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処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第16話

480 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/08/26(火) 23:17:45 ID:bMFSVr0L0
みどりんさん、東の扉さん、GJなのですよー

私も投下したいと思います。
故あって本文は説明不足なので設定を……
一子エンドの1年後、奏ちゃんがエルダーになった後の話です。
奏&由佳里ちゃんはお姉さまの正体を知ってます。薫子&初音ちゃんは知りません。

481 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/08/26(火) 23:20:53 ID:bMFSVr0L0
『十十(ダブルクロス)』

8月初め。とある場所に呼び出された薫子は、意外な光景に立ちすくむ事になる。
「……瑞穂さん、本当にコレをやるんですか?」
「ええ。お金をかけただけのプレゼントよりも、この方が奏ちゃんは喜ぶかな……と」
「それはそうだと思いますが、コレってかなり面倒臭いんじゃないですか?」
「でも、だからこそやる価値が有る……と私は思ってます。
 出来れば薫子ちゃんにも一緒にやって貰えると嬉しいのだけれど」
「……そうですね。あたしの頭じゃ他に良いアイディアは思いつきませんし、
 瑞穂さんに付き合いますよ。お姉さまの為ならエンヤコラです!」
「ふふっ、ありがとう薫子ちゃん」

そして8月26日。学生寮櫻館で周防院奏誕生パーティーが内輪の面々だけで行われた。
(2学期初めに、生徒達による盛大なパーティーが改めて開かれるらしい)
奏・由佳里・薫子・初音・瑞穂・貴子・紫苑、計7名の参加である。
「アメリカに留学しているまりやから、誕生日カードが届いてます!」
瑞穂がポケットからカードを取り出した。
「瑞穂さん、そんな物わざわざ読み上げる必要は無いですわ」
「貴子さん?」
「まりやさんの事ですから、
 『奏ちゃん誕生日おめでとう!当日までに間に合うかわかりませんが、奏ちゃんに似合いそうな服を送ります』
 なんて書いてあって、大きなダンボールで大量の服を送って来る……と云うオチですわどうせ」

482 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/08/26(火) 23:24:05 ID:bMFSVr0L0
「……ええと、それでは読みます。
 『奏ちゃん誕生日おめでとう!当日までに間に合うかわかりませんが、奏ちゃんに似合いそうな服を送ります』」
「「「「「「「……」」」」」」」
ピンポーン!
絶妙なタイミングで寮の呼び鈴が鳴った。
「はーい、今出まーす」
初音が来客に応対した。
「あの、まりやお姉さまから荷物が届いているのですが……」
「大きなダンボールで?」
「はい」
「「「「「「「……」」」」」」」

貴子のエスパーっぷりに固まってしまった一同だが、何とか立て直し、誕生パーティーは極々平和に進行した。
プレゼントの受け渡しもほぼ終了し、残るは瑞穂と薫子だけである。
「薫子ちゃん、準備はいい?」
「は、はい瑞穂さん!」
瑞穂と薫子が、それぞれ小さな箱を奏に差し出した。
「誕生日おめでとう奏ちゃん!」「お姉さま、誕生日おめでとうございます!」
「あ、ありがとうございます。開けてもいいですか?」
「「もちろん!」」
2人から同時に渡された為、面食ら……もとい戸惑ってしまった奏だったが、気を取り直し、2つの箱を開けた。
「これは、十字架……ですか?」
薫子の箱に入っていたのは、剣をモチーフにした十字架だった。
瑞穂の箱に入っていたのは、盾をモチーフにした十字架だった。

483 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/08/26(火) 23:27:25 ID:bMFSVr0L0
8月上旬、某工房にて……
「複雑なデザインにするのはやめましょうね瑞穂さん」
「そうね。大事なのは見た目よりも奏ちゃんに対する想いですものね。でも手抜きはダメよ」
「うぐっ……も、モチロンです」

銀をベースにした合金(純銀では軟らかすぎる為)を切り出し、それを少しずつ削って加工していく。
チュイーン!ガリガリガリ!
「あ、でも、結構楽しいですねコレ」
大雑把な形の合金が、少しずつそれらしい形へと変化する。
「あ゛ーっ?!」
手が滑り、せっかくの作品が台無しになる。そうなったら1からやり直し。
「前言撤回!あームカツク!」
「……ぷっ」
薫子の百面相に、瑞穂は思わず吹き出してしまった。
そんな事を何度も繰り返し、ようやく薫子の剣が完成した。
キュッキュッキュッ……キラーン!
「どーですか瑞穂さん、この神々しい輝き!この銀の剣なら吸血鬼だって一撃ですよ!」
「ふふっ、そうね。それでは私はその剣では貫けない盾を作りましょう」
「あ、それ知ってますよ。『矛盾』って奴でしょ……ってアレ?」
瑞穂が作っている盾は、一応それらしい形にはなっているが、
模様などが全く無く、現状ではただの金属板でしかない。
「私の盾は、薫子ちゃんの剣が出来てからが本番だから」
「どう云う事ですか瑞穂さん?」
      ・
      ・
      ・

484 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/08/26(火) 23:30:38 ID:bMFSVr0L0
「……とまあ、こう云う経緯で完成したのが、この剣と盾です」
「奏ちゃん、受け取って貰えるかしら?」
「はい!ありがとうございます、お姉さま、薫子ちゃん!」
「それじゃ薫子ちゃん。奏ちゃんに着けてあげて」
「ラジャー!」
薫子は奏に渡した剣と盾を受け取り、盾に刻まれている十字型の窪みに剣を嵌め込んだ。
「「「「「……ッ!」」」」」
今回瑞穂が一番苦心した場所がここだった。
2つの十字架を一緒に身に着けて貰う為、合体ロボ方式を採用したのである。
まりやがこの場に居たら、「瑞穂ちゃんのこう云う所って男の子よねぇ」などど云っただろう(云えないけれど)。

