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処女はお姉さまに恋してるSSスレ 第15話

429 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:06:48 ID:J3a2uVCm0
東の扉さんGJです。
それでは私も投下させていただきます。

ご注意
オリキャラ注意!
この話は瑞穂ちゃんが転校してくる前の4月、オリキャラ視点での
紫苑さまストーリーです。
オリキャラ嫌いの方ご容赦ください。
あと、私がいつも書いているバカ話でもありません。
お笑い派の方、ご注意ください。

430 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:07:49 ID:J3a2uVCm0
『救われる心』

今年、中学校卒業の私は、両親に勧められるまま、この恵泉女学院を受験した。
幸い、競争率はそれほど高くは無く、普通に受験勉強をして合格した。
――4月
この学院に来て先ず驚いたこと…
裕福な家庭の子女が多いこと。世間で云うところの「お嬢さま」が多い。
全員がそうと云うわけではなかったが、平均すれば世間一般の家庭の上流に位置するだろう。
私は「お嬢さま」ではないつもりだが、私の家も裕福と云える。
ここ数年間で、IT関連の父の事業は急速に成長し、住んでいる家もマンションから10LLDKの一戸建てに変わった。
つまりは、成金。しかし、金持ちになったからといって中身の人間が変わるわけではない。
私自身は相変わらず庶民感覚で、人前でがさつに話すし、大声で笑ったりする。
そのことを両親がどう思ったのかは知らないが、高校進学を決めるときにこの学院に入ってはどうかと勧めてきた。
特に、行きたい学校があったわけでもない私は、軽い気持ちで了解した。
そして、入学して後悔している。

生徒は皆、おしとやか

挨拶は、ごきげんよう

上級生の呼び名は、お姉さま

食事の前にはお祈り

何?このハイソな学院は。基督教系の学校だとは知っていたが、上流階級の集まりとは思わなかった。
いや、全員が上流階級という訳ではないんだけど。
両親の見栄の為に、私はここに来たのかと思ったくらいである。

431 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:10:37 ID:J3a2uVCm0
ここに来てから、私は少し消極的になったかも知れない。
もともと、活発的に動き回るほうでは無かったが、人並みには友達と遊びまわったりしていた。
だけど、この学院では、入学してから2週間たった今でも、プライベートで遊びに行く親しい友達は出来ていない。
嫌われている訳ではない様だが周りの雰囲気に合わせようとするだけで精一杯の状態。
普段からネコを被って、ボロが出ないようにビクビクしている。
周りの人たちはというと、中等部からのエスカレーターで上がってきた人がほとんどのようで、お互いが顔見知りらしい。
クラスメート同士、気さくに話をしている。その話し方にも余裕が感じられる。
私にはそれがとても羨ましい。

昼休み、昼食の後には話し相手のいない私は図書室にいつも通っている。
午後の授業が始まるまでの間、本をなんとなくペラペラとめくったりして、時間を潰すのを日課にしている。
この日もそう。
図書室で、時間つぶしのための本を棚から物色していた。
いつか、私にも親しい友人が出来るのだろうかと思い憂鬱な気分で棚の本の背表紙を眺めている。
『恵泉女学院校史』
そのタイトルを見て、興味が湧いた。
その本は書庫の一番上の棚に並んでいた。
私の身長は155センチ。背伸びをして、ギリギリ手が届くかどうか。
ちょっと離れたところには、乗るための台が置いてあったが横着な私はとりあえず、その場でつま先立ちして取れるかどうか試してみる。
伸ばした指が背表紙の下のほうに当たった。
(あと、もうちょっと…)
その時、横から伸びてきた手が、私が取ろうとしていた本をスルッと掴んだ。
「あっ」
「はい、どうぞ」
その人は手に取った本を微笑みながら私に渡してくれた。
「………」
「どうしました?」
「いえ!あ、有難うございます!」

