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処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第16話

468 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 13:22:42 ID:Vy5Q7klg0
〜だから私がいる〜

 8月24日、櫻館……。
「ただいま帰りましたー!」
「お久しぶりです、奏お姉さま」
 帰郷していた由佳里ちゃんと、ご両親に会いに行かれていた初音ちゃんが帰ってきました。
「お帰りなさい、由佳里ちゃん、初音ちゃん」
 でも、どうしたのでしょうか? 夏休みの終わりにはまだ早いですけど……もしかして……!
「でも2人とも、夏休みの終わりにはまだ早いですよ? どうしたのですか?」
 私、周防院奏は期待に胸を高鳴らせて聞いてみます。
「うん、実はね……」
 実は……?
「明日近くでハンバーグコンクールがあるんだ! だから是非見に行きたくて!」
「私は、由佳里お姉さまに是非と誘われましたから……」
 ガクッ……なんだ、私のお誕生日のことではないのですね……。
「みんな! ただいまー!」
 そこへ、実家に帰っていた薫子ちゃんが帰ってきました。
「薫子ちゃんまで早くに帰ってくるなんて、どうしたのですか?」
「いやあ、由佳里さんに一緒にハンバーグコンクールに行かないかって誘われたもんですから……」
 ……ささやかな期待を抱いたりしなければよかったです。

469 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 13:27:19 ID:Vy5Q7klg0
 翌日、由佳里ちゃんたちはハンバーグコンクールに出かけて行ったようで、私は櫻館で1人お留守番です。
「はあ……」
 みんな私の誕生日のことを忘れているんでしょうか……? というか、去年祝ってくださったのは
お姉さまとまりやお姉さまと一子ちゃんの3人でしたし、私の誕生日のことは知らないのかも……。
「今日は最高の1日だったね」
「由佳里お姉さま、ハンバーグのことになると途端に生き生きしてらっしゃいましたね」
「由佳里さん、あれはさすがに限度がありますよ……」
 夕食後、みなさんは今日の話題で盛り上がっています。結局、この日は私の誕生日のことは
まったく話題にあがりませんでした。
 自分から誕生日だから祝ってなんて言うのも押しつけているようでイヤですし、
さりげなくみんなに気づかせてみることにしましょう。

470 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 13:32:14 ID:Vy5Q7klg0
 そして8月26日、朝……。
「あ、今日は私にとって……」
 朝食も終わり、私にとってとても楽しみな日、と言おうとした、その時……。
「奏ちゃん!」
 由佳里ちゃんが大声で私に話しかけてきました。
「由佳里ちゃん……ど、どうしたのですか?」
 私は腰を抜かしそうになるのを必死でこらえて聞き返します。
「ごめん! 今日取りに行かなければならないものがあったんだけど、すっかり忘れちゃってて、
悪いけど代わりに取りに行ってくれない?」
「ど、どうして私が……」
「ホントは私が行きたいんだけどさ、夏休みの宿題まだ全然終わってないし、
他にもやらなきゃいけないことがいっぱいあって……だからさ」
「別に今日じゃなくても……」
 それに、それなら初音ちゃんに頼めばいいと思いますが……。
「それが、どうしても今日取りに行く必要があるのよ! また埋め合わせはするからさ、お願い、このとおり!」
 由佳里ちゃんは手を合わせてお願いしてきます。埋め合わせって、できれば今日してほしいのですが……。
「……わかりました。私が取りに行ってきます」
 ここまで言われたら断れません。私はため息をついて由佳里ちゃんの荷物を取りに行きました。

471 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 13:37:10 ID:Vy5Q7klg0
 そしてお昼ごろ。ようやく由佳里ちゃんの荷物を取りに行って、櫻館まで帰ってきました。
「由佳里ちゃん、頼まれていたものです」
「ありがと奏ちゃん。もう昼食始まるわよ」
 そして由佳里ちゃんの音頭で昼食が始まりました。
 言いそびれましたけど、今度こそは……今からでは、大したものは用意できないかもしれませんけど……。

「実は今日は……」
「あ、奏お姉さま!」
 今度は薫子ちゃんが声をかけてきました。
「どうしたのですか、薫子ちゃん」
 なんかイヤな予感がします。
「ここに帰ってくる時の荷物、あたし間違えて宅配センター止めにしちゃったんですよ。
それで、申し訳ないですけど、奏お姉さまにも手伝って欲しいと思いまして……」
 薫子ちゃんはばつが悪そうにお願いしてきます。
「……わかりました。どこの宅配ですか?」
 断るのもかわいそうなので、仕方なく手伝ってあげることにします。

472 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 13:56:18 ID:Vy5Q7klg0
「いやあ、ありがとうございます、奏お姉さま」
「気にしないでください。全部運び終えてよかったですね」
「奏お姉さまが手伝ってくださったおかげですよ」
 運び終えた時には、もう夕方に入る頃になっていました。私は満面の笑顔を浮かべる薫子ちゃんとは対照的に、
憂鬱な気分でいっぱいでした。
 仕方ありません。今からでは去年みたいな盛大なお祝いはあきらめましょう。
「もうこの調子じゃ、去年と同じなのは……」
「奏お姉さま!」
 今度は初音ちゃんが声をかけてきます。
「初音ちゃん、どうかしましたか?」
 心の中では泣きそうになりながらも、努めて笑顔で対応します。
「実は陸上のスニーカーがボロボロになってしまいまして……明日いるんですけど、忘れてまして……
それで、奏お姉さまに見立てていただこうと……」
 なんで今日に限って、こんなにみんなに用を言われなければいけないのでしょうか?
「それは、由佳里ちゃんではダメなの?」
「まだ夏休みの宿題が終わってなくて必死の由佳里お姉さまには頼めませんから……」
「でも自分に合ったのなら、陸上部の初音ちゃんのほうがわかってるんじゃないですか?」
「それはわかってますけど、デザインの見立ては奏お姉さまのほうが確かですから……
薫子ちゃんに似合う衣服も見立てられたって聞きましたし……」
「……もう時間がありませんから1軒だけにしますけど、よろしいですか?」
「はい! ありがとうございます!」