  薫子の剣の形に合わせて、盾を中央部から少しずつ削っていく。
  ある程度削ったら剣を合わせ、微調整を繰り返す。
  そうして出来上がったのが、中央に十字型の窪みがある盾型十字架だった。

瑞穂がバッグから何かを取り出した。
「剣と盾を貰ってくれた方には、もれなくこの『ペンダント用シルバーチェーン』をセットでプレゼント!」
「しかも金利手数料は瑞穂さんとあたしが負担!」
「「「「「……」」」」」
「ありゃ?……(小声)瑞穂さん、みんな引いちゃってますよ」
「……(小声)とりあえず無かった事にして続けましょう」
剣と盾両方にチェーンを通し、完成したペンダントを奏の首に掛けた。
「似合いますか?」
ワーッ!パチパチパチパチ!
ペンダントを着けた奏に、場が盛り上がった……のだが……
「奏ちゃん!」「お姉さま!」
「は、はい!」
瑞穂と薫子が突然真剣な表情になった為、それにつられて奏も表情を引き締めた。

485 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/08/26(火) 23:34:01 ID:bMFSVr0L0
「私は奏ちゃんを守る盾になります」
「あたしはお姉さまを護る剣になります!」
「……え?」
「私達の決意が、奏ちゃんへの本当のプレゼントです」
「受け取って貰えますか、お姉さま?」
「……」
奏は何も云えないまま固まってしまった。
「(小声)瑞穂さん、もしかしてあたし達思いっきり外しちゃったんじゃ……」
「(小声)そ、そんな事は無いと思うけれど……」
奏の反応にどう対応すべきかわからず困り果てた2人だったが、更に追い討ちが掛かった。
奏の両目から、大量の涙が溢れ出てしまったのだ。
「奏ちゃん?!」「お姉さま?!」
ひたすら涙を流す奏に対して、2人は何も出来ずにただオロオロするばかり。でもそれは杞憂だった。
「えぐっ……私は……こんなに幸せで、良いのでしょうか?
 お姉さま、薫子ちゃん、ありがとうございます……グスッ」
奏は何とかお礼の言葉を云い終えると、再び泣き出してしまった。

「なーんか、瑞穂お姉さまと薫子に全部持って行かれちゃったって感じよね初音?」
「そうですね。でも、私も何だか嬉しくなって来てしまいました」
「……奏さんは良い姉と妹に恵まれて幸せですわね」
「あれだけの事をして奏ちゃんが悲しむ筈無いのに……薫子ちゃんは瑞穂さん並の鈍感ですね」

486 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/08/26(火) 23:37:10 ID:bMFSVr0L0
4人は奏達の事を暖かい目で見守っていたが、突如由佳里がわざとらしい大声をあげた。
「あーあ!瑞穂お姉さまと薫子にパーティーを台無しにされちゃった。片付けるわよ初音!」
そう云いながら、由佳里の表情は底抜けに明るい。
「はい、由佳里お姉さま!」
初音は奏達に微笑みかけると、テーブルの後片付けを始めた。
「それではわたくしも手伝いましょう。
 瑞穂さん、そこに立っていると邪魔ですから、後は3人でごゆっくりどうぞ!」
そう云うと、貴子は奏達3人を強引に食堂から追い出してしまった。どうやらこれが貴子流の『片付け』らしい。
「残念ですわ。『わたくしは奏ちゃんを守る鎧になります』なんて云いながら、
 奏ちゃんを抱き締めようと思ってましたのに……」
「紫苑さま、それはア……」
「……あ?」
「ア……後にして下さい。今は3人だけにして差し上げましょう」
(云えません。『アイアンメイデン』なんて、絶対に云えませんわ!)

487 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/08/26(火) 23:40:56 ID:bMFSVr0L0
貴子達に追い出された3人は奏の部屋へ……

今の3人に言葉は要らない。瑞穂と薫子に挟まれる形でベッドに腰掛けた奏は、2人に甘える様に抱きついた。
どれ位時が経ったのだろう?ふと気が付くと、奏は瑞穂と薫子の手を握り締めたまま眠りに落ちていた。

「……あ、そうだ。薫子ちゃんにコレを渡すのを忘れてた」
瑞穂は薫子に小さな箱を手渡した。
「何ですかコレ?……って、ええっ?!」
箱を開けた薫子は少し驚いた。中に入っていたのが、薫子が奏にあげた剣型十字架と同じ物だったから。
「コレは薫子ちゃんの剣から型を取って作ったレプリカよ。私もほら……」
瑞穂は薫子に盾型十字架のレプリカを見せた。
「薫子ちゃんも奏ちゃんとお揃いで持ちたいかな?って思ったから」
「あ、ありがとうございます瑞穂さん」
「私も出来るだけの事はするけれど、この学院内で奏ちゃんを守るのは、主に薫子ちゃんの役目だから……ね」
「はい!七々原薫子、全身全霊を持ってお姉さまをお守り致します!」
「ふふっ、これからもよろしくお願いしますね、薫子ちゃん」
「こちらこそ、瑞穂さん!」

瑞穂と薫子の間で、奏が幸せそうな寝息をたてている。
(実は起きているのですけれどね……お姉さま、薫子ちゃん、これからもよろしくお願い致します)


薫子の剣と瑞穂の盾は、奏の胸でひとつになった。
薫子の剣のレプリカと瑞穂の盾のレプリカが、ひとつになる日は来るのだろうか?

『―― to be continued?』

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