276 :名無しさん@初回限定:2009/08/18(火) 01:17:52 ID:px10TKAQO
>>270
GJ!

277 :名無しさん@初回限定:2009/08/19(水) 17:10:20 ID:ObQx1UOyO
>275
アニメベースのドラマCD1では、お母さんの同級生に初見からバレてる。

278 :名無しさん@初回限定:2009/08/21(金) 08:39:00 ID:Cg/UfqvuO
CD2じゃない?
CD1はショッピング話

279 :名無しさん@初回限定:2009/08/24(月) 21:41:40 ID:pORCDCo00
スワッピング話と聞いて駆けつけました。

280 :名無しさん@初回限定:2009/08/25(火) 18:24:12 ID:xkAiLSSu0
誰か早く投稿してくれ

281 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/08/25(火) 23:56:04 ID:ao9cwJeg0
皆様ごきげんよう。
少々早いですが、『瑞穂と薫子』最終話を投下致します。
念の為繰り返しますが、奏ちゃんが主人公です。
少し酒が入ってるのできちんと投下できるか不安ですが……

282 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/08/25(火) 23:59:59 ID:ao9cwJeg0
『エピローグ〜本当の逆転姉妹〜』

薫子が大学を卒業した年の十月十日、某教会にて……

リーンゴーン、リーンゴーン……
「あー、これが式場の鐘の音かぁ……素敵ねぇー、貴子さん」
「……そうですね、まりやさん。とても澄んだ音……福音の調べね……」
「「……」」

「あの……まりやお姉さま、貴子お姉さま。
 今日はとてもおめでたい日ですのに、どうしてそんなにタソガレていらっしゃるのですか?」
「いや、どうしても何も……
 な〜んで瑞穂ちゃんが薫子ちゃんとくっ付いちゃってんのかな〜って。
 留学が終わって、久し振りに日本に帰って来たらごらんの有様だよ!」
「そうですわね。瑞穂さんと奏さんと薫子さんが、3人でお過ごしになる事が増えたので、
 わたくし、瑞穂さんと奏さんが結ばれて、薫子さんがそれを見守っているのだ……
 と、しばらく本気で思い込んでいましたから」

「……今の状況って、あたしや貴子よりも、奏ちゃんの方がたそがれ○ン○ーなんじゃないの?」
「私は一部始終を見てきましたから。大好きな姉と妹がご結婚されて、私はただただ嬉しいのです」
「ふ〜ん、でも残念よね。瑞穂ちゃんと奏ちゃんだったらエルダー同士の結婚になったのにね」
そう云いながらまりやが視線を向けた相手は、第75代のエルダーシスターだった。七々原薫子……ではない。
それ以前の問題で、薫子の苗字は既に『七々原』ではない。
「ふふふっ、でも薫子ちゃんは事実上エルダー同然の存在でしたから。
 私は瑞穂お姉さまとは全く違う意味で、前人未到の記録を作ってしまいましたし」

283 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/08/26(水) 00:01:33 ID:ao9cwJeg0
周防院奏が卒業した後のエルダー選挙は、七々原薫子と(生徒会長)皆瀬初音の一騎打ちになった。
正確には、薫子でほぼ決まりだろう……と云う空気が流れていた。

元々『騎士(ナイト)の君』として人気が高かった薫子だが、
最上級生になってから、より一層女性らしさが増した……と学院生達の間で評判になった。
そして更に、持ち前の『凛々しさ』『格好良さ』『運動能力』等も、前年比アップを果たしていた。
瑞穂との間に何かがあった……と云うのが真相なのだが、無論薫子は誰にも語らなかったし、
そもそも薫子には、女らしくなったと云う自覚が全く無かった。

薫子は『白騎士の君』『姫騎士の君』(女性らしさが増したから、奏の称号をくっ付けた等諸説存在する)とも呼ばれ、
エルダー就任確実!と云う気運が次第に高まっていった。

実際エルダー選挙で、薫子は全生徒の約3分の2の票を獲得したのだが、票数が発表された直後、
薫子は間髪入れずに、自分に入れられた票を初音(約3割の票を獲得)に譲渡してしまったのだ。
その結果初音は9割を超える票を獲得し、第75代エルダーシスター皆瀬初音が誕生したのだ。
ひとりのエルダー候補から『直接』譲渡された票数最多……と云う記録を、初音は達成してしまったのだ。

初音自身はエルダーに相応しい器量を既に身に着けていたので、学院生達には意外とすんなり受け入れられたのだが、
事ある毎に「生徒会の仕事が忙しいので」などと云いつつ、エルダーが参加する行事の大半を自分に押し付けていた
……と云うのは、後に薫子が周囲にこぼした愚痴である。

ちなみに初音に票を譲渡した理由を、選挙の直後初音と茉清にだけ語っている。「器じゃない」と一言だけ……

284 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/08/26(水) 00:04:37 ID:8guHiOL90
奏達が見守る中、瑞穂と薫子が周りの人々から祝福を受けている。
そしてまりやと由佳里が「着る服が逆だーーーっ!」とブーイングを飛ばし、場が爆笑の渦に包まれた。
着る服をチェンジするのは、二次会でのお楽しみ……

「それにしても……あのおふたり、夫婦としてうまくやっていけるのでしょうか?紫苑さん」
「あらあら貴子さん……嫉妬ですか?」
「なっ?!そ、その様な事は……」
「大丈夫ですよ。おふたりには円満な結婚生活が約束されていますから」
「そうなのですか?」
「ええ。何故なら……薫子ちゃんが瑞穂さんに初めて告白なさったのは『いい夫婦の日』ですし」
「……」


薫子の父、瑞穂の父、そして瑞穂の『母』が、3人並んで息子と娘の晴れ姿を温かい目で見守っている。
ただし薫子の父は、色々な意味で緊張してガチガチになっていた。

余談だが、瑞穂が薫子と共に七々原家へ挨拶に行った時、薫子の父が、
「ウチのバカ息子が綺麗な嫁さん連れてきた」などと発言した為、
瑞穂と薫子にボコボコにされた……と云うのは、もちろん根も葉もない噂……だ。
「鏑木瑞穂です。よろしくお願い致します」
と云う瑞穂の挨拶に固まってしまったのは本当の事だが……

285 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/08/26(水) 00:07:08 ID:8guHiOL90
意を決して、奏が瑞穂と薫子の元へ駆け寄った。
「おめでとうございます!瑞穂さま、薫子お姉さま!」

「「「「「「「は?」」」」」」」
ありえない呼び名に、聖應時代の奏を知る者達が「何云ってんのこの人?」と云う表情になった。
奏が瑞穂の事を『お姉さま』と呼ばないのは、この場所が一応公の場だからだ。
「……奏ちゃん?」
「お、お姉さま?その薫子『お姉さま』と云うのは……?」
やはり『お姉さま』と呼ばれた張本人が、一番戸惑っている様だ。

「ダメですよ薫子お姉さま。メイドに対して『お姉さま』などと……
 私の事は、今日から『奏』と呼び捨てにして下さいまし」
「ちょっ……」
「瑞穂さまとご結婚されたのですから、今日からは薫子さまも私の『お姉さま』なのです」
「……とりあえず『お姉さま』はやめましょう」
「それでは『若奥さま』とお呼びした方が宜しいですか?」
「うっ……それもちょっと……」
「でしたらやはり『お姉さま』で。これから改めてよろしくお願い致します、薫子お姉さま!」
「いや、あの……だから……」
「『お姉さま』と呼ばれるのがお嫌なら、瑞穂さまとの結婚を取り止めて下さい。
 そうしたら元通り『薫子ちゃん』とお呼びしますから」
「……」

286 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/08/26(水) 00:09:17 ID:ao9cwJeg0
「ねえ初音。奏ちゃんってなんだかんだ云って、薫子が瑞穂お姉さまとくっ付いちゃったのを根に持ってるのかな?」
「由佳里お姉さま。奏お姉さまはその様な小さな御方では無いですよ、物理的な意味ではなくて……」
「……奏ちゃんは年を追うごとに逞しくなったけど、どうやら初音もそうみたいね。
 あたしは『エルダーになると性格が悪くなる』って云うのを提唱するわ。もちろん元祖はし……」

「な・に・か・おっ・しゃっ・た・か・し・ら?由・佳・里・ちゃん!」
気が付くと、由佳里の背後で何やら黒い物体が蠢いていた。
「ひっ……」
一子に初めて会った時など比較にならない程、由佳里の両足がガクガクと震えた。
「し……何でしょう?」
由佳里は恐る恐る声の方に振り向いた。
「し……知らない事がおいでおいでしてる時は、口笛吹いて空き地へ行こう……って話です」
「あらあら……顔色がお悪い様ですが、大丈夫ですか?
 宜しければそのお話、後でゆっくりお伺い致しますわ。そう、ゆっくりと……」

(苦しい……以前の問題だよ、由佳里……)
まりやはこの後の由佳里の運命を想い、心の中で十字を切った。
そして初音はいつの間にやら紫苑の側に付いていて、由佳里の事を憂いを帯びた瞳で見つめていた。
まりやにも初音にも、由佳里を助ける気は全く無い。巻き添えはゴメンだ。

ざんねん!!
ゆかりの でばんは これで おわってしまった!! 14へ行け


「……それはさて置き、今日この場で私に新しい目標が出来たのですが、聞いていただけますか?」
「何かな?奏ちゃん」「な、何でしょう?」
「私の新しい目標は……」
「「目標は?」」

287 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/08/26(水) 00:11:42 ID:8guHiOL90
「お姉さま『方』のお嫁さんになる事です!」
「「「「「「は?」」」」」」
「瑞穂さまのお嫁さん……にはなれなかったので、今日からは愛人路線&3(ピー)路線を目指します!」
『愛人』と云う言葉には、何やら危険な薫りを感じる……筈なのだが、
奏の口から発せられると微笑ましく聞こえてしまうのは何故だろう?

「か、奏ちゃん本気?それは目指してなれるってモノじゃないでしょ……
 って云うか、あなたは本当に奏ちゃんですか?伏字になってないし」
珍しくまりやが動揺している。
「さあ、どうでしょう……でも、なれないと決めつけて努力しなかったら、一生なれないとは思います」
奏はどこまで本気なのだろう?それを知るのは本人のみだ。

「奏ちゃん……わたくしで宜しければ、何時でも奏ちゃんをお嫁さんに致しますのに……」
奏達の背後で何やら黒い物体が蠢いている。
しかし、奏も瑞穂も薫子も、他の面々も、尊い犠牲から教訓を学んでいた。『振り向いたら殺られる』……と。
とりあえず何も見なかった事に、聞かなかった事にした。


「あの……ですね、お姉さま」
「で・す・か・ら!私の事は『奏』とお呼び下さい。
 薫子お姉さまには、鏑木家次期当主夫人としての自覚を持っていただかないと……」
「『薫子ちゃんは何が有ろうが私の妹です』……って云ってた癖に」
薫子は小声で奏に対して愚痴った。
「それは、その……現場においては臨機応変です!」
「……」

288 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/08/26(水) 00:14:17 ID:8guHiOL90
「薫子お姉さまは私の剣!瑞穂……さまは私の盾!」
奏は右手で薫子の左手を掴み、左手で瑞穂の右手を掴んだ。
「奏ちゃん?!」
「兎に角私は、お姉さま方のお嫁さんになれるまで……
 いえ、なってからもしつこく付きまとう気でいますので、覚悟しておいて下さいね!」
本来なら即座に拒絶すべきなのだが、瑞穂も薫子も、それは出来そうにない……と自覚していた。
なんだかんだ云って、3人で過ごすのは心地が良いからだ。
何年経っても瑞穂と奏、そして奏と薫子は姉妹なのだから。何やら序列がおかしな事になっているのだが……


「……あのさ貴子」
「何です?まりやさん」
「奏ちゃんはあのふたりのお嫁さんになるって息巻いてるけど、
 もしかすると、その願いは既にかなってるんじゃないかな〜って気がするんだけど」
「……確かに。瑞穂さんと薫子さんが、奏さんのお尻に敷かれる様子が目に浮かびますわね」
「ま、あの3人が幸せならそれで良いのかもね」
まりやと貴子は、乾いた笑いを互いに向けた。

『―― HAPPY END?』


「申し遅れました。私、鏑木家の家政婦長を勤めております周防院奏ともうしますですっ!」

289 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/08/26(水) 00:17:03 ID:8guHiOL90
えっと、後書きです(笑)
これにて1年かけた(ただ単に遅筆なだけorz)シリーズ『周防院奏無双』(ウソ)完結です、本編は。
「終わり良ければ全て良し」なんて言いますが、要するに「終わりダメなら全てぶち壊し」って事でして、
そういった意味で、今私はビクビクしております。
まぁいざとなったら、本編は7話で終わりって事にして、この話は外伝扱いに(マテ)。
色んな所で風呂敷を広げてしまい、それを畳みきれないまま終わってしまいました。
コレから先の予定は完全に白紙です。SSのネタが完全に枯渇してる……

・完結&奏ちゃん聖誕祭記念オマケ
『瑞穂と薫子』ルビとかに対応したテキストファイル版(本編のみ)
http://uproda.2ch-library.com/lib162970.zip.shtml
煮るなり焼くなり蒸すなり炒めるなり揚げるなり茹でるなり炙るなり、好きにしてやって下さい。
消されるまで置いておきます。

以上、駄文失礼致しました。
奏ちゃん誕生日おめでとう!でもまだお酒は飲んじゃダメ。

290 :DLキー:kana ◆dRSEVGhpDg :2009/08/26(水) 00:18:12 ID:8guHiOL90
おっと忘れ物。やっぱり酒が入ってるとダメみたいです。

291 :名無しさん@初回限定:2009/08/26(水) 00:24:55 ID:z9lTvk+70
>エルダーになると性格が悪くなる説

ちょwww
何と言う命知らずなwww

乙でした
夜中に笑わせてもらいました

292 :名無しさん@初回限定:2009/08/27(木) 04:58:05 ID:e0VThTFN0
>>289
ばんくーばーさん完結おめでとうございます&お疲れさまでした!
読後感もさっぱりで良いSSだったと思います、GJ!
まだ白紙とのことですが、もし良いのが思いついたらまたお願いします。

293 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/08/27(木) 11:02:49 ID:+odhgJVD0
始まりから終わりまで一年を費やした作品、お疲れ様です。
かなりの出来だったと思います。

由佳里ちゃんには、奏ちゃんが自分を守ってくれるいい姉と妹を持った幸せ者に見えてるでしょうね。いろんな意味で(笑)

私は今年は奏ちゃんの聖誕祭記念作品は思いつきませんでしたが、とりあえずおめでとうと言わせていただきます。
またアイデアが湧き上がるかもしれませんので、お互い頑張りましょう。

P.S.14はどこにあるんですか?(笑)

294 :名無しさん@初回限定:2009/09/01(火) 06:12:38 ID:f10hIXyz0
薫子・初音・茉清って、いまいちどんなキャラかわからん。

295 :名無しさん@初回限定:2009/09/03(木) 15:59:37 ID:SO9kW4x6O
薫子 男所帯で育った為がさつな性格とされているまりみてだと見た目は可南子ノリは由乃?
初音 男性恐怖症でガチ。
茉清 見た目 令。性格

296 :名無しさん@初回限定:2009/09/03(木) 16:19:24 ID:rE+rzlPP0
とりあえず薫子だけはどうしても脳内でかわしまりのが割り振られる

297 :名無しさん@初回限定:2009/09/11(金) 21:32:47 ID:OcLpebqb0
ほろほろ・・・
PCのSSDからHDDへデータ移植に失敗して全部消えてしまった。
ロリ画像も猫画像も、SSデータも・・・

このまえのL鍋さんにインスパイアされた「時を駆けるお姉様」が・・・
酒飲んで寝る。ぐぅ。

298 :名無しさん@初回限定:2009/09/11(金) 21:33:21 ID:OcLpebqb0
× このまえのL鍋さんにインスパイアされた「時を駆けるお姉様」が・・・
○ このまえのL鍋さんにインスパイアされて作った「時を駆けるお姉様」が・・・

299 :名無しさん@初回限定:2009/09/12(土) 09:32:37 ID:ZL3lT7LE0
>>297
なにそれ読みたい

300 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:19:58 ID:XUUoTN1e0
シルバーウイークなので戻ってまいりました。
なので投下させていただきます。


前回のつづきをちょっとだけ。

301 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:23:23 ID:XUUoTN1e0
『茶話会の風景』


 御機嫌よう。生徒会黒幕の門倉 葉子です。
 私は今、茶話会の会場のセッティングをしているところです。
 茶話会は少人数で行われる為、会議室を使用しますので会場作りは楽です。
 ですから殆どの場合、放課後に私がひとりでセッティングします。
 ここ最近、恵泉女学院では不定期で保護者たちの茶話会が行われます。
 最初の内は教職員も出席していたのですが、最近は何故か保護者のみの会となっています。
 何故、教職員と関係のない茶話会を学院でする必要があるのでしょうか?
 気になります。
 誰でも気になることは調べますよね?
 だから私もそうします。
 実は茶話会の様子を調べる良い方法を発見したのです。

 茶話会の幹事さんがいらっしゃったので、入れ替わって私は会議室を出ます。
 廊下に出て、直ぐ横の準備室に入ります。
 準備室と会議室は中の壁越しにドアでつながっていて、ここにいれば会議室の声が聞こえるのです。
 会議室側から開けられないように壁越しのドアに鍵を閉めて、椅子に座って聞き耳を立てます。
 準備オッケー、隣の様子が筒抜けです。

 ――ガラッ!!

 いきなり準備室の廊下側のドアが開けられました。
 何もしない内にゲームオーバーでしょうか…。

302 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:24:46 ID:XUUoTN1e0

「あら?!」

 扉を開けたのは御門先輩でした。名門御門家のご令嬢。
 そうです。あの無冠の帝王の御門まりやさんです。

 敵に回したくない三巨頭のひとりです。

 ついでに云うと後のふたりは、紫苑さまと正体不明の受付嬢元締めです。
 ひとりでも敵に回すと、平穏な学生生活は崩壊すると噂されています。
 ちなみにお姉さまと敵対してしまうと自動的に3人とも敵に回ります。
 
 会長はこの連鎖式地雷を踏みました。しかも2回。流石です。

 っと、話を戻します。
 御門先輩が中のドアの前で椅子に座っている私を見てニッコリと微笑みました。
 どうして良いのか分からないのでとりあえず、私も黙って頭を下げて挨拶を返します。

「今日は先客がいたのね。それじゃ私は遠慮しておきましょう」

 この人、今、「今日は…」と云いました…。いつもここで盗み聞きをしているようです。

 御門先輩は怪しい行動をしている私を見ても、何ら動揺を見せずにドアを閉めて去っていきました。
 やはり凄い人です。
 そしてこんなところを見られていながら、取り乱さずに椅子に座り続けている私自身も我ながらナイス根性だと思います。
 とりあえず廊下側のドアの鍵も閉めておくことにしました。


303 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:27:23 ID:XUUoTN1e0
 さて、茶話会は会議室にて行われる為、参加できる人数は約20名ほど。
 それに対し参加希望者は毎回100名を越えるため、くじ引きによる抽選となります。
 当たり籤は裏で超プレミアがついて譲渡される事もあるという…噂もちらほら。
 ただし育優会(PTA)の役員は別枠で5名参加できるという特例が何故かあったりして、
 その為、保護者たちの間では公権力の乱用だという声が上がっていたりいなかったり…。
 
 役員たちやお母さまたちが張り切ってやってきたようです。廊下から話し声が聞こえます。

「一条さん、こんにちは」
「こんにちは、綾里さん。今日はキヨシくんのコンサートでは?」
「向うは押さえです。本命はこちら」

 などと会話しながらご婦人方が、会議室に入っていきます。
 会議室に入るといつも張り切って一番に来ている幹事役の婦人(何故か新入生部役員長)がいます。
 なぜこの人は毎回、出席しているんでしょうか。

「こんにちは」
「こんにちは。お早いですね。あら、綾里さん。確か今日はキヨシ(ry…」
「キャンセルして来ました。ズンドコはいつでも聞けますから」
「その認識は正しいです」

 やって来た参加者が増えてくると、ご婦人方が一箇所に集まって打ち合わせを開始します。

 ・・・しかし茶話会に打ち合わせなんて果たして必要でしょうか?

「ではいつものように確認です。本日が初めての方は10名、2回目の方は6名。あとの方は3回目ですね」

 そう云って出席者の確認しているのは新入生部役員長です。


304 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:32:36 ID:XUUoTN1e0
「本日の贈り物当番はどなたでしょうか?…白鳥さんですか。何を持って来られたのですか?」
「ココアクッキーを持って参りました」
「では拝見させていただきます。…ハート型ですね。まあ良いでしょう。メモなどは入っていませんね」

 ひとりのご婦人が差し出した手作りクッキーが入った箱を、数人の人がチェックしているようです。
 茶話会の時に皆で食べるクッキーかと思ったら大間違い。
 差し入れという名目で許されている生徒個人への贈り物のようです。

「皆が一度に贈ると瑞穂さんのご迷惑になりますから。あくまで差し入れですよ」

 なんと。どうやら贈る相手はお姉さまだったようです。
 メッセージや名前など入っていないか、皆で入念にチェック。抜け駆けなど許さないという雰囲気が伝わってきます。

 キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
 
 そうこうしている内に清掃時間のチャイムが鳴りました。

305 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:33:59 ID:XUUoTN1e0
 チャイムが鳴ってしばらくすると

 コンコン!

 会議室のドアがノックされます。
 部屋の中の出席者の話し声がぴたりと止みました。
 ご婦人方のお一人がドアに向かって声をかけます。

「82%」
「72代」

 合言葉に答えてひとりの生徒が入ってきたようです。

「本日も皆様、御機嫌よう」

 おや、この声は?

「こんにちは。マリさん。いつもお世話をかけますね」
「いえ、とんでもありません。こちらこそいつも御贔屓にして頂き感謝しております」
「私たちの茶話会がこんなにも楽しいのはマリさんのお陰だと思ってますよ」
「ではお互い様ということで」

 驚きです。
 無冠先輩が会議室に再登場しました。しかも偽名を使って。
 かなり怪しいことを云っています。

「本日が初回の方々は10名ですか。全員目的は同じですか?」


306 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:36:29 ID:XUUoTN1e0
 自称マリさんがご婦人方にそう訊ねています。
 
「ではこれを」

 そう云ってなにやら取り出して配っている様子。
 どうやらカードを取り出して新規の10名のご婦人方に配っているようです。

「これは何ですか?」
「エルダーファンクラブ、婦人部の会員証です。但し婦人部は秘密結社ですので決して人には見せないでください」

 それを聞いて、皆さんざわざわとどよめきます。
 怪しげな組織に勝手に入会させられて不安に感じたのでしょう。
 それも無理からぬこと。当然の反応です。

「まあ!ファンクラブがあったのですね」
「ふふ。恵泉時代を思い出しますわ。私も昔はお姉さまを追っかけて…」
「うれしい!抽選に当たって良かったわ。吉田さんにこの会員証見せて自慢しても良いかしら?」
「駄目です」

 逆でした。皆さん、大喜びです。
 それにしても皆さん、かなり末期ですね。

307 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:37:00 ID:XUUoTN1e0
 
「ファンクラブなどと…その様な…」

 おや。ただひとり、強張った声を出している人がいます。
 幹事さん(新入生部役員長)です。
 そう云えばこの方、相当に生真面目な方だと会長に伺ったことがあります。
 保護者が生徒のファンクラブを作るなどと常軌を逸した行動、到底容認することなど出来ませんよね。
 当然のことです。お怒りでしょう。

「…ファ、ファンクラブなんて私は認めていませんから!か、勘違いしないでください!」

 残念。ツンデレでした。
 あとから聞いたところによると、この方もカードを持っていてカードNo.001だそうです。

「それでは本日の会のスケジュール確認です」

 スケジュール?お茶を飲んで世間話をするだけの会ではないようです。
 流石は保護者の方々。大人です。ケジメはきっちりと弁えているようです。

「それではマリさん。お願いします」
「瑞穂さんはただ今、清掃活動中ですのであと10分ほどでこちらに参ります」
「だそうです。皆さん、分かりましたね」
「「「は〜い!」」」

308 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:39:15 ID:XUUoTN1e0

 ……あ〜…

「マリさん、どうぞ」
「皆様、瑞穂さんはプライベートなことを聞かれるのがあまり好きではありません。質問は出来るだけ控えましょう。
出来るだけ学院生活のことを話題にして場を盛り上げましょう」
「「「はい」」」
「本日5時から瑞穂さんは、寮の用事で出かけなければなりません。4時50分には開放してあげてください」

 ……仕切ってます。高校生が保護者の茶話会を仕切ってます。やり過ぎです、無冠先輩…。

「マリさん有難うございました。皆さん、瑞穂さんが来る前に注意事項の確認をしますよ」
「「「はいっ」」」
「瑞穂さんの呼び方は、茶話会出席回数5回以上の方は『瑞穂さん』それ以下の方は『宮小路さん』です。
決して狎れなれしくしてはいけません。また抜け駆けしようとしてもいけません。節度を守って皆さん楽しく」
「「「はいっ」」」

 …なんと云うか…この茶話会、父兄だけの出席が疑問でしたが、そりゃ学院側の教員の出席者がいないハズです。
 あり得ない展開にビックリです。
 「最後に…」と幹事さん(新入生部役員長)の声が聞こえます。

「私たちは保護者なのです。立場を忘れず威厳を持って生徒に接することを心がけてください」

 どう見ても手遅れです。本当に有難うございました。

「それでは私は引き取らせて頂きます」

 自称マリさんの声が聞こえます。


309 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:41:36 ID:XUUoTN1e0
「次回は皆様からの要望が多かった瑞穂さんの全身立ち姿のL版写真を持ってまいります」

 きゃ〜と多数の喜びの声が上がりました。

「マリさん、どうも有難う」
「いいえ。その代わりといってはなんですが、講堂の暖房器具の修理の為の寄付、前向きに御検討お願いします」
「了解していますよ」

 バーターですか。駄目です。この人、凄すぎです。

 隣の部屋のドアが開く音がして、どうやら無冠先輩が退出した様子。
 私も少し間を置いて、廊下に出ることにします。
 まったく驚きました。
 茶話会が実は茶話会ではなかったという驚愕の、まあある意味予想通りの事実。

 準備室から廊下にでると、部屋の前に御門先輩が立っていました。
 頭を下げて通り過ぎます。
 御門先輩もにっこりと笑って挨拶を返してくれます。

「それではごきげんよう」

 生徒会室に向かう為に廊下を歩いていると、向うからお姉さまと紫苑さまが並んで歩いてきます。
 きっと会議室に向かうところなんですね。

「ふふ、瑞穂さん、リボンが曲がっていますよ。直してあげます」
「有難うございます。紫苑さん」

 紫苑さまがお姉さまの世話を焼いています。
 お二人はいつも仲が良いですね。

310 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:42:49 ID:XUUoTN1e0

「受け答えは爽やかに」

 紫苑さまがお姉さまにアドバイスしています。
 ステージママです。

「でも恥ずかしがる仕草もOKです。はにかんだ表情も堪りません」

 紫苑さまの本音も漏れています。
 堪りませんか…

「ふぅ」
「どうしたんですか、溜め息なんて」
「ちょっと緊張してまして。苦手なんですよね、何度行っても。私が呼ばれる理由が分からないので」

 お姉さま、本当に分からないのですか!?

「生徒代表として意見を述べる為ですわ」
「意見なんて求められたこと殆どないですよ。何故か個人的なことを根掘り葉掘り聞かれることが多いですが…」

 不憫ですね、お姉さま…

「今日はきっと大丈夫だと思いますわ。私の勘ですが今日は学院生活についての楽しい話題になると思います」
「そうですか?」
「頑張ってきてください。きっと今日は4時50分くらいに終わります。その後は皆さん一緒に寮でココアクッキー
でも頂きましょう」
「…いつも具体的ですね」

 前説に紫苑さまも一枚かんでましたか。


311 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:45:08 ID:XUUoTN1e0
 私はおふたりの前を挨拶して通り過ぎます。
 お二人も優雅に挨拶を返してくださいます。
 その端正な姿を見れば、皆がお姉さまに魅せられるのも宜(うべ)なるかなと思います。

「葉子さん、いつも準備ご苦労様です」

 いえいえ。お姉さまに比べれば私の苦労など無いも同然です。
 お姉さまのお陰で講堂の暖房機器が修繕されるのです。

 お二人はそのまま通り過ぎて行きます。
 会議室前には御門先輩が待っていることでしょう。

「紫苑さん、いつも私を待ってくれてますが先に帰ってくれていて良いんですよ」
「いいえ。丁度これから楽しいラジオドラマが始まりますから、まりやさんと二人で聞いています。
いつも聞いて待っているんです」
「そうですか。すみません」
「お気になさらずに」

 御門先輩も紫苑さまもポイント荒稼ぎですね。

 恵泉女学院茶話会、お姉さまファンのアダルトが集うシャングリラ。

「そのドラマ、面白そうですね。私も聞いてみたいです」
「残念ですが、瑞穂さんは聞くことは出来ません」

 ふたりの辣腕マネージャーが腕を振るうステージでもあるようです。

 いけませんね、会長が大きく遅れているようです。
 この差を何とかして埋めないと…。
 急いで生徒会室に戻って策を練ることにします。

    Fin

312 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2009/09/19(土) 17:45:37 ID:XUUoTN1e0
お粗末さまでした。

313 :名無しさん@初回限定:2009/09/19(土) 19:20:58 ID:EQmQ8TQR0
L鍋様、さすがでございます。
いつか俺もL鍋さんのようなSSが書けたらいいな・・・

314 :名無しさん@初回限定:2009/09/20(日) 11:02:54 ID:DcXArhOb0
>>312
L鍋さん相変わらず面白いですね〜ww
GJでした!

315 :名無しさん@初回限定:2009/09/28(月) 16:51:22 ID:Rgic1loe0
早く次を求む!!

316 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/01(木) 18:37:16 ID:mV//ssq/0
ごきげんよう。本日10月1日は、局地的に有名な『冬眠の日』ですね。(マテ)
私が冬眠に入る前にひとつ投下しておきます。
ヤマもオチもイミもない話ですが、瑞穂とくっついてからの薫子の日常……みたいな話です。

317 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/01(木) 18:41:11 ID:mV//ssq/0
                     レディー
『七々原薫子の挑戦 〜胸パットは瑞穂の嗜み〜』(『瑞穂と薫子』外伝)

瑞穂と薫子が、鏑木&七々原家公認のカップルになって数ヶ月。
それを記念して(?)、鏑木家の敷地に新たな建物が増築された。
薫子が、瑞穂の父である鏑木慶行に語った事がきっかけである。

「あたしは、何かひとつだけで良いから瑞穂さんに勝ちたいんです。
 あたしは……瑞穂さんの付属物ではなくて、瑞穂さんと対等のパートナーになりたいと思ってるんです」

この言葉に対する慶行の対応は素早かった。
「わかった。思う存分やりなさい」
新たな建物とは、文字通り薫子が思う存分やる為の場。瑞穂と薫子専用の道場だった。

質素倹約が慶行のモットーだが、それは裏を返せば金を使うタイミングを心得ていると云う事だ。
慶行は、薫子の存在が瑞穂にとって……ひいては将来の鏑木家にとってプラスになると考え、
薫子に対する投資を惜しまない事を決断したのだ。


月に約1〜2回のペースで、瑞穂と薫子は道場で汗を流し、互いを高め合った。
その結果、数年後両者の実力はとんでもないレベルに達するのだが(例えるならオリンピックでメダルを狙えるレベル)、
瑞穂も薫子も、表舞台には全く興味を示さなかった。
薫子の望みは瑞穂に勝つ事、そして瑞穂の望みは薫子に負けない事、ただそれだけだった。

一連の練習や試合が終わると、2人は瑞穂の私室に籠り、汗を流し、互いを高め合った。
ここでの瑞穂と薫子の勝敗は……語るまでもないだろう。

318 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/01(木) 18:42:36 ID:mV//ssq/0
聖應女学院の最上級生になった薫子は、瑞穂に勝つ為に常に身体を鍛えている……と云う訳ではない。
運動部(主にフェンシング部や陸上部)の活動に時折参加はするが、身体がなまらない程度の運動しかしないのだ。

薫子が学院生活において最重要視したのは、『瑞穂さんに相応しい淑女になる』と云う事だった。
幸い薫子のすぐ側には、エルダーシスター皆瀬初音と云う最高のお手本がおり、
彼女に張り付き、薫子はメイクアップ・礼儀作法・立ち居振る舞い等、様々なモノを学んでいった。
これらを瑞穂から学ぶのは、何かが間違っている気がしたからだ。
最近では、美味しいコーヒーを淹れる為に、色々と試行錯誤しているらしい。
その代償なのか、薫子は初音に色々押し付けられているのだが……

「薫子ちゃん、今度の生徒会行事に薫子ちゃんも参加願いたいのですが」
「ん?またあたしに面倒を押し付けるつもりかな?」
「いえいえ、今回は参加いただくだけで結構ですから。騎士(ナイト)の君が参加するだけで、場が盛り上がりますので」
「……はぁ、初音には世話になりっぱなしだから断りづらいのよねぇ。
 居るだけで良いなら喜んで参加するけど、どうせそうはならないんでしょ?」

……
……
……正解!


余談だが、後に薫子は、降誕祭ダンスパーティーへの出席だけは頑なに拒んだらしい。

319 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/01(木) 18:44:12 ID:mV//ssq/0
そんな或る土曜日の事、学生寮櫻館に瑞穂と奏が遊びに来た。正確には、瑞穂と奏が薫子を迎えに来た。
いつも通り女学院訪問用の女装をした瑞穂は、ショートカットにしたにもかかわらず、綺麗なお姉さまにしか見えない。
(恋人に会う度に、女として敗北感を味わうってのはどうなのよ?)
薫子が真の淑女になる為の道のりは、果てしなく遠い。

1時間程寮で楽しい時間を過ごした後、薫子が鏑木家を訪問する……と云うのがいつものパターンだ。

「それじゃ初音、行って来るね」
「はい、ごゆっくりどうぞ。お帰りは明日ですか?」
「へ?」
「今回もお泊りなのでしょう?寮母さんには伝えておきますので」
「……」
瑞穂と薫子の顔が真っ赤に染まり、初音と奏がクスクスと笑う。いつものパターンだ。

320 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/01(木) 18:46:10 ID:mV//ssq/0
鏑木家に到着すると、瑞穂と薫子は道場へ直行する。
2人が勝負している最中は、他の者全てが道場に立ち入り禁止となる。奏も楓も慶行も、それ以外の全ての人間も。

ウォーミングアップを始めたのだが、薫子は瑞穂の動きに違和感を覚えた。明らかにいつものキレが無い。
「瑞穂さん、今日は調子悪いんですか?」
「え?」
「あからさまに動きが鈍いですよ。体調悪いなら、今日はヤメにして休んだ方が良いのでは?」
「う〜ん、そうかな?僕自身は調子悪いとは思ってないのだけれど。薫子が調子良過ぎるんじゃないかな」
「まぁ確かに、今日のあたしは絶好調だと思いますが……」
「薫子の実力が上がったから、相対的に僕の動きが遅く見えるのかも」
「それは無いと思いますけど。それじゃ今日もお相手お願いします。
 調子悪い瑞穂さんに勝っても仕方が無いですが、逆に云えば、調子悪い瑞穂さんに勝てない様じゃダメですから」
「わかった……あ!ちょっと待って」
「どうしたんですか?」
「えっと……ブラジャーと胸パットを外すの忘れてた」
「……ぷっ」
薫子は思わず吹き出してしまった。
「酷いよ薫子」
「あははっ!ごめんなさい。瑞穂さんにとって、『胸パットは身体の一部です』って感じなんですね」
「効果的な反論が思い浮かばない……orz」
「あと何年かしたら、胸パットが瑞穂さんと融合しちゃったりして」

「それじゃ……っと」
瑞穂は服の下へ手を滑り込ませ、ブラジャーを外す為に手をもぞもぞと動かした。
(!……この妙な色気は何?!)
見ている薫子の方が恥ずかしくなってきた。
「ま、まぁ瑞穂さん程ブラが似合う男なんて他に居ないですからねぇ。
 次の瑞穂さんの誕生日には、男性用ブラジャーでもプレゼントしようかな」
「いいよブラジャーは、一杯有るから……やっと取れた」
さりげない問題発言の後、服の下からブラジャーと胸パットをようやく取り出したのだが、
手を滑らせてしまい、胸パットを片方床に落としてしまった。

321 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/01(木) 18:47:54 ID:mV//ssq/0
ドスッ!
「?!……おっとっと」
慌てて胸パットを拾ったのだが……
「いや、待て待て待て待て!何ですか、今のありえない効果音は?!」
薫子は瑞穂の手から、胸パットをひとつ無理矢理奪い取った。

「うわっ、何コレ……重ッ!」
胸パット特有の柔らかさよりも、ずっしりとした重みが薫子を驚かせた。
「あ、コレ?胸パットはひとつ4s、ブラジャーも特製で2sだよ」
特殊ワイヤーを使用する事で、重さに負けず、しっかりと胸元に固定される様になっている。
「4+4+2=10sですか……」
「ごめん薫子、待たせたね。それじゃ始めようか」
「……」

薫子の、瑞穂に勝つ為の戦いは、まだ始まったばかりだ。

『―― to be continued?』

322 :名無しさん@初回限定:2009/10/01(木) 18:54:19 ID:s6MAzhqh0
悟空www

323 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/01(木) 18:55:54 ID:mV//ssq/0
以上です。やっちゃったよ、有史以降使い古されたネタを……orz
やっぱりバイさるが以前よりキツくなってるみたいです。前は10連投出来たのですが、今は6連投までっぽいです。
(00分から次の00分まで(要するに1時間)に出来る連続投稿数)
近いうちに次を投下します。全2○話の予定です。
それでは駄文失礼致しました。


>>293東の扉さん
一月以上経ってからのレスですが、
>P.S.14はどこにあるんですか?(笑)

……14は14ですよ、ええ。
マニアックなネタは大概にしろと、あれほど口を酸っぱくして(以下自分自身への説教エンドレス)

324 :名無しさん@初回限定:2009/10/02(金) 20:13:51 ID:LeFJ8F4t0
>>323
ちょw瑞穂ちゃん肩こるだろww
続き楽しみにしてます、GJでした!

