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処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第15話

463 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/03/24(月) 00:59:52 ID:fgafxSqt0
『花粉お姉さま(ボク)注意報』

もしも宮小路(鏑木)瑞穂が花粉症だったら(紫苑ルート)

3月21日早朝、鏑木邸。
瑞穂の目覚めは爽やか……とは云い難かった。
「うう……頭が重いーっ」
2年前から花粉症になってしまった瑞穂。
くしゃみ、鼻水、(主に目の)かゆみ、頭重などの症状に悩まされてきた。
とりあえず、瑞穂の体質に合った薬などを処方して貰い、何とか乗り切ってきた。
特に今年は、聖應女学院エルダーシスターとしての立場が有ったため、細心の注意を払い、最悪の事態を回避し続けた。
その結果、特に問題を起こす事無く、無事卒業式を迎える事が出来たのである。
(さてと、朝食を食べてから薬を飲まなくっちゃね。今日は大事な日だから……)

「瑞穂様、おはようございます」
「おはよう楓さん。いつもの薬が切れてるから、朝食の後に貰えるかな?」
「それが瑞穂様……」
楓の態度がおかしい。
「?」
「申し訳有りません。私の手違いで、お薬を用意するのを忘れてしまいまして……」
「ええっ?!それじゃ困るよ!今日は紫苑さんの誕生パーティーに行くのに……」
楓は、能力値が非常に高い代わりに、時々とんでもないヘマをやらかす事が有る。
(よりによって今日とは……)
「高島先生がご旅行中だそうで、瑞穂様の処方箋が見付からないそうなのです。連絡先も不明と云う事で……
 本日夕方には帰られるそうなので、なるべく早く用意致しますので」
「……(どうしよう)」

464 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/03/24(月) 01:03:19 ID:fgafxSqt0
10時半頃。
「瑞穂様、紫苑様がおいでです」
「あ゛、ありがとう楓さん……へっくしょん!」
「おはようございます瑞穂さん♪」
「おはようございます紫苑……さん」
「あら?『紫苑』ではないのですか?わたくし拗ねましてよ」
「……ごめんなさい。今日はそれどころではないです」
「何か有ったのですか瑞穂さん?」
紫苑に今日これまでのやりとりを説明した。所々でくしゃみが入るので、無意味に時間がかかってしまったが……
「……まあ、大変ですのね。それでは今日一日、わたくしが瑞穂さんのお世話を致しますわ」
「ええっ?!それじゃ悪いですよ。今日はせっかくの紫苑の誕生日なのに……」
「瑞穂さんは、わたくしに世話をされるのはお嫌ですか?」
「い、嫌とか……へっくしょん……じゃなくて……」
「ふふっ、遠慮なさらないで下さい。わたくしは瑞穂さんの妻になるのですから。
 それでは参りましょう。寮で奏ちゃん達がお待ちかねです」
まりやの鶴の一声で、今年の十条紫苑誕生パーティーは、学生寮櫻館で行われる事となったのである。
「まりやがまだ来てませんが……」
「ああ、まりやさんは直接寮に向かわれるそうです。
 『瑞穂ちゃんとの2人きりを邪魔する気は無いですよ紫苑さま』……なんて云われてしまいました」
「……へっくしょん!」

465 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/03/24(月) 01:06:56 ID:fgafxSqt0
学院に向かう道中。
「ねえ紫苑、マスクをしちゃダメかな?」
「ダメです!マスクなんてしたら、瑞穂さんの美しさが半減してしまいますから」
聖應に行くため、瑞穂は女装をしている。まりやがでしゃばると厄介なので、紫苑と一緒に制服姿である。
「……でも、くしゃみとか沢山しそうだから、周りに迷惑がかかってしまうから……」
「少なくともわたくしは、迷惑だなんて思わないですよ。他の方々も、瑞穂さんのくしゃみなら大歓迎でしょう」
「大歓迎って……へっくしょん!」
「瑞穂さん、もっとこちらに寄って下さい。花粉症の場合は、身体を温めたほうが良いのですよ」
寄って下さいと云いつつ、紫苑は強引に瑞穂の身体を引き寄せた。
そんな美女美女のカップルに、道行く人々が羨望の眼差しを向けた。
  (これ↑って誤字だよね、そうだよね?!)
「うふふっ、瑞穂さんと腕を組んで歩く。それだけでわたくし幸せですわ!」
紫苑のハイテンションな様子を眺めるのは、瑞穂にとっても幸せな事だった。
「……へっくしょん!」