432 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:11:42 ID:J3a2uVCm0

ここに来てから、私は少し消極的になったかも知れない。
もともと、活発的に動き回るほうでは無かったが、人並みには友達と遊びまわったりしていた。
だけど、この学院では、入学してから2週間たった今でも、プライベートで遊びに行く親しい友達は出来ていない。
嫌われている訳ではない様だが周りの雰囲気に合わせようとするだけで精一杯の状態。
普段からネコを被って、ボロが出ないようにビクビクしている。
周りの人たちはというと、中等部からのエスカレーターで上がってきた人がほとんどのようで、お互いが顔見知りらしい。
クラスメート同士、気さくに話をしている。その話し方にも余裕が感じられる。
私にはそれがとても羨ましい。

昼休み、昼食の後には話し相手のいない私は図書室にいつも通っている。
午後の授業が始まるまでの間、本をなんとなくペラペラとめくったりして、時間を潰すのを日課にしている。
この日もそう。
図書室で、時間つぶしのための本を棚から物色していた。
いつか、私にも親しい友人が出来るのだろうかと思い憂鬱な気分で棚の本の背表紙を眺めている。
『恵泉女学院校史』
そのタイトルを見て、興味が湧いた。
その本は書庫の一番上の棚に並んでいた。
私の身長は155センチ。背伸びをして、ギリギリ手が届くかどうか。
ちょっと離れたところには、乗るための台が置いてあったが横着な私はとりあえず、その場でつま先立ちして取れるかどうか試してみる。
伸ばした指が背表紙の下のほうに当たった。

433 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:12:54 ID:J3a2uVCm0
(あと、もうちょっと…)
その時、横から伸びてきた手が、私が取ろうとしていた本をスルッと掴んだ。
「あっ」
「はい、どうぞ」
その人は手に取った本を微笑みながら私に渡してくれた。
「………」
「どうしました?」
「いえ!あ、有難うございます!」
その人の顔を見て思わず呆けてしまった。
綺麗な人だった。
女の私から見ても、こんな美しい人みたことないと思ってしまった。
腰まで伸びた長い艶やかな黒髪。
高い身長。恐らく175センチくらいあるかも。
そしてスラリとした姿。
「ふふ、高い所の本は素直に台を使ったほうが早いですよ」
「は、はい。申し訳ありません!」
私が謝ったのが面白かったのか、楽しそうな笑みを浮かべて
「それでは」
そう云って去って行く。
立ち去る姿も美しかった。

434 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:15:01 ID:J3a2uVCm0
つかの間、ぼーっとしていた私は、ハッと我に返ると慌てて、書棚の列の間から出入り口の方を覗き込む。
あの人が本を手に持って図書室から出ていく所だった。
周りの人たちが、全員、あの人に挨拶をしている。
(どういう人なのかしら?)
恐らく3年生だと思うのだが…。
(追いかけるべき?)
でも何を話せば良いのか…。
迷っているうちにあの人は出て行ってしまった。
手に持った『恵泉女学院校史』を眺める。
周りの人たちは皆、あの人を知っているようだった。
全員、当たり前のように丁寧に挨拶をしていた。
(…全員?丁寧に?)
ただの3年生ではないのだろうか。
ここが他の学校とはもっとも違うところ。
この学院には、特別な憧憬を集めている生徒が何人か存在しているという。
そう云った生徒は別なあだ名で呼ばれているらしい。所謂、二つ名持ちの生徒たち。

435 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:19:57 ID:J3a2uVCm0
(あの人もそうなの?)
外部からの新入生で、まだ学院に馴染んでいない私にはわからない。
皆が知っていることも、私はまだ知らない。
他の人に、今の人のことを聞こうかと思った。
あの人が手に本を持って出て行ったのを思い出す。
きっと、また図書室にやってくる。
(また会うことが出来る。そのときに…)
そのときに何を話すのかは我ながらわからないが、とりあえずそう考えて気を落ち着けた。
…何故、あの人とこんなに話がしたいのだろう?