325 :名無しさん@初回限定:2009/10/03(土) 07:16:36 ID:5REJPNti0
宮小路流女装術の継承者は寝ているときも胸パッドを入れて精進するのだ。

飛天御劔流もそんなのがあったな。

326 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 18:46:22 ID:j2IHA3lw0
予告通り次を投下します。
何を血迷ったか麻雀モノです。
麻雀知らない人には意味不明だと思います。平和を「へいわ」って読む人はスルーして下さい。
麻雀を知ってる人は、あまりのショボさに苦笑すると思います。

あれ?これって誰得……

327 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 18:48:40 ID:j2IHA3lw0
「瑞穂さん、ここを通りたければ……麻雀で勝負して下さい!」
「……はい?」
「いや、その……一度云ってみたかっただけなんですけどね」


『七々原薫子の挑戦 〜卓上の三面エルダー〜』(『瑞穂と薫子』外伝)

薫子が聖應女学院の最上級生になった或る休日、鏑木家に十条紫苑が招待された。
瑞穂の部屋で、瑞穂・薫子・奏・紫苑の4人がテーブルを囲んでいる。
『招待』と云う表現を使用したが、この場での客人は紫苑1人であり、薫子と奏は客扱いではない。
薫子は瑞穂の婚約者であり(何時の間にやら、本人達が知らない所で話がトントン拍子に進んでしまった)、
鏑木家にフリーパスで入れる資格を持っている。
そして奏は、大学生兼瑞穂付きのメイドと云う立場である。(鏑木家に住み込みで働いている)
現状はあくまでも、大学が最優先事項だ。
楓がマンツーマンで色々と仕込んでいるらしいが、一体何を仕込んでいるのやら……
とりあえず1日5回は抱きしめるのがデフォルトだ。

「それにしても……本当に瑞穂さんと薫子ちゃんがくっ付いてしまったのは驚きですわ。
 『アレ』は冗談のつもりだったのですが……」
「そうですか?紫苑お姉さま、私の『アレ』は本気だったのですよ」
基本的には、奏と紫苑が瑞穂と薫子を弄ると云うシチュエーションだ。

「……何時の間にか、あたしは瑞穂さんと婚約しちゃってたんですが、ひとつだけ心残りが有るんですよね」
「心残りって何?薫子」
「それはモチロン、未だに瑞穂さんに勝ってないって事です!」

328 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 18:51:02 ID:j2IHA3lw0
薫子は瑞穂に何度も勝負を挑んでいる。そしてその全てで返り討ちに会っている。
勝負の大半は剣道で、それ以外でもほとんどが武道系だ。
薫子には、瑞穂が出来ない分野(主に家事関連)で勝負を要求する気はなかった。
あくまで正々堂々と勝利を収めなければ意味が無いと思っているのだ。
更にどうあがいても勝ち目が無い分野(容姿や女性らしさ等)でも勝負を挑まなかった。
結局必然的に、武道関連がメインになってしまうのだ。

他愛の無い話が弾んでいる所に、楓が少し困った様な表情で現れた。
「瑞穂さま、少々お時間宜しいでしょうか?」
「どうしたんですか?楓さん」
「実は……娯楽室から運び出したい物があるのですが、かなりの重量なので、お手伝い願えないかと……」
「楓さんが手伝いを必要とするって事は、相当な重さなんでしょうね。で、運び出したい物って何でしょう?」
「全自動麻雀卓です」
「……ああ、アレですか。アレってそんなに重いんですか?」
「大体60s弱と云ったところでしょうか」
「ええっと、そうすると……楓さんより少し軽い位ですね」
「そうなんです……って瑞穂さま?!女性の体重を詮索するなんて、デリカシーに欠けますよ!」
楓と紫苑は瑞穂より重い……なんて、良い子は絶対口にしてはいけないぞ!
「あはは、ごめんなさい。それで何処へ運ぶんですか?」
「とりあえず台車に乗せて玄関脇へ。明日運送業者の方が七々原家に運ぶ手筈になっております」

329 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 18:56:16 ID:j2IHA3lw0
「ぶはっ?!か、楓さん?今何とおっしゃいましたか?」
『七々原家』と云う単語に、薫子が真っ先に反応した。お茶を飲んでいる最中ではなくて幸いだ。
「私も詳しい話は存じ上げませんが、この前旦那様が薫子さまのお父様にお会いした時に話が出たそうで。
 ここしばらく娯楽室自体がほとんど使用されていなかったので、麻雀卓を七々原家に寄贈する事になったそうです」
「……」(一体何やってるんだ親爺……orz)

「そ、それじゃあ運ぼうか」
「私もお手伝い致します!」
奏が思わず声を上げたのだが……
「いいえ、奏さんには無理ですから、手伝いは無用です」
楓は意図的に冷たい口調で云い放った。
「でも、その……」
「良いですか奏さん。出来る事と出来ない事を冷静に判断する事も、鏑木家のメイドに必要な技能なのですよ」
「楓さん……」
楓が奏を抱きしめた。
「奏さんには、奏さんにしか出来ない事があります。
 大丈夫、私が責任を持って、奏さんを私の後継者に育て上げて見せますから」
「んー、んんーっ!」
多分奏は、楓にお礼の言葉を云っているのだろう。「苦しいから離して下さい!」なんて云ってる訳が無い。
「……奏ちゃんは、良き上司に恵まれてらっしゃいますね(訳:楓さんズルいです。わたくし拗ねましてよ)」

瑞穂達が立ち上がり、娯楽室へと向かった。
170p超えの女性が4人揃って歩くと壮観だ。
4人全員が奏の大好きな人であり、奏はそんな4人を見上げる事で精神的な成長を続けているのだ。
ただし物r

330 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 18:58:08 ID:j2IHA3lw0
「そう云えば、瑞穂さんって麻雀出来るんですか?」
「え?……一応一通り打てるとは思うけれど、素人レベルだよ」
「ふ〜ん、あたしもそんな感じなんですけどね……。それじゃ瑞穂さん、試しに麻雀で勝負してみませんか?」
「薫子と?」
「はい。麻雀なら運も絡みますから、あたしが勝つ可能性も有るかな〜なんて。
 まぁ麻雀で瑞穂さんに勝ったとしても、あたしの中ではノーカンですけどね。
 麻雀で瑞穂さんに勝てれば、それが本当の勝利への足がかりになるかなって思ったんです」
「……僕はかまわないけれど、麻雀をやるには面子が4人必要な訳で。
 楓さんが出来るのは知ってるけれど、奏ちゃんと紫苑さんは?」
「わたくしは麻雀と花札ならなんとか」
「私はこの前、楓さんに大まかなルールは教わりましたが……」
紫苑は兎も角、奏が麻雀のルールを知っていると云うのは驚きだ。

「……楓さん、奏ちゃんに何教えてるんですか」
「瑞穂さま。鏑木家のメイド足る者、あらゆる知識と技能を身に付けませんと。
 奏さん、丁度良い機会ですから、皆様と卓を囲んで実戦を経験しておきましょう」
「わ、わかりました!楓さんの弟子として、この仕事を全うして見せます!」
「あの〜お姉さま?とりあえず面子に入って貰えるだけであたしは満足ですから。
 すみません楓さん。そーゆー事で運ぶのは後回しで良いですか?あたしも手伝いますから」
「かしこまりました。しかし薫子さまにお手伝いいただくと云うのは……」
「出来る出来ないで語るなら、コレはあたしにも出来る事です。
 瑞穂さんに手伝わせる気なら、あたしにも手伝わせて下さい。客人扱いはナシですよ」
「そうですね、申し訳ありませんでした。それではよろしくお願い致します。対局が終わる頃にお茶をお持ちしますね」
楓は4人を娯楽室に案内した後、一旦退出した。

331 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 18:59:50 ID:j2IHA3lw0
「おおっ!結構良い卓ですね……って、すみません瑞穂さん。ウチの親が……」
「う〜ん、鏑木家と七々原家の友好の証として考えるなら安いと思うけれどね。ところで薫子」
「何ですか?」
「薫子が僕に勝負を挑むセリフが冒頭のモノと違うのは何故かな?」
「は?」
「それと……さっきとんでもない誤記が有ったのを皆がスルーしてるのはどうしてかな?」
「「「はい?」」」

「もういいですorz それでは始めましょうか」
「よろしくお願いします!今日こそ瑞穂さんに勝って見せます!」
「奏ちゃん、わたくし達今回はオマケですから、気楽に打ちましょうね」
「はい!紫苑お姉さま!」


席決めの結果、

  紫苑(起家)
瑞穂 ■ 薫子
    奏

この様な配置になった。

・主なルール
 東南(半荘)戦
 喰いタン後付けアリ
 三万点持ちの三万点返し(この勝負はあくまでも瑞穂と薫子の差し馬なので、原点にはあまり意味が無い)
 ダブロンはナシ(頭ハネ)
 ラス親(薫子)のアガリやめアリ
 ハコ下ナシ(飛びアリ)
 五本場からの二飜縛りナシ

332 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 19:04:47 ID:j2IHA3lw0
/東一局/(親:紫苑)

いきなり薫子が魅せる。
「あっ!お姉さま、それ(一筒)チーです」
そして4巡後……
「ぃよっしツモ!ホンイツチャンタ東中ドラ三(中)で倍満です!」

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐┌─┐        ┌─┬─┐
 │七│八│九│  │  │  │  │  │  │  │|  |   ┌──┤二│三│
 │筒│筒│筒│東│東│  │  │中│中│中│|東|   │一筒│筒│筒│


「……いきなり凄いね薫子」
「おめでとうございます薫子ちゃん!」
「あらあら、わたくしが親ですから、八千点も払わないといけないのですね」
「す、すみません紫苑さん!」
「いえ、勝負ですから構いませんよ。わたくしと奏ちゃんはオマケですし……ね」

薫子の雀風は単純だ。配牌時に考え得る最大の手役に向かってひたすら突き進む。
ただし薫子の辞書に『オリる』と云う単語は無い。
今回の薫子のアガリは、ハマれば大きいと云う証明になった。そう、ハマれば……

紫苑:22,000点
瑞穂:26,000点
奏  :26,000点
薫子:46,000点

333 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 19:08:25 ID:j2IHA3lw0
/東二局/(親:瑞穂)は全員ノーテンで流局


/東三局一本場/(親:奏)

ドラは『北』。
9巡目に薫子がテンパイした。
(……よし、ドラ切ってリーチだな。場にはお姉さまと紫苑さんが捨てた『北』が一枚ずつ。これなら!)
「リーチッ!」
「ロン!」
瑞穂の手牌が倒された。
「ええっ?!」

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐┌─┐
 │一│一│五│五│八│八│三│三│  │  │  │  │  │|  |
 │万│万│万│万│筒│筒│索│索│北│發│發│中│中│|北|

「えっと、チートイツドラドラ。6,400点……一本場だから6,700点だね」
「うあ……ドララス牌の単騎待ちですか」

瑞穂の雀風は薫子とは対照的で、基本的には防御重視。
リーチは滅多にやらず、ヤミで手を進める事が多い。
安手をちまちま上がるタイプなので、荒れ場には弱い。
今回の上がりは、ドラを捨てるタイミングを逸したのが、たまたまプラスに働いたらしい。

紫苑:22,000点
瑞穂:32,700点
奏  :26,000点
薫子:39,300点

334 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 19:11:32 ID:j2IHA3lw0
/東四局/(親:薫子)

5巡目……
「薫子……それロン!」
「早ッ!」
「平和のみ、1,000点」
「……」

紫苑:22,000点
瑞穂:33,700点
奏  :26,000点
薫子:38,300点


/南一局/(親:紫苑)

for i=0 to 2
 「流局ですね。わたくしはテンパイです」
 「「「……ノーテンです」」」
next

紫苑:31,000点
瑞穂:30,700点
奏  :23,000点
薫子:35,300点

「紫苑さん凄いですね。ノーテン罰符だけで点数稼いでるし」
「出来ればきちんと上がって点数を貰いたいですわ……」

335 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 19:13:39 ID:j2IHA3lw0
/南一局三本場/

「薫子、それロン!」
「うがぁーーーっ!何であたしばっかり?!」
「ただ単に、薫子がノーガードなだけだと思うのだけれど。三色(同順)のみ、2,600点……三本場で3,500点だね」
「ノーガードなのは否定できない……」

紫苑:31,000点
瑞穂:34,200点
奏  :23,000点
薫子:31,800点


/南二局/(親:瑞穂)は全員ノーテンで流局

「ううっ……僕の親は呪われているのかなorz」

336 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 19:15:48 ID:j2IHA3lw0
/南三局一本場/(親:奏)

瑞穂の捨て牌に奏が反応した。
(お姉さまの『四万』……アタリなのですが、お姉さまから上がるなんて……)
瑞穂からロン上がりする勇気が出ず、奏は四万をスルーして自分の牌をツモったのだが……
「……えっと、ツモです」

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐┌─┐
 │五│六│五│六│七│五│六│七│七│八│九│  │  │|七|
 │万│万│筒│筒│筒│索│索│索│索│索│索│西│西│|万|

「ツモ平和三色同順ドラ一(七万)……満貫です」
平和のみが満貫に化けてしまった。
「まあ!凄いですわ奏ちゃん!」
間に雀卓が無かったら、紫苑は間違い無く奏を抱きしめている。
「ってお姉さま、瑞穂さんの四万を見逃してるんですね」
「えっ?!それは、その……安目でしたので」

紫苑:26,900点
瑞穂:30,100点
奏  :35,300点
薫子:27,700点

337 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 19:19:30 ID:j2IHA3lw0
/南三局二本場/

薫子の捨て牌に奏が反応した。
(薫子ちゃんの『六万』(ドラ)……アタリなのですが、薫子ちゃんから上がるなんて……)
薫子の捨て牌をスルーした後の自分のツモ……
「……えっと、ツモです」

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐┌─┐
 │二│二│二│六│六│六│六│六│四│四│四│七│七│|七|
 │万│万│万│万│万│筒│筒│筒│索│索│索│索│索│|索|

「四暗刻……凄いね奏ちゃん」
「ってお姉さま、あたしの六万を見逃しちゃったんですか?!」
「それは、その……安目でしたので」
「いや、安目って……」
(タンヤオトイトイ三暗刻ドラ三。倍満が安目って……)

紫苑:10,700点
瑞穂:13,900点
奏  :83,900点
薫子:11,500点


/南三局三本場/は奏の1人テンパイで流局

紫苑:9,700点
瑞穂:12,900点
奏  :86,900点
薫子:10,500点

場の雰囲気を考えるなら、奏もノーテン宣言をして親を流すべきだったのだが、
その辺のルールを良くわかっていなかった様だ。

338 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 19:22:33 ID:j2IHA3lw0
/南三局四本場/

紫苑の捨て牌に奏が反応した。
(紫苑お姉さまの『八筒』以下略……)
八筒をスルーしようとしたのだが……
「奏ちゃん!」
「は、はい!何でしょう?紫苑お姉さま」
「奏ちゃんはわたくしにも遠慮なさるのですか?」
「えっ……?」
「この『八筒』……奏ちゃんのアタリ牌なのでしょう?」
「い、いえ、その……」
「わたくしと奏ちゃんの点数は、今回の勝負には関係ありませんから、上がって良いのですよ」
(私はどうすれば……そうだ!)
「紫苑お姉さま、その『八筒』カンです!」
そしてリンシャン。
「……これ(四筒)もカンです」
更にリンシャン。
「……えっと、ツモです」

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐┌─┐ ┌─┬─┬─┬─┐┌─┐   ┌─┬─┐
 │三│三│四│五│六│六│七│|五| │#│四│四│#│|八├──┤八│八│
 │万│万│万│万│万│筒│筒│|筒| │#│筒│筒│#│|筒│八筒│筒│筒│

ドラ『一索』・カンドラ一枚目『三万』・カンドラ二枚目『八筒』
「タンヤオリンシャンドラ……六ですね、倍満です」
「どこのマンガですかお姉さま……」
タンヤオのみが以下略。

紫苑:1,300点(責任払いはナシ)
瑞穂:4,500点
奏  :112,100点
薫子:2,100点

339 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 19:25:42 ID:j2IHA3lw0
/南三局五本場/

奏がノーテンのまま流局し(紫苑と薫子がテンパイ)、ようやく奏の親が終了した。

紫苑:2,800点
瑞穂:3,000点
奏  :110,600点
薫子:3,600点


/南四局六本場/(親:薫子)

orz
 orz
紫苑・瑞穂・薫子の点数がほぼ横一線に並んだ。底辺で……
奏は、親のツモ上がりなら自分以外の点数が均等に減るので問題無いと思っていたのだが、
瑞穂と薫子に与えた精神的ダメージは大きかった。
紫苑はニコニコしている。単純に奏の活躍を喜んでいる様だ。
「物凄い猛攻でしたね奏ちゃん」
特に怒った様子は無い。
「ご、ごめんなさいお姉さま方、薫子ちゃん!」
「いえ、勝負ですから。ただ……わたくしも一度くらいは上がりたかったのですが。
 まあ今回は瑞穂さんと薫子ちゃんの勝負が優先ですから、上がるのは次の機会に致しましょうか。ところで瑞穂さん」
「……何でしょう?紫苑さん」
「瑞穂さんは、わたくし達3人の中から、誰を恋人に致します?」
「モチロン薫子ですが……って、いきなりどうしたんですか?」
「即答ですか……妬けますわね。それは兎も角、オーラスと云えば恋人選びでしょう?」
「「「……」」」

340 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 19:28:54 ID:j2IHA3lw0
4人がそれぞれ配牌を受け取った直後、紫苑が大きなため息をついた。
「はぁ……見事にバラバラですわ」
「……紫苑さん、三味線はマナー違反ですよ」
「いえ、本当にバラバラなのですが……それでは薫子ちゃんにはお見せしましょうか?」
「いや、見せないで良いですから」


薫子の配牌
 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐┌─┐
 │一│一│二│四│四│六│七│九│三│四│五│  │  │|  |
 │万│万│万│万│万│万│万│万│索│索│索│南│南│|南|

ドラは『二筒』
(おおっ!メチャメチャ良い配牌だ。いつものあたしだったら索子をぶった切って染めに行くんだろうけど、
 瑞穂さんに勝つ事だけを考えるなら、南のみで上がって終わらせた方が良さそうね。と云う事で……)
薫子は少し考え『九万』を切った。
既にイーシャンテン。一三四五八万を持ってくればテンパイと云う好形。
上がりは時間の問題と思われた。ところが……

341 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 20:00:08 ID:j2IHA3lw0
「あら?」
南家の紫苑は最初の牌をツモった後、首を傾げて考え込み、そして約10秒後手牌を倒した。

 ┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐┌─┐
 │二│六│九│一│八│一│五│九│  │  │  │  │  │|六|
 │万│万│万│筒│筒│索│索│索│東│西│北│發│中│|万|

「ん?何ですかコレ。本当にバラバラですけど……」
「薫子ちゃん、コレは九種九牌と云うモノでは?」
「カトーひいふうみい……ああ、確かにそうですね」
(あーあ、せっかく好配牌だったのに……)

「……違いますよ、奏ちゃん薫子ちゃん。コレは……『十三不搭』です!」
「「「えっ?!」」」

「……って、何でしたっけそれ?」
「十三不搭……始めて聞きますが、どの様な役なのでしょう?」
「……ああ、そう云えばそんな役が有った様な」
「ご存知なのですか?お姉さま」
「うん。十三不搭は……(『十三不搭』でぐぐれ)と云う役なんだ」

「で、紫苑さん。コレって何点なんですか?」
「わたくしも始めての事なので……瑞穂さんはご存知ですか?」
「ええと……楓さんに聞けばわかると思うのだけれど」

342 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 20:02:15 ID:j2IHA3lw0
「お呼びになりましたか?瑞穂さま」
ふと気が付くと、瑞穂の背後にティーセットを持った楓が立っていた。
「うわっ!お、脅かさないで下さい楓さん」
楓に悪びれた様子は無い。
「これは失礼致しました。そろそろ終わる頃だと思いまして。何か御用ですか?」
「……楓さんは十三不搭って何点かわかりますか?」
卓上を見回した後、楓は感嘆の声を上げた。
「まあ!私も初めて見ました。鏑木家の公式ルールでは、十三不搭の点数は満貫扱いですね」
「公式ルールなんて有ったんですね……」
「ありがとうございます楓さん。それでは精算致しましょうか」

/半荘終了/

紫苑:12,600点
瑞穂:400点
奏  :108,000点
薫子:−1,000点

「ああっ?!あたしが親だから、持ってかれた点数が多い!」
「あらあら、薫子ちゃんハコテンですね。ハコテンです薫子ちゃん。ごめんなさいね、勝負ですから」
紫苑のツモ上がりで、瑞穂と薫子の点数が逆転してしまった。
「結局瑞穂さんに負けちゃったよ……orz」

薫子の、瑞穂に勝つ為の戦いは、まだまだ終わらない……

『―― to be continued?』

343 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 20:05:05 ID:j2IHA3lw0
以上です。麻雀初心者丸出しな内容で申し訳ないです。役とか点数が間違えてない事を祈ります。
瑞穂・紫苑・薫子・楓の4人で、奏ちゃん抱っこマージャンってネタを考えたんですが……
(上がったら、次に他の者が上がるまで奏ちゃんを抱っこしながら打てる。抱っこした者の連荘を止められるかが勝負)
誰か書いて下さい。(ォィ)

これにて全2○話終了です。続きは有りません(AA略)。
それでは駄文失礼致しました。


344 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2009/10/03(土) 20:07:17 ID:j2IHA3lw0
唐突ですが、本日付で私ばんくーばーは、SSスレ……と言いますか、SS書きを引退致します。
理由は多々あるのですが、

・これから冬眠に入るため
・モチベーションが続かない
・正直ネタ切れ
・お気に入りのキーボードがお亡くなりになり、(長い)文章を書くのがきつい
・それ以前の問題で、これから先SSを書く時間を取れそうにない
・元々捨てハン(ばんくーばーの事)で5〜6作品投下してひっそりと消えるはずだったのにごらんの有様だよ
・ごめんなさい。私は良い子ではありませんでした
・某K氏とS氏に命を狙われている

……いくつかは本当の事です。

気が付けば薫子だらけになってましたが、今まで私の拙い文章にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
このスレ及びおとボクの2次創作が、どうか一筋の光と共に在ります様に。




きょうから ふつうのななしさんに な〜ろうっと!
                 __
            , ' ´ ̄      ̄ ` ヽ 、
          / / ,r、, ヘ  、 ヽ、 ヽ   \
         /  / // ̄ ̄ l  |  l |  | l ヽ ヽ
        /   | l |/    |l l ノ l ノリ| | l   ',
         l  .|/l l、, 、    リリ  , -、, ノl i |  .l
        l   l   `´         `¨´   ! l l   |
        /  l     ヽ ―― _フ       リ| | i  ',
      /  |        ̄          ソl i 、 ヽ、


345 :名無しさん@初回限定:2009/10/03(土) 20:35:00 ID:6d0Roc1/0
ばんくーばーさん、
いままで楽しいSSをありがとうございました。
「瑞穂と薫子」シリーズは、薫子大好きな人たちにとって、まさに「一筋の光」だったと思います。

SS書き引退とのこと、非常に残念ですが、最後に心からの感謝を!

>>343
それって、某S氏や某K氏が勝ち続けると、某Kちゃんが窒息死の危機?

346 :名無しさん@初回限定:2009/10/03(土) 22:55:56 ID:oK49sCQL0
>>344

役の作り方がイメージに合致しすぎwww
鏑木家の公式ルールだと雀頭無しの十三不搭を認めるタイプか

347 :名無しさん@初回限定:2009/10/03(土) 23:10:34 ID:cPE2ENaL0
>>344
そうですか…残念ですがしょうがないですね(泣
あなたの作品にはいつも楽しい気分にさせていただきました。
今回の麻雀ネタも面白かったです、最後のGJと今までの感謝を!
いままで本当にお疲れさまでした!




ふ…復帰する気になったらいつでも戻ってきて良いんだからね!
寂しいなんて思ってないんだから勘違いしないでよね!

348 :名無しさん@初回限定:2009/10/09(金) 21:05:32 ID:Q7ljU1Z30
>>344
ばんくーばー、撤退おめでとう。
こんなところにのたくってないで真人間になりなよな。



349 :名無しさん@初回限定:2009/10/16(金) 06:03:53 ID:bbn/ANsm0
いつでも戻ってこいよ。

350 :名無しさん@初回限定:2009/10/22(木) 14:25:26 ID:owe78RCK0
また愛がわき上がって来たら何時でも

351 :名無しさん@初回限定:2009/10/31(土) 16:01:39 ID:mkDdPE+RO
保守なのですよ〜

352 :名無しさん@初回限定:2009/11/16(月) 15:14:05 ID:j6/dNMXK0
保守しとくわね

353 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/11/25(水) 17:34:03 ID:qnfO4uHI0
かなり寂しいので一発ネタですが投下させていただきます。
よろしくお願いします。

354 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/11/25(水) 17:41:57 ID:qnfO4uHI0
〜不正解の代償〜

「わかりました。つきあってさしあげますわ。ただし、今から私の出すクイズに正解できたら、ですけど」
 聖央を卒業した瑞穂は、紫苑、まりや、奏、由佳里、貴子の5人と休日に遊びに出かけ、道を歩いていたらナンパされ、今ここにいる。
 最初は断っていた瑞穂たちだが、その男にお世話になった人の頼みだからどうしても断れず、
これを逃すともう間に合わないからとお願いされた。そうなると断りにくく、結局瑞穂たち6人は、半分人助けのつもりで行くだけなら、
ということでついてきたのだった。
「なるほど。ちょっとやそっとじゃつきあってくれない、か。で、そのクイズってのは?」
 男たちは全部で6人で、そんなガラが悪そうな感じではなく、瑞穂たちの出した条件をのんでくれた。
「実は、この中に1人だけ男性の方がいます。それはどなたでしょうか?」
 そう言われて、男たちはこの美少女6人? に相手してもらおうと必死で考えた。彼女達の仕掛けた罠、その意図を探り、裏をかこうと。
 しばらく相談しあっていたけど、やがて声を止めて瑞穂たちの方を向いた。
「答えは決まりましたか?」
「ああ」
「それでは、正解は?」
「せーの……そいつだ!」
 男たちは、全員が同じ人物を指差した。その相手は……。
「ええーっ!? なんで私なんですか!」
 由佳里だった。
「だって、まずそっちの3人(瑞穂、紫苑、貴子)は論外。誰がどう見たってはっきり女とわかるタイプだし、
まあ自然に考えるとその紫色の髪の人(まりや)だけど、1人だけとびぬけてあからさまに男に見える分、逆に違うわけだし、
となるとあの小学生(奏)かと思うけど、それも引っかけとしては正解してしまう可能性も十分ある、ってことは残るは……ってことに」
「ろ、論外……誰がどう見たってはっきり女……」
「とびぬけてあからさまって……」
「しょ、小学生……奏が小学生……」
 紫苑と貴子を除く全員が、その場で深く落ち込んでいた。

Fin

355 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2009/11/25(水) 17:45:38 ID:qnfO4uHI0
そういえば、貴子さんと一子ちゃんの誕生日、いつの間にか過ぎてますね。
作品何も思いつかなかったし、今さらですけど、おめでとうございます!
それでは、お目汚し失礼いたしました。

356 :名無しさん@初回限定:2009/11/26(木) 22:50:58 ID:XLaj7st30
マイナーなギャルゲーSS祭り!変更事項!


1. SS祭り規定
自分の個人サイトに未発表の初恋ばれんたいん スペシャル、エーベルージュ、センチメンタルグラフティ2、canvas 百合奈・瑠璃子シナリオ
のSSを掲載して下さい。(それぞれの作品 一話完結型の短編 10本)

EX)
初恋ばれんたいん スペシャル 一話完結型の短編 10本
エーベルージュ 一話完結型の短編 10本
センチメンタルグラフティ2 一話完結型の短編 10本
canvas 百合奈・瑠璃子 一話完結型の短編 10本

BL、GL、ダーク、18禁、バトル、クロスオーバー、オリキャラ禁止
一話完結型の短編 1本 プレーンテキストで15KB以下禁止
大文字、太字、台本形式禁止

2. 日程
SS祭り期間 2009/11/07〜2011/11/07
SS祭り結果・賞金発表 2011/12/07

3. 賞金
私が個人的に最高と思う最優秀TOP3SSサイト管理人に賞金を授与します。

1位 10万円
2位 5万円
3位 3万円


357 :名無しさん@初回限定:2009/11/26(木) 23:23:47 ID:+RbrI+da0
うわ……こんなところまで

358 :にゃにゃはらにゃをるこ:2009/11/28(土) 01:08:10 ID:WkEVuxldO
エトワール応援で

親父どの
なんか、こうかしこまってメールするのは、変な気分なんだけど、とりあえず報告がてらお礼を言うよ。
入寮日には、よくもだましたなーって思ったんだけど素敵な先輩がいて、その人と出会えるチャンスをくれた親父に感謝。
じゃあまたメールするね。おにいたちにも、よろしくいっといてね。
かおるこ

359 :名無しさん@初回限定:2009/11/28(土) 01:28:24 ID:WkEVuxldO
薫子へ
寮付きの女子校に押し込みやがってと怒っているかとパパは心配でした。
その良い先輩は薫子のお姉さまなのかい?
しっかり言う事を聞いでみんなとなかよくするんだぞ
パパより愛をこめて

360 :名無しさん@初回限定:2009/11/28(土) 01:36:49 ID:WkEVuxldO
親父どの
ちょっと、なんでお姉さまって呼び方知ってるの!?
やたら聖応すすめた理由教えてよ!
かおるこ

361 :名無しさん@初回限定:2009/11/28(土) 01:45:54 ID:WkEVuxldO
薫子へ
本当に知りたいかい?
後悔してもしらないぞ?
実はパパはそこの卒業生なんだよ。
驚いたかい?
パパより


362 :名無しさん@初回限定:2009/11/28(土) 14:32:56 ID:SOSKxDSm0
聖應の半分は男でできていますですかー???www

363 :名無しさん@初回限定:2009/11/28(土) 22:52:03 ID:lngW2Lsf0
な、なんだってーー!!!
いや、意外にこの小ネタ嫌いじゃないwwww

364 :名無しさん@初回限定:2009/12/01(火) 23:35:22 ID:tIklLZ//0
何かデジャヴだと思ったら>>126だった

365 :名無しさん@初回限定:2009/12/04(金) 08:16:34 ID:lniFstVcO
携帯壊れて続きかけなかったけどアイデアはコミケで買った同人誌。
おじいさんから慶行さんまで聖応出でエルダーっての。

366 :名無しさん@初回限定:2009/12/04(金) 08:19:21 ID:lniFstVcO
親父どの
ちょ!なんだって!?
冗談だろ?
            か

367 :名無しさん@初回限定:2009/12/04(金) 08:28:51 ID:lniFstVcO
かおるこへ
かおるこ、私の高校の卒業アルバムをみたことあるだろう?
男前高校だよ。
本当にかおるこはかわいいなあ。
本当はかあさんがその学校の卒業生なんだよ。
本当は幼稚園からかよわせたかったんだが
パパより愛をこめて

368 :名無しさん@初回限定:2009/12/04(金) 18:49:27 ID:1QmMEwWN0
>>364
薫子のビジュアルは永遠に判る日が来ないと思っていたら、
地味にアンソロに出てきてちょっと嬉しかった俺がいる。
本編の時代にいなかったのがちょっと惜しい子だ

369 :名無しさん@初回限定:2009/12/04(金) 20:48:53 ID:O5Miw+R90
すまん、何を言ってるのかさっぱりわからない

370 :名無しさん@初回限定:2009/12/05(土) 02:33:42 ID:ERIt/Ok7O
俺は本編の生徒会組のビジュアルがわからない。

371 :名無しさん@初回限定:2009/12/05(土) 02:53:37 ID:Xwcxnh930
貴子さんと眼鏡以外は汎用モブの使い回しだもんなw

372 :名無しさん@初回限定:2009/12/05(土) 04:55:10 ID:qPyvKFZh0
ここ最近の流れを読んでると、これを連想する

ttp://www7.plala.or.jp/mashiroyou/00-01-05Bookguide01-09-04.htm
「我が校は実は男子校です」他

373 :名無しさん@初回限定:2009/12/14(月) 20:22:46 ID:J4DQlCJM0
みどりん氏が去り、ばんくーばー氏が去り、
随分寂しくなっちまったな

374 :名無しさん@初回限定:2009/12/15(火) 00:04:49 ID:sfIQnww20
前にも1回くらい挙げられてたが、理想郷の恋姫とのクロスが結構読める
おとボクからは瑞穂ちゃんしか出さないって作者が言ってるのが残念だが、
丁寧に書いてる様子から、瑞穂ちゃんのことが大好きな気持ちが伝わってくる……気がする

375 :名無しさん@初回限定:2009/12/15(火) 18:27:36 ID:3C/vGEex0
>>374
理想郷にみどりん氏の名前があるのは気のせいか

376 :名無しさん@初回限定:2009/12/26(土) 13:06:36 ID:oNTsGZhM0
職人求む


377 :名無しさん@初回限定:2009/12/26(土) 17:46:59 ID:XEOJBcoI0
test

378 :名無しさん@初回限定:2009/12/29(火) 18:07:40 ID:cGaGPsMj0
処女はお姉さまに恋してる〜2人のエルダー〜
2010年発売予定

http://otbk2.com/

379 :ふつうのななしさん ◆dRSEVGhpDg :2010/01/01(金) 14:40:40 ID:sVy0kxBZ0
『千早ぶる』

「あけましておめでとう瑞穂ちゃん!」
「……おめでとうまりや。新年早々ハイテンションだね」
「それよりも聞いた?おとボクの続編が出るらしいわよ」
「ふーん、そうなんだ」
「……何よ、そのやる気なさそうな反応は」
「いや、その……もう女装は嫌だよ」
「何か勘違いしてるみたいだけど、主人公は瑞穂ちゃんじゃないわよ」
「そうなの?」
「そ。舞台はあたし達が卒業してから2年後。つまり奏ちゃんと由佳里が卒業した後の話よ」
「ふむふむ」
「で、そこに妃宮千早って子が転入して来るのよ」
「まさか……」
「ふふ〜ん、そのま・さ・か☆」
「ご愁傷様ですorz」


「ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みずくくるとは」
「?……いきなりどうしたのまりや」
「実はこの歌は、おとボク2の存在を暗示していたのよ!」

380 :ふつうのななしさん ◆dRSEVGhpDg :2010/01/01(金) 14:43:04 ID:sVy0kxBZ0
ナ ナンダッテー!!
 Ω ΩΩ
(父様、楓さん。友情出演ありがとうございます)
「一応話をお伺いしましょうかまりや」
「真面目に聞く気ないでしょ、まあいいわ。まず『ちはや』ってのは云うまでもなく千早ちゃんの事ね」
「うん」
「で、千早ちゃんはエルダー候補になる程の人気者になるんだけど、
彼……彼女は前の学校で色々あって人間不信になってたの。
だから彼女に告白する娘とか、彼女にラブレターを出す娘とかは、冷たく振られる事になるの。
これが『ちはやぶる』の語源よ!」
「……」
「次に『かみよもきかず』の『かみよ』ってのは、実はある3人の頭文字を取ったものなの。
『か』は千早ちゃんのライバルになる薫子ちゃん。奏ちゃん説も存在するんだけどね。
『み』は瑞穂ちゃん。先輩男の娘の貫禄って奴よね。そして……
『よ』は門倉葉子ちゃんよ!」
「ぶっ!無理矢理にも程があるよ」
「何云ってんのよ。葉子ちゃんを甘く見ちゃダメよ!
彼女は聖應女学院の至る所に分身を放ってる、おとボク最強のモ……」
「ストップまりや!それ以上は云っちゃダメ!」
「おっと失言湿原。葉子ちゃんは、ある時は生徒会役員、またある時はあたしと連れション」
「お行儀が悪いよ……」
「そしてある時は奏ちゃんを突き飛ばし、更にある時は瑞穂ちゃんのクラスメイト!
だから、千早ちゃんの世代にも、葉子ちゃんの分身が放たれていると考えた方が自然なのよ」
「……はぁ、そうですか」
「『か』『み』『よ』の忠告も千早ちゃんには届かないから、『かみよもきかず』なのよ!」

「あ、楓さん。お茶のおかわりを貰えますか」
「かしこまりました瑞穂さま」
「……人の話を聞けーーーっ!」

381 :ふつうのななしさん ◆dRSEVGhpDg :2010/01/01(金) 14:45:23 ID:sVy0kxBZ0
「『たつたがは』は?」
「ああ、ここはあたしが一番解読に手間取ったところね。でも千早ちゃんが男の娘ってのがヒントになったわ。
『たつたがは』は、男のシークレットゾーンの事を指しているのよ。
大勢の女の子に囲まれると、身体が勝手に反応しちゃうって事があるでしょ。瑞穂ちゃんには経験があるわよね?」
「うっ……」
「『たつた』は『勃った』。『がは』は漢字に直すと『皮』。
千早ちゃんは『かわのほ゛うし』を被ってると、あたしは予測するわ」
「年明けから全開過ぎるよまりや……」

「『からくれなゐに』、これは簡単ね。『から』は千早ちゃんが自分の殻に閉じこもってるって事。
殻から出てくれないから『からくれなゐに』になるのね。
『みずくくる』は、千早ちゃんが抱えてる問題の解決法が暗示されてるわ。
『みずくくる』と『聖應女学院』から、瑞穂ちゃんだったら何を想像する?」
「えーっと……プールかな?」
「正解!多分プールの授業が千早ちゃんの転機になるわ。
瑞穂ちゃんの時みたいな裏技は使えないだろうから、ここは千早ちゃんのお手並み拝見ね」


「……もう突っ込む気も起きないや」
「そうね。瑞穂ちゃんが突っ込むのは貴子だけにしときなさい」
「ま、まりや?!」

382 :ふつうのななしさん ◆dRSEVGhpDg :2010/01/01(金) 14:51:13 ID:sVy0kxBZ0
「ねぇまりや。まりやはこの歌の本当の意味をわかってるの?」
「えっ?!も、もちろんわかってるわよ。『竜田川』って力士が、『千早』って名前の花魁に一目惚れした話よね」
「……だめだこりゃ」

『完』


「ところでまりや。
『ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みずくくる』まではわかったけれど、最後の『とは』は何?」
「……それは、その……つまりこう云う事よ!」

『おとボクは、永久(とは)に不滅です!』



……あけましておめでとうございます。
めちゃめちゃ寒くて、布団から出たくないので即興で書いてみました。
2は果たしてどうなるのか、期待半分不安半分です。
駄文失礼致しました。

383 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/01/02(土) 20:03:48 ID:I7SSZyYK0
>>382

新年早々楽しませていただきました! GJ!
「2人のエルダー」が出ればここもまたにぎやかになるかもしれませんね。
今から楽しみです。

384 :名無しさん@初回限定:2010/01/03(日) 14:09:46 ID:mL+etBha0
処女はお姉さまに恋してる 2

385 :名無しさん@初回限定:2010/01/05(火) 12:08:21 ID:aeSfmhCq0
窓から差し込む陽の光と鳥の囀りに誘われて目を覚ますと、
横から「おはよう、千早」と声が聞こえてきた。

見ると、声の聞こえた側には横になりながら頬杖をついて微笑みかけてくるケイリ。

ここは寮の自分の部屋、彼女は何故自分のベッドの中で共に寝ていたのか。
というか、自分のパジャマは肩から脱げ落ちかけており、彼女に至っては裸…

思わず毛布ごと身を引いてしまい、
ケイリの裸体が下半身までも曝け出され視界に入ってしまう。

「どうしたんだい?」とばかりに不思議そうな顔をされるも、
この状況を問いただす言葉を咄嗟に口にすることもできず、さらに混乱する頭の中。

そして鳴り響くドアのノック音。

「千早起きてる〜?ケイリが見当たらなくなっちゃって、」と
ドアを開け入室してくる薫子。

…………。

本来なら爽やかであった筈の朝の目覚めは早々にして、
早とちりした薫子に張り倒された体の痛みと、
精神的なものも濃いであろう頭痛に支配されることになってしまった。


…おとボク2の劇中で朝チュン修羅場があるとしたら、どんな感じになってしまうのでしょうかね。
お目汚し失礼しました。

386 :名無しさん@初回限定:2010/01/16(土) 22:01:00 ID:kOywVrD70
すばらしいSSを思いついたが、ここに書くには余白が足りない。

387 :じゃ俺がかわりにすばらしいSSを:2010/01/16(土) 23:15:43 ID:psDG3alU0
スカートはやっぱり違和感があるなぁ
ばれたら大変だから気を付けないと
裸体を晒さない様に行動しよう
紫苑さんとまりやのブロックは、着替えの時の心強い味方です
い、いけない。女の子の着替えを見てたら身体が……

388 :名無しさん@初回限定:2010/01/27(水) 07:00:42 ID:xGWIB/9/0
(゚Д゚)

389 :名無しさん@初回限定:2010/02/05(金) 20:42:37 ID:ZWDQx7ZM0


390 :名無しさん@初回限定:2010/02/08(月) 22:24:35 ID:+nJBObua0
ダレモイナイ・・・実験スルナラ今ノウチ。

瑞穂ちゃんが好きなら>>391
貴子さんが好きなら>>392
奏ちゃんが好きなら>>393

391 :名無しさん@初回限定:2010/02/08(月) 22:25:48 ID:+nJBObua0
それでも! それでも貴子さんに一握りの愛があるならっ!>>392
ないときは戻りましょう。>>390

392 :名無しさん@初回限定:2010/02/08(月) 22:26:43 ID:+nJBObua0
やっぱり貴子さんだがや。
>>394へすすもう。

393 :名無しさん@初回限定:2010/02/08(月) 22:27:22 ID:+nJBObua0
あなたは立派なロリコンです。
げーむおーばー。

394 :名無しさん@初回限定:2010/02/08(月) 22:34:39 ID:+nJBObua0
ごーる。
ハーレムエンドです。
やり直す場合は>>390

395 :名無しさん@初回限定:2010/02/08(月) 22:53:07 ID:+nJBObua0
う〜む。IEではあたらしく開いてしまう。カチューシャでは移動しないか・・・

おとボクゲームブック化計画は頓挫した。とほほ・・・

396 :名無しさん@初回限定:2010/02/08(月) 23:08:33 ID:7bd2rv9x0
htmlの書き方覚えてテキストファイルでやれ
2chのアンカーリンクは別窓開くようになってるだけだ

いずれにしてもこのスレに書き込んでやることじゃねーよ

397 :名無しさん@初回限定:2010/02/09(火) 22:11:45 ID:NVTjQ9r10
ギコナビだと一応遊べるよ

398 :名無しさん@初回限定:2010/02/11(木) 22:29:52 ID:8ihEZYcc0
やる夫もすなるAAスレといふものを

お姉さまもしてみむとてするなり


という欲求に駆られているのだが
おとボクのAAってAAまとめスレしかないですか?