昼前に寮に到着した。
「いらっしゃい!瑞穂ちゃん、紫苑さま」
「いや、まりやもここの住人じゃないでしょもう……」
「細かい事は気にしない!……ってあれ?瑞穂ちゃんなんか変だよ」
「実はまりやさん。かくかくしかじか……」
紫苑が大まかな事情をまりやに説明した。
「ははーんなるほど。瑞穂ちゃんも大変だね〜。ま、それは兎も角、みんながお待ちかねよ」

466 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/03/24(月) 01:10:12 ID:fgafxSqt0
食堂では、奏・由佳里・貴子・圭・美智子が待ち構えていた。
パンッ!パパンッ!パーンッ!
皆がクラッカーを一斉に鳴らした。
「紫苑お姉さま、おめでとうございますなのですよー」
「紫苑さま、お姉さま、おめでとうございます!」
「全く……わたくし騒がしいのは好きではありませんが、紫苑さまおめでとうございます」
「……紫苑さまおめでとう。瑞穂さんグッジョブ」
「うふふっ圭さんったら……何がグッジョブなのですか?紫苑さまおめでとうございます」
紫苑の目にうっすらと涙が浮かんだ。
「皆さん……ありがとうございます。こうして祝ってもらえるなんて……わたくしは幸せ者ですね」
紫苑の隣に立っていた瑞穂の目にも、うっすらと涙が浮かんだが、様子がおかしかった。
瑞穂のテンションが妙に低い事に気付き、皆がクエスチョンマークを浮かべた。
「すみません、誰かティッシュを持ってきてもらえませんか……へっくしょん!」
「……瑞穂ちゃん、いきなり雰囲気をぶち壊さないでよ。まあいいわ由佳里、ティッシュを持ってきてあげて」
「は、はい!」
由佳里が音速でティッシュの箱を持ってきた。
「どうぞお姉さま」
「ありがとう……由佳里ちゃん」
「さっすがゆかりん。ティッシュの場所の把握は完璧ね!」
「な、何をおっしゃるのですか、まりやお姉さま?!」
紫苑・奏・貴子は『?』、圭は(表向きは)無表情、美智子はニコニコ顔、まりやはニヤニヤ顔、瑞穂は困惑、
そして由佳里は真っ赤。皆の表情がそれぞれの個性に合った変化を見せた。

467 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/03/24(月) 01:14:09 ID:fgafxSqt0
「う゛ー……鼻をかませて下さい……」
瑞穂は皆から離れて、部屋の隅っこで鼻をかもうとしたのだが……
「瑞穂さん!」
ティッシュを持った紫苑が、瑞穂を自分の側に引き寄せた。
「し、紫苑……さん?!」
「さあ瑞穂さんどうぞ」
「え?は、恥ずかしいですよ……」
「云ったでしょう、今日一日わたくしが瑞穂さんのお世話をすると。はい、ちーん!」
ちーん!ズルズル……
「はい、左側も、ちーん!」
ちーん!ズルズル……
「紫苑お姉さま、ゴミ箱なのですよー」
「まあ、ありがとう奏ちゃん!」
鼻をかんだティッシュが、ゴミ箱にダイブした。
「さあ!本日のチャリティーオークション。ロットナンバー1番、瑞穂ちゃんが鼻をかんだティッシュ、百円から!」
「……やめてよまりや」
紫苑の『ちーん』が、余程恥ずかしかったらしく、瑞穂は真っ赤になりながらまりやを止める。
「あのねー、瑞穂ちゃんが暗そうにしてるからいけないんでしょ。
 何とか盛り上げようとする、あたしの努力を否定するのかね?」
「……ごめんまりや」
「ちっがーう!謝る相手はあたしじゃないでしょ!」
「そ、そうだね。ごめん紫苑……さん」
「ふふっ、わたくしは構いませんよ。突然のアクシデントですから仕方が無いですわ。
 でも皆さんの前では、できるだけ笑顔でいて下さいね。瑞穂さんはエルダーなのですから」
瑞穂と紫苑の会話の間に、まりやが一同に瑞穂の状態を説明した。
「もう卒業したのですから、私はエルダーでは無いでしょう?」
「……違う瑞穂さん。私達が卒業するのは3月31日。だからそれまでは瑞穂さんがエルダー……」
「『家に帰るまでが遠足』と云う言葉が有るでしょう。それと同じですよ瑞穂さん」
圭と美智子のコンビネーションは、相変わらず健在の様だ。
(150円!)由佳里は思わず叫びそうになったが、かろうじて自制した。
(200円!)貴子は視線がゴミ箱に向いている事に、自分自身が気付いていなかった。