恵泉女学院
 明治19年に創建された伝統あるキリスト教系のお嬢様学校。校訓は慈悲と寛容。
 創立から現在の運営に至るまで、鏑木財閥の支援を受けている幼等部から大学院までの一貫校である。
 イギリスのパブリックスクールをモデルに日本の近代化に合った女子のための教育の場として建てられた女学院で、
 創立当初はイギリスの影響によりプロテスタントの学校であった。
 しかし、戦後は一貫校への再編と同時にマリア信仰の性質が強いカトリックへと改宗した。 (『恵泉女学院校史』より)


次の日の昼休み、急いで昼食を済ませた私は図書室であの人が来るのを待ち構えた。
そして…現れたあの人。
周りの人たちが、「しおんお姉さま」と云って挨拶をしている。
しおん…それがあの人の名前。
机に座って本を開くしおんお姉さま。
その周りには座る人が誰もいない。何故だか皆、一定の距離を置いているようである。
だけど、私はそんなことをその時は全く気にもしなかった。
おずおずと近寄って、小声で声をかける。
何を話すかなんて考えてもいない。

436 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:24:10 ID:J3a2uVCm0
とにかく、昨日から、一目見てこの人と話してみたい。出来ることなら親しくしてもらいたいという思いだけが募っていた。
全く、我が事ながら変としか云いようがない。
「あの…し、しおんお姉さま…」
小さな私の声に気がついて、その人が顔を上げる。
「まあ、昨日の方ね」
「は、はい。昨日はどうも有難うございました」
「ふふふ、これはご丁寧に。どういたしまして」
そこでしおんお姉さまは悪戯っぽく笑った。
「でもあれくらいお礼を云われるようなことではありませんわよ」
「あ…は、はい…」
そう云われて言葉に詰まってしまう。
もともと話しかけたい一心で、何について話そうかなどと考えていない。
話すことも出来ず、ただモジモジとしてしまう。
「宜しければどうぞ、そちらにお座りになっては如何?」
しおんお姉さまはそう云って自分の目の前の席を指す。
これは、私に一緒にいても良いということなんだと勝手に解釈して大喜びで席につく。
そんな私の動作が面白かったのだろう。
その昼休みの間、しおんお姉さまのほうから、色々と話しかけて来てくれた。
私はあがってしまい、後から思い出そうとしてもどういう話をしたのかあまり覚えていない。
ただ、私のことはしおんお姉さまにきっちりと覚えてもらうことが出来たようで、次の日の昼休みも、次の次の日の昼休みも
私は図書室でしおんお姉さまとお話することが出来た。
しかし、相変わらずあがっていたようで、私のほうからはまともに話しかけることが出来ずに、殆どはしおんお姉さまからの
話に相槌を打ったり、返事を返したりするだけという体たらくである。
何ゆえ、こんなにあがってしまうのだろう?


この三日間で判ったこと。
 ・お姉さまの名前は『十条紫苑』
 ・クラスは3-A
 ・私は紫苑お姉さまと色々とお話したいのに、「あ〜」とか「はい」とかばかりで気の利いた受け答えができなかったこと

437 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:30:11 ID:J3a2uVCm0


紫苑お姉さまの笑顔は美しい。
品の良い微笑。
何気ない仕草も気品がある。
私は紫苑お姉さまが、この学院で一番憧憬を集めている人物だと疑わない。
外見だけでなく、内面も美しいこの方より優れた人はいる筈がない。
…ちょっとこれは言い過ぎかな…
紫苑お姉さまが楽しそうだと私も嬉しい。
短期間にここまでとは…自分でも呆れ返るのめり込みよう。女同士でこんなことを云うのも変だが一目惚れも甚だしい。
三日間過ぎると、そういう感覚が既に当たり前のような気になっていた。
自分のクラス1−Eの教室に帰ったとき、クラスメートに話しかけられた。
「最近紫苑お姉さまと御一緒の所をよくお見かけしますわ。凄いですわねぇ」
(凄い?何のこと?)
さっぱり云っている意味が分からない。
「私なんてとてもお話なんて…。挨拶するのが精一杯で」
(???)
益々分からない。