399 :名無しさん@初回限定:2010/02/12(金) 11:58:46 ID:49r0KxdW0
>>398
メーカースレ、作品別スレ、ここを問わず、貼っておけば勝手にまとめる人はいるので、何の心配もない。
(作品別スレの「関連サイト」参照)
作品別の現行スレ:処女はお姉さまに恋してる 第73話
http://qiufen.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1264862816/
それにわざわざいまさら作品単独のAAスレを立ち上げるまででもないと思うよ。

400 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2010/02/12(金) 23:02:56 ID:/Aq4cb6E0
あ、いや・・・なんというか、「やる夫がお隣のお姉さんをはらませたようです」
みたいなAAをつかった漫画みたいなの、あるじゃないですか。

ああいうのをしてみたいので、素材としておとボクのAAがほしいのです。
AA+セリフで進めていくSSというか、そんなの。

AAまとめスレだけだといろんなシチュエーションに対応できないので。
いや、そんなに上手いSSも書けないんですけどね。

401 :名無しさん@初回限定:2010/02/13(土) 00:46:47 ID:BrmZAsnL0
>>400
それであれば「プチAA達のお茶会」に行って頼み込んでみたらどう?
なんとかなるかも知れないし、ならないかも知れないけど。

402 :かまきり ◆0XucCTxAGU :2010/02/13(土) 01:08:19 ID:bWZJ0N3S0
情報サンクス。ぐぐってみました。
でもプチじゃだめなんだ。

10行くらいの大きさの貴子さんが良いんだいっ(泣怒り)
あわよくば十二単姿や単衣姿の・・・

403 :名無しさん@初回限定:2010/02/15(月) 22:31:38 ID:zo7Hlv6W0
ちょっと復活してみるよ。

某所限定でうっぱらかったやつの抜粋ね。
おとボク2の情報が無い時点なので、テキトーです。

 コンコンコンと千早の部屋の扉がノックされた。そこにいたのは長袖のやわらかいジョーゼット生地のブラウスに、シルク素材の濃紺のタイトスカートにそろいのベストを着た瑞穂であった。
すでに、在学中の姿をリアルタイムで見知った人間はいないが、恵泉の歴代エルダーの中でも伝説と化していた第七二代エルダーシスター宮小路瑞穂であった。
「ごきげんよう。千早ちゃん」
「瑞穂さん…」
「まりやに聞いて来たのだけれど、男の子とばれそうになったんですって?」
「いえ…、薫子ともう一人にはバレてます…」
「どうしてばれちゃったのかなあ」
「えっと…えっと女の人に言えない事です…」
「ちょ、遠縁とは言え親戚の人間の性別忘れたの?小さい時一緒にあそんだじゃない」
「え? 瑞穂さんって男? あれ? 海で見た時女子用のスクール水着でしたよね? 山荘の時って白いワンピースに麦わら帽子でしたよね?」
「……」
「あ、おちこんだ。それにしゃべり方も女言葉じゃないですか」
「…ま、まあ早い話、千早ちゃんと一緒の待遇だったわけよ。それに、ここにいる間は女言葉じゃないと危険だしね。で、どうしてばれたのかしら?」
「えっと、お…オナニーしてて…」
「うん、そうよねえ。ココは若い女の子のフェロモンでむんむんしてるから我慢できなくなっちゃうわよねえ。私も同じだったからわかるわ。よしっ。ばれない方法を教えて上げる」
 そういうと瑞穂はミディ丈のタイトスカートをめくってショーツを千早に見せた。スカイブルーのショーツと、同色のガーターベルトが色っぽい。そしてストッキングはバックシーム付のシルク製だった。
「はいっ?瑞穂さん?なにスカートの中見せてるんですかって。うわ。可愛いブルーのパンティー…」
「パンティーいわないの。ショーツかぱんつって言わないとバレるわよ?」
「あ、はい。あれ、瑞穂さん。無い?」
「無いわけないじゃない。後ろにまわしてはさんでるから」
「あ、ほんとだ。」
 千早は瑞穂のショーツの股間部分に顔を近づけてまじまじと見た。

404 :名無しさん@初回限定:2010/02/15(月) 22:32:34 ID:zo7Hlv6W0
>>403
「あ、こら、鼻息をかけないで」
「ご…ごめんなさい」
「こうして、はさんだ状態できゅっとするようにショーツをはき直すの」
「はい、それはやってます」
「そうしたら、机の角にまたがって体重を少し掛けるの。で、くりっくりっとこねるように刺激を与えていくの。最後までやってみせるわね」
「え? ばれない方法って……えええ!実演はいいでんすけど…」
「遠慮しない…っていうより、私が興奮してきちゃったからなんだけどね、ほら、見て。私の恥ずかしいところ」
 瑞穂は机の縁に両手をかけて、つま先をたてて、机の角に乗り上げた。そして腰を右回り、左回りと回転をさせ始める。
 くにっくにっ、腰が回るたびに、瑞穂の息が少しずつ荒くなっていく。よく見ると顔も紅潮し、目も少し潤んできている。やがて片足をあげて、机に完全にもたれかかと、ショーツの中心部を角の先端にあてる。こりっ。こりこりこりこり…
「あっ、あっ、あぁ…、あああっ」
 ぴくんぴくんの身体が跳ねると、ショーツの秘所部分は愛液で濡れたように湿っていた。
「はぁはぁ、こうするとね、女の子のオナニーみたいに見えるんだよ」
「…」
 千早はベッドの上に正座をしたまま、両手をひざの上に乗せてきゅーと固まっていた。ピンときた瑞穂がやさしく千早の右側の髪を掻きあげると、優しい声でささやいた。
「んー、千早ちゃん、ちょっとベッドの縁に来て」
 千早がベッドに座り直したとたん、制服のスカートの中に瑞穂の手が伸びた。さわっとショーツの中心に瑞穂の手が伸びると紅い口紅でつやつやな唇をぺろっと舌なめずりした。
「千早ちゃん、こんなにかちかちにしてたらダメじゃない。ちょっと抜いて上げるね。声出すとまずいから、このハンカチ口にくわえてなさい」
 そういうと瑞穂は千早の口にハンドバッグから出したガーゼのハンカチを加えさせると、スカートの中に頭を入れてショーツを引き下ろすと、ピーンと立った千早の屹立を咥えて舌で屹立を柔らかく舐めながら頭を前後に振った。
「ん…くう…」
 やがて千早の口から甘い声があふれ出した。しかしガーゼのハンカチが声が漏れることを阻止した。
「ふん…ふん…」
 

405 :名無しさん@初回限定:2010/02/15(月) 22:33:17 ID:zo7Hlv6W0
>>404
 千早の鼻から、やはり甘い吐息が聞こえだした。瑞穂は千早の屹立を咥えながら、自分のショーツを濡れた部分を左手で擦り、自らも気分を高めていた。
今の千早の部屋を覗き見している者がいたら、そこには秘め事をしている少女と女性がいるようにしか見えなかっただろう。
 やがて、感極まった千早がどぴゅっどぴゅっ、と放出された白濁液を瑞穂は、それをこくんこくんとすべて飲み下した。そして自分のショーツの中もびゅくびゅくとさせて果てた。
「千早ちゃん。まだ、元気なの?仕方がないわね。こんなサービス滅多にしないんだからね」
どこかの銀河アイドルの決めぜりふを言うと瑞穂は千早の再び元気になったものをショーツの中から出させた。
「瑞穂さん、何するんですか?」
「筆おろし…はまだだよね?」
「ええと、おしりならもう梶浦先生と……」
「緋紗子先生ったらもう…苦笑するしかないわね」
「と、いうと?」
「私も転入直後に緋紗子先生に食べられちゃったのよ」
「はあ…」
「じゃあ、経験済みなんだ。これつけて」
 そういうと、T字になって、手前はプラスチックのリングのついたベルトを千早に装着した。
「なんですか? これ」
「誰かに見られた時用にペニバンに偽装するバンドよ」
 瑞穂が誰も聞いていないのにもかかわらず、耳打ちした。
「じゃあ私ベッドに寝るから、足持ち上げて、緋紗子先生の時みたいに貫いてみて」
 そう言うと、瑞穂はベッドにごろんと横になった。腰はベッドの端にあり、千早が瑞穂の足を持ち上げて挿入しやすいようにしたのであった。
 千早は瑞穂のショーツを少しだけずらすと瑞穂のぬるぬるを指ですくうと、菊門にこすりつけた。
「いやらしいんだね、瑞穂さんのここ。ぴくぴくとしてるよ?」
「はずかしいよ、そんなこと言わないで」
「入れるよ?息を吐いて」
 千早は瑞穂の中にぎゅーっと屹立を押し込んでいく。入り口の部分は押し返す勢いがあったが、千早のカリがすぽっとすり抜けるとあっという間に根本まで押し込まれてしまった。

406 :名無しさん@初回限定:2010/02/15(月) 22:44:36 ID:zo7Hlv6W0
>>405
「ふー、ふー。千早ちゃん…キスして」
 千早にとって。紅い口紅の付いた唇は女の子のそれにしか見えなかった。千早がピストンをしながら瑞穂の両足を肩にしょって、そのまま唇を重ねた。身体が柔らかい瑞穂はそのまま、千早の体重を受けつつ、舌を絡ませあった。
「瑞穂さんのあそこ、熱くてとろけそう。すごく素敵、腰が止まらないよ」
「はあ、はぁ、中にだしてぇ。妊娠しないから大丈夫っ」
それを聞いた千早は、とぷっとぷっと射精を瑞穂の中に繰り返した。日頃我慢をしていたからと思うのだが、瑞穂の体内からあふれんばかりに吐きだしたのであった。
「どう、これでしばらくは大丈夫かしらね」
 瑞穂は千早の放出して柔らかくなったモノを抜くと、精液がこぼれないようにすばやくショーツを直してスカートをきちんとなおした。
 千早は瑞穂の体内に自分の精液が入ったままで有ることに、少し落ち着かなかった。
「えっと、瑞穂さんはこんなに女の子でいいんですか?」
 聞くかどうか迷った末に千早が尋ねた。
「そうね。でも私には奥さん居るのよ?それが答え」
「えええ?」



以上、おそまつさまでした。

407 :名無しさん@初回限定:2010/02/16(火) 15:13:06 ID:r/0L+5KHO
上級者すぐるww

408 :名無しさん@初回限定:2010/02/16(火) 17:03:46 ID:rJBskK2K0
……まあ、なんつーか、テンプレ位は読んでくれ

409 :名無しさん@初回限定:2010/02/16(火) 18:31:29 ID:8ozb6X65O
ここは慈悲も寛容も足りないインターネッツですね

410 :名無しさん@初回限定:2010/02/16(火) 19:23:29 ID:eiHmZAa90
おっきした俺は負け犬なのかw

411 :名無しさん@初回限定:2010/02/16(火) 19:36:23 ID:xuT8WC6M0
こんなサービスで一気に萎えた

412 :名無しさん@初回限定:2010/02/16(火) 20:04:32 ID:LILKNSIl0
萎えたうぇwww

413 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 01:11:39 ID:YTyhILvJ0
クリスマス・萎える

414 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 01:51:25 ID:0IA22d4ni
全然おkな俺は異端なのか…

415 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 04:57:48 ID:mgukT7Xt0
………とりあえずSSを投下させていただきます。
設定は奏ルート、結ばれた直後です。

416 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 05:13:31 ID:mgukT7Xt0
 まだ寒さの絶頂期の2月、紫苑と貴子は歩きながら翔耀大学のことや卒業式のことについて話していた。
「……それにしても、瑞穂さんは今頃奏ちゃんとラブラブでしょうね。妬けちゃいますわ」
「紫苑さまったら。一体どちらに嫉妬を感じていらっしゃるのですか?」
 笑いながら返す貴子に、紫苑はしばらく立ち止まって考えていた。
「両方、でしょうか? 瑞穂さんは大好きな友人ですし、奏ちゃんは大好きな妹ですから」
「ふふふ……そうですわね。私にとっても大切なお2人ですから、必ず幸せになっていただきたいですわ」
 そして、紫苑と貴子が瑞穂と奏の話をしている、その時……。
「ふふふ……お姉さまとデートなんて、夢みたいです」
「あら? 何か聞き覚えのある声が……?」
 ふと聞こえてきた声に、紫苑が反応する。
「夢じゃないわよ、由佳里ちゃん。私はあなたの恋人なんですから、思う存分今日のデートを楽しみましょう」
「えっ……!?」
「み、瑞穂さん!? どうして!?」
 2人が驚いて声のした方を見ると、由佳里が瑞穂に腕をからめて楽しそうにはしゃいでいた。

〜エルダーがユダに堕ちる日? 奏ルート編〜

417 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 05:17:37 ID:mgukT7Xt0
「由佳里さんが恋人って……それでは奏さんはなんなのですか!?」
「由佳里ちゃんも、奏ちゃんが瑞穂さんの恋人だと知っているはず……なのに……」
 瑞穂は、紫苑に寮のみんなに奏との関係は打ち明けたと話していた。
なら、由佳里がそれを知らないはずはない。なのに……!!
 紫苑と貴子の胸の中に、恋人を裏切った瑞穂と、親友を裏切った由佳里への怒りが溢れてくる。
「でも、こうしてるとすごく嬉しいんですけど、なんだか奏ちゃんに……」
「ふふっ、優しいわね、由佳里ちゃんは。でも、今はそんなこと考えないの。それはかえって……」
 瑞穂はそこまで言って、前から現れた凄まじいまでの殺気に気付く。
「瑞穂さん、どういうことですの、これは?」
 紫苑と貴子は、すごく険しい顔で瑞穂を問いつめる。
「ど、どうって……その……」
「あなたの恋人は奏さんでしょう! 奏さんのどこが不満なんですの!?
他の女性とデートなんて、奏さんに申し訳ないと思いませんの!?」
「由佳里ちゃん、瑞穂さんと奏ちゃんがつきあっていることはご存知のはずでしょう!」
「そ、それは知ってますけど……」
「親友の奏ちゃんからその恋人を略奪するなんて、どういう神経をしていればそんな真似ができますの!?
恥を知りなさい!!」
「し、紫苑さん、貴子さん、話せばわかります! ちょっと落ち着いてこっちの話を……」
「いいえ、問答無用ですわ! 貴子さん、思う存分懲らしめて差し上げましょう!」
「ええ!」
「………!!」
 震え上がる瑞穂と由佳里の前に、身体全体から殺気を放つ紫苑と貴子が迫っていく……。

418 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 05:46:30 ID:mgukT7Xt0
「あ、紫苑お姉さま、会長さん、いらっしゃいませなのですよ!」
「まあ、奏ちゃん、こんにちは」
 むぎゅっ。
「はややっ!」
 紫苑はそう言うや、いつものように即奏を抱きしめる。
「もう、紫苑さまったら……」
 苦笑する貴子を見て、紫苑はようやく奏から離れた。
「でもね奏ちゃん、いくら奏ちゃんが可愛すぎるからと言って、油断は禁物ですわよ?
 殿方の心変わりは、いつ起こるかわからないものですから」
「そうですわよね。あと、お友達だからといっても、いつ騙されるかわかりませんわ」
 紫苑と貴子は、たった今目撃したことを暗に奏に話した。
 しかし、奏から返ってきた返事は紫苑と貴子の想像のはるか斜め上をいくものだった。

419 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 06:11:23 ID:mgukT7Xt0
「あ、あの、紫苑お姉さま、会長さん、ひょっとして、瑞穂さまと由佳里ちゃんがデートしているところを
ご覧になられたのですか?」
「えっ……?」
「奏さん……ご存知でしたら、どうして止めませんでしたの?」
「止めるも何も、奏がお願いしたのですよ」
「はあ……?」
 紫苑と貴子は呆気に取られる。無理もないだろう。2人とも瑞穂と由佳里が奏の目を盗んで
不倫していると思い込んでいたのだから。
「今日は由佳里ちゃんのお誕生日なのです。でも、奏は孤児ですから、由佳里ちゃんに何もプレゼントできないのです。
でも、由佳里ちゃんが瑞穂さまを好いていたのは知っていましたのですから、それなら、由佳里ちゃんには
今日一日瑞穂さまの恋人の席をプレゼントすることに決めましたのです」
「えっ……!?」
「それで、今日瑞穂さまに、由佳里ちゃんとデートして喜ばせてあげるようお願いしましたのですよ……
あれ? お2人とも、どうしましたのですか? 顔色が悪いのですよ」
「………」
 紫苑と貴子は、あの後瑞穂と由佳里にしたことを思い出して蒼白になっていた。とんでもないことをしてしまった、と。
そして、すぐに櫻館を後にした。

420 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 06:18:57 ID:mgukT7Xt0
「本当に申し訳ありませんでした……」
 紫苑と貴子は、瑞穂と由佳里を制裁した場所に向かい、真っ白になって燃え尽きている2人を
櫻館でなんとかして元に戻すと、深く頭を下げて謝った。
「………」
 しかし、瑞穂と由佳里は、当然ながらふくれっ面。遠慮なく不機嫌オーラを身体中から放出させまくっている。
「まさか、奏ちゃんに頼まれてやっていたとは夢にも思いませんでしたから……」
「わかってますよ、それぐらいは。でも、僕はいいですけど、由佳里ちゃんにとってはとんだ誕生日プレゼントですよね」
「う……」
 瑞穂たちと紫苑たちの立場は、すっかり逆転していた。今度は瑞穂たちが責める側に回っている。
「ま、まあ、そういうことでしたら、遠慮なくデートの続きを……」
「……今さらデートをやり直す気になんて、とてもなれません」
「………」
 そんな2人をなんとか不機嫌モードから解放しようとする紫苑と貴子だったが、このとおり、取り付く島もなし。
「……まったく、自分の決めつけだけで勝手に制裁して濡れ衣、由佳里を祝福する奏ちゃん以下みんなの気持ちを
完全粉砕なんて、とんだ生徒会長様よね」
「くっ……」
 その上、まりやはそこでこれ幸いと追い討ち。いくらそのとおりでも、
貴子にとってまりやから言われると腹も立とうというもの。

421 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 06:24:37 ID:mgukT7Xt0
「ま、まあまあみなさん、落ち着いてくださいなのですよ!」
 空気を察した奏は、慌てて大きな声で言う。
「由佳里ちゃん、今日の代わりに次の日曜日を譲ってさしあげるのですよ。
ですから、どうかみなさん、場を収めてくださいなのですよ」
「奏……」
「奏ちゃん……」
「奏さん……」
「あ、ありがとう、奏ちゃん……」
 瑞穂と紫苑は愛しそうに、まりやと貴子は感嘆の目で、由佳里は感謝の気持ちを込めて奏を見る。
「そうと決まれば、今から由佳里ちゃんのお誕生パーティーにとりかかるのですよ!」
「そうね! あたしたちは飾りつけするわよ! 貴子、あんたはここに注文してあるもの取りに行って来て!
はい、これ注文のリスト」
まりやはそう言うと貴子にメモを片手で押し付けるように渡した。貴子は、そのメモの内容を見て驚愕。
「な……なんですかこれは! こんな大量のものをこんなところまで私1人で取りに行けと!?」
「貴子、まさかあんたに拒否権あるなんて思ってないでしょうね?」
「くっ……」
 足元を見てジト目で言うまりやに、貴子は歯ぎしり。無論貴子も由佳里のことには責任を感じてはいるが、
だからと言って弱みにつけこむような真似を、しかもまりやにされては貴子としては面白くない。
「では、私も一緒に参りますわ」
 と、そこへ、同じく責任を感じている紫苑が助け舟を出してくれた。
「ありがとうございます、紫苑さま」
 こうして、色々ありながら、パーティーの準備は着々と進行していった。

422 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 06:40:27 ID:mgukT7Xt0
「由佳里ちゃん、お誕生日おめでとう」
「由佳里ちゃん、お誕生日おめでとうございますなのですよ!」
「由佳里さん、おめでとうございます」
「由佳里、誕生日おめでとう!」
 そして、夕方、櫻館で誕生パーティーが始まった。
「みんな……ありがとうございます!」
 気がつけば、さっきまでの険悪な雰囲気はどこへやら、みんながみんな一生懸命由佳里を祝ってくれる。
「由佳里さん、先ほどはすみませんでした。これ、間に合わせですが、材料を取りに行った時に、ついでに買ってきました」
 貴子が言うと、紫苑が紙袋を由佳里に差し出す。中には、世界で珍しい、あまり知られていない
極上の料理の作り方が書いてある本だった。
「わあ! どれも1度作ってみたいです! 明日は何を作ろうかな……?」
 由佳里の目は、すでに料理のレシピに釘付け。それを見て苦笑する面々。
「由佳里、夢中になるのはいいことだけど、あたしたちの分を忘れたら承知しないからね。はい、あたしからはこれ」
「え? え? わあっ!!」
 まりやはそう言うと瑞穂を食堂の奥へ連れて行った。
「……???」
「これって、まりやお姉さま、どうしたんだろ?」
 一同は呆然として奥へ消えた2人を見送るだけ。

423 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 06:48:58 ID:mgukT7Xt0
「ゆかりーんお待たせ! はい、どうぞっ!」
 しばらくすると、まりやがそう言って、瑞穂を連れて戻ってきた。
「………!!」
 あまりの美しさに、みな言葉がない。
 出てきた瑞穂は、扇情的な衣装を身にまとって、思いっきり恥じらいの表情を浮かべ、胸と股間を手で当てて隠している。
 扇情的と言っても、不自然な部分はまりやの技術で見事にカバーしているし、
そもそもここにいるメンバーは、もう全員瑞穂が男だと知っているので問題ない。
 みんなが瑞穂にうっとりと見とれている間、まりやはデジカメのシャッターを切り続けていた。

「どう? あたしのとっておきの誕生日プレゼントは」
「……なんていうか、言葉では言い表せないくらい……素敵……でした」
 あれから、まりやは瑞穂にいろんなセクシーな衣装や下着を披露させ、その写真を撮り続けた。
そして、落ち込んでいる瑞穂を尻目に、プリントアウトした写真を由佳里に渡している。
 周りの状況はというと、紫苑と奏は恍惚の表情で今の出来事を思い返している。
貴子は途中から鼻血の噴水を放出させまくっている。

424 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 06:56:35 ID:mgukT7Xt0
「じゃあ、最後に私からね。こっちのも似合うんじゃないかと思って」
 ようやく起き上がった瑞穂が由佳里に渡したのは、黄緑色のかわいいヘアバンドだった。
「ありがとうございます! 奏ちゃんがリボンにしてるのと同じくらい大切にしますね!」
「……もう、大袈裟よ、由佳里ちゃん。あともう1つ、誕生日おめでとう」
 そう言って由佳里のほっぺにキス。
 瑞穂としては今日と次の休日は由佳里の恋人なんだから、恋人らしく口づけをすればいいと思うけど、
本当の恋人である奏の前で、それはさすがに抵抗がある。そんな葛藤の末、これが精一杯の妥協であった。
「本当は唇にすればいいと思うんだけど、私にはこれが限界なの。ごめんね、ダメな恋人で」
「い、いえ……あきらめてた恋人に今日1日なれたんですから、これで十分です……」
 由佳里は夢見心地に答える。
「うわ、瑞穂ちゃんてば、すごいプレーガール……」
「由佳里ちゃん、幸せそうでよかったのですよ」
 まりやは驚きの表情で、奏は祝福と嫉妬が入り混じった複雑な表情で2人を見る。
 こうして、由佳里の誕生パーティーも、次の休日のデートも由佳里にとっては最高の1日になったのであった。

425 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 07:04:37 ID:mgukT7Xt0
エピローグ
「奏、由佳里ちゃんの恋人になってる僕を見て、どんな気分だった?」
 由佳里とのデートを終えた瑞穂は、自室のベッドの中で、隣に寝ている奏にたずねた。
「あ、あの……瑞穂さまの望む答えではないのかも知れないのですけど、奏、由佳里ちゃんが幸せそうで嬉しい反面、
とても寂しくて、なるべく早く終わってほしいと思っていたのですよ」
「うん。私はそういう答えを望んでいたの。私も奏の優しさが誇らしかったけど、
どこか突き放されたみたいで寂しかったんだから」
「瑞穂さま……」
 瑞穂の嬉しそうな微笑みを見て、奏は嬉しそうに言う。
「だから2日たまってた分、奏のこと、たっぷり愛させてもらうわね」
「み、瑞穂さま……ちょっと怖いのですよ」
 しかし意地悪そうにくすりと瑞穂が言うと、奏は少し引いた。
「あ、由佳里ちゃん」
 と、そこへ、黄緑色のヘアバンドをつけた由佳里がレア料理本を見ながら通りかかった。
「ちょうどよかったのですよ! 今日1日は由佳里ちゃんの恋人なのですから、由佳里ちゃんからも何か……」
「ああ、私はもう十分に甘い時間を味わわせてもらったし、ちょっと早いけど、奏ちゃんに返すね」
「ゆ、由佳里ちゃん……」
 そうしている間にも、瑞穂は奏に迫っていく。
「じゃあ、由佳里ちゃんの許可もいただいたことだし、今夜はたっぷり可愛がってあげるわね?」
「とってもお得な高利まわりだね。奏ちゃん、ファイトだよ!」
 少々困惑気味の奏に、少し意地悪そうに、けど温かい目で由佳里は見ながら言うのであった。

Fin

426 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2010/02/17(水) 07:14:45 ID:mgukT7Xt0
以上、1日早い由佳里ちゃん聖誕祭記念SSでした。

途中何回連投規制に泣かされたことか……。
SS投稿スレだけでいいから、連投規制はなくなってほしいです。
では、今回はこれで。お目汚し失礼いたしました。

427 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 13:07:03 ID:QhiODN730
自分達だけは規制するな、とか自分勝手な事を言う人がいますね。
板のルールがあって、それを守るのが当然なのにそれを考慮しない身勝手な人がいる。
連投規制解除などすれば一人で連続100投稿などをする馬鹿が出てくるなど、それすら理解できない人がいるらしい。
少しは考えて発言して下さい。

428 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 14:25:38 ID:rteVadvnO
いやそこまで噛みつかなくても…過疎ってるところで投稿すると支援してもらえないから書き手としてはやりにくいんですよね。まあ荒らし対策なのは分かりますし独り言くらい流してあげましょうよ。

429 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 14:48:53 ID:22eoC0CQ0
東の扉氏が色んな意味でいつも通りなので安心した

430 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 15:02:34 ID:IaAyHvxwO
人の話は聞かない
空気が読めない
忠告は無視する
警告も無視する
苦情は聞き入れないが我儘は聞かせようとする


431 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 15:14:37 ID:6t1CGrX/0
>>430のことですね、わかります

432 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 17:30:26 ID:IaAyHvxwO
おもしろい事書いたつもりでこれっぽっちもおもしろくない。ありていにいえばつまらない
自分以外は総て敵に気が付かない
援護を装っても正体ばればれ
こころあたりがあるから、誰にも宛ててない発言にかみついている

433 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 17:42:12 ID:DNi04pqjP
>>432のことですね、とても良くわかります
おまえ、うっとしいからもうくるなよ

434 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 17:59:30 ID:IaAyHvxwO
なるほど、本性表したな。
東の扉本人はスルーできなくて脊髄反射なんだろうな

435 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 18:12:16 ID:OMfn/gBQ0
こいつが東の扉に粘着してる荒らしか、気持ち悪い奴だ
ID:QhiODN730=ID:IaAyHvxwOなんだろうなたぶん

436 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 20:13:00 ID:/2yKh8V30
さて、ここで質問だ。
なぜ、東の扉が書き込むとここが荒れるのだ?

本人(428,431,433,435)は考えてみることだ。

437 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 20:16:29 ID:PJYIkS0B0
>>436
IDを変えての荒らしご苦労様です
本当に最低な奴だな

438 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 21:42:26 ID:/2yKh8V30
>>437
お前こそ、いいかげんにしろ!
人がID変えてとか言いがかりも大概にしろ。
どっちがID変えてグダグダしてるんだよ。

439 :名無しさん@初回限定:2010/02/17(水) 21:58:28 ID:YTyhILvJ0
こんな雰囲気じゃ、こわくてSSが書けないよ。
いま、L鍋さんのエルダープリンみたいな雰囲気の話書いてるんだけど
需要ありますか?

SS投稿所ってどこのリンクからたどっていけばいいんでしたっけ?
なんか見つからない・・・

440 :名無しさん@初回限定:2010/02/18(木) 03:29:23 ID:MzoXNyfx0
>>439
需要はありますよ、東の扉さんが書き込むと現れる荒らしがいますが
完全無視して書き込んで下さい

441 :名無しさん@初回限定:2010/02/18(木) 08:48:39 ID:JB0TWj690
お互い確かな証拠もないのに言い争っていても不毛な水掛け論なのですよ!
どちらも慈悲と寛容の精神を思い出してくださいなのですよ!

442 :Qoo:2010/02/18(木) 09:10:01 ID:QnBeFOLe0

こんにちは。 Qooです。 m(._.)m
まだ2月だというのに暑い日が多いですね。
皆様もこの暖かな日差しのように、うららかに過ごされていることと存じます。

さて、お話はまりやがキレるちょっと前のお話です。
どうぞ。


443 :Qoo:2010/02/18(木) 09:13:43 ID:QnBeFOLe0

まりや様がみてる

……

あたしは今瑞穂ちゃんの部屋の前に立っている。
いや、正確には瑞穂ちゃんの部屋の扉のちょっと横の壁に背を当て、軽く一昔前のコテコテのスパイみたいな格好で張り付いている。
時刻は瑞穂ちゃんの起床予想時刻よりしばらく前。
スリッパも穿かず床と足の裏を隔てているのは頼りない靴下二枚。
寮の床暖房はまだ稼動しておらず、暖房の付いていない冬の朝の廊下でスリッパも穿かずに突っ立っているとどうなるか。
火を見るより明らかだけど一応言っておくと非常に冷たい。
靴下二枚重ねなんて無駄な抵抗をしてみたけど、まさに無駄な抵抗だった。
冬の廊下をなめちゃいけない。最初にスリッパを作った人は偉大だね。
ちなみにスリッパは履いてないだけでちゃんとあたしの指先にぶら下がっている。
なぜスリッパを穿いていないのかって?
さっきそこの曲がり角で脱いだから。音がするからね、パタパタって。
なぜ音がするといけないのかって?
瑞穂ちゃん起きちゃうじゃない。
瑞穂を起こしに来たんじゃないのかって?
それもあるけどね、まぁすぐに分かるよ。とりあえず中に入ろう、廊下は寒いからさ。


444 :Qoo:2010/02/18(木) 09:17:06 ID:QnBeFOLe0

一応扉に耳をつけて中の音を探り、何も聞こえないことを確認して冷たいドアノブを掴んでひねると、
ドアノブは抵抗することなくあっさりと最後まで回った。
何でかは知らないけど、瑞穂ちゃんは部屋のカギを閉めるということをしない。
無用心なことだ。誰かが忍び込んだらどうするのだ。
うるさい。あたしはいいのよ。
キィとも悲鳴を漏らすこともなく開いたドアの隙間に素早く身を滑らせ、すぐさまドアを閉める。
音はほとんどなかった(はず)。以前にスプレーしておいた潤滑スプレーはまだその力を保っているようだ。
暗い部屋の中、目を閉じて耳を澄ます。
何かが動く様子はない。大丈夫みたいだ。
暖房などは点いていないんだろうけど、部屋の中は何となく暖かかった。
人の体温の影響って案外大きいものである。
カーペットが敷かれているのでとりあえず足の裏には優しい。
一息吐きつつ、忍び足で瑞穂ちゃんのベッドに近づいていく。


445 :Qoo:2010/02/18(木) 09:33:08 ID:QnBeFOLe0

当たり前だが部屋の中は電気が付いておらずほとんど真っ暗なので目は覚束ないが、
しばらくすると目も慣れてきて、元々整理されている上に勝手知ったる瑞穂ちゃんの部屋である、
移動するのにさしたる支障はない。
手近にあったクッションを引っ掴み、ベッドの横に置いて座り込む。
ベッドに体重を乗せて楽したいけど、さすがに気付かれそうなのでやめておこう。
さて、瑞穂ちゃんの眠る部屋に忍び込んでそのベッドの横で何をするかというと。
特に何もしたりはしない。
…いや、ほんとほんと。
もし仮に今瑞穂ちゃんが飛び起きて、何をしに来たのか何をしてたのかとあたしに問えば、
「いや、別に…」と何の面白みもなくかつ恐らくは誰も信じてはくれないであろう弁明をする羽目になると思われる状況である。
ただ、もうちょっと具体的に答えろと言われれば……まぁ、見に来たのだ。
何をって、分かるでしょ?
コレですよ。
すぐ横に不法侵入者がいるってのにのん気な顔で無邪気に眠るこの顔を、あたしは見に来たのだ。
さっきも言った通り、ただ見るだけで別にどうこうするわけじゃない。
夜這いしに来たわけじゃないし、襲って食べたりはしないし、いたずらはしないし、困らせたりしない。
あたしにしてはあたしらしくなくあたしらしい平和な行動だとあたしでも思う。
まぁ、色々と考え事はするけどね。


446 :Qoo:2010/02/18(木) 09:35:17 ID:QnBeFOLe0

腕を組み目の前にある瑞穂ちゃんの顔をじぃっと見つめる。
最近あたしはよく瑞穂ちゃんを見つめている。
というか、見つめていた自分にはっと気付くことがよくある。
なぜだろう。自分でもよく分からない。
瑞穂ちゃんの顔、幾度となく見つめてきたその顔ではあるが、未だに見飽きることはない。
唐突だが、あたしは神というものの存在を信じている。こう見えても。
別にずっとミッションスクールに通っているうちにキリスト様の偉大さに気付いたとか、
周囲のうふふ光線に感染したとかそういうわけじゃなく、
キリストが何したとか特に興味はないしお祈りの時間などはただかったるいだけだし、
ご飯前のお祈りはいただきますがちょっと長くなってめんどいなとかそんな程度にしか考えていない。
ただ、この世の「可愛い」や「綺麗」といった言葉が裸足で平伏すような、この輝かんばかりの美しさはどうなのだ。
すっぴんでコレなのだ。感心を通り越して呆れ果てるね。
この美貌の前ではあたしですら神の所業というものを疑わざるを得ない。
神はなぜこのような顔をこの子に与えたもうたのか、オトコノコなのに。
ある意味試練なのかもしれない。


447 :Qoo:2010/02/18(木) 09:40:14 ID:QnBeFOLe0

ふと瑞穂ちゃんの向こうで何かが蠢いた。
小さく寝言が聞こえたかと思うと掛け布団から突然にょきっと腕が生えて、再び掛け布団の中へと消えていった。
部屋の暗さも相まって、正直、かなりビビる。
とてつもなくシュールな光景だった。
心臓が思わず跳ね上がったが、今の超常現象の正体は分かっている。
瑞穂ちゃんの隣で眠っている一子ちゃんである。
高島一子、職業、幽霊。
この世に何らかの未練があり、幽霊としてここに存在している、らしい。
幽霊なので存在しているというのもなんだかおかしいけど。
いわゆる自縛霊というヤツだと思われる。
すやすやと穏やかな表情で眠っている一子ちゃんだが、
その可愛らしい寝顔とは裏腹にかけぶとんが膨らんでいなかったり若干身体がベッドやまくらにめり込んでいたりと、
よくよく観察してみれば何気ない光景の中に潜むこの世の法則をあざ笑うようなスーパーナチュラルの枚挙に暇がない。
考えてみればあたしたちってすごい体験してるんだよね。自覚無いけど。
で、一子ちゃんは自縛霊である。となれば何らかの場所やモノに縛られているということである。多分。
それは何なのか…一子ちゃんが寝ていることからも分かる通り、それはここ、瑞穂ちゃんの部屋である。多分。
ここに昔住んでいた瑞穂ちゃんに良く似たエルダーのことがとても大好きだったらしく、
その辺りが関係しているのだろう。多分。
多分尽くしだが、一子ちゃん自身もよく分かっていないのだからどうしようもない。


448 :Qoo:2010/02/18(木) 09:44:55 ID:QnBeFOLe0

さて、一子ちゃんは幽霊なのだが、見ての通りちゃんと寝ることができるらしく、
夜になると瑞穂ちゃんの部屋に戻り、瑞穂ちゃんと一緒に眠っている。
同じベッドで。
…うん。まぁ、色々と考えるよね。
こう見えても、瑞穂ちゃんは男の子である。
そして、一子ちゃんは女の子だ。
何かと騒がしい一子ちゃんだが、可愛い。しかもいい子である。
そんな子と、夜は毎日ずーっと一緒にいて、しかも一緒に寝ているわけだ。
…ヘンな気分にならないんだろうか。
瑞穂ちゃんは穏やかな顔ですやすやと眠っているし、別段睡眠が不足しているようにも見えない。
ここは女の園だ。周りには一般思春期男子にとって一番興味があるであろう女の子という刺激がそこらじゅうに転がっている。
体育の時間ともなれば女の子の着替えは堂々と見放題、
両手両足の指どころではない数の妹達から過激なボディコミュニケーションを受けることも数知れない。
でも、瑞穂ちゃんも一応とはいえ年頃の男の子なんだし、性欲くらいはあるはずだ、というかないとオカシイ。
そこで当然浮かぶ疑問である。
"それ"…をどうやって発散してるんだろう。
瑞穂ちゃんの方から女の子に抱きついたり少し悪戯したりしても、お遊びで許されるだろうし、むしろ喜ぶ子の方が大半だろう。
しかし、瑞穂ちゃんはそんなことはしない。
考えてみればそういう刺激は瑞穂ちゃんから行かずとも向こうからやってくるわけだし、
それに男の子は…そのアレだ、えー、そうだな、その…エルダースティックをーだな、満足させなければ意味がない。
中途半端なスキンシップは逆に溜まるだけだろう。色々と。
そんな中、毎夜毎夜一緒に寝てくれる可愛い女の子がいるわけだ。
…まさか、一子ちゃんがお相手を…?
いや、いやいや。 ない、ないない、ないないない。
……ないよね?瑞穂ちゃん。
ってか何考えてるんだあたしは。
ま…普通に考えてみるならば、我慢するか……自分で処理しているんだろう。
色々と大変だね、瑞穂ちゃんも…。


449 :Qoo:2010/02/18(木) 09:48:36 ID:QnBeFOLe0

瑞穂ちゃんは綺麗になった。素敵になった。
外見的にも、お姉さまとしても。
いや、過去形じゃないね、もっと綺麗になっていく。 現在進行形で。
瑞穂ちゃんに群がる子たちの気持ちも分かるってものだ。
あたしはどうだろう。成長しているんだろうか。
「皆のお姉さま」をしている瑞穂ちゃんを見ていると、時々何だかムズムズするっていうか、妙な気持ちになることがある。
何だろう、上手く言葉にできない。
でもきっとそれは、あたしのワガママなんだと思う。
…やっぱ成長、してないなぁ自分。
だからこうやってもやもや悩んで、こんな風に瑞穂ちゃんのことを見つめてるんだ。
でもそれを瑞穂ちゃんに言えば、きっと瑞穂ちゃんはそれに対して真剣になって考えてくれて…それがまたあたしをムズムズさせるんだろう。
その光景があまりにリアルに想像できて、思わず吹き出しそうになってしまった。
危ない危ない。


450 :名無しさん@初回限定:2010/02/18(木) 09:57:37 ID:cDs4xJTEO
紫苑?