473 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 14:01:33 ID:Vy5Q7klg0
「奏お姉さま、今日はありがとうございました!」
「いえ……初音ちゃんのお役に立てて嬉しいですよ……」
 無事初音ちゃんに似合うデザインのスニーカーを見立ててあげましたけど、私はもう時間がないことにガックリしました。
「では、私はこの後用事がありますので、これで……」
 そう言って初音ちゃんは元気いっぱいに走っていきます。
「はあ……」
 ここまで遅くなってしまっては、もうまともなパーティーを開いてもらうのもムリでしょう……
私は、落胆しながらトボトボと帰路に着きました。

474 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 14:06:09 ID:Vy5Q7klg0
 そして、櫻館の食堂に着いたとき……。
「奏(ちゃん)(さん)(お姉さま)、お誕生日おめでとう(ございます)!!」
 派手に数本のクラッカーが鳴ったかと思うと、皆さんの祝福の言葉が聞こえてきました。
 食堂には由佳里ちゃん、薫子ちゃん、初音ちゃんのほかに、瑞穂お姉さま、紫苑お姉さま、
貴子お姉さまもいらっしゃいます。
「………!?」
 あまりのことに、私は口が開けませんでした。
「あはははは、今の奏ちゃんの顔」
 由佳里ちゃんが笑い転げます。
「もう、由佳里ちゃん、意地悪が過ぎるわよ」
「本当にまりやさんの妹ですわね」
 お姉さま方が呆れ顔で由佳里ちゃんに言います。
「ごめんなさい奏お姉さま、由佳里さんに口止めされてましたので」
「奏お姉さま、すみませんでした」
 薫子ちゃんと初音ちゃんが謝ってきます。これは……もしかして……。
「由佳里ちゃん、最初から……」
「そうだよ。初音と薫子には十分口止めしといて、いままで気づかれないように誕生パーティーの準備をしてたの」
「じゃあ、みんなで私に用事を言ってきたのは……」
「そっ。奏ちゃんを寮から追い出すのが目的。その間に私たちはお姉さま方を呼んで、
パーティーの準備に取りかかってたってわけ」

475 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 14:11:38 ID:Vy5Q7klg0
「由佳里ちゃん、ひどいですよ! みんなでグルになって、今まで黙って……」
「まあ今まで落ち込んでた分、楽しめるってことで勘弁してくれない? 
っていうか、物語の展開読むのは得意なのに、リアルの話はからきしね」
「ど、どういう意味ですか?」
「いいかね周防院くん。考えてみたまえ。私はともかく初音や薫子まで帰る時期を早めてまで私の趣味に付き合うと思うかね?」
「あ……」
 まりやお姉さまのマネをして解説する由佳里ちゃんに、ハッとしました。
「それに、君が誕生日の話題を出すたびにそれを遮ったり、今日に限ってみんなで用を言ったり、
私が初音がいるのに奏ちゃんに雑用を言ったりするのはおかしいと思わなかったのかね?」
「………」
 言われてみればその通りです。どうしてそのことに気づかなかったのでしょうか?
「ま、それはともかく、落ち込ませた分だけ祝ってあげるから、ほら、早く席について」
 その後、皆さんに盛大に祝ってもらい、私はすごく幸せな気分になりました。

476 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 14:17:03 ID:Vy5Q7klg0
「初音の買い物が終わって、奏ちゃん、どう思ったか当ててあげましょうか?」
「由佳里ちゃん、どう思ったというのですか?」
「『奏、とってもブルーなのですよ』。でしょ? 違う?」
 由佳里ちゃんは、昔の私のマネをして言ってきます。
「わ、私はもう“なのですよ”なんて言いません!」
「言ってるじゃない」
「だから、“なのですよ”なんて言ってません!」
「あは、また言った」
 私の反論に、由佳里ちゃんはこともなげに返してきます。
「……奏ちゃん、由佳里ちゃんは反論する時のなのですよのことを言ってるんだと思うよ?」
 瑞穂お姉さまにそう指摘されて、やっと気づきました。
「由佳里ちゃん!」
「ごめんごめん。まあ、ちゃんと祝ってあげてるんだから、細かいことは気にしないで、パーッと楽しみましょ?」
 まったく悪びれずにそう返す由佳里ちゃん。お姉さま方のおっしゃるとおり、本当にまりやお姉さまの妹です。
「ねえ瑞穂さん、『なのですよ』って何?」
「奏ちゃんの昔の口癖よ。昔は自分のことを『奏』って言って、その口癖を使ってたの」
「お、お姉さま……」
「昔の奏ちゃんもとても可愛かったですけど、今の奏ちゃんも素敵ですわ」
 紫苑お姉さまはそう言って、私を抱きしめてきました。
 その後、皆さんに精一杯の祝福を受けて、大変満足なパーティーになりました。

477 :東の扉 ◆FVKSJZ0PUs :2008/08/26(火) 14:24:11 ID:Vy5Q7klg0
おまけ

「奏お姉さま、今度のあたしの誕生日ですけど……」
「どうしたのですか?」
「あたし、奏お姉さまに欲しいプレゼントを指定していいですか?」
「いいですけど、薫子ちゃん、私に何が欲しいのですか?」
「その日1日、昔の『奏は』『なのですよ』を使う奏お姉さまを見せてほしいんです」
「え……?」
 私はそれを聞いて、恥ずかしさでいっぱいになりました。

Fin

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