438 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:31:05 ID:J3a2uVCm0
最初、皆の憧れを集めている紫苑お姉さまと話をしていることに対する皮肉かと思った。
だけどそれは違った。
純粋に私は、他の人たちから感嘆されていたのだ。
「何故でしょうか?お話くらいいつでも出来るでしょう?」
「だって…何だか怖いですし…」
(怖い!?)
「何が怖いのでしょうか?とても優しくて楽しい方です。紫苑お姉さまは」
「そ、そうでしょう。と、思うのですけど。何だか近寄りがたくて」
「近寄りがたい?」
全校生徒に慕われているのではなかったのか、紫苑お姉さまは…。
考えてみれば、私が紫苑お姉さまとお逢いするとき、いつも紫苑お姉さまはお一人でいらした。
友人の方と一緒に図書室にいらしたことは無かった。
「紫苑お姉さまはどんな方なのでしょうか?」
そのクラスメートは興味深々な様子で訊いてくる。
私たちの会話を漏れ聞いた他のクラスメートも集まってきた。

439 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:32:02 ID:J3a2uVCm0
「私も一度、お話したいと思っておりますの」
「素敵なお姿ですものね〜」
「挨拶するのが精一杯ですわ」
…おかしい。
私なんかより、昔からこの学院に通っているクラスメート達のほうが紫苑お姉さまについては詳しいはずなのに。
先ほどからの会話と何かそぐわない。
やはり私が知らない何かがあるようなので、私の方から尋ねてみる。
「私にとってはとても優しくて素敵な方なのですが、何故、皆さんは近寄りがたいと思っていらしゃるんでしょうか?」
私の質問に、驚いたような表情をする。
ちょっと、ストレートに訊きすぎたかも。
「あ、あの、私は紫苑お姉さまのことを嫌っているわけではなくて…」
「はい、分かっております。私の尋ね方が悪かったようですね。申し訳ありません。云い直します。
紫苑お姉さまに近寄りがたくさせている理由は何なのでしょうか?」
今、私の周りにいるクラスメート達は皆、紫苑お姉さまに近寄りがたさを感じているようだ。
あんなに優しい方なのに。
私の質問に、一瞬周りの人全員が黙り込んでしまったがやがてゆっくりと口を開いた。
「……紫苑お姉さまが去年のエルダーシスターだったのはご存知ですか」


440 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:36:49 ID:J3a2uVCm0

エルダーシスター
 毎年6月末、恵泉女学院の最上級生の中から、全生徒の代表生徒を選挙によって選出する。
 全校生徒の投票の75%以上の得票で決定となるが、通常は得票者同士の票の譲り合いにより最終的に決定となる。
 選出された生徒はエルダーシスターと呼ばれ、全校生徒の『姉』としての立場に立つ。
 生徒会長のような公式の役職ではないが、生徒たちからの強力な支持によって立つ為、
 その発言力は生徒会長職に次ぐものである。
 学院内では上級生を「○○お姉さま」と呼ぶのが習わしだが、エルダーは同級生も含めて単に「お姉さま」と呼ばれる。


やはり、私の知らないことは多い。
エルダーシスター制については、話には聞いていた。
だけどあまり興味を持って訊いていなかった。
この学院において、エルダーシスターの持つ権威など創造したこともなかった。
単にお祭り騒ぎの一環くらいにしか思っていなかった。
「どうかしましたか?」
昼休み、いつものように図書室で紫苑お姉さまに会っていた。

441 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:40:55 ID:J3a2uVCm0
慧敏な紫苑お姉さまは直ぐに私の様子に気がついてしまった。
「……いえ、その」
なんでもありませんと云おうとし、しかし思いかえした。
紫苑お姉さまは既に私の様子がいつもと違うと気がついている。
ここで私が否定すれば…紫苑お姉さまにどう思われてしまうだろうか…
私は素直に、紫苑お姉さまが去年のエルダーであることを知らなかったことを打ち明けた。
紫苑お姉さまが留年していることも知らなかった。
知らなかった。そう!知らなかっただけ。ただ、それだけ。別に深い意味は無い。
だけど、紫苑お姉さまの目の色が少し変わったような気がした。
「そうですか。黙っていて御免なさいね」
「い、いえ!怒っている訳ではありませんから!お気になさらないでください」
「……外部からの新入生の貴女に壁を作りたくなかったのです。せっかく気さくに話しかけてくれるのに…」