451 :Qoo:2010/02/18(木) 10:01:35 ID:QnBeFOLe0

頭の中をよぎる眠気にふぁ…とあくびが漏れた。
暗闇に慣れた目で壁掛け時計に目を向ける。
カーテンの隙間から漏れる光は淡く、外はまだ少し暗いみたいだけど、薄く光を放つ蛍光の時計針がタイムリミットを指し示していた。
行こう。
小さく息を吐いて立ち上がり、腰に手を当ててしばらくの間上から瑞穂の顔を見つめ、べーっと舌を出してから踵を返して扉に向かう。
扉を静かに開け、素早く廊下側に身を滑らせる。
閉めた扉に背をもたれ、後頭部を壁に押し付けて目を瞑った。
少し気分を整えるつもりだったが、思考能力を奪うかのように靴下越しに寒さがじわじわと足元から上ってくる。
冷たいなぁもう。分かったわよ。
持っていたスリッパを床に置き、足を入れた。
そして、振り返ってドアノブに手を掛ける。

……行きますかね。

スリー、ツー、ワン。

がちゃっ

「瑞穂ちゃん、起きてる!?」


                         ...fin.


   --------------------------------------



452 :Qoo:2010/02/18(木) 10:03:46 ID:QnBeFOLe0

お粗末さまでした。
やおいなお話で申し訳ありません。(*´∀`)
支援ありがとうございます。 助かりましたぁ。(´ー`)
 
それでは。       Qooでした。m(._.)m


453 :名無しさん@初回限定:2010/02/18(木) 20:40:46 ID:DiyKYhFY0
おおっ!Qooさんお久しぶり&GJ!
おとボク分らしいおとボク分を補充出来ました。
これで2まで戦える!

454 :名無しさん@初回限定:2010/02/25(木) 12:57:09 ID:o1JbbBFEO
俺には無理だな。
だからもう少し投下希望

455 :名無しさん@初回限定:2010/02/25(木) 18:50:18 ID:SdyDrssy0
まず>>454が書いてみようぜ。
君の妄想を覗いてみたい。

456 :名無しさん@初回限定:2010/03/12(金) 13:10:46 ID:+PWnt15WP
保守

457 :名無しさん@初回限定:2010/03/21(日) 20:57:27 ID:rNHgQ6vr0
十条紫苑お誕生日記念話

 六月の初旬。A組の担任である緋紗子先生がみんなにいいました。
「今日はみなさんに転校生を紹介しま〜す」
「ええっ、この時期に転入生かしら」
「どんな人かしら」
 小雀な乙女達はちゅんちゅんとさえずり始めました。
「十条さん」
 緋紗子先生が転入生を呼びました。
 ガラッという音と共に扉が開いて、大柄な女の子が教室に滑るように入ってきました。
 カツカツカツッ。黒板にチョークで名前が書かれていきます。
「十条紫苑です。初めに言っておきますが、でかくても私は女です!」
 ざわ…
 ざわ…
 教室の中がざわめき始めました。
 そこで紫苑さんは一発教室内のみんなに向かって勝利宣言。
「でも 女の子が大好きですっ!!」
 ……え
 えええぇ〜〜〜!!?
 教室内はパニックです。
「紫苑…!?」
「え……まりや……!?」
「ねぇ、まりやぁ。知り合い?」
 まりやさんの後ろからひょっこりと出てきたロングヘアーの女の子がまりやさんに、質問をなげかけました。
「ん?あー、紫苑は中学の時の知り合いで…」
 まりやさんが説明しようとしたその瞬間
「わーーっ!!」
 紫苑さんが女の子に飛びついてだきします。



458 :名無しさん@初回限定:2010/03/21(日) 20:57:52 ID:rNHgQ6vr0
>>457
「ななな 何このかわいい娘はーーーっ!!!」
「はわわっ」
抱きついた紫苑さんも大興奮していますが、抱きつかれた女の子もびっくりしています。
「あなた、名前はっ!?」
「か…宮小路瑞穂」

 ぱあああああっと顔を赤らめる紫苑さん。

(瑞穂ちゃんかあ〜 編入早々、ステキな出会い♪)

「ねえ、まりやぁ、紫苑さんって変わっているね」
「あんたが言うなっ!」

「あら?」
「ん?何?」
「あらあら?そう言うこと?」
「まりやってボーイッシュだったから、すっごくモテたけど、今もモテモテなんだ」

「…あのね、紫苑。貴女には酷な話かもしれないんだけれど、瑞穂(この子)、オトコだよ?」
「「またまたご冗談を〜」
「あの、まりやの言ってること本当なの」
「えええええええええええっつつつつつ!!!????」

と、いうのをプラナス・ガールを見て思いつきました。

めずらしく書いた話がこんなに
ぐっちゃぐちゃな展開で放置プレイですみません。
みんな、ごめんね。こんな話で。

459 :名無しさん@初回限定:2010/03/25(木) 13:14:41 ID:Icq19BRJO
なにこのかわいい瑞穂ちゃん!素晴らしい
こういう路線もいいね

460 :名無しさん@初回限定:2010/03/26(金) 22:00:26 ID:EOCu76mi0
まぁ、一巻はご祝儀で買うよ

461 :名無しさん@初回限定:2010/04/01(木) 12:00:01 ID:VhtAC0DY0
『処女はお姉さまに恋してる 〜3人のエルダー〜』

 ――第75代エルダー選挙投票日

(前略)
「これより、得票上位であるお2人に、ご自身の持つ票を譲り渡す意志があるかどうかを確認します。
意志を持たない場合、それぞれに沈黙を以てお答え下さい」
 生徒会長・皆瀬初音の声が、場内に響き渡った。

 幾ばくかの沈黙の後……
「「……私が」」
 ざわっ……
 千早と薫子が全く同時に声を発した。
「私は七々原薫子さんに、全ての票を譲渡致します」「私は妃宮千早さんに、全ての票を譲渡します!」
 ざわざわっ……
 2人は同じタイミングで互いを見やった。

「ここはやはり、『騎士の君』の称号を持つ薫子さんがエルダーになるべきだと思うのですが」
(薫子さん、僕の性別知ってるでしょう。一体何を考えてるんだ?)
「いえいえ、全てに秀でた千早さんがエルダーに相応しいと、私は思いますよ」
(あたしみたいなガサツな女がエルダーになっちゃったらまずいでしょうが。空気読みなさいよ千早)

「薫子さんが!」
「千早さんが!」
 ざわざわざわっ……
 2人は周りを無視して、舌戦(?)を繰り広げている。
「私が譲る!」
「いいえ私が!」

 このままでは埒が明かないと思われたが……

462 :名無しさん@初回限定:2010/04/01(木) 12:02:00 ID:VhtAC0DY0
「ちょっと2人とも落ち着きなさい。それなら私が……」
「「どうぞどうぞ」」
「……えっ?」
 第75代エルダーシスター・真行寺茉清がここに誕生した。

(私が薫子さんに票を譲って2人のバランスを崩すつもりだったのに、どうしてこうなった)


『お姉妹』




エイプリルフール記念なんで今回は名無しさんで投下。失礼しました。12時ピッタリ投下失敗してるしorz

463 :名無しさん@初回限定:2010/04/14(水) 15:52:45 ID:giDapBRIO
保守

464 :名無しさん@初回限定:2010/04/25(日) 03:58:31 ID:UgLvmhZ6P
保守

465 :名無しさん@初回限定:2010/05/03(月) 18:07:57 ID:KoK3wwY60
保守

466 :名無しさん@初回限定:2010/05/10(月) 22:03:11 ID:xfF/gAiuO
質問なのだが、瑞穂の開成時代の男友達と瑞穂が肉体関係をもつSSのタイトルを誰か覚えていない?

467 :名無しさん@初回限定:2010/05/10(月) 23:20:07 ID:eHITKocV0
まとめで探せ

468 :名無しさん@初回限定:2010/05/11(火) 01:08:36 ID:JemlMglSO
>>467
ごめん、まとめで虱潰したんだ

469 :名無しさん@初回限定:2010/05/11(火) 08:18:21 ID:3IzT88qgO
友愛だったと思う

470 :名無しさん@初回限定:2010/05/11(火) 08:43:25 ID:504UGiA70
物騒なタイトルだな

471 :名無しさん@初回限定:2010/05/11(火) 12:27:49 ID:JemlMglSO
>>469
ありがとうございます
友恋だと間違えて覚えてた……

472 :名無しさん@初回限定:2010/05/11(火) 20:14:11 ID:JemlMglSO
……………………………………閉鎖されてた

473 :保守がてらに書いてみた:2010/05/12(水) 00:05:52 ID:5Tq4LPtG0
『なまえなまえな〜まえ!君のk(以下略)』


――20??年5月12日 鏑木邸

まりや「さあ!瑞穂ちゃん誕生パーティーで盛り上がる今日この頃、皆様いかがお過ごしですか?」
瑞穂「ゴメンまりや、意味わかんない」

まりや「というわけで、本日のメインイベントの時間がやってまいりました!」
瑞穂「ゴメンまりや、やっぱり意味わかんない」

まりや「題しまして『ラ・ラ・ラ 言えるかな、おとボクの名前クイズ』!」
奏由佳里貴子紫苑楓「ワーーーッ!パチパチパチパチ!ヒューヒュー!」オネエサマオネエサマオネエサマオネエサマー!

瑞穂「ちょっと待って?!今この場に居るはずがない人が居たよね?」
まりや「ん?気のせいじゃない?……それじゃルールを説明するわね。あたしが出すおとボク登場人物の名前を瑞穂ちゃんが読む、それだけよ。全部で10問、7問以上正解で合格って事にするわ」
瑞穂「……で、合格だとどうなるの?」
まりや「合格した暁には、こちらをプレゼント!」

 まりやがどこからともなく取り出した封筒を開けた。
まりや「『処女はお姉さまに恋してる 2人のエルダー』と『ボーカルミニアルバム』をセットでプレゼントします!発売前だから、今日は予約券で勘弁ね」
奏由佳里貴子紫苑楓「オーーーッ!」ザワザワ
瑞穂「……正直嬉しくないです」

奏「お姉さま、薫子ちゃんの活躍を見るのはお嫌ですか?」ウルウル
瑞穂「か、奏ちゃん?!そういう意味ではなくて、ソフトは発売日にメーカーの方から頂けるみたいだから、ここで貰っても仕方がないって事なんだ」アセアセ
紫苑「なるほど。つまり瑞穂さんは、あんなシーンやこんなシーンをご覧になる……というのですね」ニヤニヤ
楓「う〜ん、瑞穂さんってばオ・マ・セ・さん!」ニヤニヤ
貴子「瑞穂さん!私という者がありながら、2次元に浮気されるのですか?!」ツンツン?
瑞穂(「僕らも2次元ですよ」というツッコミはしないでおこう)

474 :君の名前、略して『きみえ』:2010/05/12(水) 00:09:15 ID:5Tq4LPtG0
まりや「そっか、それならプレゼントは改めて考えましょ。ちなみにダメだった場合は、瑞穂ちゃん裸エプロンの刑!」
奏由佳里紫苑楓「ワーーーッ!は・だ・エプ!は・だ・エプ!は・だ・エプ!」ウオー!
瑞穂「嫌だよ……というか、男の裸エプロンなんて気色悪いだけでしょ?」
まりや奏由佳里貴子紫苑楓「……」アイカワラズワカッテネー

貴子「まりやさん!そのような辱め、婚約者として了承できません!」
まりや「あれ?いつもの貴子だったら、『は、裸エプ……きゅ〜』ってなるはずなんだけどなぁ……」
貴子「瑞穂さんの裸はほぼ毎日見てます!……あ///」キュー


まりや「勝手に自爆してるし……それじゃ始めましょう。第1問!」

『妃宮 千早』

瑞穂「これは流石にわかるよ。『きさきのみや ちはや』」
まりや「……正解!ま、あたし達のいとこだからね。これ間違えたら即刻裸エプロンにするつもりだったから」
瑞穂「僕とは血の繋がりが無いけれどね。……無いよね?」


まりや「第2問!」

『七々原 薫子』

瑞穂「これは間違えたら奏ちゃんに失礼だよね。『ななはら かおるこ』」
まりや「……正解!」
瑞穂「エルダー候補だったっけ。先が楽しみだね奏ちゃん」
奏「はい!」

475 :各所でキャラが崩壊してます:2010/05/12(水) 00:12:29 ID:5Tq4LPtG0
まりや「第3問!」

『神近 香織理』

瑞穂「う……始めて見る名前だ。でもこれはストレートに読めば大丈夫な気がする。『かみちか かおり』」
まりや「……正解!あれ?どうしたの由佳里」
由佳里「あの娘のせいで私まで『かみ○かさん』なんて呼ばれる破目に……」ブツブツ
瑞穂「……あはは」(確かに似てるなぁ。とりあえず笑ってごまかそう)


まりや「第4問!ここから少しずつ難易度が上がるわよ」

『蒔田 聖』

瑞穂「少しどころか、いきなり難易度が跳ね上がったね。『蒔田』は『まいた』か『まきた』だと思うけれど『聖』の方が強敵だね。○リみて的に考えれば『せい』なのだけれど……」
まりや「さあ瑞穂ちゃん、答えをどうぞ!」
瑞穂「正直わからないから当てずっぽうで。『まきた ひじり』」
まりや「……残念!正解は『まきた きよら』よ。苗字は合ってたのに惜しかったわね」
瑞穂「はは……これは無理だね。当て字かな?」
まりや「一応『きよ』って読みはあるみたいだけどね。『聖しこの夜』とか」
瑞穂「愛称は『きょらちゃん』とかかな?」
まりや「センスわるっ!」


まりや「第5問!瑞穂ちゃんが始めてミスったからサービス問題よ」

『小鳥遊 圭』

瑞穂「確かにサービスだね。『たかなし けい』」
まりや「もちろん正解よ。『小鳥遊』って相当レアな苗字だと思うけど、2次元的にはアンコモンよね」
瑞穂「それは云わない約束でしょ」

476 :ご了承ください:2010/05/12(水) 00:16:05 ID:5Tq4LPtG0
まりや「半分終わったところで瑞穂ちゃんの成績は5問中4問正解。良いペースだけどここからが正念場よ。ここで一旦ハーフタイムショー!」
瑞穂「……え?由佳里ちゃん?!」
 何時の間にやら姿を消していた由佳里が、きらびやかなステージ衣装で登場した。


由佳里「瑞穂お姉さま誕生日おめでとうございます。今日はお姉さまのために一所懸命歌います!」

♪甘いモノ〜は〜 か〜なちゃんのエネルギー
?「「「「「「ゆ〜かりん!ゆ〜かりん!Wooooooo ゆっかり〜ん!」」」」」」

瑞穂「まりや、このどこからともなく聴こえてくる謎の合いの手は何??」

♪あ〜ま〜くあま〜い〜 砂糖のか・た・ま〜りを〜
?「「「「「「ゆ〜かりん!ゆ〜かりん!ゆ〜かりん!hey!hey!」」」」」」

まりや「さあ?かみ○かさんの中の人が『ゆかりん』だっていう、非常にわかりづらいネタなんじゃない?」
瑞穂「?」
紫苑「まりやさん、それは『ゆかりん』違いですわ」

奏「私はそこまで甘いモノ中毒じゃないのですよ」ショボーン
瑞穂まりや紫苑楓「……」ジトー

477 :2が出るまで過疎かな?:2010/05/12(水) 00:19:37 ID:5Tq4LPtG0
まりや「そ、それでは気を取り直して第6問!」

『栢木 優雨』

瑞穂「これも難解だね。うーん、苗字は大丈夫だと思うけど……」
まりや「さあ瑞穂ちゃん、答えをどうぞ!」
瑞穂「直感で!『かしわぎ ゆう』」
まりや「……驚いた、正解よ」
瑞穂「『ゆうう』だったらどうしようって思ったよ」
まりや「クイズでGO!GO!」


まりや「さあて、そろそろ本気を出しますか。第7問!」

『石動 塞』

瑞穂「……さっぱりわからない。『塞』って『要塞』とかだよね。それじゃ『いするぎ さい』!」
まりや「惜しい!正解は『いするぎ さえ』よ!」
瑞穂「『サエ』か、学院長と同じだね」
まりや「違うわ、学院長の名前は『サヱ』よ」
瑞穂「ん?どちらも『sae』でしょ?」
まりや「違うわよ。『サエ』と『サヱ』ってのは、『萌え』と『萌ゑ』くらい違うわ!」
瑞穂「ゴメンまりや、何もかも意味わかんない」
まりや「……今度学院長のお見舞いに行こうかな」
瑞穂「……僕も付き合うよ」

478 :71%:2010/05/12(水) 00:23:25 ID:5Tq4LPtG0
まりや「第8問!」

『冷泉 淡雪』

瑞穂「……何で2はこんなに難解な名前が多いの?」
まりや「とりあえずインパクト重視ってところじゃない?」
瑞穂「『れいせん あわゆき』……かな?」
まりや「……普通に読むなら『れいせん』か『れいぜん』よね。でも正解は『れいぜい あわゆき』よ」
瑞穂「……あっ!そうか!」
まりや「これは瑞穂ちゃんなら読めると思ったんだけどねぇ、華族的な意味で」


まりや「さてさて、これで3問間違えたから裸エプロンにリーチよ。次で終わりかな……第9問!」

『哘 雅楽乃』

まりや「これはわかんないでしょう。初見で読めたらエスパーよね」
瑞穂「ふふふ……『さ』……『そ』……『う』…………『う』……『た』……『の』」
まりや「……え?」
瑞穂「どう?正解かな?」ニヤリ
まりや「くっ……正解よ。何でわかったのよ!?」

紫苑「ふふっ、奏ちゃんのファインプレイですね」ナデナデ
奏「し、紫苑お姉さま〜」アセダラダラ

まりや「どういうことですか?」
紫苑「まりやさんの後ろで、奏ちゃんがサインを手話で送っていたのですわ」
まりや「なっ?!瑞穂ちゃん奏ちゃん、いつの間にそんなからくり西○知美テクを身につけて……って、イカサマじゃない!」
瑞穂「……」スヒュースヒュー
まりや「もしかして口笛のつもりかな瑞穂ちゃん?」

479 :瑞穂と結ばれないまりや萌ゑ:2010/05/12(水) 00:27:22 ID:5Tq4LPtG0
まりや「ま、いいわ。姉妹の絆って事にしといたげる。気付かなかったあたしも悪いしね。もうやっちゃダメよ」
瑞穂奏「……」コクコク
まりや「でもどうしよう、正直8問目か9問目で終わると思ってたからねぇ。最終問題!」

『巌島 貴子』

瑞穂「『いつくしま たかこ』!」
貴子「瑞穂さん?!」
瑞穂「貴子さん、真っ青な顔してどうしたんですか?」(というか、いつ復活したんだろう?)

まりや「引っかかったわね、不正解よ!」ニヤリ
瑞穂「えっ?!どうして?」
まりや「字を良〜く見てごらんなさい!」
瑞穂「…… …… ……ああっ!」
                   .
まりや「貴子のフルネームは『厳島 貴子』よ、字が違うわ」
瑞穂「でも『いつくしま たかこ』という読みは間違えてないと思うけれど」
まりや「あたしは『おとボク登場人物の名前を瑞穂ちゃんが読む』って云ったの。だから正解は『巌島貴子は、おとボクの登場人物ではない』よ」
瑞穂「そんなむちゃくちゃな……」
まりや「字を良〜く読まない瑞穂ちゃんが悪い」
瑞穂「ええと、まりやは確か『あたしが出すおとボク登場人物の名前を』って云ったよね。でもまりやはおとボクの登場人物を出さなかったのだから、問題自体が無効でしょ」
まりや「うっ……瑞穂ちゃんの癖に生意気よ!」

貴子「……」ジーッ
瑞穂(貴子さんの視線を感じる。もしかして怒ってる?)
瑞穂「ご、ごめんなさい貴子さん。正直『貴子』しか見てませんでした」
貴子「え?……///」キュー

480 :職人さんカムバック!:2010/05/12(水) 00:31:57 ID:5Tq4LPtG0
瑞穂「あ、あれ?貴子さん?!」

まりや「ふふ〜ん、流石は瑞穂ちゃん。天然タラシは健在ね!」ニヤニヤ
瑞穂「な、何を云ってるのまりや!?」
まりや「『貴子』しか見てませんでした」キリッ
瑞穂「ちょっ……そういう意味じゃないから。紫苑さん助けてください!」

紫苑「『貴子』しか見てませんでした」キリッ
楓「『貴子』しか見てませんでした」キリッ
瑞穂「紫苑さん……楓さんまで?!」

由佳里「私も1度は云われてみたいなぁ」ポッ
奏「お姉さま格好良いのですよ〜」ポッ
瑞穂「由佳里ちゃん、奏ちゃん?!」


まりや「というわけで、瑞穂ちゃんには裸エプロンになってもらいましょー!」
瑞穂「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、そもそも僕は了承してないし。最後の問題はまりやのズルでしょ」
まりや「瑞穂ちゃんだってズルしてるじゃない。ま、確かに裸エプロンは酷かもね。それじゃ変わりに……さっき由佳里が着た衣装で1曲歌うってのはどう?」
瑞穂「それって結局女装だよね。それに由佳里ちゃん向けのサイズじゃ僕には合わないんじゃないかな?」
まりや「ん?今の由佳里なら身長は数センチしか変わらないでしょ。それに瑞穂ちゃんはスマートだから大丈夫よ」

由佳里「ま・り・や・お・ね・え・さ・ま!それは私がスマートじゃないって事でしょうか?」ギロッ!
まりや「ち、違うわよ。瑞穂ちゃんが細すぎるのよ」アセアセ
瑞穂「だ、大丈夫。由佳里ちゃんスタイル良いから」アセアセ

まりや「瑞穂ちゃん、早く着替えてきなさい。由佳里がキレる前に」ヒソヒソ
瑞穂「はぁ……わかったよ。裸エプロンよりはマシだからね」ヒソヒソ

481 :瑞穂ちゃんハピバスデー:2010/05/12(水) 00:35:26 ID:5Tq4LPtG0
瑞穂「楓さん、ちょっと耳を貸してもらえますか?」ヒソヒソ
楓「何でしょう?」フムフム

 瑞穂は着替えるため一旦別室へ。楓は瑞穂の話を受け、瑞穂とは別方向へ退出した。


紫苑「見事な交渉術ですね、まりやさん由佳里ちゃん」ニヤリ
まりや由佳里「な、何の事でしょう?」ギクッ!
紫苑「最初から裸エプロンを瑞穂さんに着せる気はなかったのでしょう?」
まりや「ありゃりゃ、バレバレですか」

紫苑「最初に無茶な要求を突きつけ、その後に妥協案を出す。最初からステージ衣装を着せようとしたら、瑞穂さんに拒絶されてしまいますからね」
紫苑「そしてタイミング良く由佳里ちゃんを怒らせて……無論フリでしょうが、有無を云わせない状況を作る……と。流石は姉妹、息ピッタリですね」
まりや「紫苑さん……そこまで見抜いてましたか」
由佳里「褒められているはずなのに嬉しくないのはなぜでしょうか」

まりや「昔と違って、瑞穂ちゃんは簡単には言いなりにならないですから。それでもあたしたちの楽しみは失いたくないんです」
由佳里「瑞穂お姉さまの美しさは、これから先大きな武器になるでしょうから。それを磨くのが私達の義務です」キリッ!
紫苑「あらあら」ウフフ
奏「由佳里ちゃん、今日は完全に壊れているのですよ〜」

482 :以上です。失礼しました:2010/05/12(水) 00:37:48 ID:5Tq4LPtG0
 着替えを終わった瑞穂が戻ってきた。手には楓に持って来させたブツが……

奏「お姉さまが持ってらっしゃるのは……ギターでしょうか?」
由佳里「やっぱり瑞穂お姉さま綺麗……」ホゥ
まりや「あ、あれは?!幻のフライングVスペシャルジャイアント!」


瑞穂「俺の歌を聴けええええええ!!!」ギュイーン

まりや奏由佳里紫苑楓「工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工」

 気絶している貴子が、多分一番幸せだ。


〜End〜





本当はもうちょっとしんみり系の話だったんですが、途中で投げました。ごめんなさい

483 :名無しさん@初回限定:2010/05/12(水) 19:04:21 ID:e36DpJhtO
GJ!

484 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:15:45 ID:8DPNuFS80
お久しぶりでございます。
GWに書いたものを投下しようかと。

 ご注意!!

 激しいバカ話です。
 キャライメージを損なう可能性大!
 ギャグなどをあまり好まれない方、ご遠慮頂いた方が宜しいかと。

 
 ちょっと長いですよ。

 支援とかあったら私、かなり喜ぶかと思います。

485 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:18:06 ID:8DPNuFS80
『ハニー乙女』


 設定は貴子ルート 瑞穂と貴子が付き合うようになってからの話です。


 瑞穂は最近になって生徒会の仕事を手伝うようになっていた。
 今日も生徒会室で貴子の書類仕事を手伝いながら、他の生徒会メンバーと世間話をしていたが…。

「え? カップラーメンを食べたことがない?」

 瑞穂が驚いて訊き返す。
 可奈子がラーメンの話を始めて、そこからの流れで貴子がラーメンはおろか、
カップラーメンさえ食べたことがないと云い出したことに、その場にいた全員(瑞穂、君枝、葉子、可奈子)が驚いた。

「それが…父がとても中華料理を嫌っていて……それで一度も食べたことがないんです……。
だからラーメンは食べたことがありません。なのでインスタントのラーメンもありません」」
「……そうですか」
「も、もちろん知識としては知っていますわよ」

 皆の視線に慌てて云い訳する貴子。

「テレビでは見たこともあります」

 しかしその内容がまた痛かった。

「…さ、流石は会長」

 取り敢えず感心したような台詞を吐く君枝。
 腰ぎんちゃくの鏡である。

486 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:19:18 ID:8DPNuFS80

「…な、成る程。その分だと、他にも餃子とか食べたことが無さそうなものが色々とありそうな…。
でもカップラーメンが無いとは…」

 そう云いかけて、瑞穂は「逆か」と思い直した。

(ラーメンでさえ食べたことが無いんだったら、カップ麺はなおさら無いか)

「勿論、カップラーメンは知っています。屋敷で働いている人たちが夜食や間食で食べているのを見たことがあります」

 貴子が顔を紅くしてもじもじしながら云う。

「貴子さん自身は見てるだけだったんですか」
「ええ。私が夜食や間食をお願いしたときは、きちんと調理されたものが出てきますから」
「……でしょうね」
「瑞穂さんは食べたことがあるのでしょうか?」
「勿論ありますよ」
「まあ」

 今の貴子は瑞穂が鏑木家の総領であることを知っている。
 だからその瑞穂が食べていると聞いて驚いた。

「あの」
「はい?」
「カップラーメンというのは美味しいものなんでしょうか?」
「そうですねえ…。ね、君枝さん、葉子さん、可奈子ちゃん」」

 瑞穂は君枝達のほうへ向くと尋ねた。

487 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:24:59 ID:8DPNuFS80

「貴女たちはカップラーメンを美味しいと思う?」

 君枝が少し考えるように首を傾げながら、

「ええと私は月に一食か二食、食べますが結構好きです」

 それを聞いて葉子も答える。

「私も嫌いではないです。格別に好きという訳ではありませんが。偶に食べたくなるときがありますね」

「え〜。私は大好きですよ〜。だってぇ、美味しいじゃないですかぁ」

 可奈子は二人と違い全肯定する。

「癖になる味っていうかぁ」
「まさにジャンクフードね」

 葉子が突っ込む。

「でも〜、最近は栄養調整している物やぁ、低カロリーの物も多いじゃないですかぁ」

 それに対して君枝も頷く。

「それは私も食べたことがあります。乾麺の代わりに春雨を使ったものや寒天を使ったものも出ていますし。
驚くほどカロリーが低いんですよね。1杯がおにぎり半個分くらいで」
「それって味は?」

488 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:29:53 ID:8DPNuFS80

 葉子の問いに、

「それが味もなかなかなんですよ〜」

 可奈子が答えた。

「へえ。一度私も食べてみようかしら」

 そう云う三人の会話を聞いて、瑞穂が質問をする。

「それじゃあ、皆さんの中でカップラーメンが嫌いな人はいる?」

 手を上げる人はいない。

「嫌いではないですね」
「手軽に間食できて便利ですし、不味いと感じたことはないです。
そもそも味の悪い商品は淘汰されていくでしょうし」
「私は好きですよぉ。味もバラエティ豊かじゃないですかぁ」

 瑞穂はにっこり微笑んで貴子に向く。

「という感じですね」
「…なるほど。味や素材が多様性に富んでいて、自分の好みの商品を選べるという訳ですか」
「ええ。一昔前のジャンクフードだとか体に悪いといったイメージとは、ちょっと違ってきていますね。
美味しいかどうかは個人の好みによりますが、『売れている食品』である事は確かです。
そもそも日本発の世界に誇る発明品の一つだそうですし」
「……最近とみに感じているのですが、私は本当に世間のことを知らないことが多いのですね」



489 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:32:25 ID:8DPNuFS80
 貴子は寂しそうな淡い笑みを浮かべて、少し俯いた。

「貴子さん。そんな考えることでは無いですよ。生活様式は人それぞれ。
きっと貴子さんの知っていることで私の知らないことはたくさんある筈です。
それに知らないことがあったら、これから知っていけば良いんですよ。私たちはまだ学生なんですから」

 貴子は色々と考えるところがあるのだろう。
 つい後ろ向きな思考にいってしまいがちになるが、瑞穂の言葉に気を持ち直す。

「瑞穂さんはカップラーメンをお好きですか?」
「そうですね。私もどちらかと云うと好きなほうではあります。偶にですが無性に食べたくなる事があります」
「お姉さまがカップラーメンを啜っている姿は想像できませんね」

 葉子にそう云われて苦笑する瑞穂。

「そうですか?私は前にクラスメートに教えてもらった『チリスープ味』が結構好きなんですよ」

 これを教えてくれたのは夏樹だったが、その会話をしているときに近くにいた他のクラスメートが、
「お姉さまってカップラーメンなんてお食べになるんですかっ!?」と驚いていたのを思い出す。
 その時には、冗談かと笑ったのだがそういう訳でも無かったのかも知れない。

(貴子さんのような人もいるのだしね)

 ちなみにその時にその場に一緒にいた小鳥遊圭は、『紅茶ヌードル』などという物を勧めてきたがキワモノ過ぎてまだ試していない。

「瑞穂さん。私、カップラーメンを食べてみようと思います」

 貴子が少し頬を染めながらそう云った。


490 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:36:30 ID:8DPNuFS80
「ですから…その…瑞穂さん、お勧めのものを選んで頂けますか?」

 ちょっとモジモジとした感じでそう云う貴子を見て、瑞穂と生徒会副会長、会計、書記の四人は思った。

((((・・・か、可愛い ))))

「そう云うことなら明日、持ってきますね」
「えっ?」
「明日のお昼、一緒にカップラーメンを食べましょう」
「!? で、でも…」
「食堂でお湯を貰えば良いでしょう。食堂メニューに汁物はありませんが、自分で用意するのは別に構いませんよね」

 お弁当だと考えれば、確かに校則違反ではない。
 思わぬ展開に吃驚した貴子だが、瑞穂と二人で昼食するのに否は無い。

「そ、そうですね」
「はい。では決まり」

 それが初めて食べる物だというのも楽しそうである。
 そんなことを貴子がうっすらと考えていると、

「 あ、いいなぁ……。楽しそう。可奈子も食べた〜い」
「わ、私も宜しければご一緒させていただけたら…」

 可奈子と君枝がそう云い出したので、咄嗟に、

「だ…ダメですっ……せっかくの二人での昼食……っ!」

 と云ってしまった。

491 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:41:45 ID:8DPNuFS80


「「「「・・・えっ!?」」」」


 一瞬にして部屋の空気が固まる。
 そして貴子の顔がみるみる赤くなっていく。


「「「「か、かわいいーっ」」」」


 真っ赤になった貴子をみて全員一斉に口を開いた。

「なっ……あ、あなたたち…っ!」
「そう…会長はお姉さまとそういう仲でしたか」
「ち、違…葉子さんっ」
「いつの間に…会長、そんな事に…」
「だ、だからっ…君枝さんまで…」
「いいじゃないですか〜、美女美女でお似合いです〜」
「可奈子さんっ!!」

 貴子が必死に云い訳しようとするが誰も聞く耳を持たない。

「でもそう云う事なら。可奈子、無粋な真似をしては駄目よ」
「勿論ですよ〜」
「そ、そうですね。私もお邪魔はいたしません。会長の御昼の平穏は全力で応援させて頂きます」

 君枝がそう云って握りこぶしに力を込める。

492 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:44:57 ID:8DPNuFS80

「…ま、まって…」
「まあまあ、貴子さん。良いじゃありませんか」

 必死になっている貴子を瑞穂がやんわりと宥める。

「で、でも」
「別にどう云われても困ることは無いんですから」
「え?」
「私は逆に貴子さんとの仲を囃し立てられて光栄なのですけど」
「も、勿論、私も!瑞穂さん以上に私も嬉し……あっ…」

 途中で言葉を詰まらせて絶句する貴子。再び顔が真っ赤になる。

「いやーん、お姉さまったらレディーキラー!」
「流石はお姉さま、悠然としていらっしゃって…」
「お姉さま、会長をよろしくお願いいたします」
「こら、あなた達。そう云う不穏当なことは云わないで頂戴」

 そう云って瑞穂は笑いながら、3人を嗜めた。



493 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:49:38 ID:8DPNuFS80
                 ◇


 ――次の日の昼休み。食堂にて。

「…凄く見られてますね」
「なんだか落ち着きませんわ」

 瑞穂と貴子は学食中の注目を集めていた。
 そもそも皆の憧れである美人生徒会長とエルダーのお姉さまが二人そろっているだけでも注目を浴びるのに、
今、二人が座っている席のテーブルに置かれているものは、学食で購入したナゲットのバスケットが一つと持参したカップ麺が二つ。
 あまりにもミスマッチだった。
 瑞穂が用意したのは『カップ○ードル醤油』。
 お湯は厨房で貰ってきた。

「これが基本なんだそうです」

 昨晩、寮で話をしたときに奏に薦められたのがこれだった。

――「そう云うことでしたらスタンダードなものが良いと思うのですよ〜」

 由佳里は『○キンラーメンどんぶり』を薦めた。
 まりやが出してきたのは『一平ちゃん豚骨大盛り』。
 取り敢えずまりやの意見は無視してきた。

「それにしても…」

 瑞穂と貴子は周りを見渡した。
 結構回りが騒がしい。

494 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:54:22 ID:8DPNuFS80
 食堂の入り口あたりに人が集ってこちらを見ている。
 周りのテーブルの生徒たちも顔をこちらに向けたりはしないが、横目でこちらを見ているのは丸わかりである。
 少し離れたテーブルでは奏と由佳里がいた。

――いいなぁー。あたしもカップメン持ってきて御一緒させてもらえばよかった…。
――駄目なのです、由佳里ちゃん。私たちは会長さんたちのお邪魔をせず、黙って見守るだけなのですよ〜。

 二人は拳を握り締めて網膜に焼き付けんばかりの眼光でこちらを凝視していた。
 カップ麺を探している生徒がいたりするが、そんなものがここに売っている筈が無い。
 近くのコンビニまで行かないとありはしない。
 入り口あたりでは君枝が溜まっている生徒たちを相手に、「立ち止まらないでください。そっとしておいてください」
と云って人波を捌こうとしている。
 そのせいでかえって野次馬が集まっている。全くもって余計なお世話であった。

「やっぱり落ち着きませんわ」
「…外に行きましょうか」
「ええ」

 幸い外は晴天で日差しが良く、風も無い。
 瑞穂たちは荷物を持ってテラスから外へ出ると、少し離れた場所に立っている東屋のベンチに移動した。
 流石にここまで追ってくる生徒たちはいない。
 せいぜい遠くのテラスからこちらを見ている多数の生徒がいるくらいだが、それくらいは十分許容範囲である。

「それじゃ頂きましょうか」
「はい」

 貴子にとって初めて食べるカップラーメン。
 蓋を取って、中で膨らんだメンと具を見て驚いた。


495 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 20:57:20 ID:8DPNuFS80
「まあ!」
「ふふふ」

 瑞穂が小さく笑ったのに気がついて貴子が恥ずかしそうにする。

「すいません、貴子さん。あんまり可愛らしかったもので」
「い、いやですわ」

 辺り一面ラブ馬鹿臭が漂う。周りに人がいなくて幸いである。
 葉子あたりがいれば、「二人の世界ですね」と突っ込まれているところだろう。
 さて、それではと貴子がお箸をメンに突っ込もうとした時、

 デデンデンデンデン!!!