468 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/03/24(月) 01:17:32 ID:fgafxSqt0
「さ、それじゃ、紫苑さまと瑞穂ちゃんはこっちに座って!」
「え?上座は紫苑……さんだけでしょ?……へっくしょん!」
「わたくしは瑞穂さんと一緒がいいですわ」
と云う訳で、上座に瑞穂と紫苑が並び、テーブルの瑞穂サイドにまりや・由佳里・貴子が、
紫苑サイドに奏・圭・美智子が、それぞれ陣取った。
「今日は由佳里ちゃんがケーキを焼いたのですよー」
巨大なチョコレートケーキを由佳里が運んできた。ロウソクが18本なのは秘密である。
「今日は私が、思う存分腕を振るわせていただきますね、お姉さま方」

「それじゃ、みんな準備はいい?」
「はいなのですよー」「はい!」「当然ですわ」「……了解」「いつでもどうぞ」
「……さんはい!」
♪(前略)ハッピバースデーディア紫苑さまーーーーーーっ、ハッピバースデートゥー
奏「ユーーーッ(O4G1)」
由佳里・美智子「ユーーーッ(O4D1)」
まりや・貴子「ユーーーッ(O3B1)」
圭「ユーーーッ(O3G1)」

「ふーっ!」
紫苑がロウソクに息を吹きかけたが、一度だけでは全てのロウソクは消えなかった。
「瑞穂さんもご一緒にいかがですか?」
「……いえ、今の私がやると大惨事になりそうなので」
「あら残念ですわ」
結局紫苑が一人で全てのロウソクを消した。
パンッ!パパンッ!パパパパン!
再度クラッカーの音が鳴り響いた。
「それでは紫苑さま。何か一言お願い致します」
今日はまりやがとことん仕切るらしい……

469 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/03/24(月) 01:21:01 ID:fgafxSqt0
「それでは……本日はわたくしと瑞穂さんの結婚披露宴にお集まりいただき、誠にありがとうございます」
「いや、違うって紫苑……さん……へっくしょん!グスッ……」
「あらあら瑞穂さん……はい、ちーん!」
ちーん!ズルズルズル……
「ご覧の通りわたくしは、瑞穂さんと一緒に幸せになります。皆さん応援よろしくお願い致します」
パチパチパチパチ……
盛大な拍手が巻き起こった。
「それじゃせっかくだから、瑞穂ちゃんと紫苑さまに、ケーキカットをしてもらいましょうか?」
「「「「「賛成(なのですよー)!」」」」」

瑞穂にとって、パーティーは散々なモノになった。

紫苑と2人でのケーキカットは、途中でくしゃみをし、ナイフがすっぽ抜けてまりやのすぐ側を通過した。
「うわっ?!瑞穂ちゃん、あたしに恨みでも有るの?」
「……まりやさんに恨みが無い人なんて、いないと思いますが」
「なんですって貴子?!」