442 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:42:03 ID:J3a2uVCm0
私はここで、この崇拝するお姉さまの深い心の懊悩を知った。
「どうやら私は皆さんに気兼ねされてしまう存在のようです」
(紫苑お姉さまは孤独を感じて!?)
「そんなことはありません!」
私は即座に否定する。
「有難う。でも、そう云ってくれるのは貴女だからこそですよ」
私だから?去年までの紫苑お姉さまのことを知らなかった私だから何の躊躇いもなく近づいたの?
クラスメートが云った「何だか怖い」という言葉。あれはその他大勢の人の言葉でもあったのかも知れない。
もしも私が元からこの学院に通っている生徒だったならば、気さくに紫苑お姉さまに近づいたり出来ただろうか。
「私は元々、友人が多いほうでは有りませんでしたし、今年は私が文字通り、『最年長』になってしまいましたしね。
皆さん、腫れ物に触るようになってしまうでしょう?」
そう云って寂しそうに微笑む紫苑お姉さま。

…紫苑お姉さまは下級生にお優しい、それは全校生徒の最年長であることの裏返し
…立ち居振る舞いが美しい、それは自らを律して振舞う精神の強さの顕れ

この二つの美点が皮肉にも他人から見るこの方の姿を近寄りがたいものにしてしまっている。
最上級生でさえ、「紫苑お姉さま」と呼び敬うこの方、ましてや新入生たちがどのような心持で接するのか。
華道講師の資格を持ち、華道部や茶道部の指導さえ行うこの方。
昨年度のエルダーシスター、その影響力は未だに大きいことだろう。
離れた年齢のこともある。同じ生徒としてよりも教師に対するような気持ちになるかもしれない。
「親しい友人がいなくて…。これも私の不徳の致すところですが」
そんなことはありません…と云いたかった。
だけど寂しそうな紫苑お姉さまの顔を見て、何も云えなくなってしまった。
私が最初に紫苑お姉さまに近づきたがった理由、もしかするとコレだったのかも知れない。
自分と同じ寂しさを紫苑お姉さまに感じたからだろうか。
私もこの学院に入学してから、まだ親しい友人は出来ていない。
だがいずれ、この学院に慣れた時、きっと数人の友人が出来ていると思う。
(だけど紫苑お姉さまは?)

443 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:46:01 ID:J3a2uVCm0
周りの紫苑お姉さまに対する接し方は既に決定付けられている。
「私は皆さんにもっと親しまれたいのですが、エルダーとしての任を全う出来なかった身にはそれは過ぎた望みですわね」
その言葉に私はショックを受ける。

(…紫苑お姉さまは罪悪感を感じていらっしゃる!)

昨年、病気のために学院に通えず、エルダーとしての責務をほとんど果たせなかったことを…。
皆の憧憬を集め、全生徒の上におられる紫苑お姉さま。
だけどその憧憬は、この方の望む『親しみ』ではなく『畏敬』。
この方を畏れ敬まう生徒たちと、親しまれ気さくに接してもらうことを望むこの方の気持ちの間に横たわる溝はとても深い。
こんなにも優しくて柔らかな方なのに!
「わ、私は…私は違います!」
思わず叫ぶ私の台詞に、紫苑お姉さまは少し言葉を詰まらせた。
「……有難う」
寂しげな表情の紫苑お姉さまのために私には何が出来るというのだろう。


紫苑お姉さま
 同学年の生徒間の呼称は「○○さん」と云うのが通常である。
 4月当初、3-Aの級友からも呼ばれていた「紫苑お姉さま」と云う呼称は不自然さからか使われなくなり始めていた。
 代わりに畏敬の妥協点として「紫苑さま」と呼ばれるようになっていた。