「あいや、待たれい!」

 そう云いながら現れた人物がひとり。

「カップメンを食べる作法を知らずして食べる無かれ」

 現れたのはまりやだった。
 瑞穂と貴子は胡散臭そうな目でまりやをみる。

「貴子さん、貴女は作法に則って食べなければなりません」
「作法?」
「そう。ラーメンを食べるときの正式な食べ方。例えカップメンであっても。貴女はラーメン初心者なんだから」
「そんなものがあるのですか?」
「ええ。あるのです」


496 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:00:25 ID:8DPNuFS80
 まりやはベンチを指差した。

「まずカップメンをテーブルにおいて、そちらに向かってベンチの上に正座するのです。
そして右手を手の平を広げて高く掲げ、左手は自分の額に押し当ててカップメンを見つめます。
そして大きな声で『Oh!』と叫ぶのです」
「はあ!?」
「いま馬鹿らしいと思ったわね、貴子。でもそれは間違い。ちゃんと意味があるのよ。
右手を高く掲げるのは嘘をつかないという宣言を表し、左手を額に当てるのは自分が正常であるということを表し、
正座するのは謙虚さを表しているのよ。貴子、さっきカップメンを見たとき軽く驚いたでしょ。
『Oh!』と叫ぶのは素晴らしいラーメンを称える言葉を表しているのよ」
「……そんなの聞いたことも見たこともありませんわ」
「知らない?それこそ貴女が世間一般とずれている証拠ね。確かにやっている人は少ないけれども、知らない人はいないから。
そもそも貴子はラーメンが中国発祥の食べ物だと思っていたんじゃなくて?」
「ええ。そうですけど……。違うのですか?」

 貴子だけでなく、瑞穂も訝しげにまりやを見る。

「違う違う違ぁぁうっ!!いいこと、よく聞きなさい。ラーメンのルーツは……エジプトよっ!」
「「 エジプト? 」」




497 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:05:33 ID:8DPNuFS80
 ※ ラーメン・エジプト起源説

 紀元前10世紀ごろ、古代エジプトの第11王朝期の神官たちがつくった、
 小麦を加工して紐状にしたものがラーメンのルーツと考えられている。
 貧民たちに少ない小麦で腹を満たさせるために考案されたのがきっかけだったのだが、出来が良く味も良いため、
 すぐに全市民の間に広まった。
 市民たちはこの優れた食べ物を考えた神官たちに感謝し、食べる前に神殿の方に跪いて感謝したという。
 そしてこの豊かな国を治めているファラオにも感謝して、「王(ファラオ)!」と叫んだという。
 これが現在の『Oh!』になったと云われている。
 ちなみに神官たちの神であるラー・アメン神の名をとって、この食べ物が「ラー・アメン」今の『ラーメン』となったという事は
 云うまでもあるまい。

  ―民明書房刊『麺屋一夜物語』より抜粋―



 貴子が暗い顔をして俯く。

「……私、本当に世間知らずですのね。選択科目で世界史をとっていながらそんなことも知らずに…」

 そう云いながら貴子はベンチの上に正座をしようと体を動かす。
 そんな貴子の肩に瑞穂の手が優しく置かれた。
 瑞穂を見る貴子。

「有り得ません」

 瑞穂は生ぬるい目をして静かに首を振っていた。


498 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:07:43 ID:8DPNuFS80
「ままま・・・まりやさんっ!!貴女という人はっ!!!」
「ぐ、ぐえっ!」

 貴子がまりやの首を憤怒の表情で締め上げる。

「……グ…ごほごほ…あ〜、軽い冗談なのに。貴子、貴女カルシウムが足りてないわよ」
「カルシウムは関係ないでしょう!」
「よくそんな出まかせを咄嗟にペラペラ出てくるわね」
「いやあ、そんなに褒められると照れるわね」

 それを見ながら瑞穂が疲れたように問いかける。

「で、何の用なの?まりや」
「何て暖かいお言葉。せっかく忘れ物を持ってきてあげたのに」
「忘れ物?」

 そう云ってまりやが差し出したのは、お湯の入ったカップメンがひとつ。……『一平○ゃん豚骨大盛り』だった。

「まだソレを引っ張る!?」
「これを忘れちゃ話になんないでしょうが!話にっ!絶対に貴子向けだって!」」
「わざわざ今持ってくる意味も分からないからっ!カップメンを二つも食べられるわけ無いでしょ!」
「あら、二人で半分個して食べたら良いじゃない」
「いや、それでも無理だから。ね、貴子さん」


 ・・・ハフハフ・・・ズルズル・・・


 そう云って瑞穂たちが貴子に目を向けると、既にカップ○ードルを啜っている姿がそこにあった。


499 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:13:25 ID:8DPNuFS80
「「………」」

 夢中になって啜っていた貴子だったが、漸く無言で自分を見つめている二人の視線に気がついて顔を赤くした。

「……はっ!……あ、あの…。私…その…」
「…行儀にうるさい貴子が我を忘れている姿を初めてみたわ」
「……ううっ」
「いえ、喜んで戴けてるようで何よりです」

 ジャンクでチープなインスタントフードの世界は、貴子にとってかなり衝撃的な味わいだったようである。

「どう貴子。カップメンのお味は?」
「ま、まあまあですわね」
「ナニ照れ隠しに突っ張ってんのよ」
「突っ張ってなどおりません!」

 瑞穂がフゥっとため息を吐く。

「ちょっと、まりや。お昼ごはんの邪魔をしにきたの?だったら遠慮して欲しいんだけど」
「ん?いやいや。そうじゃなくて。コレ」

 手に持った『一平○ゃん』を示す。

「だから食べられないって云ってるじゃない」
「えー!だったらどうするの、これ」
「知りません」
「じゃあ、瑞穂さんが今持ってるカップ○ードルと交換しましょう」
「「はあ?」」
「二つは多すぎて食べられないんでしょ。だったらそれはあたしが貰いましょう。瑞穂さんにはこの豪華な『一平○ゃん豚骨』を差し上げましょう」

500 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:17:52 ID:8DPNuFS80
「……要らないから」
「遠慮せずに」
「……遠慮してないから」

 ニコニコ顔で手を差し出すまりやをきっぱりと拒絶する。

「あたしは親切で云っているのよ。別に裏は無いから」
「「 …… 」」

 それを胡散臭そうに見ている瑞穂と貴子。
 貴子がふと向こうの食堂のテラスのほうに目をやると、数人の生徒がこちらのほうを見ているのが目に入った。

「……まりやさん」
「何かしら」
「交換したカップメンをどうするのです?」
「当然、食べるわよ」
「誰が食べるのですか?」
「……」
「……」
「……まりや……売るの?」
「……」
「……」
「……は、ははは…あたしが、そんなせこい事するように見えるのかしら?」

「「 見える 」」

「・・・・・・」

 まりやはやれやれという風に首を振ると、「ちょっと御免なさいよ」と云って空いているベンチに腰掛けた。


501 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:21:27 ID:8DPNuFS80
「……何してるの?」
「見て分かるでしょ。豚骨ラーメンを食べるのよ」
「なんで!」
「だって勿体無いでしょ」
「だから、なんでココで食べるの!」
「ここにベンチとテーブルがあるからよ」
「ここは私と貴子さんが二人で食べてるの。だから向こうへ行ってくれないかしら?」
「器量の小さいこと云わないでくださいな、瑞穂さん。乙女が『一平○ゃん』片手にアッチコッチうろうろするのはみっともないではありませんか」
「知らないわよ! それこそナニちっさい事云ってるの!」

 瑞穂が何を云おうがお構いなし。

「主よ以下略感謝アーメン」

 そう云ってまりやは、パカッとカップメンのフタを開けた。
 物凄い省略呪文に、横で貴子が目を丸くしている。

 ズズゥ〜ズズ〜

 美味しそうにラーメンを啜るまりや。
 瑞穂たちも諦めたように、黙ってカップメンを食べ始める。

 ズズゥ〜ズズ〜
 ズズ〜ゴクゴクッ…ズズ〜
 ズズズッ〜ズズ〜

 暫くの間、会話も無く、3人の麺を啜る音だけがしている。

 ズズ〜ズズ〜……「んっ?」


502 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:26:22 ID:8DPNuFS80
 ふと横を見て、まりやは貴子がこちらをジッと見ているのに気がついた。
 貴子は既にカップ○ードルを食べ終わっていた。

「なに?」
「いえ、別に…」

 そう云って目を逸らす貴子。
 そんな貴子の態度をまりやはフフンと鼻で笑う。

「このラーメンの味が気になるようね。そうねぇ、何かあたしの気に入るような芸をしてくれたら一口食べさせてあげても良いわよ」

 先ほどのカップメンの交換を邪魔されたこともあって、まりやは意地悪く一発芸を要求する。

「なっ!?馬鹿馬鹿しい!偶々見ていただけですから!」

 貴子は顔を赤くして横に背けた。

「か、勘違いしないでくださいっ!何も食べてみたくて見ていたわけではないんですからっ!」

 見事なツンデレだった。

「……よし、合格!味見するのを許可しましょう」
「え!?」

 まりやから差し出された『一平○ゃん豚骨』を戸惑いながら受け取る。
 そして一口食べてみる。

 ズズッ……。


503 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:29:48 ID:8DPNuFS80
「こ、これは…」

 ズズズズッ…ズルズル…!

「ストップ!ストォーップ!!」

 勢いよく啜り始めた鉢をまりやは慌てて取り上げる。

「一口だって云ったでしょうが」
「つ、つい…」

 つまるところ、貴子にとってカップメンは『美味しい食品』ということであった。
 そのことにまりやは気がついた。

「貴子、貴女はっ!『ラーメン界の味皇』になれるかも知れないっ!」

「「はあッ!?」」

「貴子には『メン喰い』としての素質があるわっ!」

「・・・なんというか奇妙な単語がでてきたわね」

「その才能!あたしが育ててあげようじゃないの!」

 ズズズズッ!!!ズルズルズルッ!! ……ゴクゴクゴクッ!!!

 まりやは残った『一平○ゃん豚骨』の麺とスープを一気に飲み干して、勢いよく立ち上がった。

「じゃ、続きは明日の昼休みってことでっ!我がラーメン党の実力を見せてあげるわ」

504 :名無しさん@初回限定:2010/05/12(水) 21:31:10 ID:iDpNebx70
L鍋さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
支援します。

505 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:31:49 ID:8DPNuFS80
「ちょっと、何云ってるの。まりや?」

 キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン…

 予鈴が鳴った。

「ふはははは!ではまた会おう、明智くん」

 まりやは高笑いを上げながら、『一平○ゃん豚骨』容器を片手に走り去っていく

「あっ、待って!ちょっと、まりや! ……行っちゃった」

 呆然と見送る瑞穂と貴子。

「結局、何しにきたのかしら。やっぱり邪魔しに来ただけじゃない。何なのかしら、ラーメン党って。ねぇ、貴子さん」
「…続きは明日ですか」
「・・・えっ?」


 ……明日の昼食もカップメンを食べることになった。



506 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:36:19 ID:8DPNuFS80
                ◇


 次の日、朝から天気は雨模様。

 一時間目が終わった休み時間、紫苑が瑞穂に声をかけた。

「瑞穂さん、今日のお昼ご一緒しませんか?」
「紫苑さん、お弁当は?」
「今日は食堂で頂くつもりで持ってきていないんですの」
「そうですか」

 瑞穂が申し訳なさそうに詫びる。

「実はお昼は貴子さんと食べる約束をしていまして」
「あら、確か昨日カップラーメンを二人で食べて皆に注目されていましたが」
「……ううっ」
「もしかして今日もですか?」
「はい。今日もなんです。実はまりやさんが……」

 人目の多い教室なのでさん付けで話す。
 瑞穂は昨日の昼休みのことを紫苑に話した。

「まあ!ふふふ。面白いことになっていますのね」
「私としては何だか面倒な感じがするので笑い事ではないのですが」
「それにしても貴子さん、カップラーメンを初めて頂いたなんて。もしかしてお気に召したのでしょうか?」
「どうやら」
「ねえ、瑞穂さん。昼食は私も御一緒させて頂きたいのですが」
「えっ、ですが…」


507 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:39:23 ID:8DPNuFS80
 紫苑は窓の外を指し示す。

「ほら、外は雨ですわよ。今日はどちらで昼食をお取りになりますの?」

 迂闊にも今日はどこで食べればよいのかを考えるのを忘れていたことに気がついた。

「う、…食堂…」

 そう云いかけて、瑞穂は昨日の状態を思い返す。

「……どこか目立たない場所……」
「教室で食べれば宜しいんじゃありませんか。この教室なら他のクラスの人たちが押しかけてくることも無いでしょうし」
「……そ、そうですね」
「そして私もどこか端っこのほうでご相伴させて頂くという事で」

 その言葉に瑞穂も頷く。
 この教室で食べるのが一番、無難なようである。


「 面 白 そ う 」


 急に真後ろから声をかけられて、瑞穂は驚いて振り向いた。
 そこには、圭が立っていた。

「楽しそうな話。ぜひ私も」
「け、圭さん!?」
「ラーメン党として逃せないイベント。カップラーメンを調達してこなければ」
「ち、ちょっとラーメン党ってなに?」


508 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:42:48 ID:8DPNuFS80
 圭は既に一緒に食べる気満々のようである。
 基本的に紫苑も圭も楽しそうなことがあると、自分から突っ込んでいくタイプ。
 瑞穂が何を云おうと関係ない。

「圭さん、私が持ってきたお弁当があるんですよ」

 美智子がちょっと怖い笑みを浮かべながらやってきた。

「如何するんですか、私の作ったお弁当」

 そう云いながらなぜか美智子が瑞穂を睨む。
 ニコニコと笑ってはいるが、なぜか瑞穂の背筋がゾクリとした。

「大丈夫よ、美智子。カップラーメンをおかずにお弁当も食べるから」
「そんなに食べきれるかしら」
「紫苑さまや瑞穂さんもいるから大丈夫。ね、瑞穂さん」
「えっ!?」

 目を丸くする瑞穂。
 仕方ないという風にため息をつく美智子。

「仕方ありません。私も御相伴させていただきますね。瑞穂さん」

 本当なら圭と二人で食べる筈だったお弁当だが、圭がこう云い出したら諦めるしかない。
 後で少しお仕置きしようと思う美智子だった。

「・・・・・・」


509 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:46:44 ID:8DPNuFS80
 これで美智子の参加も決定。

「食堂にカップメンは売っていませんが?」
「瑞穂さんは持ってきたのですか?」
「はい。まりやさんが自分が用意すると云っていたんですが、何だか怖かったので念のために」

 本日は『さっ○ろ一番 味噌ラーメンどんぶり』を貴子の分と合わせて二つ持ってきている。

「では私もコンビニで買ってきましょう」
「紫苑さん、就学時間中に学院の外に出ることは禁止されていますよ」
「でもお昼ご飯を買いにでるのは問題ないと聞きましたが」
「誰がそんなことを?」
「まりやさんです。昼食を買うために校外にでるのは緊急避難に相当するから大丈夫だと」
「・・・それはちょっと」
「そのとおりです。紫苑さま」

 違うと瑞穂が云い掛けると圭に言葉を被せられた。

「それは正しく緊急避難です」
「ですね。良かった」
「裏門の前のコンビニがカップメンの品揃えが豊富です。紅茶ソーダも置いています」
「まあ。では次の休み時間に行ってきましょう。緊急というくらい急いでいけば問題ないのではありませんか」
「そのとおり。流石です、紫苑さま」

 どこまで分かって云ってるのか、瑞穂は呆然と紫苑と圭のやり取りを見ていた。

(そう云えばここにまりやも加わるんだっけ)

 軽く頭を抱える瑞穂。
 何だか嫌な予感しかしないのは何故だろう。


510 :名無しさん@初回限定:2010/05/12(水) 21:48:29 ID:iDpNebx70
支援

511 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:50:18 ID:8DPNuFS80

 お昼休み、瑞穂がA組の教室で空いた机を並び替えて島をつくっていると貴子がやって来た。

「いらっしゃい、貴子さん」
「何をなさってるのですか?」
「ちょっとテーブル作りを。思いのほか大人数になってしまったものですから。申し訳ありません」
「いえ、良いのです。多人数で食べる昼食というのも嫌いではありませんわ」

 二人だけで昼食を食べるのが無理であることは貴子も既に理解している。
 食堂で食べていれば、もっと大勢に囲まれていた筈なのだから文句は無い。

「会長、ごきげんよう」

 給湯室からポットを持ってきた美智子がいる。

「美智子さんにもご迷惑おかけします」
「良いんです。圭さんに引張られたとはいえ、私も賑やかに食事するのは好きですから」

 美智子に睨まれたときは、瑞穂は泣きたくなるような寒気を感じたが今はもうのんびりと春風のような雰囲気に戻っている。

「圭さんは?」
「ただ今」
「ひっ!」

 瑞穂がそう訊いた瞬間、貴子の真後ろに圭が現れた。
 手にカップメンを持っている。

「いらっしゃい、貴子さん」
「お、お邪魔します」


512 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:51:17 ID:8DPNuFS80
 圭の手にあるカップメンの容器の色が金色で、不気味な感じを醸し出している。

「ところで貴子さん、アナタはラーメン初心者だとお聞きしましたが」
「え、ええ。そうです」
「ならば、ラーメンを食べるときの正式作法についてご存知かしら?」
「はぁ?」
「ラーメンを食べるときは必ず裸になって食べなければいけない」

「「「 ハ ダ カ !? 」」」




513 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:54:43 ID:8DPNuFS80
 ※ オレタチャ・裸が正装説について

 英語【nude】の語源がパプアニューギニアの裸族『濡怒琉族(ヌウドル族)』であることは有名であるが、
 その濡怒琉族の大酋長、アパッチ=オレタチャが中華麺とベースボールに深く関わっていることを知っているものは非常に少ない。
 そもそも中華麺とは、紀元5世紀の初め、小麦が南太平洋の島々に伝来した際に……

            ・
            ・
            ・

「もう結構ですっ!!『麺屋一夜物語』はもう結構ですっ!!!」

 貴子が悲鳴を上げる。

「……『アパッチ野球麺』なんだけど」
「どちらでも結構っ!! とにかくそれは昨日、まりやさんにされましたからっ!」
「……チェッ」

 圭が小さく舌打ちをした。

「残念」
「は?」
「とても残念」
「……」
「……本当にラーメン党ってなんなのかしら」


514 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 21:59:00 ID:8DPNuFS80
 教室の扉がガラリと開いた。

「やあやあやあ、皆様」

 賑やかに声を上げながらリュックサックを持ったまりやが教室に入ってきた。
 その後ろから紫苑も続けて教室に入ってくる。

「まりやさん、そのリュックサックは?」
「カップメンですわ」
「そんなに?朝早くに寮を出たと思ったらそんな準備していたの!?」
「あたし、手間を惜しまず準備をする性質なもんですから」

 呆れる瑞穂たちに、オホホと笑って返すまりや。
 そのマメさをもっと他で活かせるはずだろうと思う瑞穂。

「それじゃ、頂きましょうか」

 皆してカップメンを開けてお湯を入れようとした所で、まりやが待ったをかける。

「待った待った」
「なに?」
「瑞穂さん、目的を忘れちゃいませんか?」
「目的って…昼食でしょ?」
「ただの昼食にあらず。貴子さんのラーメン経験値を積ませる為の昼食ではありませんか」
「いやいや、それおかしい。おかしいから。そんな目的を云っているのはアナタだけ」
「という訳で皆が持ってきたカップメンをそれぞれ味わうというのは如何でしょうか」
「ちょっと、人の話を無視しないで」

 瑞穂に質問をぶつけながら、その答えを無視して話を続けるまりや。


515 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:00:58 ID:8DPNuFS80
「せっかく色々な種類を持ってきているんですから、味見をしてみたいじゃないですか」
「そうですわね」
「賛成」

 まりや提案に紫苑、圭が賛成して可決。

「それじゃ、先ずは…」

 まりやがリュックからカップメンを取り出す。
 真っ赤な容器。



 『 クリキン麺 濃縮 ハ・バ・ネ・ロ』―YOUはSHOCK!―



「・・・なに、コレ。初っ端からハードルが高すぎ」

 瑞穂、呆然。
 ふふふ〜ん、と鼻歌を歌いながらまりやがカップメンにお湯を注ぐ。
 貴子はよく分からないのだろう、興味深げにカップメンを見つめている。

「実はあたしも食べてみるの初めてなのよね。幻といわれるだけあって見つけるの苦労したから」

 小皿に取り分けて皆で試食開始。

「「「「「「いただきます」」」」」」


516 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:04:32 ID:8DPNuFS80
 一口食べて全員の動きが一瞬止まる。

「「「ゴホッ!!!」」」

 瑞穂、貴子、美智子が軽く咳き込む。
 瑞穂も辛いのは平気なほうだが、これは辛いなんてモノではない。痛い。
 栗と金時豆が具で使われているらしいがそのような甘味は1ミクロンたりとも見当たらない。
 一方、まりや、紫苑、圭たちは一瞬止まった後、再始動。

「むぐむぐ…なるほど…」
「結構辛口ですのね」
「…イケるわね」

 貴子が自信なさ気に、

「瑞穂さん、カップメンというものは私には荷が重過ぎる気が…」
「これは例外です。あの三人が必ずしも正しい訳ではありませんよ」

 そう云って慰める。

「では次は私のを」

 ふと瑞穂は横を見て冷や汗を垂らす。
 紫苑が自分が持ってきたカップメンを用意している。・・・・・・ありえないくらいに緑1色の容器だった。

517 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:09:58 ID:8DPNuFS80



 『 ケロンパ 抹茶テイスト』



「・・・・・・」

 容器の横には「姉妹品『キンキン コーヒーテイスト』もあるよ」と書かれている。

「……抹茶ですか?」
「はい。好きなもので」

 紫苑がカップメンと一緒に買ってきた飲み物は、抹茶ソーダ。
 これもなかなかお目にかかれない一品である。

(いやいや紫苑さん、抹茶ソーダは良い。でもラーメンはないでしょ、ラーメンは)

 そう思いつつも口には出せない。
 それぞれの小皿により分けて食べてみる。

「「「「「「いただきます」」」」」」

 一口食べて全員の動きが一瞬止まる。

((((( こ れ は ナ イ ! )))))

 一人を除いて全員の心が一つになった瞬間だった。


518 :名無しさん@初回限定:2010/05/12(水) 22:11:45 ID:iDpNebx70
支援

519 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:13:16 ID:8DPNuFS80
「これもなかなかですわね。さっぱりとした感じに苦味もあって」

 5人が目を剥いてこの奇跡のコメントを発した人物をみつめる。
 カップラーメンの『苦味』を褒め称える人物、紫苑。

「そう思いません?瑞穂さん」

 ニッコリと笑いながら訊く紫苑。

「…ま」
「ま?」

 不味いなんてとても云えない。

「ま、まったく…なかなか…。ね、まりやさん?」
「え?あ、そうですね。なかなかだと…。ね、圭?」
「……グッジョブ。紫苑さま」

 見事に決まったレシーブ・トス・アタック。
 皆の好評振りに満足な笑みを浮かべる紫苑。
 貴子は、カップメンのあまりの奥深さにますます自信をなくしている様である。

「私、これからはこのラーメンを贔屓にすることにします」
「そこまで気に入りましたか。紫苑さん。ところでこのラーメンの会社は聞き覚えがないのですが」
「HPで知ったのですが先日起ち上がったばかりの会社ですの。コレが商品第一号だそうで」
「はあ、そうですか。紫苑さん、この商品を気に入ったのでしたら買い溜めすることをお勧めします」
「?」

 瑞穂は思った。間違いなく、この会社は1クール倒産するだろうと。


520 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:14:35 ID:8DPNuFS80
 次は瑞穂が持ってきた『さっ○ろ一番 味噌ラーメンどんぶり』を食べる。
 普通の味。普通の味噌ラーメン。安心の味。

「うん。普通ですね。如何ですか?貴子さん」
「ええ。素朴な感じで美味しいですわ。中華ではなくて本当に味噌味なんですね」
「このメーカーのこのラーメンは昔から食べてましたわ」
「私も何度か食べたことはあります」

 以上、上から瑞穂、貴子、美智子、紫苑のご意見。
 続いて少数派のご意見。

「ドラマ性がないわね」
「コクがないわね」
「はい、ストップストップ!そこの二人おかしい」

 瑞穂が手を上げて会話を止める。

「カップ味噌ラーメンにコクとドラマ性を求めるのはおかしいから」
「ところがっ!ここで魔法のアイテムが登場!」

 リュックからまりやが何やら取り出す。

 ・・・マヨネーズ

「それはあり得ないでしょ!」
「投入〜!」

 瑞穂の講義を無視してまりや、マヨネーズを味噌ラーメンの上に絞り落とす。

521 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:17:36 ID:8DPNuFS80

 ――― !!!!!!!!!!

 周りでこの様子を眺めていたクラスメートたちも含め、一斉に息を呑む。
 そしてよくかき混ぜると、スープにマヨネーズが溶け込んで白濁色になった。
 見た目、豚骨のマヨ味噌ラーメン。

「さあ、食べてみましょう」
「まりやさん、これ食べた事あるの?」
「ううん、初めて」

 恐る恐る食べてみる。不思議な味だった。

「あれ…、なんで」

 思わず声に出てしまう。
 皆、不思議そうな顔して食べている。

(なんだろ、これ。味噌味なのにマヨネーズの酸っぱさがあってしかもコクになってるよ。……旨くはない。旨くはないけど)

「何だか変な感じですね」

 紫苑が云うと、美智子も、

「微妙…でしょうか」

 と答える。
 決して旨いわけではないが不味いわけでもない。
 ではマヨネーズを入れる意味は?

(カロリーを増やすため?女子高生がカロリーを増やしてどうするの)

522 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:21:10 ID:8DPNuFS80

 瑞穂はまりやを見た。
 まりやは圭と顔を見合わせると、互いにサムズアップを交わしていた。
 息ぴったりのコンビ。
 ……それをみつめる美智子。その視線がなんだか怖い。

(確かにコクとドラマ性?が出たかもしれない。全く意味ないけど)

 隣で貴子が呟いた。

「なるほど。調味料しだいでこんなにも美味しく…」
「えっ!?」

 最後に圭が用意したカップメンを食べる。
 金色の容器。



 『○○食品 カレーヌードル』



 普通だった。
 何か味がおかしいのかとも思ったが、食べてみると味も辛口ではあったが普通だった。


523 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:25:02 ID:8DPNuFS80
「………」
「何かね、その沈黙は」
「いえ、その圭さんが出したものにしては普通だと思って」
「普通だといけないのかね、失敬な」

 怒っているようだが表情の変化が乏しいのであまり分からない。

「これもラーメンなんですね」

 貴子は美味しそうに食べている。
 カレーうどんはよく聞くが、カレーらーめんというのはあまり聞かない。探せば少なからずあるが。
 だから、もちろん貴子にとっては全くの未体験の味である。

「さてここで魔法の調味料」
「えっ!?」

 圭がまりやを見る。

「ヘイ、ソムリエール」
「ウィ」

 ごそごそとリュックから何やらペットボトル取り出すまりや。

524 :名無しさん@初回限定:2010/05/12(水) 22:26:56 ID:iDpNebx70
支援

525 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:29:08 ID:8DPNuFS80

「ヘイッ!」そう云ってペットボトルを放り上げるアッパーな掛け声。
「ヘイ」そう云ってペットボトルを受け取るダウナーな掛け声。
 そうして圭の手の中にある黄金色のペットボトルに書かれていた文字は……。

 山○養蜂場『極上はちみつ』

 それをカレーヌードルに大量投下


・・・ノォォォォォォォ!!!!!


 3-Aの教室に声にならない悲鳴がこだました……。


526 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:30:12 ID:8DPNuFS80
 5分後。

「おや、瑞穂さん。どうしました」

 特製カレーヌードルを啜りながら圭が机に突っ伏している瑞穂に声をかける。
 紫苑と美智子はいない。
 先ほどお手洗いにいくと云って席を立ったきり、戻ってきていない。

「……む…胸…焼け…が…」
「……は?」
「……先ほどの…味噌マヨ…ネーズ…と……蜂蜜で……胸焼けが……吐き気が…」

 顔色を悪くしてヒクヒクと痙攣している。
 そんな瑞穂の前で平気そうな顔でまりやと圭はカップメンを啜っていた。

「案外ヤワね。瑞穂さん」
「・・・・・・」



 ある目撃者によると、途中から全く会話に参加していなかった恵泉女学院生徒会長はなにやら深い感銘を受けたようで、
しきりに頷きながら黙々とカップメンを食べていたという。

 その後、帰ってきた美智子さんにまりやと息の合ったコンビプレイを見せていた圭さんが、何故か怯えを見せていたとか…。


527 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:34:43 ID:8DPNuFS80

 〜えぴろーぐ〜

 翌日から、昼休みの食堂はカップメンを食べる生徒たちだらけになった。
 優雅にカップメンを啜るのがかっこ良いと訳の分からないブームが起こっていた。
 しかし、本来、制服を汚さない為の配慮として、学食では汁物を扱っていないのに、
カップメンをわざわざ外から持ち込んでくるというのはいくらお弁当だと云っても好ましいことではない。
 それに多数のお嬢様が食堂でカップメンを啜っている風景は異様としか云いようがない。
 結局、数日を置かずして教師たちからの指導が入り、カップメンを持参することは禁止となった。
 同時にエルダーシスターから、

「私は二度と学院内で麺類を食べることはしません」

 という宣言が公表され、ブームは一気に冷めてしまった。



528 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:41:43 ID:8DPNuFS80
 ―― 後日談

 今、貴子は瑞穂と生徒会メンバー(君枝、葉子、可奈子)と一緒に駅前のラーメン屋に来ていた。
 お店のラーメンも食べてみたいという貴子のリクエストに応える形で、瑞穂が知っている美味しいラーメン屋さんに
生徒会のメンバーも一緒に連れてきたのだった。
 瑞穂お勧めの醤油ラーメンは、あっさりスープがとても美味しいと、君枝たちに大好評である。

「お味は如何ですか、貴子さん」

 感激したふうにラーメンを啜っている貴子に瑞穂はニコニコと笑いながら問いかけた。

「ええ。とても美味しいですわ。こんな楽しい食べ物は初めてです」
「喜んでもらえて良かったです」
「ただ、強いて云えば…」
「強いて云えば?」
「甘味が足りないかと」
「……え?」
「私、良いものを持ってきましたの」

 そう云ってカバンをゴソゴソと漁って貴子が取り出したのは、黄金色の小型のペットボトル。

 直後、このラーメン屋に乙女数人の悲鳴が響き渡ったと云う。


  Fin


529 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2010/05/12(水) 22:43:13 ID:8DPNuFS80
お粗末さまでした。

長かったー!!発狂するほど長かったー!!

支援をしてくれていた iDpNebx70さんに海よりも深い感謝を。



530 :名無しさん@初回限定:2010/05/12(水) 22:48:31 ID:iDpNebx70
>>529
長編の投稿お疲れさまでした。
断続的な支援で申し訳ない。(;´Д`)
いや〜、今回も面白かったです!
また期待して待ってます!

531 :名無しさん@初回限定:2010/05/13(木) 23:57:59 ID:INUgIKaX0
L鍋さん、いつもおもしろいSSありがとございます。

明日の朝食はラーメンでも食うか・・・

532 :名無しさん@初回限定:2010/05/14(金) 03:43:17 ID:F9RKbCgqO
L鍋さんGJ!
いつもよくそんな話を思い付くものだと
瑞穂ちゃんがまりやに抱いた感想をそのままL鍋さんに送りたいですw

533 :名無しさん@初回限定:2010/05/14(金) 09:16:39 ID:Ym06qPGSO
L鍋さん久しぶり&GJ
しかしアパッチ野球軍とはマニアックな…

534 :名無しさん@初回限定:2010/05/21(金) 16:44:52 ID:Mdp7f/sh0

………………………
………………………………
……………………
………………………
…………………………
……………………

こういう風にギッシリ書く文より、

………………
………………………

………
………………………………
………………

………………………

といくつかの段落に分けたほうが読みやすいんでしょうか。
いつもギッシリさせちゃってるんですけれど。


535 :名無しさん@初回限定:2010/05/21(金) 19:39:50 ID:zj6wjrMX0
段落分けた方が読みやすいです。

536 :名無しさん@初回限定:2010/05/22(土) 08:06:55 ID:5lboCt7R0

なるほど。
ご意見ありがとうございます。m(_ _)m

537 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 01:21:14 ID:Q2qFMB9v0
つい思い立って一つ書いてしまったが、投下するのってスゲェ怖いんだと言うことを今思い知った

538 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 06:33:22 ID:8M4TIWCVO
>>537
仮に万が一あなたのSSがつまらなくて叩かれたとしても
叩いた側はあなたがどこの誰かなんてことはわからない
いわゆる『旅の恥はかき捨て』状態なんだ

つまり何が言いたいかというと今すぐ投下する作業に戻るんだ!

539 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 16:33:40 ID:eRx9m5Uz0
>>538
まあ、叩かれるのには理由があって
1:作品がまだまだ発展途上(叩かれた事を逆恨みせずに精進する糧にすればいいよ)
2:作品以外の投稿者の過去の悪行w(特定人物以外はないので安心してね)
3:頭のおかしい奴か愉快犯

普通はL鍋さんみたいになんかは絶対たたかれないんで安心して投下してください。

過去にスレのカバー範囲をぶっちぎった超上級者向けホモ作品が投下されましたが、
特に叩かれてはいませんから。

さあ、投下しようぜ!