「はい瑞穂さん、あーん!」
「あ、あの、皆が見てるから……」
「あーん!」
「あ、あーん……モグモグ、うん美味しい!由佳里ちゃんまた腕を上げたね」
「えへっ!ありがとうございますお姉さま!」
「……ロウソク垂らしても良いですか瑞穂さん?」
「理不尽ーっ!」

「あらあら瑞穂さん、また鼻ですか?……はい、ちーん!」
ちーん、ズルズル……
症状がひどくなり、判断力が低下した瑞穂は、紫苑に寄りかかって甘えるだけのお子ちゃまと化した。
「へっくしょん!」
「瑞穂さん、わたくしに寄りかかっていれば安心ですからね」
「……はあい」

470 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/03/24(月) 01:24:31 ID:fgafxSqt0
「全く……見てられないですわね」
「圭さんも花粉症になってみませんか?」
「……狙ってなるのは無理……」
「お姉さま方素敵なのですよー」
「本当ね。私があんな状態だったら、無様にしか見えないのだろうけど、お姉さまと紫苑さまは不思議と絵になるわね」
「うーん、目がウルウルした瑞穂ちゃんってカワイイわね。これはこれでアリ!」

夕方にパーティーはお開きとなり、奏と由佳里は後片付け、他のメンバーは帰宅の途についた。
「ううっ……ごめんなさい紫苑」
両手に荷物を抱えて窮屈そうな瑞穂が、紫苑に自分の体たらくっぷりを謝罪した。
抱えた荷物はもちろん、紫苑へのプレゼントである。
奏から送られたピンクのリボンは、紫苑の髪を綺麗に飾っている。
由佳里は『瑞穂が気に入った料理のレシピ集』を、ビクビクしながら紫苑に手渡した。
まりやは「瑞穂ちゃんのおうちに送りましたから」と云って、『瑞穂に着せる服一杯』を紫苑にプレゼントした。
云うまでも無く全て女物である。瑞穂の誕生日にも同じ事をするであろう。
貴子は参考書をプレゼントした。実は貴子が、翔陽大学を受験する時に使用したのと同じ物である。
「翔陽大学でお待ちしております」というメッセージに、瑞穂と紫苑は気付いたであろうか?
圭はお気に入りの劇団のチケットをプレゼントした。ここまでは良かったのだが……
美智子が紫苑に送ったのは、『百合小説&コミック詰め合わせ』だった。
要するに瑞穂が持っているのは、美智子のプレゼントだけである。
(美智子さん思いっきり勘違いしてるよ。僕が悪いんだけどね……)

471 :ばんくーばー ◆dRSEVGhpDg :2008/03/24(月) 01:28:14 ID:fgafxSqt0
やっとの事で、鏑木邸に帰宅した。
「ただいま楓さん」
「お帰りなさいませ、瑞穂様、紫苑様」
「楓さん、薬は?……へっくしょん!」
「ええっと……それは……」
「瑞穂さん、実はわたくしからプレゼントが有るのですがよろしいですか?」
「紫苑?」
紫苑がバッグから取り出した袋を見て、瑞穂は絶句した。
『鏑木瑞穂様』と書かれた袋は、紛れも無く瑞穂の薬袋だったのである。
「ど、どう云う事紫苑?!」
「これが私の、紫苑様へのプレゼントですわ瑞穂様」
「えっ?楓さん?」
「紫苑様が『薬を飲まない素のままの瑞穂さんを見たい』とおっしゃったので、その様に手配致しました」
「……高島先生が旅行中と云うのは?」
「もちろんウソでございます。鏑木家の主治医が、その様な無責任な事をするはずがありません」
「わたくし悔しかったのです。楓さんしか知らない瑞穂さんの素顔が存在する事が……」
「何もかも包み隠さずさらけ出す。夫婦円満の秘訣ですよ瑞穂様」
「これからも色々瑞穂さんの事を教えて下さいね楓さん」
「もちろんですわ紫苑様」
「……何なんだこのふたり……orz」

『完』

瑞穂は紫苑に指輪をプレゼントしたのだが、それはまた別の話……

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