――時間は流れ、入学してから2ヶ月が経とうとしている。
学院にも慣れ始めた私は、学院内と帰宅後との二つの顔を使い分けられるようになった。
苦もなくネコを被れるようになった私にも、ようやく友人と呼べるような人が2人ほど出来た。
そしてクラス内にも違和感無く溶け込めるようになった。
思ったよりも早く馴染むことが出来たが、それには理由がある。

444 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:47:51 ID:J3a2uVCm0
あの時、紫苑お姉さまのお心を知ったとき以来、私はよく紫苑お姉さまが優しく親しみやすい方であることを、
クラスメートに話をするようになった。
その所為で私は、紫苑お姉さまに可愛がられている下級生、有力な上級生と親交の深い人間と周りに思われるようになったらしい。
結果、私のような取柄のない、中途半端な丁寧語を使う成金の娘をクラスの皆はすんなりと受け入れてくれた。
今も週に2度ほど、私は紫苑お姉さまと図書室で昼休みを過ごす。
友人ができた今でも、私はこまめに昼休みに図書室に顔を出すようにしている。
そして紫苑お姉さまの姿をさがすのだ。
あの時以来、私と紫苑お姉さまとの間で『あの話題』が持ち出されることはない。
だけど、紫苑お姉さまの身辺が何も変わっていないことは私にも分かっている。
何故なら、私が見かけるとき常に紫苑お姉さまはお一人だから。
私は少しは紫苑お姉さまのお役に立てているのか、慰めになれているのかときどき思う。
これは同情なんかではない。
私なんかが紫苑お姉さまに同情なんておこがましい。
私が純粋にこの方の晴れやかな顔を見たいだけ。
紫苑お姉さまは、あれ以来、私に寂しそうな顔を見せることは無くなった。
常に優しく微笑んでいる。

だから、きっと、紫苑お姉さまの孤独感や寂しさは癒されているのだと…思っていた。

――今週、紫苑お姉さまは一度も図書室に姿をお見せにならなかった。
ご病気なのかと思ったが、そうではないらしい。
紫苑お姉さまのクラスに転入生が来て、その人に学院の案内をしているのだという噂。
こんな時期はずれに、しかも3年生。この学院の学生寮に入ったらしい。
刺激の少ない女子高で、この転校生は話題になり始めている。
…外部からの転入生。その人は紫苑お姉さまの友人と成り得るのだろうか。
(そういえば確か転入生と同じ寮住まいの人がクラスにいたっけ)

その生徒、周防院 奏さんとは同じクラスでありながら今まであまり話をしたことがなかった。
大きなリボンが特徴の彼女はこれまで目立ったことがなく、おとなしい性格のようだった。
「瑞穂お姉さまのことですか」

445 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:51:58 ID:J3a2uVCm0
転入生のことについて訊いてみると周防院さんは、特徴のある口調で話してくれた。
転校生の名前は、宮小路瑞穂。とある事情でこの時期に転向してきたそうである。
「お綺麗で素敵なお方なのですよ〜。それに凛々しく頭脳明晰、運動神経抜群…」
嬉しそうな顔で延々と彼女を褒め称える言葉を話し続ける。
あの人は確か先週に転向してきたばかりの筈。
会って数日の人にここまで崇拝される転校生に興味が出てきた。
何でも寮では周防院さんの姉ということになったらしい。
一緒に住んでいる周防院さんの言葉を身内びいきとして話し半分に聞いても、相当な人物らしい。
あの全国トップレベルの進学校の開正学園でも学年トップの成績だったという。
そんな完璧な人間がいるとは思えないが、だけどそういう噂の人物が紫苑お姉さまの近くにいるというだけで
私の心は波立ってくる。
(何かが変わるかもしれない)
何かとは勿論、紫苑お姉さまの身辺のこと。
期待と不安がないまぜになった複雑な心境。
期待はともかく、私は一体何に不安になっているのだろう。