540 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 16:56:28 ID:Q2qFMB9v0
おk、三つか四つに分かれるハズ

時系列は二人のエルダー体験版終了後
エルダー選挙の前かあとかは不明
薫子さんには「性別がバレた状態で、他の人達には性別がバレずに情況が一旦収束している」と仮定しています
千早ちゃんの一人称で進行します

基本的にギャグです

541 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 16:57:56 ID:Q2qFMB9v0
ある日の夜、事情を知る4人で集まって、今日までの反省と今後の作戦を練る会議を兼ねたお茶会での出来事。
それは、香織理さんの唐突な一言から始まった。
「ところで千早、あなた、性欲の処理ってどうしてるの?」
『ブッ!!×2』
思いがけない一言に、僕と薫子さんは、丁度口に含んだお茶を吹き出してしまう。
「やだ、二人とも汚いわねぇ」
「あ、ごめん・・・」「すみません・・・ってそうじゃなくて!いきなり何を言い出すんですか!」
思わず謝ってしまったが、この場合は突然変な事を言い出した香織理さんが悪いと思う。
「そ、そうだよ香織理さん!あんな事言われたらそりゃお茶も吹くって!」
いいぞ薫子さん、もっと言え。
しかしそんな僕らの剣幕にも少しも、香織理さんは少しもひるまない。
「あら、大事なことよ?私達は千早の秘密を隠して行かなくてはならない。その為には、千早の事を、少しでも知って置く必要があるの」
「それとこれとは話が別でしょう!」
言っていることは正しいが、こんな恥ずかしい事まで話さなければならない理由にはならないだろう。
そこまで話す必要はないはずだ。僕は誤魔化されないぞ。
「いいえ、同じ話よ。千早だって男の子ですもの。これだけの女の子に囲まれれば、邪な気持ちを抱いた事の一度や二度はあるはず」
そんな事はない、と言いたいが、香織理さんの表情が思いもよらぬほど真剣だったため、その言葉を飲み込んでしまう。けど・・・
「勘違いしないでね。千早の理性は信用しているわ」
僕の機嫌を読み取ったのだろうか。ザラッとした気分にフォローが入る。
「では、何を心配しているのですか?」
思わずキツイ口調になってしまった。しかし、勘違いするな、と言われても、他に捉えようがなかったのだから仕方がない。
「怒らないでったら。私が心配しているのは、不意のアクシデントに対する千早のリアクションよ」

542 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 16:59:24 ID:Q2qFMB9v0
「不意のリアクション?」
「そう。これまで見てきた限りでは、千早はその手の事に関しては相当純情。奥手と言い換えてもいいわ。ちょっとした軽口ぐらいなら余裕がある。むしろ、一緒になって薫子をからかってすらいるわ」
「アタシとしては、正直勘弁して欲しいんだけど・・・」
不意に自分のことに話が及び、つい日頃の不満を口にする。それがからかわれる元だと言うことに、彼女は永遠に気がつかないだろう。
「けれど、これがいざ実際に、それを連想するものを見てしまった、聞いてしまった、そのつもりが無くとも触れてしまった。そんな時、千早の反応はどうだった?」
「う・・・」
自分の抗議がスルーされて不満げな薫子を尻目に、思わず呻いてしまう。自分の反応が過剰だと言う自覚はあるからだ。
「異性なのだから仕方ないといえば仕方ないことなのだけれど、今でも過剰な反応が、欲求不満を募らせたらどうなるか・・・。理性は保てていても、抑えられないところはあるんじゃない?」
想像してゾッとした。実際ドギマギするような事態は結構あった。
今までは何とか反応せずに済んでいたが、欲求不満を溜め込んでいたら、反応のしやすさは格段に上がる。
そして、一度でも反応したら、アウトだ。
「私が心配してるのは、そういう事をちゃんと意識出来ているのかどうか。それに対する対策は問題がないのかどうか、よ」
たしかに、完全に油断していた。香織理さんの言うことも十分わかる。
「ふぇ〜・・・香織理さんはすごいなぁ・・・。そんな事、全然考えてなかったよ、アタシ」
「それでね、私としては、このあたりが怪しいんじゃないかと思うんだけど」
そんな事を言いながら、おもむろにベッドの下を漁り始める香織理さん。って、ちょ!!
「だからってなんでベッドの下を漁るんですか!」
「だって男の子ってこういう所に隠すものなのでしょう?どんなものがあるのか見てみないと」
「貴方初めからそれが目的でしたね!上手いこと言って丸め込んで!感心して損した!」
「隊長!タンスの引き出しの中には無いようであります!」
いつの間にかタンスの引き出しが開けられている!何この超反応!?
「薫子さんまで何やってるんですか!貴方達そんなに僕の恥ずかしい秘密を探りたいですか!」

543 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 17:02:57 ID:RcjA7WV7O
しえん

544 :しおん2:2010/05/29(土) 17:11:36 ID:eRx9m5Uz0
………………………
「…………」
「…………」
「…………」
……………………
………………………
「…………」
「………………」
……………………

セリフはこういう風にギッシリ書くより、

………………
………………………

「………」
「……………」
「………」

………………………………
………………

「……………」
「…………………」

………………………

と発言毎に改行した方が読みやすいんだぜい。



545 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 17:14:43 ID:Q2qFMB9v0
「ありませんよ」
「へ?」
騒ぎを止めたのは、史の不意の一言だった。
「この寮に入ってからずっと、千早様のお世話をしてまいりましたが、ティッシュの過剰な消耗、シーツの不審な汚れ、夜中の下着の洗濯などの痕跡や、それに対する隠蔽工作その他一切の痕跡は御座いませんでした」
ちょっと待て、何を言っているのだこの子は。
「以上の事から、ご実家における千早様のエログッズの隠し場所から性癖の傾向まで熟知している史が断言致します。この寮に来てから一切、千早様はそのような物を見てもいなければなさってもいません。欲求不満は募るばかりと思われます」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇ!!」
思わず絶叫する。だってそうだろう。イマ、コノ子ハ、ナニヲ言ッタ?
「や、やだなぁ史、僕がどこに何を持って」
「机の引き出しの下から2段目の二重底、《ツンデレ美女は密着系セッ「わぁぁぁぁぁぁっ!!!!」》」
「クローゼットの奥、服の中に目立たないように《憧れのクラスメ「のぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」》」
馬鹿な……何故バレている……?
「メイド物が少ないようなので足しておきました。ご帰省の際にお楽しみ下さい」「いやちょっとマテ!」
「タイトルは《高級メイドt「言わないでいいから!」》」
あぁ・・・また隠し場所考えなきゃ・・・侍女にエッチな本やビデオを足されるとか恥ずかしすぎる・・・って、なにか忘れてるような

「ふぅぅぅぅぅぅぅん・・・」
「へぇぇぇぇぇぇぇぇえ・・・」
背後からすごいプレッシャーが・・・後ろを振り返るのが怖いです・・・
「そう・・・千早はツンデレが好きなの・・・」
「クラスメイト・・・それはそれは結構なご趣味で・・・」
それでも恐怖をこらえて振り返ると、そこには悪鬼が二人いた。
何故怒っているんですか・・・二人とも・・・
「いや・・・あの・・・その・・・」
「いやいや、いいんだよ?言い訳しなくても。健全な男の子なら当たり前なんだから」
ならその冷たい目をやめて下さい。
「でも、史に追加を頼むのは、ちょ〜っといただけないわねぇ・・・」
いえ、頼んだ訳ではないのですが・・・
「エッチ」
薫子さん、もう勘弁してください。
「スケベ」
香織理さん、あの日あんな場所であんなことしてた貴方にはちょっと言われたくなかったです。

546 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 17:16:28 ID:Q2qFMB9v0
結局、何故か機嫌を損ねてしまった二人の機嫌を直してもらう事に時間をとられ、この日は解散になった。
僕の心に、釈然としないものだけを残して・・・。僕が何をしたって言うんだ。
後日、「香織理お姉さまの言うことももっともです。痕跡を残さない場所はここしかありません」などと言って、実の従姉妹様が義理の従兄弟様にした事をしようと、風呂場で執拗に迫る史に困らされたのは、また別の話。
ってあれ?まりや姉さん、瑞穂さんに何をしたんだ?





以上で終了です
連投規制に引っかかった・・・
っつーか携帯で自分でカットイン入れた時には既に手遅れだったorz


>>544
次に何か書くときには意識してみます

547 :しおん2:2010/05/29(土) 18:00:47 ID:eRx9m5Uz0
>>546
投下乙〜。

フォーマットも次回作から反映してくれればいいよー。

次回作きたいきたい

548 :名無しさん@初回限定:2010/05/29(土) 22:37:59 ID:q0bNrTmQ0
おとボク2だぁ

ああ待ちどおしい

投下乙でしたぁ


549 :名無しさん@初回限定:2010/05/30(日) 00:54:07 ID:CRkZyXLPO
体験版も出て2の方でも昔みたいにスレが賑わうと良いなあ…
投下乙&GJでした!

550 :まめぐ:2010/05/30(日) 01:51:40 ID:N3iuGG4V0
その1
嫌い、嫌い、嫌い。
繰り返す呪詛の言葉。
オトコは嫌い。
オヤジは嫌い。
ジブンは嫌い。
セカイが嫌い。
こんな世界ぶち壊れてしまえっ!
パリーン!

「千早さま、千早さま。おはようございます」

 ゆさゆさと僕の身体を揺さぶりながら小さい声であったが、自称侍女の度會史が起きろと声をかけてきた。まだ外は暗い時間だが、他の女子とは違い準備が大変であるから仕方がない。
世の中には女性でも準備が大変な人たちもいるとは聞いてはいるが、ごく少数なはずだからこの際、無視していいんじゃないかと思う。

「ん。もう…朝か…」
「千早さま、まだあの夢をご覧になっているのですか?」
「うなされていましたか?」
「はい」
「そうか、もう意識していないつもりだったのにね。史に心配させてしまったようだ。ごめんね」
「千早さまが謝ることではありません」
「じゃあ、着替えようか。お願いするね」

 ベッドから起き上がると、フリルがてんこ盛りになっているネグリジェのボタンを外し始めた。胸の周りに特にカチ盛り状態になっているので、偽胸を取っていても注意がフリルに向かうから、いざというときにも大丈夫だと従姉に言われた。
僕の従姉はファッションデザイナーで海外で勉強中。でも時々日本に帰ってきては僕の家に遊びに来るのだ。
 …で問題はその偽装バスト。偽装とは言いつつも人工乳房と言っても良いだろう。乳ガンで乳房切除した人用に作られた本物そっくりのおっぱい。だけど一人ではちゃんと付けられないから史に見て貰いながら貼り付けなければ。

(続く)

551 :まめぐ:2010/05/30(日) 01:53:14 ID:N3iuGG4V0
>>550 その2
「そろそろ暑くなってきているから、汗でかぶれそうね」
「汗抜きの穴が乳頭の先っぽというのは、どうかと思いますね。これ。きっとブラに母乳パッド入れないとダメかも知れません」
「粉ミルク入れておくとミルクが出るのかなあ」
「千早さま、何を仰って居るんですか?是非入れてみましょう」
「………ふーみぃー」
「昔の露出狂っぽい女子二人が主人公のアニメで叫んでいるようなセリフですね、それ」

と、ここまではいいんだ。うん。ここまでは。

「んーと、タックは外れてない。うん。大丈夫」

 トイレの中で毎朝確認するのは朝起きてタックという男の子を隠す作業。ネットで調べて男の子が隠せる方法を研究した。ピンクのノートパソコンが大活躍ってわけ。
このままパンツを穿いて、ブラジャー付けていればまず男性には見られないと、香織理さんも太鼓判を押してくれていた。でもやっぱりトイレは全部座ってしないといけないし、紙で拭かないといけないし。女の子って面倒だな。
はああ、矜持が襤褸襤褸だよ。とほほ。

「おはようございます。千早お姉さま」
「おはようございます。みなさん」
「おはようございます。薫子お姉さま」
「ああ、おはよう」

 寮が、学校の敷地内にあるおかげで、通学時間は3分少々。だけれども僕らは始業時刻ギリギリに出るような真似はしない。ただし、約一名は朝がものすごく苦手ということであくびをかみしめながら通学路を歩んでいる。

「もう、薫子さんったら、エルダーが台無しですよ」

 僕が薫子さんをからかった。
(続く)

552 :まめぐ:2010/05/30(日) 01:54:37 ID:N3iuGG4V0
>>551 その3

「そうです。薫子お姉さまといったら、ぐーすかぴーすかと鼻提灯を出していらっしゃいました。これではエルダーの名折れ。妹の名が泣きます」
「ちょ…私そんなに酷いの?」
「冗談です。ぐうぐうといびきをかかれていたことはありましたが、そこまではありません」
「豪放磊落な性格ですね、薫子さん」

 香織理さんがさらに突っ込んだ。こういう場合には容赦がない。

「ぐ…ぐぅ…」
「それはまだぐぅの音もでない状態じゃないと仰るのですね」

 香織理さん、それは可哀想すぎますって。


 朝のロングホームルームにはいつも驚かされることが多かった。

「ええと、最近学院の周りを不審な男性がうろついていると言うことですので、通学路が同じ方向の人同士固まって登下校してくださいね。学院のまわりはガードマンをお願いして巡回してもらうようにします。でも自衛をして、各自気をつけてください」

 どくん。
 どくん。
 どくん。

……ああ、嫌だ。嫌い嫌い大っ嫌いっ!
世界が暗くなっていった。

ばたんっ!

「きゃーっ!!お姉さまが倒れた!?」
「千早さん!!」
(続く)

553 :まめぐ:2010/05/30(日) 02:29:01 ID:N3iuGG4V0
>>552 その4
……

 子供の頃の記憶。
 物心ついた頃から僕は「ねえ、千早ちゃんは女の子でしょ?」とか「男の子だってえ。おっかしいのー」そう否定され続けてきた。
 そして、男達からも性欲の対象にされていた。

「あ、気がついた。大丈夫?」
「かお…るこさん? ここは?」
「保健室。千早さんロングホームルーム中に倒れちゃったのよ、保健の先生が職員会議に戻っちゃったからあたし残ってるんだ。まあサボれて良かったかな」
「あ…やっぱり」
「やっぱりって…男性恐怖症?」
「ええ」
「私の父の会社の人間を見た時もパニック状態になっていたものね。あのときはほんっとうにごめん」
「……わたしね、物心つくか付かないくらいに誘拐されたんだ」
「え?」
「で、誘拐されたと言っても身代金目的じゃなくて性的いたずらが目的で…」
「で、恐怖のあまりトラウマになっちゃったんだ」
「どうやって助け出されたのかはわかんないけど、自分の父親が抱こうとしても、泣き叫んでいたって母が言ってたの」
「…」
「その母も私の事件で精神を病んでしまってね。今は父親と対面して話しても問題はなくなっているのだけれど、やっぱり男性は苦手。というかダメかな」

 何故だろう、自分の事をべらべらと薫子さんに話してしまったのは。こうやって身の上話をして、薫子さんにも僕の不幸を分担させようとしているのか。
自分が判らない…
(続く)

554 :まめぐ:2010/05/30(日) 02:30:22 ID:N3iuGG4V0
>>553 その5
ぎゅっ。

薫子さんが何も言わずにベッドに横たわっていた僕を抱きしめてきた。

とくんとくんとくん…

薫子さんの鼓動が僕の身体に伝わってきた。

とくんとくんとくん…

お母さんにだかれた幼子のように安心していた自分に気がついた。


だが、僕らの会話を聞き耳を立てていた人物が居たことには気がつかなかった。二度目だというのに。

「ふうん、男嫌いなんだ。難儀なお姫様だこと」

香織理はぺろりと舌なめずりをすると、にやにやしながら保健室を後にした。もしも、その時の顔を見ることが出来ていたら絶対こう言ったろう。
”獲物を見つけた猛獣のような顔つき”と。

(続く)
以下明日♪

555 :名無しさん@初回限定:2010/05/30(日) 23:23:00 ID:mPmHn7re0
投下乙

556 :名無しさん@初回限定:2010/05/31(月) 19:22:04 ID:5nYEZ7N90
香織理はほんといいキャラだな。
千早をいじめまくって欲しい。

557 :名無しさん@初回限定:2010/05/31(月) 19:49:44 ID:t8A/SVz80
この流れだと、まりや聖誕祭が華麗にスルーされそうだw

558 :名無しさん@初回限定:2010/05/31(月) 21:36:20 ID:5nYEZ7N90
超イケ面のいとこが二人もいるまりやが羨ましいです。

559 :名無しさん@初回限定:2010/05/31(月) 21:48:23 ID:g+Ut/K6Q0
>>558
まりや「わかるまい!ただイケメンの従兄弟を羨ましがってるお前には!『従兄弟二人の方が美少女だよね』と言われる絶望が!」

560 :名無しさん@初回限定:2010/05/31(月) 22:05:41 ID:5nYEZ7N90
それは・・嫌だなw

561 :名無しさん@初回限定:2010/05/31(月) 22:21:19 ID:0/a5hjMM0
>>556
香織理お姉さま良いキャラしてるよね
後、学内での評判の悪さが予想以上だったのでどきどきした

562 :まめぐ:2010/06/01(火) 01:45:46 ID:Qe+KAkSM0
逆転しまい?逆転姉妹 その1

それは天地がひっくり返るようなセリフだった。ぐるっと廻って一回転ならいいんだけれど、それは断崖絶壁から獅子が我が子を千尋の谷に向かってゴロゴロと突き落とすようなものだと思うんだよ。
ところで、アフリカのサバンナに千尋もの谷って存在するの? キリマンジャロの頂上から突き落とすのかなあ。って、ナニ考えてるんだろあたし、へるぷみー。

「今日は、薫子ちゃんがお姉さまで、私が妹になります。いいですね。私のことは奏と呼んでお姉さまと言ってはいけません」

 奏お姉さまは冷酷にも思えるような優しい微笑みであたしに死刑宣告をした。ぐはっ! なんか、脂汗がダラダラと垂れてるんですけど。えええ、ぶすっ。このとげとげのまったり感。
これは最上級の鐵の処女にちがいない。良い仕事をしているね。ええい女将を呼べい…どぅーしてここに海原さんが出てくるんだよ。
ここはカブラギランド。世界で三番目くらいに有名な遊園地。入園チケットを握りしめて固まっている女が一人。目の前にもう一人いるから二人じゃん。

「お姉さま、それはきついんで、なんとかなりませんか? 奏…さん…くらいではダメですか?」

 あたしは、最後の賭に出た。賭けか。あああこれはジェリコの壁なのかっ! きっと進軍ラッパでぱきぱきに壊れてしまう壁。テレビでみたベルリンの壁並に壊れちゃいそう。

「ダメですよ。薫子お姉さま。奏って呼び捨てにして下さいな」

(続く)

563 :まめぐ:2010/06/01(火) 01:47:16 ID:Qe+KAkSM0
>>562 その2

ぶほっ! 生暖かい物がぷぴぷぴとほとばしった。

「きゃ、ティッシュ! ティッシュ! 鼻血が出てる」

 奏お姉さまが目の前を右往左往している。両鼻にティッシュを捻り混まれた間抜けな顔をしていても、あたしは平気。あああ、ぼたぼた。
鼻血って経血と違って色鮮やかだなあ。はははは、ティッシュじゃなくてタンポンだったら鼻血が多い日も安心なのに、つか、ナニを考えてるんだろう、あたし。

「あ…ありがとう、奏お…」
「奏!」

お姉さまは人差し指をあたしの唇にあてて、ストーップってした。うふ、このままこの指をぺろぺろ舐めたい。ちゅばちゅば。

「ひゃん。舐めちゃダメ〜〜〜」
「ごめんなさい、か…奏」

きゅん。なんという萌え、何という煩悩。ああ我が人生に一片の悔い無し。ぐはああ。

「薫子お姉さま、行きましょう!」
「はいはい。もう辛抱たまりません。はぁはぁ」

無邪気な女の子と煩悩にまみれて汚れまくった女が一人遊園地に消えていった。

(続く)

564 :まめぐ:2010/06/01(火) 01:49:12 ID:Qe+KAkSM0
>>563 その3

 事の始まりは唐突だった。いつものように奏お姉さまの部屋でお茶をした後に、姉妹で組んずほぐれつをベッドの上でしていた時のこと。
エロい事考えた人残念。柔軟体操だってば。ほら、女優は体力が命っていうでしょ? それを言うなら髪の毛とかじゃないかって?
あ、あはは、そういうのもあるけどさ。やっぱり体力よ。体力。
で、もう少し時間を巻き戻した方があたしの名誉の為かな。うん。まずはお茶から。

「はい、薫子ちゃん。お紅茶が入りましたよ」

 お姉さまの声が聞こえるだけで、あたしの世界はふわふわの砂糖菓子にまみれるのであった。

「はにゃあああああん」
「まあ、薫子ちゃんったらどうしちゃったの?」

 ごめんなさい、お姉さま。極楽3丁目くらいに行っていました。もう戻れないところです。はい。

「最近お姉さまの声を聞くだけで、胸がきゅんきゅんしちゃうんだよね」
「そうなのですか? 自分の声はあまり気にしたことがないのですけれど……」
「またまたまた〜。謙遜しないでよ。お姉さまの声はあたしにとってはエロボイスって感じ。」
 
エロボイスと言われてお姉さまが苦笑した。この笑顔にもよわいんだよねえ。
この笑顔を守るためにはフェンシングだろうと槍だろうと、鉄砲だろうと何でも来いって感じだよ。

(続く)

565 :まめぐ:2010/06/01(火) 02:06:36 ID:Qe+KAkSM0
>>564 その4

「薫子ちゃん? 恵泉に槍部も鉄砲部も無いですよ?」
「はうあっ! お姉さま、何故あたしの頭の中を! エスパーですかっ!?」
「えっと… 頭の中身、口に出してたの気がついていない?」
「うそっ!」

 あたしは、慌てた。もしかして、冒頭のモノローグから妄想巻き散らかしていた?

「この笑顔を守るためには〜 ってものすごくありがたいのですが、もう喧嘩はダメですよ?」

 そう、諭されてしゅんとせざるをえません。ええ。以前にお姉さまの名誉を守る為にと大暴走して、奏お姉さまだけでなく、お姉さまのお姉さま方にまで迷惑かけたのでした。

「それで、さっきの話聞いてなかった?」
「ごめんなさい、今、妄想に浸っておりました」
「んもう。薫子ちゃんと、私の二人で、遊園地に行きましょうって言ったのだけど…」
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆうううえんんちいいいい?」
「どもらなくても遊園地。瑞穂お姉さまから遊園地のチケットを頂いたの。薫子ちゃんと二人で行ってらっしゃいって」
「ナイス! 瑞穂さんナイス! うは、孫の考えてることバッチリだなんて、さすがは不世出のエルダーと称された天下無敵のお嬢様。はい、瑞穂お姉さま。一生ついて行きます。奏お姉さまの後だけれど」
(続く)

566 :まめぐ:2010/06/01(火) 02:07:41 ID:Qe+KAkSM0
>>565 その5

「くすくす。卒業旅行には瑞穂お姉さまや紫苑お姉さま達と温泉に行きましょうね」
「キャラ変わるぐらいに萌え。前略天国のお母さん。恵泉はすばらしかところですたい!」
「えーと、それは天の妃という他校の影の薄いど変態なレズっ娘な主人公みたいですよ?」
「きっとCV違うので大丈夫です」

 あたしは、きっぱり言い放った。
さて、まず何に乗ろうかなあ。コーヒーカップもいいけど、メリーゴーラウンドもいいなあ。

「えっと、薫子お姉さま。奏は観覧車に行きいたいなのですよ〜」

奏お姉さまがあたしの腕に手を絡めてきた。

「ダメですよ。地の文も『奏』って呼び捨てにしてくれないと奏泣いちゃうのですよ?」
「どーして、頭の中が読めるの?」
「モノローグとか口に出してるから」

 ぐはっ。修行が足りません。どうもお姉さまに会ってから調子がおかしいです。

「観覧車ですね。観覧車。うふふ。じゅるり」
(続く)

567 :まめぐ:2010/06/01(火) 02:09:42 ID:Qe+KAkSM0
>>566 その6

 観覧車はカブラギランドの目玉遊具で、一周十五分の至福の時を提供してくれる素晴らしい乗り物ですよ。うふふふ。観覧車の神様ありがとうー。
観覧車は女の子がいっぱい並んでいた。ふっふふ。君たちもあたし達みたいにデートかね。うんうん。いいよね。デートっ! こうやってーてぇーにぎって。
そんでちゅーして、うはっ。妄想竹がにょきにょき生えてきたよ。
観覧車に乗り込むと、もうね、周りの景色なんかどうでもいいです。最初に奏お…に入って貰って、あたしの左手が右手ををギュッと握りしてめて。
そして右手は絶対領域へ。なでなでなでなで。白くてつやつやでやーらかいなあ。うん。男なんかにくれてやるもんか。

「キスして、薫子お姉さま」

 あああん、もうですね。鼻から荒い息がむはむはしてきましたよ。キャラが違おうが気にしてはいけません。背中に右手を回してぎゅーーーと抱きしめて唇を重ねる。
ん? なんかキラっと光った?

「あれ? 何か光った?」
「いいえ? 何も見えませんでしたわ。薫子お姉さま」

 あー、くそー。このままスカートの中に侵入してうはうはしようと思ったのに、気になってしょうがないじゃありませんか。
ギロッ…
得意の三白眼で周りを睨んでみる。見えてないけど覗いていた奴は絶対石になって死んでる勢いで睨んだのでびびってると思うよ。

「ふう、あたしも大人になったね」
「どうしたのですか? 奏が一緒だとおいやですか?」
「いや、そうじゃないんだけど、なんだか空気がおかしいんだよねえ」
「そういうときは、お…お化け屋敷にいきましょう!」

えっと、なんだろう? その理論は…

「その理論、絶対おかしい…」

 召喚獣を出す主人公みたいな事を言ってみた。
(続く)

568 :名無しさん@初回限定:2010/06/01(火) 04:38:45 ID:LMmsYcxp0
投下GJ

569 :まめぐ:2010/06/01(火) 07:51:23 ID:Qe+KAkSM0
>>567 その7

「きゃああああああああ」
 奏はお化けが大嫌い。あたしだって大嫌いだ。こう見えてもビビリなんだよ。乙女だもん。なので、二人してきゃああきゃあああきゃあああと叫んで抱き合っていた。
だけど、なんかお化け屋敷のスタッフと違う人間の気配が大量にする…
恐怖に打ち勝って外に出ると、あたしは奏を問い詰める。

「お姉さまとして聞きます」
「はい♪」

うれしそうに返事をする奏。くっそう、お姉さま良い笑顔してやんの…

「何か企んでますね?」
「ぎくっ!」
「瑞穂さんに以前聞きました。瑞穂さんにもみんなで企んで体育祭でチャイナドレスを着せて走らせたそうですね」
「あ…あれ? 何でその話知ってるのかなあ?」

日頃の口調と違うお姉さまを見て、ふふん、やっぱりねと思った。

「はい、残念だけどそこまでー!」

木立の影から、植え込みの影から、そして建物や乗り物の影からぞろぞろと人が出てきた。そして、一番最初に登場した人に驚いた。
えええ、どうしてどうして茉清さんがここにいるの!? あたしはびっくりするしかなかった。いや茉清さんが居ると言うことだけではなく、初音や由佳里さん、他にも生徒会の人々とか、どっきりかっ!
どっきりなんだ! えーと、どういういリアクションが必要かな。それにしてもお姉さまのスカートに手を突っ込まなくてよかった。縞パンの中にこんにちわーしなくてよかった。
ううう。だらだら、ねえ、なんか変な汗がだらだら流れて居るんですけどおおお…
(続く)

570 :まめぐ:2010/06/01(火) 07:53:12 ID:Qe+KAkSM0
>>569 その8



「『七々原薫子エルダー計画』の実行メンバーだからね」
「はあ!? あたしは来年のお姉さまには茉清さんを推薦しようと思っていたのに!」
「薫子さん、それは間違ってるよ。私は王子様だからね。お姉さまって柄じゃないよ。」
「ちょ。待ってよ、茉清さん。学院一柄が悪いと思っているあたしが、お姉さまなんて、エルダーシスターへの冒涜だよ。奏お姉さまや君枝さまみたいな、お淑やかな人がお姉さまになるべきじゃないか」
「ところがね、お姉さまって実は新入生時代はものすごく野暮ったい三つ編み&黒ぶちめがねだったんだよね。だから、薫子さんにも資格は十分あるわけ」

 茉清さんはにやにや笑って、一昨年の卒業アルバムを引っ張り出した。

「それ、どうしたの?」
「私が、瑞穂お姉さまに無理言ってお借りしてきました」

お姉さまが、にっこり笑いつつお茶をすすった。

「そもそも、第七十一代の紫苑お姉さま、第七十二代の瑞穂お姉さま、第七十三代の君枝お姉さまに比べたら、私なんかってことになっちゃいますよ? でもそれは違いますから。エルダーは単に憧れだけで選ぶものではありません。
エルダーを模範として、目標となるべき人を選ぶのです。私は薫子ちゃんは、十分に将来のエルダーになる要素を持っていると思います。だから来年はより一層の精進をして欲しいと思ったから、みんなに声をかけたの」
「だからといって、みんなでデートののぞき見すること無いじゃなああい!」

 あたしは真っ赤になって怒ってみた。だって、だって…奏お姉さまとちゅっちゅしたり、ぎゅーっと抱きしめられたり、一つの飲み物にストロー二本でラブラブカップル飲みしてるのみんなにばれてるんだもん。うがあああああああ。あたし死ぬ。恥ずかしさで死んじゃうっ!

「騎士殿は白菊の君にメロメロ。いやあ、恵泉新聞の来月の売り上げが期待できるわ」

 そう、新聞部だよ新聞部。山口真理さま。お姉さんもどこかの学校でかわら版という名の学校新聞作ってるって話。おでこがキュートなんだよね。ってそんな話じゃないー。
(続く)

571 :まめぐ:2010/06/01(火) 07:54:04 ID:Qe+KAkSM0
>>570 その9


「あの…公序りょうじょくに反する記事と写真は…」
「薫子さん、陵辱してどうするのよ。それこそゴシップの種にしかならないわよ」

茉清さんが苦笑していた。ううう。どうせあたしはがさつだからお嬢様言葉は苦手ですよ。ぶー。

「それを言うなら、公序良俗。帰ったら特訓ですね」

はう、非道いです。あんまりです。でもお姉さまと一緒ならいいか。

「最近の薫子ちゃんは入学当時とはまるで別人のようですね。くるくる表情も変わるし、親しみやすくなったって感じ」

はううう、お姉さまには一生敵わないなあ。一つしか違わないのに…

「さあ、どっきりは終わったし、みんなで楽しもうよ!」

 由佳里さんがみんなに向かって叫んだ。なんかくやしいなあ。みんなものすごい達成感でリア充な顔してるよ。まあ、こうなっちゃったら、しかたがないね。
そして翌年、あたしは、エルダーシスターになっちゃったんだ。大見得を切って。お姉さまの騎士だけじゃなくて妹の騎士にも成っちゃうって損な性分よね。

「そこが、薫子さんの魅力じゃない」

 茉清さんがによによしながら言ってのけてくれた。この人はものすごく上手く立ち回って、「私に投票しても薫子さんに全力で委譲するから、最初から薫子さんに投票して」

と大宣伝してくれたおかげで自分が選挙の対象者にならないようになってた。

「今年も、薫子さんを見守ると楽しい一年が過ごせそうだわ」

茉清さん、あんた鬼ですがな。

(完)

572 :名無しさん@初回限定:2010/06/02(水) 16:04:03 ID:sFy3wA0KO
投下乙でした

573 :名無しさん@初回限定:2010/06/03(木) 00:46:10 ID:Uc0Ak7jy0
投下乙です
久々に爆笑したw
ありがとうございます

574 :149なら奏お姉さまより高いじゃないか:2010/06/03(木) 23:01:48 ID:SzLQS35E0
聖「薫子さんはどうしてそんなに背が高いんですか?」
薫子「さあ……」

薫子「……小さい方がかわいくていいよ……」

聖「えー、でも高い方がかっこいいですよ」
薫子「……かっこいい?」

薫子「……かっこいいよりかわいいの方が……その……強い……」
聖「つよい?」

575 :173未満ならまだ大丈夫:2010/06/03(木) 23:04:02 ID:SzLQS35E0
茉清「そういえば薫子さん、また背のびてる?」
薫子「……みたい」

茉清「やはり。新入生の頃より大きくなっているよね、170こえた?」
薫子「こえた」

……

千早「聖さん、薫子さんに吸い取られているのでは」
聖「Σ」

576 :吸い取ったのは奏お姉さまの身長です:2010/06/03(木) 23:06:19 ID:SzLQS35E0
聖「薫子さん私の身長取ったんですか?」
薫子「いや……」

聖「取りましたね?」

聖「かえしてー、かえしてくださいー」
薫子「あ、あのっ」

聖「かえしてー、かえしてー」
茉清「お、薫子さん困ってる困ってる」
千早「やりますね聖さん、さすがは受付嬢ですね」

577 :薫子と史は大きさ的に姉妹:2010/06/03(木) 23:08:45 ID:SzLQS35E0
千早「でも私としては、その胸が気になります(男だし……ね)」ジーッ

……

千早「……」ジーッ

千早「すみません嘘です、ごめんなさい(史と同じレベルじゃ)」
薫子「千早さん、今ちょっぴりだけ心の声が見えたよ……」



早いもの勝ちな気がしたんであずまんがネタを。駄文失礼

578 :まめぐ:2010/06/05(土) 18:03:03 ID:R6AGIRse0
まりや†ほりっく

(1)

「薫子、今日から貴様はこの俺様と同室になる。喜べ」
「…はい?」

 目の前に居るのは、妃宮千早さん。転入生で、とても美人さん。やりっ!

「それから、俺様のことは『まりや様』と呼べ」
「えっと千早さん?だよね。何故にまりや?」

 べきっ!いったーい。何するんですか。ちょ。いまグーで殴りませんでしたか?グーで。女の子がグーぱんはダメでしょう!?

「生きている価値すらないゴミ虫が何を言ってるんのです。まりや様、このど変態は、鼻血出して喜んでいますがいかがいたしましょう?」

 メイド服を着込んだ自称侍女の度會史が冷たく言い放った。いいっ。もっとあしざまにののしって!ツンだけで丼三杯いけちゃうよ!

「史、ダメだね。ののしられると反対に喜んでしまっている」

 うう、顔も覚えていない天国のおかーさん、かおるこがんばるよっ!

ここ聖應女学院はつい最近恵泉女学院から聖央女学院と変わる予定だったけど、なんかしらないうちに聖應女学院になってしまっていたのですよ。

そしてその第2女子寮こと櫻館。本来ならば部屋数は全然余っているので一人一部屋で充分。なんだけれど、なぜかあたしだけ、転入生と同室ということになってしまっていた。


579 :名無しさん@初回限定:2010/06/06(日) 15:01:32 ID:Y5GS8FnP0
最近本スレに淑女が増殖しすぎている…早くこっちに来い

580 :名無しさん@初回限定:2010/06/06(日) 16:00:35 ID:B+t0LKU10
お姉さまウイルスに感染したイレギュラーだな

581 : ◆1oKmZSIAF. :2010/06/08(火) 00:33:43 ID:rKiZxu4uO
まりや聖誕祭というこで軽く投下します。
2人のエルダー直前の話、基本まりやの1人語りです。

では次レスから行きます。

582 : ◆1oKmZSIAF. :2010/06/08(火) 00:35:23 ID:rKiZxu4uO
それあたしが春に一時帰国した時の話・・・
あたしは卒業してから二年ぶりに聖應の敷居をまたぐことになった。
理由は妹である由佳里と奏ちゃんの卒業式のためだ。
アメリカから一時帰国し、瑞穂ちゃん達と卒業した彼女たちと共にかつて過ごした櫻館で楽しいひと時を過ごした。
そしてその後両親の帰って来いと言われて久しぶりに実家に帰った時のことだ。

「たっだいま〜」
「あらおかえりまりや。」
「久しぶりね〜まりやちゃん。」
「おかえりなさいませ。お邪魔してます、まりやさま。」
1つはお母さんの声。そして後2つは・・・
「あら、お久しぶりです。妙子おばさま。それに史ちゃん。」
あたしのお父さんの弟嫁である御門妙子おばさま。そしてその『御門家』の侍女である史ちゃんだ。
「それにしても2人ともどうしてうちに?」
けどこの2人がうちにいたのは正直助かった。
あたしだけだと両親から猛烈なもてなしを受けるのは間違いなしだからだ。
けどお客さんがいるのではそう言うもてなしをするわけにいかないのだろうかややおとなし目だ。
「ふふっ・・それがね、まりやちゃんに聖應について聞きたいことがあってね」
「あたしにですか?卒業して2年経つあたしよりも今いる史ちゃんに聞いた方がいいんじゃないですか?」
学年は覚えてないけど確か史ちゃんは聖應生だ。

583 : ◆1oKmZSIAF. :2010/06/08(火) 00:37:53 ID:rKiZxu4uO
>「実はね。うちの千早ちゃんいるでしょ?千早ちゃんを聖應に入れようかと思ってね。」
「えっ!!千早君って男じゃありませんでしたか?」
「あら、千早ちゃんなら大丈夫よ。だって可愛いじゃない」

御門千早君、確か3つ違いのあたしの従弟だ。
言われてみれば彼も瑞穂ちゃんみたいにきれいな顔立ちで女と見間違えられることもありそうだ。
でも聖應って・・・?あたしは混乱していたが会話は進んでいく。

「千早ちゃんね、最近学校行ってくれなくなっちゃったのよ。
だとすると環境を変えてあげるのも親の役目じゃない?
それに聖應は清花義姉さんもまりやちゃんも行ってた場所だしね。」
「なるほど。でも学院側はいいって言ってくれたんですか?」
「鏑木さまは問題ないって言ってくれたわよ。」

まあ当然といっては当然だろう。なんせ自分の息子を通わせていたんだから・・・

「それに千早ちゃんも可愛いけど女の子も欲しかったのよね〜。自分の子に化粧とか教えるのも憧れだったの。」
「あはは・・・そうですか。」

そう夢心地で話す妙子おばさま。なんか自分の世界に入り込んでる感じだ。

「千早さまの世話は史がします。まりやさま何かアドバイスなどありますでしょうか?」
そう史ちゃんが質問してくる。

「そうだね〜・・・やっぱりそばにいてあげることだよ!
なれない環境から慣れるまでが一番大変だからね。あとは・・・夜の相手とかさ。」
「夜ですか。そうですね。史、頑張ります。」

史ちゃんが燃えている。この子ならあたしよりしっかり千早君を助けてあげられるだろう。

584 : ◆1oKmZSIAF. :2010/06/08(火) 00:39:47 ID:rKiZxu4uO
「うんうん、大変だろうけど頑張って」
「ありがとうございます。けどまるでそういう体験をされたようなお言葉でしたが。」

ふと史ちゃんが疑問を持ちあげる。しまった。少し具体的すぎたか。

「いやいや、最近そんな感じの物語を見たからさ。」
「そうですか」

それだけ言うと史ちゃんは黙った。あまりおしゃべりな性格でもなさそうだしね。


あまり実家で話すことなくあたしは実家を後にしアメリカに戻ることにした。

「千早君がねえ・・・」

思えばあれから二年経っているんだなぁ・・・
空港へ向かう道がらあたしの頭はそのことが思い浮かんだ。
気になったのは自分と史ちゃんの対比だ。
好き勝手に瑞穂ちゃんを振りまわしたあたしと恐らく献身的に千早君に仕えるだろう史ちゃん。

「あたしは頼りにならないよねぇ〜」

と軽く自己嫌悪。でも考えると瑞穂ちゃんは特に世話する必要なかった気もするけど。
でもそう言うと千早君も割となんでも器用にこなす子だった気もする。
けど同じ従弟でも千早君はなんというか、からかってやろうという気にならなかった。
瑞穂ちゃんが同い年だったってのもあったけど、千早君には瑞穂ちゃんにあったかわい気というのかな?
そうったものをあたしが感じなかった。まああたしが瑞穂ちゃんで満足してたのもあったけどね。

585 : ◆1oKmZSIAF. :2010/06/08(火) 00:42:08 ID:rKiZxu4uO
「けど、聖應ねぇ・・・」

また女学院に男の子が一人迷いこむ。両方あたしの従弟だと思うと少し複雑だけど。
けど千早君も瑞穂ちゃん同様、いやそれ以上にいろいろなことを経験するだろうか。

「ふふっ」

なんだかおかしくなった。自分が経験したことが再び、聖應で始まろうとしているのだから・・・
再び聖應で物語が始まる。前回の主役がこれを聞いたらどう思うだろうか。
次代、薫子ちゃん達に思いを馳せつつあたしもまた旅立つ。
あたしの物語を続けるために・・・




以上です。パソコン規制されて焦った…仕方なく携帯から投下。読みずらかったらすいません。あと2楽しみです。ではノシ

586 :3-180:2010/06/08(火) 23:07:50 ID:T53bFGWO0
 ある日の廊下にて。
「そういえば千早さんは何でも出来そうだけど、ダンスもできる?」
 学院の行事について話していた薫子が千早に聞いた。
「ええ、一応踊れると言った程度ですが。ダンスがどうかしましたか?」
「降誕祭の時にミサとダンスパーティーがあるんだ。千早さんなら踊れるだろうなって」
「そうなのですか。しかし本当に一応ですよ」
「ふーん」
 薫子は少し懐疑的な顔をする。
「千早さんが踊ってるところを見てみたいなぁ」
「そうですか、しかし一人では踊れませんよ」
 そう千早が答えると、薫子は
「じゃあ、パートナーがいれば良いんだね」
 薫子は千早の手を取ると、
「さぁ、1、2の3」
「え、薫子さん!」
 薫子は千早を引っ張るようにリードし始める。千早もあわてて合わせると、
「やっぱり千早さん上手だね」
「お褒め頂けて嬉しいですけど、薫子さんも男性のステップもお出来になるんですから」
 薫子の言葉に千早がそう答えかけると、
「実はあたし男性の方でしか踊れないんだ」
「え、どうしてですか」
「実は学院に来るまでダンスとは縁がなくて」
「それでどうして男性しか踊れない事になるんですか?」
「1年の時に初音から『降誕祭のダンスで男性役の人が足りないの、お願い』と言われて男性パートだけ覚えて、そのまま」
「なるほど、女性パートを覚えるチャンスがなかったと」
「そういうこと」
 そういいながら踊り続けると、
「いつまでこの二人は踊ってるつもりなのかしら?周りが大変な事になってるわよ」
 そういわれ周りを見た二人。そこには鈴なりの女生徒達が。こうして『騎士の君』と『銀の姫君』の優雅なダンスの噂が
学院内を駆けめぐる事になるのでした。

587 :3-180:2010/06/08(火) 23:08:23 ID:T53bFGWO0
おまけ:その日の夜、寮にて
「薫子お姉さまと千早お姉さまがダンスなさったて、本当ですか」
「もう噂になってるの?」
「わたしも見てみたかったな……」
「そうだよね!見てみたかったよね! うぅ、いつも仲間はずれになってる気がします……」
「そんなたいしたものでは」
「千早さん上手だったよ、本当に!でも一緒に踊るだけでなくて、踊ってるの見たかったなぁ、でも初音は女性パートしか踊れないし」
「千早の事だから男性パートも踊れたりして」
「か、香織理さん」
「踊れるんでしょ?」
「い、一応ですが」
「じゃあ、初音。千早がリードしてくれるから踊ってみたら?」
「私は千早ちゃんと薫子ちゃんのダンスが見たかったのに……」
 こうして今度は初音と踊る事になる千早でしたとさ。


588 :名無しさん@初回限定:2010/06/08(火) 23:32:49 ID:29jMiGNO0
「降誕祭? あ、クリスマスですね」
 千早がクリスマスが何?と聞き返してきたので薫子は苦笑いしながら説明を始めた。
「ほら、うちの学校ってさ、やたらイベント好きじゃない。実はね降誕祭にはミサがあるんだ。
まあ、これはどこのミッションスクールでもやってる話なんだけれど…ミサの後にダンスパーティーが開かれるんだ」
「そ…そうなんですか」
「ねえ、千早さんってソシアル踊れるんだよね?」
「ええ、一応…というレベルですけどね」
「ああー、千早さんの家には舞踏室くらいありそうじゃない。うちなんか庭で盆踊りよ、盆踊り」
「ボールルームはありませんってば、カドリユくらい踊れるスペースはありますが、あれはピアノ部屋で…って…あ。舞踏室なのあれ。うーん」
「ねえ、千早さんって、実はどっちのステップもいけるクチ?」
「はい?」
「あのね、エルダーはホステスじゃなくてホスト役になるから男ステップを覚えないといけないんだ」
「ええと、そうですね。いつもは父と踊るのですが、たまに史と踊る事があって、男性ステップも覚えていますよ。たまに間違えそうになるのですけれどね」
「うわー、やっぱり何事にもそつがないんだ。とりあえず、あたしは、何の因果かずっと男性役ばっかりで女性のステップおぼえてないのよね。じゃあお手をどうぞ、千早姫」
「ちょっと。ここ廊下ですよっ薫子さん。きゃっ」
「はい、スロークイッククイック…」
ざわ…  ざわ…
『あれ、お姉さま方がダンスを踊ってますわ!』
『騎士の君が千早姫をエスコートして、かっこいい〜』
『お母様と一緒に見た少女歌劇団みたいでステキ』
一階の廊下で踊り出してしまった為。中庭から窓越しに鈴なりになる子まで何十人と出る始末。
パンパンと手を叩きながら聖應女学院学院長代理の梶浦先生がやってきた。
「はいはい。ダンスの披露は降誕祭の後のダンスパーティまで取っておいて下さいね。もう、どうしてみんな廊下で踊り出したがるのかしらねえ」
数年前のエルダーと病気治療の為に留年した前エルダーが廊下でダンス大会を開いたという噂をみんな思い出していた。
「ことしはソシアルダンスじゃなくてもっと面白いことしちゃいましょうかね」
ニヨニヨと悪人顔の笑いを顔に浮かべながら、梶浦先生の悪だくみは始まったのであった。


589 :名無しさん@初回限定:2010/06/08(火) 23:55:54 ID:Wq23Z5CD0
>>581-585

ギリギリ滑り込めた
良い雰囲気ですねい

>>586-587

薫子にバレてない展開も良いですね

>>588
乙ですけど規制にかかった?

590 :名無しさん@初回限定:2010/06/09(水) 02:06:33 ID:Fi0Lba+80
>>588
「YO…YOSAKOI!?」
「何かラッパーみたいですよ、そのセリフ」
「YOSAKOI ソーランよね、正式には」
ニコニコしながら宣言をする梶浦先生の迫力には有無を言わせない勢いがあった
「えっと、ここお嬢様学校ですよね?」
「そうね、千早さん。よーくご存じのハズですが?」
「緋紗子先生?何を仰られているのか判らないのですが…(汗)」
「先生ね、いつも思ってたの。ソシアルダンスってエルダーと必ず踊れる保証がないって。まあ今年は2人もいるから踊れない人いなさそうだけれど」
「で、群舞ですか?」
「そうなの。考えたでしょ!?」
梶浦先生は自慢げに「えっへん」と言うと、山積みになっている衣装箱(制服が入ってた箱と言えば学院生はすぐ判る)を指さして薫子と千早に言い放った。

「二人とも、学生服着て男装しなさい」
「「えええええええええええええっ!」」
「あたしはともかく、千早さんはダメですよう!お姫様に男装させてどうするんですか!?」
薫子が必至に食い下がってみるが、梶浦先生はけんもほろろだ。
「うーん、ほら銭八先生でも登校拒否の子の心を開かせるのにYOSAKOIを踊ったという伝説の話があってね」
「先生。それドラマじゃありませんか」
「いいえ。千早さんっ!あなたっ!…んー、銭八先生は全国二千万の教師必見のドラマです」
めらめらと背中から炎が上がっているのが見えた学院生達は黙ってしまった。


591 : ◆1oKmZSIAF. :2010/06/09(水) 12:10:11 ID:YUvJb8LAO
>>585の者です。題名書くの忘れてましたorz「御門から妃宮へ」です。今更すいません。

592 :あまのめぐみRe:start:2010/06/10(木) 23:58:52 ID:wsPZvJ550
>>578
(2)

 二代目!コスプレイヤーな人ですか!? いえいえ葵マリーさま(げすっ!)ああ、またグーぱんだよ、口からキラキラした透過光処理した「ナニカ」が飛び散ってますよ。あたし…

「バカモノ!ヤクザの娘は貴様だろう!? それとSMの女王サマと一緒にするな。」

 はい、そうでした、ってなんで千早さんがあたしの家の職業まで知ってるの?そんでもって何で18禁の話題にしっかり食いついてくるの?ってああ、あたしたち一応18歳以上だからいいのか。げふっ!ふ…史さんがあたしをふみふみしてるううげふっ。

「糞虫は放っておいても良いのではありませんか?まりや様」
「うじ虫にも温情を与えるのが俺様の主義だからな」
「で、どうするんですか?」
「そうだな、今日から貴様は俺様の下僕となるのだ。」

 にやりと薄ら笑いした千早さんがあたしを指さして最終宣告をしちゃった。

「史が上司だ、呼び捨てにするなよな。地の文だからといってもな」

 え?え?え?どーしてですか! どうしてですか? 地の文まで意見されちゃうなんて、ああ、ぞくぞくして来ちゃった。じゅん。
年下に命令されて、蹂躙されるのね。ああ、鼻血でそう。

ぴゅるぴゅるぴゅる〜〜〜〜

「おい、貴様。何を愉快な効果音を出しながら鼻血を吹いているのだ。鼻血に含まれているドエム菌を巻き散らかすんじゃない」



593 :あまのめぐみRe:start:2010/06/11(金) 01:21:22 ID:nd1QY69F0
>>578

CORRECT THE WRONG POSTING
(2)

「どうしようもないバカの為に一度だけ説明してやる。まりやというのは俺様の従姉でここの寮長だった才女だ。そして俺様は二代目まりやを名乗ることになった」

 二代目!コスプレイヤーな人ですか!? いえいえ葵マリーさま(げすっ!)ああ、またグーぱんだよ、口からキラキラした透過光処理した「ナニカ」が飛び散ってますよ。あたし…

「バカモノ!ヤクザの娘は貴様だろう!? それとSMの女王サマと一緒にするな。」

 はい、そうでした、ってなんで千早さんがあたしの家の職業まで知ってるの?そんでもって何で18禁の話題にしっかり食いついてくるの?ってああ、あたしたち一応18歳以上だからいいのか。げふっ!ふ…史さんがあたしをふみふみしてるううげふっ。

「糞虫は放っておいても良いのではありませんか?まりや様」
「うじ虫にも温情を与えるのが俺様の主義だからな」
「で、どうするんですか?」
「そうだな、今日から貴様は俺様の下僕となるのだ。」

 にやりと薄ら笑いした千早さんがあたしを指さして最終宣告をしちゃった。

「史が上司だ、呼び捨てにするなよな。地の文だからといってもな」

 え?え?え?どーしてですか! どうしてですか? 地の文まで意見されちゃうなんて、ああ、ぞくぞくして来ちゃった。じゅん。
年下に命令されて、蹂躙されるのね。ああ、鼻血でそう。

ぴゅるぴゅるぴゅる〜〜〜〜

「おい、貴様。何を愉快な効果音を出しながら鼻血を吹いているのだ。鼻血に含まれているドエム菌を巻き散らかすんじゃない」



594 :名無しさん@初回限定:2010/06/13(日) 19:58:32 ID:1MdRAEBi0
??

595 :名無しさん@初回限定:2010/06/14(月) 16:50:18 ID:gdQbx7980
マスターアップキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!

596 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 01:09:00 ID:gUqV4sX00
もしも聖應女学院したらばがあったなら

妃宮千早が男かどうか検証するスレ(40)

1 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (水) 23:56:32 ID:???0

 私あの人絶対男だと思うんだけど、皆はどう思う?

2 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (水) 23:57:01 ID:???0

 >>1死ね

3 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (水) 23:57:13 ID:???0

 >>1
 んなわけねーだろ
 糞スレ立てんな

4 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (水) 23:57:32 ID:???O

 >>1
 妬みカッコワルイ

5 名無しのお姉さま  [age]   2008/07/02 (水) 23:58:00 ID:???0

 バカ晒しage

597 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 01:09:25 ID:gUqV4sX00
15 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (水) 23:59:21 ID:???0

 皆さん言葉遣いがなっていませんよ。
 もっと淑女らしく穏やかに振舞いなさい。

 >>1
 人を貶めるような発言は感心しませんね。
 トイレ掃除でもして反省なさい。
 塩素系洗剤とか硫黄温泉なんかが汚れをよく落とすそうですよ

17 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/03 (木) 00:00:01 ID:???O

 >>15
 お前酷いなw

21 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/03 (木) 00:03:24 ID:???0

 そんなことよりこっちを検証しようぜ
 七々原薫子が男かどうか検証するスレ
 (URL)


598 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 01:10:30 ID:gUqV4sX00
七々原薫子が男かどうか検証するスレ(271)

1 名無しのお姉さま  [sage]   2008/06/07 (土) 10:21:32 ID:???0

 私あの人絶対男だと思うんだけど、皆はどう思う?

2 名無しのお姉さま  [sage]   2008/06/07 (土) 12:51:01 ID:???0

 >>1
 お前もそう思う?

3 名無しのお姉さま  [sage]   2008/06/07 (土) 12:53:13 ID:???0

 >>1
 あの人の足フェチぶりは怪しいと思っていた

4 名無しのお姉さま  [sage]   2008/06/07 (土) 12:55:39 ID:???O

 >>1
 っつーかお前いつスレ立ててんだよ
 その時間授業中だろ

5 名無しのお姉さま  [age]   2008/06/07 (土) 13:00:00 ID:???0

 とりあえずageておきますね

15 名無しのお姉さま  [sage]   2008/06/07 (土) 23:59:21 ID:???0
 
 最近のあの人は千早お姉さまに夢中過ぎる
 初音お姉さまが可哀相だ

599 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 01:17:58 ID:gUqV4sX00
17 名無しのお姉さま  [sage]   2008/06/08 (日) 00:00:01 ID:???O

 >>15
 むしろ助かったとか思ってんじゃね?

21 名無しのお姉さま  [sage]   2008/06/08 (日) 00:03:24 ID:???0

 >>1
 んな訳ないじゃん
 馬鹿なスレ立ててんなよ

23 名無しのお姉さま  [sage]   2008/06/08 (日) 00:05:22 ID:???O

 >>21
 薫子お姉さま乙

21 名無しのお姉さま  [sage]   2008/06/08 (日) 00:06:24 ID:???0

 >>21
 普段アンタが男らしすぎるのがいけない
 それ以上に足フェチなのがいけない


259 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (火) 00:00:01 ID:???O

 っつーか皆ネタで言ってるんだとは信じてるが、そんなに男らしい人をエルダーに選んだ俺達もどうなのよ

261 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (火) 00:03:24 ID:???0

 むしろ男らしいから選ばれました
 千早お姉さまはその逆に女らしいから選ばれました


600 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 01:18:51 ID:gUqV4sX00
262 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (火) 00:04:41 ID:???0

 って言うか薫子様なら本当に男でも許せる
 むしろ本当だったなら体育館裏に呼び出して押し倒す

263 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (火) 00:05:24 ID:???0

 >>261-262
 お前達とは旨い酒が飲めそうだ

264 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (火) 00:07:11 ID:???0

 >>261-263
   `¨ − 、     __      _,. -‐' ¨´
       | `Tーて_,_` `ー<^ヽ
       |  !      `ヽ   ヽ ヽ
       r /      ヽ  ヽ  _Lj
  、    /´ \     \ \_j/ヽ
   ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´
            ̄ー┴'^´

266 名無しのお姉さま  [sage]   2008/07/02 (火) 00:10:24 ID:???0

 >>261-264
 酒のんだら駄目だろwww
 だが俺も同意せざるを得ない

601 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 01:20:34 ID:gUqV4sX00
千早「・・・・・・あの、薫子さん」
薫子「・・・・・・なんだよ」
千早「泣いても、いいですかね?僕」
薫子「駄目だ、アタシに先に泣かせろ。アンタ男だろ」
千早「・・・胸、貸しますか?」
薫子「・・・・・・うん」
千早「膝枕もしましょうか?」
薫子「・・・・・・うん」
千早「ネットって、怖いですね」
薫子「・・・・・・うん・・・ぐすっ」
千早「よしよし・・・薫子さんは素敵な女性ですよ」
薫子「そんなお世辞なんかいらないもん・・・」
千早「お世辞じゃありませんって」
薫子「アタシは、嘘つきは嫌いだよ・・・」
千早「僕は貴方に、性別の秘密を守ろうとした時以外に嘘をついたことはありませんよ」
薫子「・・・う〜っ!」
千早「よしよし・・・」



本スレで2chがあったらネタを見て思いついた
薫子さんがちょと打たれ弱い気もするけど、こんなの見たら仕方なかろうと言うことで

602 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 02:01:00 ID:FUs4B/4q0
>>596-601

吹いたw

603 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 03:19:06 ID:CBDUxxDW0
>>601
いかん、そんな薫子さんがかわいいと思ってしまった。
でもこれからも本スレではいじります。

604 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 08:31:41 ID:R0tNiBT70
聖應のお嬢様が「俺達」・・・w

605 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 12:07:32 ID:DU4SiezY0
>>604のお姉さまも社会では私って言いますでしょ?
それと同じだと思うのですよー

606 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 15:29:41 ID:mHxsR/Cm0
>>605
いや、「俺達」はないと思う

607 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 16:32:01 ID:gUqV4sX00
言われてみれば他はともかく、よほどノリのイイヤツ以外は一人称は「私」「私達」の方が良かったな
鬼女板なんかそんな感じだった気がする
それ以外の言葉遣いが乱暴なのは「聖應のお嬢様が絶対領域を知っている」って時点で気にしたら負けだと思っている


だがそんなことより俺は今頃になって>>601を陽向が覗いていればもっと面白かったんじゃないかと思い始めた

608 :名無しさん@初回限定:2010/06/22(火) 21:03:18 ID:TH3NKJENO
生徒会長:ネットでは正しく「漏れ」を使いましょう
エルダー:そ、それもどうかと…

609 :名無しさん@初回限定:2010/06/23(水) 20:32:39 ID:SjoPZsVu0
貴子
君枝
ゆかりん
初音ぇぇぇぇぇ好きだー

誇り高き聖應生徒会長の系譜か……

610 :名無しさん@初回限定:2010/06/25(金) 00:40:01 ID:CIcSs2nE0
次の変態生徒会長は誰だろう?

>>601の時に思わず千早ちゃんの美脚に頬ずりする薫子ちゃんが思い浮かんで仕方がない

611 :名無しさん@初回限定:2010/06/25(金) 12:52:14 ID:AAz/2B5sO
薫子マジ足フェチ

612 :名無しさん@初回限定:2010/06/29(火) 13:37:13 ID:lBi9ShWwO
いよいよ明日2人のエルダー発売か
このスレにも2人のエルダーの良SSが沢山投下されますように

613 :名無しさん@初回限定:2010/06/29(火) 13:38:48 ID:C/eBb7LL0
薫子の変態ネタばっかりだったりして

614 :名無しさん@初回限定:2010/06/30(水) 00:03:23 ID:gjngEQ8S0
遂に発売日キタ
SSも来てくれ!!

615 :名無しさん@初回限定:2010/06/30(水) 00:16:21 ID:W/V19SLc0
http://ux.getuploader.com/otoboku/download/123/otoboku_123.jpg
これってばんくーばー氏じゃね?w

職人さんがどれだけ戻ってくるか
新しい職人さんがどれだけ生まれるか
楽しみすぎて夜しか眠れない

616 :名無しさん@初回限定:2010/06/30(水) 16:25:06 ID:ls2T8aTi0
うたちゃん大ブレイク中のようなので、うたちゃんSSを楽しみにしてますね><

617 :名無しさん@初回限定:2010/06/30(水) 17:29:27 ID:Z4a7RW0aO
真の変態は御前

618 :名無しさん@初回限定:2010/07/01(木) 12:40:19 ID:lFvN2u6FO
さすがに体験版以降の展開を元にしたSSの投下はまだか

619 :名無しさん@初回限定:2010/07/01(木) 15:43:37 ID:Fj0JPoSl0
>>618
寮生、ヒロイン勢揃いのクリスマスパーティーで、千歳さんが消えたあと、お母さんと一緒に皆に事情説明したと思ったら
「ごめん一個聞き忘れてたんだけど」とか言って千歳さんが帰って来て、
「ちーちゃんの本命って、誰?」と爆弾発言を残して、「そうね、それはぜひ聞きたいわ」とかお母さんも悪乗り開始して
大パニックになるネタは思いついたがまとめきれそうになかった上に俺まだうたちゃんと史しかクリアしてなかった

620 :名無しさん@初回限定:2010/07/02(金) 07:32:56 ID:Nu6jtdd+0
御膳斜め上w

621 :名無しさん@初回限定:2010/07/02(金) 08:42:19 ID:wOd1URNi0
web漫画見て、変態御前ネタが流行る!と思ったら原作で既に変態すぎたでござる

622 :名無しさん@初回限定:2010/07/02(金) 08:54:58 ID:xcmor8B2O
御前は箱入り娘過ぎで1周半位回って結果的に変態という名の淑女になった感じだな
適度な性教育、性知識の重要性を理解出来る貴重な教材

623 :名無しさん@初回限定:2010/07/02(金) 23:35:10 ID:KRxiyiNl0
>>621
御前「私をいじめて・・・」的なこといってふいたでござる。

624 :540、596 ◆gVFcZJc8FA :2010/07/03(土) 00:49:16 ID:gBq8KSyf0
即興で思いついたものを投下してみる

625 : ◆gVFcZJc8FA :2010/07/03(土) 00:49:49 ID:gBq8KSyf0
度會史の朝は早い。
彼女の主、御門千早も朝は早い方ではあるが、彼女はそれよりも早く、まだ陽の昇らぬうちから起床し、身支度を済ませ、主の部屋へと向かう。
主の千早と共に御門邸にいた頃は、起床時間はもう少しだけ遅く、主を起こすのもそれよりももっと遅かったが、
千早が聖應へ転入し、寮に入った頃から生活のリズムが若干変化することになった。
理由は簡単。主の身支度にこれまで必要のなかった、そして発見されてはならない工程が含まれるようになったからだ。
その為、朝の身支度にはより長時間、より早い時間での起床が必要となった。
だが史に不満など微塵もない。敬愛する千早の為であるならば、たとえいかなる事であっても彼女はそれを遂行するだろう。
それこそが、度會史の存在理由であり、幸せの形であり、生きるための術なのだ。
だからこそ。
他の人を起こさないため、という意味も含めてそっとドアを開け、その麗しい寝顔にそっと顔を寄せ、彼女は囁くのだ。

「聖さんの影響聖さんの影響聖さんの影響聖さんの影響聖さんの影響・・・」

それは魔法の呪文。史の未来を明るく照らすための秘密の言葉。
彼女は今日も囁く。千早の側に、身も心も捧げてお仕えし続けることが出来る未来の為に。
千早の口から、かすかに声が漏れる。まもなく目覚めるのだろう。
史は眼を閉じて、そっと気合を入れ直し、新たな言葉を紡ぐ。

「千早様、お目覚めのお時間でございます」

今日も、一日が始まる。



「そんなことよりも、雪ちゃんは千早お姉さまと踊らなくていいの?」

降誕祭のダンスパーティー。もうすぐラストダンスを迎えようと言う時に、雅楽乃は友に尋ねる。
そんな様子を遠くから見て、史は

「・・・あれ?」

と首を傾げるのだった。

626 : ◆gVFcZJc8FA :2010/07/03(土) 00:51:49 ID:gBq8KSyf0
以上です。
聖トラップと史ゾーンの話で本スレが盛り上がっていたのを見て思いついて。
うたちゃんはトラップが通じない唯一の主人公。

627 :名無しさん@初回限定:2010/07/03(土) 01:41:51 ID:MOIRI8rL0
トラップを踏み倒して好感度が振り切れてる史すら凌駕して千早ちゃんを手中に収める御前マジ淑女

628 :名無しさん@初回限定:2010/07/04(日) 22:54:30 ID:bvkpCh420
ぱにぽにもいいが、ベホイミちゃんをがんばってほしい

629 :名無しさん@初回限定:2010/07/05(月) 03:09:36 ID:Kag7N4zl0
>>625
呪文w

630 :名無しさん@初回限定:2010/07/05(月) 07:07:28 ID:wh3PIbYt0
最初意味が分からなかったが、本スレの解析見てから思いっきり笑ったwwwwwwwwww
御前以外全滅とかちょとsYレにならんしょ・・・・

631 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 13:41:18 ID:InwM9VwvO
今日見た夢を覚えている範囲で投下。
エロかったでござる

632 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 13:42:47 ID:InwM9VwvO
もみもみ…
「ん…はぁ……っ…んんっ」
ヴヴ…ヴヴ…
「あっ……あっ……お姉様…ぁっ」

灯りが部屋の主に遠慮しているのか、靄がかった薄暗い部屋に2つの媚声が響く。
過剰なまでの装飾は豪華と云える範疇をも越えていたが、それは灯りの行き届かない夜も変わることなく、昼と魔逆の雰囲気を醸し出す。

「ちはやっ……ちはやぁ……」
「そんなに呼ばなくても、僕はここにいますよ」
ベッドに腰掛ける長い影が一つ。
その影は日本人に有らざる銀髪を揺らす姫君の持ち物であったが、声のトーンが跳ね上がる際に首が2つに増える。無論、頭部を2つ有す妖怪の類ではなく、銀髪の君を椅子として寄りかかる人物が居たからである。
騎士の君――170を越える長身にして、腰より伸びる黒髪の持ち主である。
騎士の君と銀髪の君はお互いに生まれたままの白い肌を晒し、重ねているが、銀髪の君に寄りかかるように座っているので彼らの肌の間に騎士の君の黒い髪がシーツのように滑り込んでいる。
良質の絹のように肌触りのよい髪は、喘ぐ体を留め置くには摩擦が少なすぎ、銀髪の君は両の腕だけでなく、第三の腕を使って暴れる騎士の君をその腕に留めている。

「…あんっ…ちはやぁ…まだっ、お預けなの?」
「おっぱいを大きくしたいといったのは薫子さんじゃないですか。 まだ始めて1時間も経っていないの、んっ……はしたなく擦り付けてっ、そんなに、入れて、ほしいのです、か?」
第三の隠し腕が薫子の秘部を何度も擦りあげる。
「ちはや…っ!? ちはやぁ…ああぁっ!」
その度に薫子の体は跳ね回り、しかして千早の腕が薫子の胸を揉みしだきつつ、身体を抱きしめて離さない。
かれこれ1時間に及ぶ前戲である。
胸のみとはいえ、肢体の隅々まで千早に開発され尽くした薫子は、もったいつけられ周期的に突起を弄られることで何度となく達し、汗、涙、涎、愛液、果てまた黄金水すら留め置くことはできなかった。
床に敷かれた絨毯には肌色の山を越えて新たな地図が書き起こされ、とても手拭いで拭き取れる量ではなかった。明日は史に怒られるな…と思いつつも、千早にはこの宴を止める気は全くない。
己のSっ振りを改めて自覚するとともに、己が腕で望む反応を返している恋人の乱れ振りに更にゾクッと背筋に電気が流れるのが分かった。

633 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 13:50:19 ID:InwM9VwvO
……ここで起きたんだ。

今日大学行かないで、おとボクつけた俺を怒れる人なんて…

634 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 15:08:42 ID:Zmy6NAs40
何故そこで目覚めた!何故そこで目覚めた!

635 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 15:34:57 ID:U07Kx4Qt0
>>633が明日も大学さぼって続きを書いてくれるんだよな

636 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 16:13:56 ID:m4HwRnVN0
>>632の現場のドアの向こうはきっとこんな感じ

史「史にかかればこの程度のドアの鍵など造作もございません」
陽向「うっはぁー・・・・これはすごいですねぇ・・・ホント聖應に来てよかったぁ・・・」
優雨「ふたりはなにをしてるの?」
初音「だだだだめよ優雨ちゃんは見ちゃ・・・!うわ・・・薫子ちゃん・・・エッチな顔して・・・」
香織理「アレだけねだられてまだ焦らすなんて・・・ホント性格悪いわね千早は・・・」

637 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 16:19:42 ID:InwM9VwvO
携帯の電池入れ替えたけど、633です。
ノリで書いたら大変なことになった。

以下続きっぽいモノ


638 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 16:27:45 ID:InwM9VwvO
今回はいつもと違う要因が入っているからだろうか、今宵はこの欲情を止められない。さてどうしたものかと思案を巡らせると、視界の隅に肌色が引っかかった。
ヴヴ…ヴヴ…
これはいいかもしれない。

「仕方ないですね……」
「はぁ…はぁ……え、ちはや!?」
さも降参したかのように声のトーンを下げる。イったばかりだというのに獲物が引っかかったようだ。「降参です、いい加減僕も限界ですしね」
情事が始まってからずっと胸を弄んでいた手のひらを、薫子の肢体のラインに沿って、胸からへそへ、へそから腰へ、腰から尻へ、ゆっくりとなぞる様に下ろしていく。
「んっ……あ、あぁ……」
火照りきった薫子は指が擦れるだけで嬉しそうに声をあげる。指が形のよいお尻を撫で、太ももの裏に手をかけ、身体を持ち上げる。声を我慢するように口と目を瞑っている薫子は次の一瞬を心待ちにしているのだろう が、

「へ?」

けれど、僕は薫子を僕の上から隣に下ろした。
このときの薫子の声は今までいじってきた中でも特に僕の心をくすぐった。
薫子は未だに目の前の空間をポカーンと見つめている。あぁここで『嘘ですよ』といって押し倒したらどんな顔を見せてくれるのだろう…。血液がどくんと流れるのを知覚しながらも、寮生活で勝ち得た鋼鉄の自制心で乗り切った。
「ごめんなさい、先にトイレいかせてね?」
「……え、えぇ!?」
本当にこの子は可愛い。見ていて飽きないとはまさに薫子のことを指すのでしょう。
「さっさと済ませてきますから、少し待っていてくださいね」
ベッドから離れ、ギンギンに反り立った第三の手を隠す為に服を着る。流石にちょっとやそっとで隠せる状態でないので、完全に着てしまう格好になるがこの際しょうがない。
僕がネグリジェに手を伸ばしたところで、薫子が事態を理解したようで慌てて僕の腕を掴む。勢い余って世界地図の上に押し倒されてしまったが、そんなことはどうでもよかった
「薫k…」
「いい! 私の中でおしっこ出して良いからっ、今すぐ挿れてっ!」
「゜д゜」

香織理さん、うちの薫子は立派な変態に育ちましたよ…

639 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 16:29:30 ID:lj85vVjI0
いいこと思いついた。
おまえ、俺のケツの中でションベンしろ。

640 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 16:30:53 ID:InwM9VwvO
でここで安価。
どっちも棄てるには惜しすぎて、自分で決められんかったんよ。

a√→押し倒されても千早攻めは代わらず。薫子オナニショー

b√→薫子×千早。 あなるばいぶ

>>650 決めるのは君だ!

641 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 17:12:33 ID:SII5kplf0
>>640
どっちも書けば良いじゃなーい
そして大学をサボった貴女には可及的速やかに続きを仕上げ
このスレに投下する義務があります。

642 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 17:28:05 ID:m4HwRnVN0
>>640
史「ここからが千早様のドSな一面の本領発揮です」
優雨「かおるこが、がんばる!」
初音「優雨ちゃん!?そ、そんな事になったら私明日からどんな顔すればいいのかわからないよ!(でもちょっとみたいかも・・・)」
香織理「けど、並大抵の攻めじゃ千早の優位は崩せないわよ」
陽向「って言うかどっちも見たいですねー。>>640さんが投下するまではどちらの世界も存在するって意味じゃ、これもエヴェレット解釈でしょうか」

というわけで両方だ

643 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 18:00:51 ID:B4dej+RaO
>>642
貴女も単体で投下して下さいw

644 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 18:34:27 ID:55UYbnnf0
ここは基本的には過疎スレなんだから、安価とかやっても仕方がないぞ

645 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 18:35:30 ID:g4JMa5N80
どっちにするか決めれないんだよ…

646 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 19:30:42 ID:g4JMa5N80
決めた、やっぱ両方だよな
( ゚∀゚)o彡°両方!両方!

647 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 19:34:31 ID:XRRizY4K0
両方!

648 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 20:45:31 ID:InwM9VwvO
安価とか書き込んでから、エロパロスレで何やってんだよ俺…、とか後悔に潰れてスレ見るのが怖かったが、予想以上に伸びてて焦ったw

このバイト終わったら本気だす

649 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 20:49:55 ID:g4JMa5N80
史第

650 :名無しさん@初回限定:2010/07/06(火) 20:56:02 ID:BdwvwI7tO
本気出すなら当然両方やるんだよな

651 :あまのめぐみRe:start:2010/07/06(火) 21:31:39 ID:CGIyb1wD0
>>648
勃った!くららで勃った!じゃなくてフラグが立った。

652 :あまのめぐみRe:start:2010/07/06(火) 21:43:52 ID:CGIyb1wD0
おげふぃんなのは、さておき。

陽向ちゃんは壁大手!?

「んー。夏のアレは何を書こうっかなー」
 上唇をちょっとあげて、そこにペンを挟み込んでいる少女がぎしぎしと、女子寮の自分の机のイスを軋ませながら真っ白い原稿用紙に向かって呟いた。
 ぴろろろろー。携帯電話の液晶に「玲香」と出たので陽向は携帯のボタンを押して話し出した。
「エリザベス綺龍院先生?どうしましたか?」
 とてつもなく言いにくそうな名前を付けているようだが、実はペンネームだったりする。
『マーガレット菫先生?何って夏のアレですよアレ。締め切りまであと2週間ではありませんか』
 うーん、痛いところを突かれたと陽向は思った。


653 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 09:21:34 ID:ZTDImD4sO
バイト終わって家についてPC起動したらワードじゃなくておとボク着けていた不思議!

ノパソ持ってきているからa√は今日中に書き終えられるはず。

薫子ちゃんマジドM

654 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 11:09:29 ID:4KVHX5d8O
ちーちゃんがドSなだけ説

655 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 13:56:37 ID:ZTDImD4sO
とりあえずa√おわた
予想以上に伸びたのはPCの打ちやすさと薫子がエロすぎるせいだ!