休み時間に3-Aの教室の前まで出かけてみる。
我ながら何をしてるのかと思ってしまうが、一目紫苑お姉さまの顔を見てみたかった。
教室の後ろ側のドア、開いている隙間から中を覗き込んで見る。
(…居た!)
大勢の人が教室内にいたが、教室の奥に一際異彩を放つ3人組のグループが居た。
ショートヘアの人、こちらに背を向けている腰まである栗色の髪のロングヘアの人、
そしてそのロングヘアの人に向き合う形で紫苑お姉さまがいる。
周防院さんが云っていた。
瑞穂お姉さまは、栗色の長い髪だと。
きっとあの人が転入生。
ちょっと不思議な光景。
教室中の人たちがその3人組に視線を向けているような…。

446 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:54:35 ID:J3a2uVCm0
紫苑お姉さまは…その栗色のロングヘアの人と楽しそうに話をしていた…。

…なにか…何かが…分からない…

「あら、誰かに御用でしょうか?」
ドアの近くに居た人が声をかけてくる。
「い、いえ。あの…」
云い淀んでしまう。
(どうしよう、声をかけるべきなのか…)
心に沸き立つ感情。

…違う…違う…私は…

その間も私の視線は紫苑お姉さまを捉え続けている。
「もしかして紫苑さまに御用でしょうか?」

447 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:55:46 ID:J3a2uVCm0
その時、紫苑お姉さまが楽しそうに笑っているのが見えた。


…楽しそうに…肩を震わせて…心底楽しそうに…


・・・・・・・・・心の底から嬉しそうに・・・笑 っ て い る !


私の心の中で、何かが、嫌な何かが、大量に噴き出してくるのを感じ、そして、私は、





その場から走って・・・・・・・・・・・・・・・・・逃げ出した!!





途中、すれ違う生徒が驚いた顔で私を見る。
きっと、私の顔は…きっと…


東階段を駆け上がり、人気のない屋上前の踊り場まで来て、私はその場に蹲った。
目からとめどなく涙が溢れている。
口から嗚咽が漏れそうになるのをかみ殺す。

448 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 20:59:30 ID:J3a2uVCm0

(………!!)

ダンッ!
コブシを固めて床を叩く。


(・・・・・・汚いッ!!汚い汚い汚いッ!!)


ダンダンダンダンッッ!!






449 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:00:31 ID:J3a2uVCm0
(・・・・・・わわ・・・私・・・の心は・・・汚い!!!!)





泣いている自分自身が許せない。だけど涙が止まらない。

(紫苑お姉さまの為だなんて云っていたのは出鱈目なの!?)

(お姉さまは気さくな人だと級友に云っていたのは口だけなの!?)

(紫苑お姉さまの安息を願ったのは形だけなのっ!?)

450 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:02:47 ID:J3a2uVCm0
自分ではそう思っていたつもりだった。
転校生の方が紫苑お姉さまの友人になってくれればいいと思っていたつもりだった。
でも、あの笑顔を見たとき、分かった。分かってしまった。
私の汚さに気づいてしまった。
あの笑顔、心の底から楽しそうな紫苑お姉さまの笑顔。
私と二人の時には見たことがなかった。
私と二人の時には優しい笑みしかなかった。
いつも柔らかな微笑だった。
なのにあの転入生は数日で、たった数日で…。
私はお姉さまにとって、一体…。
自惚れだった。
その他大勢の他人と同じだった。

451 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:04:14 ID:J3a2uVCm0

(いいえ、そんな風に思う私の心こそ浅ましい!)



あの笑顔を見たとき、心の中で湧き上がった感情は…嫉妬だった!!
噴き出してきたのは転校生に対する激しい嫉妬だった!!



(お姉さまの寂しさを知ったつもりになって、同情ではなく共感したつもりになって、友人が出来ることを願って、
そして、お姉さまの笑顔を見て感じた感情が嫉妬だったなんて!…私は汚い、本当に汚い人間だ!
私がお姉さまに感じていたのは同情でも共感でもなく、独占欲だった!
クラスメートには紫苑お姉さまの話をして羨ましがられることに優越感を感じ、
そして心の奥底では紫苑お姉さまに親しい人が現れないで、私だけのものであることを願っていた!
なのに…)

452 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:06:51 ID:J3a2uVCm0

ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンッッッ!!!!