携帯とPCだと打つ文章が変わるってのを実感した作品だぜ

656 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 13:58:24 ID:ZTDImD4sO
「もう駄目、我慢できないの!」
掴まれた右腕に動けないよう体重をかけ、空いた左手で僕の股間を弄ってくる。
そそり立っているエルダースティックは僕の若干の抵抗を物ともせず薫子さんに捕獲される。
「んっ…あっ!」
情事を始めてから一度も放出していなかったので、薫子さんの柔らかい手で握られただけでもイきそうになる。
間違いなく挿れてしまったら一も二もなく出してしまうだろう。
ここで立場を逆転してしまうと後は薫子さんに搾り取られるだけになってしまう。
どうにかして逃げないと
「千早、挿れるよ――」
僕の身体は薫子さんの太ももでロックされていて動けない。かといって薫子さんを突き飛ばすわけにもいかない。

けれどエルダースティックを挿入する為に腰を浮かせた今なら――

「――いけない子」
「ん、え? えあぁあああっ!!」
唯一自由になる左手が薫子さんの秘所をめちゃくちゃにかき混ぜる。感じさせる動きではなく、力任せに膣内をかき混ぜる。
「千早、ダメっ! そんなにしたら壊れちゃう! ああっ、ん…ああ!!」
今宵は胸の愛撫だけで、秘所への刺激はクリトリスを擦るだけに留めておいた事が功を奏した。幾度なく達した身体は、全く触れていなかった膣内をドロドロに溶かし、ただ指で擦るだけで思考能力を奪い去っていく。
欲望色に染められた頭も、真っ白になるほどの刺激が薫子を襲い続ける。
「あぁ、あああっ、や、やぁん! あ……ああぁっ、ああぁぁっ!」
もう腰を浮かせる余裕すらなく、僕にしがみ付いてくる薫子さん。
トドメとばかりに近くにあったバイブに手を伸ばし、めちゃくちゃに突き入れる。
もう愛液なのか黄金水なのか区別の着かない程にびしょびしょになった薫子の膣は、バイブを咥えて離さない。お仕置きも十分と、僕の上でビクビク痙攣している薫子を仰向けに床に下ろす。


657 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 14:00:01 ID:ZTDImD4sO
「薫子さんったら、我慢もできない子になったのですか」
膝立ちになり見下ろす形で睨みつける。
愛液にまみれた左手で頬を撫で、人差し指を薫子さんの口の中へ静かに挿れていく。
「僕の左手……薫子さんの愛液でこんなに濡れてしまいました。 あなたのせいなんですから、綺麗になるまで御舐めなさい」
「……はい……ん…ぺろ…ちゅ…ちゅぱ…んっ……」
イきすぎで身体が動かないのか舌を懸命に伸ばしてくる姿にゾクゾク震えながら、舌を撫でる。苦しくならないように口奥まで入れないよう注意を払いつつ、舌の先を指をフック上に曲げて扱く。
舌の柔らかさと薫子さんの奉仕を感じ、惜しみつつも舌を開放する。
次は歯ぐきをなぞる。歯磨きのように右の上あご、下あごに触れ、今度は左の上あご、下あご、ゆっくりと出し入れを繰り返し、少しずつペースを速めていく。
最早イラマチオと大差ない所まで攻めた後、薫子さんの唾液で色っぽく濡れている唇をそっと撫で、人差し指を抜く。
「ちゅぱ……あっ……」
ゆっくりと離れていく指を物足りなさそうに視線で追う薫子さんを見て、僕の顔には自然とくすりと笑みがこぼれてくる。
「まだ人差し指が終わっただけです。 次は中指をきれいにしてもらいますからね」
と、耳元に顔を寄せて囁いてあげると、薫子さんの顔にも笑みが漏れる。
その反応に満足した僕は、中指、薬指、親指、小指とそれぞれに時間をかけて自由に口内を蹂躙させていく。
小指を抜くころには、薫子さんも回復してきたのか、僕はほとんど自分で動かすことなく奉仕に指を任せていた。
「んっ、んっ、ちゅぱ……じゅぶじゅぶ……ん…、あ……」
小指が名残惜しそうに薫子さんの唇から離れる。


658 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 17:26:46 ID:vqZgoNdC0
千早お姉さまぱねぇw
続き期待してます。

659 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 20:45:31 ID:/qSt1YFs0
規制のお陰で帰宅するまでカキコできなかったぜ、こんちくしょう。
>655-657の続きで。以下どうぞ

660 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 20:45:59 ID:/qSt1YFs0
愛液にまみれた指は唾液によってそれ以上にべとべとになったものの、僕は左手の指を自分の口で一本一本舐め取る。
「……んっ、ふぅ、指は綺麗になりました。」
小指を舐め尽すと、そのまま薫子さんの頬に手を当て、撫でてやる。
「ぁ……、うん」
先ほどの情欲に駆られた表情は完全に消え去り、気だるそうな愁いを帯びた表情に変わっていた。
けれど、ここで満足されると僕が困ってしまう。
「んっ……あぁ……」
未だにささったままのバイブを一旦抜き取り、振動を弱にしてまた挿れなおす。

「それでは僕は用を足してきますので、しばらくそのままで待っていてくださいね?」
予想外な事態が起こったものの、バイブを挿して放置するという目標はクリアした。
薫子さんの体力回復もかねて、少々長めの放置プレイに路線を変更しようかな。


「きゃっ、こっちきますよっ。 優雨ちゃん、こっち!」
「はつねどうしたの?」
「あわわっ、どうしま……ってお姉さまと史ちゃんもう居ないし!」


「……全く」
どたどたと去っていく集団を眺めながら、僕は飲み物を取りに厨房へと足を向けた。

661 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 20:46:39 ID:/qSt1YFs0
「あー、今のでもだめかぁ……」
千早はSである。
ドが付くSである。
それはもう身をもって十分すぎるほどに理解している。
この学園にきてだいぶ丸くなったと思っていたが、まさかここまで自分がMだとは少し前の私には想像もできなかっただろう。
「これって調教されてるんだろうか」
肌を重ねるごとにどんどん千早という底なしの沼に沈んでいることを不快とは思っていない。むしろ攻められることに快感を覚えるようになってからは、千早の一挙手一投足に身体が反応してしまっている。
正直なところ、千早を苛める私の姿が全く想像できない。ただ行為中において体力では分があると分かっているので、騎乗位で責め続ければもしかすればという想像はしている。
けれど、それは千早も理解しているので、行為に及ぶ前に徹底的に苛められてイかされてへとへとになるまで挿入してくれない。
後はもう、こちらの体力がないので千早の望むままに突かれてイかされて先に寝て落ちてしまう。
だから翌朝、コーヒー片手に千早の顔を覗く……なんてことは一回も実現したことは無い。
まぁ、私が朝弱いのと、史ちゃんがそれを許してくれないというのが大きい気もする。
「もし―」
今のを行為を私と千早を入れ替えてみたら――
そう、例えば手足を縛ってしまえばどうだろう。
流石の千早といえど手足の不自由がなければどうということはないし、あとは――
「どうするんだろう?」
この前やられたお尻たたき?
それとも今日みたいに懇願するまで寸止め?
「むー、いい案が浮かばな……あんっ……」
そういえばなんで入れっぱなしにしていったんだろう。このバイブ――ん?
もしかして、お尻に入れちゃう? これ。
確か順一に貰った物でお尻に入れるものがあったような……
あの時は恥ずかしくてまともにみてなかったけど、ぺにすばんど、がどうとか言ってたような。
そうだよ、千早は見た目女の子なんだから偶には女の子みたいに挿れられても……
「はぁ……はぁ、ん……あんっ」
あれだけ攻められるビジョンが見えなかったのに、女の子だと思っただけで想像が止まらなくなっていく。
手首と足首をリボンで結んで、四つんばいにさせて、後ろから
「ほら、先っぽが千早のお尻に――」
「僕のお尻がどうかしましたか?」

662 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 21:36:24 ID:/qSt1YFs0
「私のおちんちんが……ってえええっ!?」
びびびびっくりしたぁっ
いつの間に戻ってきたの?
「薫子さんがまた一人エッチしてるようなんで、しばらく様子を見ようと思ったのですが――、何か不振な言葉がでてきたので」
完璧に心が読まれてる! 笑顔が怖い! 笑ってるのに目が笑ってないよ千早っ!
「気になって声をかけてしまいました、っと」
「きゃっ」
お姫様だっこされてる?
「ということで、約束を破った薫子さんにはお仕置きが必要ですね」
どさっ、っと私をベッドの上に降ろした千早は床に座り込んでしまった。
お仕置きという言葉が千早の可愛らしい口から出てきた瞬間、お腹がきゅんとして、バイブの存在を強く感じた。
今度は一体何をするんだろう――?
何をしてくれるんだろう――?

「一人エッチみせてください」

一瞬何を言われたか理解できなかった。 
え、私が一人でするの?
すぐ傍に千早が居るのに?

「そうですね、先ほど薫子さんがが何を想ってしているのか、実況しながら、というのはどうでしょう?」
やだよ、千早が何かしてよ!
触ってももらえないなんて、そんなのやだよ!

「薫子さんがイくまで、ちゃんとやってくださいね?」
あう、あうぅ……。駄目だ、この目は何を言っても無駄な時の目だ。
私がひとりでしちゃったから、怒ってるのかな?
うぅ……

663 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 21:40:14 ID:/qSt1YFs0
「……ゃが」
「僕が……なんですか?」
「千早がリボンで縛られてるの」
「妄想の僕はそんなことになっているのですか」
「それで、四つんばいにさせられて」
「薫子さん、手が動いてないですよ」
「んっ……、千早のお尻にこのっ、私が使ってるこの……あぁ……バイ、ブをっ」
「バイブを?」
「はぁっ、あぁ……挿れ、ぁん……ちゃうのっ」
「僕のお尻に、薫子さんの使ってるバイブをいれるんですか」
「そうっ……あ、あっ」
「薫子さんの、どこに、挿ってるバイブですか?」
「え?」
「薫子さんの、どこに、挿ってるバイブですか?」
そんな、そんなこといえないよっ!
「……」
「言えないんですか?」

664 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 21:43:39 ID:/qSt1YFs0
そんなこと恥ずかしくて――
「おまんこ」
千早っ?
「薫子さんを苛めてるこの子は、おまんこ、に挿っているんです。 ほら、言って御覧なさい?」
あう、千早……ずるい
「……ぉ……こ」
「聞こえません」
「……ぉまんこっ」
「もう一度」
「おまんこっ!」
「そうですね、そこに挿っているのですね。 あら、薫子さんどうしたんですか?」
「……ぐすっ……えぅ、……ふえっ」
「あらあら、泣いてしまうなんてどうしたのかしら?」
千早は私の頭を抱いて、子供をあやすように背中を撫でてくれていた。
だめ、もう駄目だよ。
千早はずるい。
私を苛めるくせに、泣かせるくらい酷いことをするのに、私のことを大切に想ってくれているのが分かるから怒れない。
そしてもう私は千早から離れられない。
いじめっ子の癖に底抜けのお人よしの、この千早から――

665 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 21:48:15 ID:/qSt1YFs0
「仕方ない子――――ちゅっ」
「千早っ、んちゅ、ちはやぁあ、ちゅっん、あぁっ」
「これは、もう必要ないですね」
「ちゅ、んあぁっ……ちゅ、んんっ」
千早は優しくバイブを抜き去り、千早の指がその穴を埋める。
「ちはやっ、ちはやっ。 ちはやあっ!」
「よしよし、……きゃっ?」
千早の背中に手を回し、回転するように無理やりベッドに押し倒す。
さっきと同じように押し倒した形になったけれど、千早の目は優しいままだ。
「……薫子さん、大好きです」
「私も、わたっんちゅ、私もちゅんんっ」
私も――
「千早のことが大好きっ!」



「香織理お姉さま、千早お姉さまは私たちがまだ居ることに感づいていたようでしたが……」
「そうねー、完璧に当て付けね。 いくら二人の関係が公然の秘密とはいえ薫子にあんな大きな声で言わせるなんて、私たちを意識していたとしか思えないし」
「私たちも退散したほうがよさそうです。 これ以上あてられるのは少々辛いものがあります」
「千早は私たちの気持ちも分かって居よう物なのに……、本当に性格が悪いんだから」
こうして二人の情事を覗くものは居なくなった。
結局この後、感極まった薫子と千早は5回ほど行為を重ね、就寝したのは史が起こしにくる1時間前だった。


666 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 21:55:50 ID:/qSt1YFs0
朝食の場にて
「……主よ、今から我らがこの糧を感謝させたまえ。 アーメン」
「「アーメン」」
何故か誰も喋ろうとしないので、静かに食事は進んでいく。
カチャカチャと食器があたる音が響く中、千早は一言、誰に言うでもなく静かにつぶやいた。

「薫子は可愛いでしょう?」
その後の惨状は語るに及ぶまい。

667 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 21:59:40 ID:/qSt1YFs0
と、いうところで>632から始まったネタのA√糸冬 了 。
3年ぶりくらいにSSなんて書いたもんだから色々酷いw

ノリを消したくないので反省とか完全にスル―してB√でイチャイチャさせてきます。
それでは皆様、御機嫌よう。

668 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 22:06:15 ID:M/j1zRSq0
b√wktk

669 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 22:15:12 ID:NQgJ2naV0
√a乙。√bも期待してる。

670 :名無しさん@初回限定:2010/07/07(水) 23:54:52 ID:XROrBPeb0
>>667
だが一つだけ突っ込ませてくれ

>けれどエルダースティックを挿入する為に腰を浮かせた今なら――

なんだこの地の文はwwwwwwwwww

671 :名無しさん@初回限定:2010/07/08(木) 09:51:20 ID:mtV0z+B30
良かったがエルダースティックで吹くw
次も期待してる!

672 :名無しさん@初回限定:2010/07/08(木) 11:44:15 ID:ifxhb+v9O
>>666
この後の惨状が気になるw
千早ちゃん何をしたw



そしてエルダースティックwwww

673 :名無しさん@初回限定:2010/07/08(木) 13:21:03 ID:Tl7MdticO
千早はリボンに縛られて動けない!
薫子「チャンスはここしかないっ!」
順一『これをつかえっ!』
薫子「これは…バイヴ?」
順一『但し、これは薫子のヴァキナに合わせて作られたものだから、千早のアナルには使えない』
薫子「ならばどうやって?」
順一『勇気で補え!』
薫子「……ぉおおおお!」
がしっ
千早「ひっ……」
薫子「クラッシャーコネクトォオオ!」
ぶすっ
千早「あっー」
薫子「ゴルディオンクラッシャーァァアア!」
ぽちっ←バイヴの振動を最大に 
薫子「女になれェエエエエ!」
千早「あっー、ああああああああああ」





B√考えていたら、こんなのが浮かんでしまった。没にするのも勿体ないのでネタとして投下。

しかし、これのせいで順一アニヲタ説が頭から離れなくなった/(^O^)\

674 :名無しさん@初回限定:2010/07/08(木) 16:24:33 ID:+AjDzaw60
>>673
ぶすっ、で吹いたw
B√も期待してるぜ!

675 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:00:43 ID:9NT/Z5Rn0
一応B√。
なんか止めらんなくなった。
このままやったらキャラ崩壊どころの騒ぎじゃないので、原型留めているレベルまで投下。

676 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:03:43 ID:9NT/Z5Rn0
「もう駄目、我慢できないの!」
馬乗りになって千早を押さえている今なら千早を攻めることだって――はっ。
「――。」
と想った瞬間、今まで培ってきた危機察知能力が欲望一色の頭に警告を鳴らした。千早の目が反撃を目論んでいることに気づけなかったらどうなっていたか。
すぐに立場を入れ替えれて、千早の気が済むまで苛められて、何度も何度もイかされちゃって、その後もあんなことやこんなことされちゃって――
キュンっとお腹が疼いたのを自覚したけれど、これでは何時まで経っても千早にいいようにされっぱななしだ。多分この機を逃したらいけないと誰かが警告している、そんな気がする。
何かないかな、千早を縛れそうな……ってこれだ!
千早の右手にはフリフリのネグリジェが握られたまま。そう、そのネグリジェにはものすごく長いリボンがついている。これを使えばっ!
「――ッ? 薫子さんっ何をっ?」
左手でつかんだまま、右手でリボンを掴み、千早の右手首にリボンを一回巻く。そのまま千早の左手を右手で掴み上げ、残ったリボンを巻きつけ、少々きつめに結んでお終い。
「ふふっ……、今日は私が千早を苛めてあげる!」
「薫子さん、こんなことをして後でどうなるか、わかっているんでしょうね?」
うぐっ! 縛られて動けないはずなのに、千早が怖いよぉ……

677 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:04:29 ID:9NT/Z5Rn0
でででで、でもきょきょ今日くらいはっ

「このリボンを解きなさい」

きょきょきょうくらっくたいは


「薫子さん――もう言いませんよ?」


ぎゃーーーーーーーーーーーーー!!
どどどどどうしようどうしよう!?
怖いよ怖いよっ、っていうか少しちびっちゃったよ、どうしよう?
『りりりぼんほほほどこうよっ! 今ならまだ1ヶ月くらい苛められるだけで済むよっ、きっと!』
『ででもも、ここで解いたら、いいま何されるかわわかわからないし、今ならさ、…あの千早を苛められるし……』
『……うん』
『……うん』
『……それに千早に苛められるなら、それはそれで……』
『!』

678 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:27:17 ID:9NT/Z5Rn0
「……わああああああああ」
「ちょ、薫子さ、きゃっ」
勢いに任せて突き進む
そう、このチャンスを逃してはいけない。例え失敗しても千早に苛めてもらえるなら……ハァハァ……
「このっ、これをこうしてっと」
「なっ? 何をしているのですか!やめなさい!」
足を私の寝間着のズボンでぐるぐる巻きにして自由を奪う。
こうなってしまえば、流石の千早も文字通り手も足も出ない。
さらに千早のあたまにシャツを被せて視界もふさぐ。
「……うわぁ」
……ゾクゾクっと背中を電機が走り抜けていくのが分かる。
素っ裸で、腕と顔をシャツで固められて、足首をズボンで縛っているから首から下が完全に無修正。モロである。モロである。
いつも私を苛めるあの凶悪なスティックもぶるんぶるんゆれるだけで可愛い。
あの千早を私の好きにできる。
バタバタもがいているけれど、それで解ける様には縛っていない。伊達に縛られ慣れてないもんねっ!
「………………ごくり」
……写真撮っとこうかな……。
って違う、今のうちに道具取ってこないと。千早が本気になったらリボンなんて千切れちゃいそうだし。

679 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:29:16 ID:tOzGDhDJ0
電気支援

680 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:36:30 ID:9NT/Z5Rn0
「これでよしっと」
史ちゃんや順一から渡されたアイテムの数々。貰った当初は恥ずかしくてほこりを被っていたけれど、段々と慣れてくるにつれて千早が使い始めて、気付けば殆ど遣われた気がする。殆ど私にだけれど。
その中から使われなかったもの――ほとんど順一から貰ったものだけど――選んで開封する。
アナルビーズ、アナルバイブ、アナル用ローター、それと肝心のローション。
なんだろう、順一はお尻に興味があるんだろうか?

「……くっ……このっ」
やばいっ、こんなところで時間使ってる場合じゃないよっ
急ぎ、床に広げた4つをもってベッドまで駆け寄る。
そしてそのままの勢いのまま、千早をうつぶせにして、太ももにまたがる。
千早のお尻が丸見えになるこの形。そういえば、千早の後姿って殆ど見たこと無いんだなぁ……
凄い綺麗な背中。後ろから見たシルエットがどう見ても男には見えない。
っていうかくびれてるんじゃないの?
背中を満足いくまで撫で倒した後、そのままローションを片手に男とは思えない形のお尻に手を伸ばす。
「ひゃっ……か、薫子さんっ? そこはやめっ」
凄い、千早が焦ってる。
「ふっふー、それでは千早のお尻、ご開帳ー」
人差し指と中指を割れ目にあて、押し開く。
「うわぁ、千早のお尻の穴ってこうなってるんだー」
「――――ーッ」
更に抵抗が増すけれど、手足を縛られて、うつぶせにされて、太ももに跨られている今、千早がいくらMr.パーフェクトといえど、逆転できはしない……はず。

681 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:40:23 ID:9NT/Z5Rn0
千早を相手に完全優位に立った私は更に調子に乗ってお尻の穴の皺を数え始める。
「いーっぽん、にーほん、さーんぼん」
流石に観念したのか、抵抗がなくなり呻くような声が聞こえる。
そんな反応が面白くて、更に図に乗る私。
「――ひゃ、あっ、ああっ、そこはっだめえぇ……」
ローションを垂らし、指で穴を撫でながら皺数えを続行する。偶に指が穴の中に埋もれてしまいそうになる。あれ、お尻の穴ってこんなにほぐれているものだっけ?




「キーーーーーターーーーーーwwwww 薫子×千早! リバうめぇぇええwww 今年の夏はこれできまりw」
「かおるこ……すごい……」
「千早ちゃんが受け……駄目よ! リバなんて認めない! このカップリングは正当派だからこそ映え得るんだから!」
「しかし不思議ねぇ、私もお尻を弄ったことあるけれど、痛そうでとてもあんなに反応してくれるものじゃなかったわよ?」
「……千早さまは、幼少のころよりお風邪を召された時には奥様のいいつけにて必ず座薬を投与されてきました。 その際、痛くないようにと奥様直々に時間を掛けてほぐしていたので、もしかすればそれが原因なのかもしれません。 または単に素質があったのかもしれませんが」
「……千早のお母さまは本当に凄いわね……」




「にーじゅう、にーじゅういーち。 千早のお尻の皺の数は21本。 ほら千早21本だよ?」
「―――ーッッッ!」
ドタドタと暴れ始めるが、私はもうどう対処すれば良いのか完全に理解できていた。

682 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:45:23 ID:9NT/Z5Rn0
「ちーはーやー、ほら私のお尻の皺は21本だって言ってごらん? いわないとー」

ぶすっ

「ひゃああああああ、あっ、ああっ、あんっ」

ぐりぐり

「駄目、やめてっ、やめてえええええ」

ぬぽっ

「じゃ、言ってごらん?」
「うっ……」

ぶすっ

「ひゃああああああっああああぁっ!」
「まだ言わないかー? ほれほれっ」
「ああっ、あんんんっ……あっ、ひゃあああああああ」

ぬぽっ

「ちーはーやー?」
「……ゅ……ぽ……でぅ」

ぐっ

「にっ……にじゅういっぽんですっ!」
「誰の何が?」
「千早のお尻の皺は二十一本ですっ!」
「よくできました。 それじゃご褒美ね?」

683 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:48:00 ID:sV+h8SV1O
妙子さまwwwwww
ちーちゃんカワイソスwwwwwww

684 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:50:59 ID:9NT/Z5Rn0
「えっ? いやああああああああ」

ぶすっ
ぐりぐり
ずちゃずちゃ

「ああああっ、あっ、ひゃっ、あー、あああぁぁっぁあああああっっっっ!!」
物凄い締め付けが私の指を襲う。
千早の身体も見たことが無いくらい痙攣して跳ねる跳ねる。
もしかして……と思い、動かなくなった千早を仰向けにひっくり返してみると、お腹の辺りに見たことがないほどの精液がぶっかけられていた。
勿論シーツもぐちゃぐちゃ。史ちゃんどんな顔するんだろう…

「千早、お尻でイっちゃったんだ……」
「…………ぅぅ」
「ちはやは、おしりで、かんじる、へんたいさん、なのね」
「……えぐっ…」
「えっ、泣い…ちゃった?」
ここまでやれば流石の千早も大人しくなるだろう。
ゆっくりと腕と頭を拘束していたシャツを脱がす。千早が暴れたおかげでボタンが半分くらい取れていたが、手首を縛ってあったとはいえむしろよく耐えたほうだと思う。これは今日の記念に残しておこう。対千早初勝利の損害として考えれば破格だ。
顔を隠していたシャツが脱げ、千早の泣き顔が露わになる。

685 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:52:28 ID:o2fO21mp0
薫子死亡フラグktkr

686 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 02:53:35 ID:9NT/Z5Rn0
「千早の泣き顔はどんなか……」


「かおる、こ……さん…」


あwl;yj:あえprjh:ぴあえhjrgy:p;wrじゃえぽj
おとおおととおとおおととちつうつけかえ
そうだこういうときは素数を数えるんだって言ってたっ
いち…はやあああああああああああああああ

常に理性を湛えた瞳は、恐怖か、快感か、果てまたそれ以外のいずれかに寄って籠絡され、力のない様は初体験を迎える処女のよう。
涙に犯され(濡れ)た頬は、仄かに赤く垂れる滴が儚い灯を孕み、一層その凄惨さを強調する。
未だに強烈な感覚から逃れられないのか唇は目に見えて震え、だらしなく筋を引く液体は強襲者のサディスティックな面を助長してやまない。
これらの食材を前にして、料理に挑まぬ料理人などいない。
我慢(理性)の利かない獣へと変貌するには十分すぎる満月の光。
そう……この宴は始まったばかりなのだ…」
「史ちゃん、急に語りだしてどうしたの?」
「いえ、本来第三者に伝えるべき人が義務を放棄したようなので、僭越ながら私が代役を」
「まぁ…仕方ないわよねぇ。 それよりあっちはどうしたものか……」
「だから正統派を否定した先に未来なんてないの!」
「そんな固定概念に囚われていたら、新しいジャンルなんて開拓できませんよ! 発想を柔軟にするにはまず逆転の立場から! リバ、大いに結構じゃないですか!」
「はつね…。 ひなた…。 私には貴方達が何を言っているかわからない」

687 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 03:00:02 ID:sV+h8SV1O
初音と陽向自重しろwwwwww
っつーか覗いてるのばれたら薫子とは違う意味でお仕置きされるな

688 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 03:11:02 ID:YxflrBI1O
>675だけど、また連投規制に引っかかったよ…
まぁこの先は自重した部分だし、DC版としていつか日の目をみるかも…しれないw

とりあえず、反省と感謝をば。
>642、>652のネタを流用させて頂きました。
陽向だけだと広がらないので、他にも史とか香織理さんとか腐らせようと思ったのだけど、完全に初音が空気になったので、腐女子にしてみたらごらんの有様でした。

SMちっくになったのは多分に筆者の性格が反映されております。
ちーちゃんのプレイが筆者の思考とすげー似通ってたので、筆がぬるぬる動くw
ちーちゃん受けは終盤カットしてしまったのだけど、正直なところ薫子と入れ替わっただけだっry


こんなところでしょうか。
また夢に見たら書き下ろすので、それまで皆様、ごきげんよう。

689 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 03:28:34 ID:sV+h8SV1O
乙でした
次も期待しています

690 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 08:39:37 ID:3F2xqI+V0
皺21本・・・まさかこんなところで見るとは・・・乙でした。自重部分もよかったら.txtをどこかのアップローダーにお願いしたいです

691 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 20:55:06 ID:V4wk+qsb0
またもりあがっておるな

692 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 20:55:49 ID:xes4/WBn0
BBS PINKで言うのもなんだが、エロ以外も読みたいな

693 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 20:59:11 ID:rQzDKaXt0
エロ以外といえばL鍋さんかな

694 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 23:16:23 ID:WEwHihYVP
pink書き込み規制ひどいな

695 :名無しさん@初回限定:2010/07/09(金) 23:21:48 ID:+L+2RV6D0
乙〜
自重などせず是非続きをw

696 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 09:10:14 ID:+qiAJpWp0
うむ

697 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 09:34:34 ID:jbFf07wrO
ネタバレ怖くて参戦できん…まだ史しか見てないんだ…

698 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 09:42:00 ID:/659jhwG0
スレの容量があと14kbしかないので、次スレを立ててきます

699 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 09:53:46 ID:/659jhwG0
次スレのご案内

処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第19話
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1278722693/

700 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 09:56:30 ID:D9P7bkfK0
>>699
乙っす

701 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 11:45:28 ID:BZGoWBhYO
「……むぅ」
「どうしたんですか、薫子さん」
「やっぱり史ちゃんを見る目が違う」
「……と言われましても、史とは長い付き合いですし」
……むぅ。確かに今年あったばかりの私とは比べ物にならないでしょーが、恋人としてはそこはこう、なんか……ねぇ?
他の女の子を特別扱いされると、わき腹の辺りをツンツン突かれているような気分になるんだよね。
「私に無くて史ちゃんにあるもの……」
「いや、そういうことじゃなくてですね」
「……メイド服か!」
「゜Д゜」

その夜。
「なんで僕の部屋に二着もメイド服が……って何着ているんですか!」
「え、だって千早ってメイド好きなんでしょ? ……ご、ごしゅじん、さま……」
「――――」
各自妄想でお楽しみください。

翌日。
「千早は犬と猫どっちが好き?」
「……どちらかというと、犬でしょうか」

その夜。
「なんで、僕の部屋に犬耳と首輪が……って何着けてるんですか!」
「え、だって千早って犬が好きなんでしょ? ……くぅん」
「――――」
各自妄想でry

なんかもう、史に言えばネットのお友達と協力してなんでも揃えそうで怖い。
そして、香織理さんと一緒に盗撮映像を見て……というビジョンが頭から離れない。
おのれ……全て>642のせいだ! 
尚PCで書き込めない故の突発ネタなのでDC版はありません(ぁ

702 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 12:34:38 ID:SBYZS00tO
>>701
乙過ぎるw

703 :ふみ商会暗躍す:2010/07/10(土) 12:44:37 ID:oKm1+m6C0
「千早〜、千早は犬と猫とどっちが好き?」
「…猫ですね」
「どうして?」
「犬は感情むき出しで向かって来るじゃないですか。ちょっとまぶしすぎるんです」
「じゃあ、あたしは千早とつきあえないな。ぷんっ」
「あ…あぁぁぁぁぁぁぁ。どうして、僕はこう不用意にっ!」
「……千早お姉さま。ご安心下さい。史がフォローを入れておきます」
「あ、ありがとう史…」

「もうっ!千早の莫迦っ!」
「…薫子お姉さま。お怒りなのは判りますが、ここは私のネット仲間から贈られてきた愛らしいこれを使って、千早さまと仲直りしていただけませんでしょうか?
ぱぱらぱっぱらー。ネコ耳セットー。これで千早様にせまればいちころでございます。不肖、侍女である史もお手伝いいたします」
「えっと、ネコ耳カチューシャはいいんだけど、この尻尾とか手袋とかブーツは行き過ぎじゃないの?」
「大丈夫です。この尻尾は薫子お姉さまの感情にしたがってぴくぴくとかわいらしく動きますから」
「で。この尻尾どうやって付けるの?」
「それはですね…」
 
コンコン「千早?」
「あ、薫子さん。どうぞ」
「ごめん、ちょっと開けてもらえないかな、手が使えなくて」
「はい、ど…薫子さん何やってるんですか!?」
「へ…へんかな?ほらっ、千早ってば、猫が好きって言ったじゃない」
「とりあえず、座って下さい」
「それがね、座れないんだ…」
「へ?どうしてですか?」
「尻尾がね…入ってるんだ」
「はい?」
「でね、千早。この手袋だから外せないんだ…。だからっ!あたしを猫みたいに可愛がってよ!」
「ごくっ」


704 :ふみ商会暗躍す2:2010/07/10(土) 12:45:10 ID:oKm1+m6C0
その頃。史の自室でモニターが何台か、千早と薫子の痴態が映し出されていた。
「さすが、薫子お姉さま。痴態も素晴らしいです。タイトルも『ラブラブにゃんこ ダブルエルダーはらぶらぶ姉妹』で決まりですね」
トルルルルー「はい。みなさまのふみ商会です。あ、茉清お姉さまですか。いつもご注文ありがとうございます。はい。聖お姉さま用の愛らしいコスチュームですね。
それですと茉清お姉さま用にもご用意できるモノがございますが。はい、では、明日お届けに参ります。」


705 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 12:54:28 ID:BZGoWBhYO
>703-704
なんとwww
まさか発展するとは乙すぎるw

706 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 13:02:49 ID:SBYZS00tO
>>703-704
史ぃぃぃぃぃwww

707 :ふみ商会:2010/07/10(土) 16:08:00 ID:oKm1+m6C0
「淑女のみなさまの安心ショップ ふみ商会」

お家の人に知られたくない、淑女グッズをお求めになりたいかた。
お姉さまグッズをお探しの方。
ふみ商会にお問い合わせ下さい。


7/11 歴代お姉さまグッズ入荷しました。
  秘蔵CD第39弾!   第○○代の生徒会長のお姉さま渾身のトイレでのオナニーボイスです。
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                「あれ?なんかジーーーって音がしてる、携帯?」
                「なんかうめき声も聞こえない?」
                「やだ、おばけとか?」
                「ん。ん。ん。いく…いく…いっちゃう…」
                「あれ、水漏れしてるよ」



708 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 16:18:39 ID:BZGoWBhYO
>>707
やばい、もう史がそんなキャラにしか見えなくなってきたw

709 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 18:55:22 ID:afGaqAPp0
>>699


710 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 21:09:05 ID:IaBMQwtL0
素晴らしい流れだ GJ!

711 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 10:43:23 ID:XMffC5W4O
埋め立て

712 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 11:50:44 ID:NiZpa+QW0
埋め

713 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 12:19:03 ID:TApx6Eh80
              , - "´ ̄ ̄ `゙ ‐ 、
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          l! !::::l:i::::ll:::ヽ   '       l::::l´ハ:::::::l::::|  埋めですわ
          ':;:,-ll-、ヽ::ヽ、  ¨´   /l::::l::l::::i:::::::i::::|
        /,´ヽヾ^"、:Vヽ、` r.、 イ.-|l:::::l::i::::::i::::::l:::::l
         l   Llvl::l^l:::ヾ:i:::::「 」l´ _l:::::l::|_::_::|::::::|::::::l
        l ',   l::l/+r'/´^`l.† l´ l:::::|l::l ,r;:rl::::::ト 、::',
         _」 ヽ |::| l l lヽ / ゝr'  l:::::| ` ´//l::::::l:.:.:.ヽ',
        / `ー 、ィ:::l | l |-|  ,イ|ヽ、l::::::ト、///:.:.l::::::l:.:.:.:.:.ヽ
       ,〈       l:::/`´ イイ´/ | l l::::::ハ `´ヽ:.:.|:::::l:.:.:.:.:.::ハ
      >, `ニー _l/: : //>' /O.| トl::::::L_ゝ   V|:::::|:.:.:.:.:.:::::l',
    //::::.:.:.:`l=l: : : . . . . .ヽ'll l./l::::::l . . . . . : :l::l:::::|:.:.:.:.:.:.::ハ'.,
    l:./:::::.:.:.:.:l:::ハ: : : : : : : : lllOll l:::::l: : : : : : : :ハ l:::::l:..:.:.:.:.:.:.::〉',
    V:::::::.:.:.:.l:.:l:::ヽ、: : : : : : lll__.ll::::::l: : : : : :, イ::.:.:.l:::::l::.::.:.:.:./;:::::':,

714 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 12:22:17 ID:TApx6Eh80
                , . .-‐.'''"゙゙". `: . 、
              /      . . : : : : : : : :.ヽ
            , r''´  . . : : : :ト、ヽ: : : ヽ: : : :.\
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        !::l |: :::!l:: l::.'l´`_`_,ヽ:::.lリハ彳ITc|ソ::l: lノ: | |:|
        l::l l:::|:、:.ヽ:::.kチFdトゝ;;ノ  k.ニ リ/::./::/ノ リ    埋め
         ll  l::ト、l`::ヽ:、ヾ斗 ,      /,イ/::/:/ソ
         ` ヽl \:::ヽ::、ヾ、  ー '  /lソ/レ '        
              `ヾ、 ヽ、ミ , 、 _, '_ , シl
                    ,l ` Y ´    ノ、_,, - 、
           , ..--‐y+‐―'´ _ヽ⊥、_    ///;: . . ヽ
         /:.:. . . ..:.:| l レ '´, - l † | 、  ` 、.///.::.. . . . \
      , r'´ . . . ....:.:.:.| l lヽ /  ゝ ノ  、 ////:.l.:.: :.: . . .  ヽ
     l'´  . . . . .....: .:.:;l レ' /   /l ヽ   l `'' 、ヽ:.:.;.:.: . . . . . ヽ
     |:. :.:... . . . . ....:.:/  / , イ ./|  ヽ、  l   .:V:. ..:.:.. . . . . ヽ
     l:.:. .:.:... . . ...:.:./: .  ´/∠  lo|  _ 、 弋    .: :l.:.:.:.:.. . . . . . . ヽ

715 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 12:23:58 ID:TApx6Eh80
                          ― 、,= ―-- 、
                     /´       ヘ   `` 、_
                    /           ヽ ヽヽ\ヽ
.                   /    〃//イ      ヽ ヽヽヽヽ
                  /i!/ 〃 /〃/八   丶 ヽ  ', ヽヽ ヽヾ
                 ∧i!〃〃./;:リイi ! !',   ',  !i !i  i ', ',.', ヽ
                 /、Q彡i /::/イi i ! ' ',.   ! !i !i  i  ! i i リ
                '〃川V r‐リトナトx ,,', ',、  i从i !i  i  ! i i
                 // ,川、 VベハヤFミメヾハヽ リ∠チナi i  i ハi
               f |' || i | } }ト、チハ.r'ゝ,ソ` ヽ ∨ィfチiア /i ル i !
               /〈└',| i l、} }', ヽヘヾ  ̄     ヾ゙ク イ i ,/i 〃
                ! , ̄|「TTヽ' ',:::ヽゝヽ     '   ノイ /イ,/ .i  埋めですね
                / ツ;/ //::| |::::ヽヽ:::ヾハ ' 、  ̄  イ:::i "〃 .; h
            ノ イ/ //::::| |::川) リハト.i ト` ェ≦::i::ノ::人 i ! ; i !
           /イ/'/ ク::::::::レ!/:i/ /:::/〃;;  Y hソ:ノ ::::ヽヾ ; i ヽ
          ( (/ / /⌒^ヾソ ノ/〃= ,´†ヾ==、 `rt…、; i、 ヽ
           y'/ /     ヾヘ',く´(( ノ ゝ-' ヽ  `〉 l;:  \ト、ヽ
         //  /       ';ヘ',у))  /::;ヾ   ヽ{ l l.;ヾ   ヾiヾi
        / /!   /:::       ルツ|ノ.ノ__ノ::::;;',;:ヾ、 lヾ、;     ヾ ソ
       i  ,' イ  /:::::       ↓ ! ィ/"/::  ', ':: `火  ヽ    ゙!ヾ、

716 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 12:24:57 ID:TApx6Eh80
次スレのご案内

処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第19話
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1278722693/

717 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 12:28:38 ID:TApx6Eh80
                      ___
                   ,.  ' ´ ̄       .. _ `ミ 、
.              ,  ´               `ヽ \
            /   ,  /                 \ \
             , ′  ./ ,′          ヽ     \ \
          /     ,′|/      .i   ',   i. ',  ヽ  ヽ. \ ヽ
.         / .  i  |  |/    i  |    i i | ハ   ヽ.  ヽ ヾ ',
.          ,′i  |  |  ! i ト    | ',  | i.| ハ ', ',  ハ . ト、Y
           |  |  |  ! | !i ! .ト、ト、ト、ミ! i| ,. 斗-ハ !  .ハ| ',
          i   |  |  i  V ! 从ト、!-‐十‐\ イ,ィテミ、! || |', ハト、 i
          |   |  |  ト、  V , イ,ィェテミ、 |ハ! ! |'{トi:j.} |i||.N i iハ. i|
         |   |  |  iハ ∧!, 伐::::j::}   ル'!/ ゙ー' !从リ N ! i | |
        l     !   |/∧ へヾ辷少‐      、.:::: | V | | | N i| | |   埋めですね
.          |   i     { { (ヘ ヽ\::::::::::::.       '  八|: | | Ni | | | |
.         |i     | ', 乂_ミヘ  ヽ ミ      ー ' , ′!| ,小| | | N ,' |
.        |ハ  !.ハ  、 `弋ト、 ヽ\        // / .l( ! | | | | / ,'
          |ハ八  ヽ \\ヽ ミ 、\`ミー┬‐‐'./ //リi ', V.ハ | /
        !  ト、\. \ \\.艾 \\ ̄ ゙̄i./_/__/小 V ! ! !
         リ i l \\  \ \\` < ―‐ァ,ネ´:.:.:.`\./| || |
          //リリ |\\  \ \   ` <く:::::.:.:.:.:.:.:.:.:. \乂 ノ
.         //.// /:| iバ \  \ 廴____ `ヽ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: V\_ノ\

718 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 12:44:35 ID:KJ1BR8cR0
                      、-─w─,-  、
              , ´"   `´    "゙ヽ
              /             ヽ
.             /:/ ::    .;   :.    ヽ:  ハ
         /// :/::/: /: l::. :: :!::!:}:: :', ::!. 'ハ
         / i::!:: ::!::/::/!::::j_;::: :: l、j_ji:::::',::i:: : !::i\
          /.:.:.i::i::: .:i;;{,斗::爪 :::: ::::!ハ:仆:、j::!: :::i!::!:. ヽ
       /.:.:.:.:|:i:::: ::!:::! ,尓fメ!::: :::リイ心Vi:`i:: ::!i: !.: ヽ   埋めなのですよ〜
.       /.:.:.:.:.:.|:i:::: ::ハ 《!゚::::d ヾ/" !:::::d゙》/: :::!.!::!:.:. ヘ
      /  .:.:.:.:.!:l:!::. kヽゝー'   ,  ` ー'/ハ:: :::i .i::!.:.:.  ヘ
     / ..:.:.:.:ノ!:!ヽ:: :ト::ゝ""  ヮ "" イ7:: :/ヽ!:!.:.:.:.:. ヘ
     /..:.:.:./  !:! ヽ::ハ:! 个ッ. _ ,ィ´/:イ::// 〃!\:.:.:.:..ハ
    /.:.:/   ヾ  ヾ!  , { ̄Y  ̄ j、_〃/ 〃ノ  `ヽ、:.ヽ
    '"´      ,  -rtヘ'´__ヾ ⊥ /__"`ゝtr― 、      ̄
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