ひたすら床を叩き続ける。

(何を泣いている!?被害者ヅラして何を泣いているの!)

私は私自身を許せなかった。

(紫苑お姉さまの笑顔を見て、何故喜ばない!何故!どこまで薄汚いの、私は!)

これほどの感情は生まれてから味わったことがなかった。
これまで生きてきて、初めて自分の醜さに気がついた。
自分がこれほど醜悪な心の持ち主だとは思わなかった。
「うぅっ、うっ……」
嗚咽を殺して、床を叩き続ける。
涙を流し続ける自分が許せない。悲しんでいる自分が許せない。

泣き続けた。
私は成す術もなく、ただ、声を押し殺して、涙を流し続けた。

453 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:08:15 ID:J3a2uVCm0


――それから数日後。

あの時以降、私は図書室に近寄るのを止めた。
クラスメートに紫苑お姉さまの話をするのも止めた。
校内でお姉さまの姿を見かけたら、急いでその場から立ち去った。
私は紫苑お姉さまに合わせる顔がないと思った。
もし、会って話をしたら何かの感情が爆発しそうだった。
それが怖かった。

454 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:09:50 ID:J3a2uVCm0
ある日の放課後、掃除当番で調理室の清掃をしていた。
この日は調理実習があったらしく、ゴミ箱の中に大量に野菜くずなどが入っていた。
いつもは軽いものだから一人でごみ捨ても簡単だけど、今回はかなり重い。
私はフーフー云いながら引き摺るようにしてゴミ箱を運んでいた。
ゴミ捨て場までが遠く感じる。
階段を下りるとき、引き摺るわけには行かないのでヨロヨロしながら持ち上げる。
そのとき、横から誰かの手が伸びてきて急にゴミ箱が軽くなった。
「大丈夫?このまま下りると危ないわよ」
驚いて横を向くと、そこには栗色のロングヘアの人。
(……キレイ…)
紫苑お姉さまに匹敵する。
直ぐに、あの時の後姿の人だと分かった。
「…ん?」
マジマジと見つめる私に、にこやかな笑顔で返すこの人。
「あ、あの…貴女は宮小路さまですか?」
「まあ?私を知っているの」
(やっぱり…)
不思議な人だった。
高身長に知性的な表情。スマートな動作。
紫苑お姉さまとは違った人を引き付ける雰囲気をもった人。
「…はい」
「そうね。噂になっちゃってるものね」
そう云って少し落ち込んだように見える。
「さあ、ごみを捨てに行きましょう」
(すごい。こんな重いゴミ箱を軽々と…)
「あ、あの、そんな」
「いいのよ。このごみのほとんどは、今日のウチのクラスの調理実習の野菜くずなんだから。
それに女の子ひとりじゃこのごみ箱は重いでしょ?」
一人でゴミ箱を持ち上げながら、この人は不思議なことを云う。

455 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:14:30 ID:J3a2uVCm0
「あの、宮小路さま」
「はい?」
訊いて見たい衝動にかられる。
(紫苑お姉さまのことをどこまで知っているのですか?どう思っているのですか?)
何の為に?と自分でも思う。
差し出がましいと思う。
紫苑お姉さまから離れるつもりだったのではなかったのか。
…その時、
「瑞穂さん」
ビクッ
私の体が硬直する。
紫苑お姉さまの声がした。
そして、その声に、返事をするこの人…。

「紫苑さん」

その言葉を聴いて、私はもう充分だと思った。
問いかけたかったモノの答えが、そこにあった。
この人は他の人たちとは違う。
『紫苑さん』という言葉。
間違いなくこの人は、紫苑お姉さまの横に立っている人だと思った。
目の前がぼんやりとぼやけてくる。
私は顔を俯ける。
「瑞穂さん、どちら?…あら?」
以前と比べて、明るい表情の紫苑お姉さまが現れて、私を見て驚く。
「まあ。最近、お会いできなかったから気になってましたのよ」
「…は、はあ。忙しかったものですから。申し訳ありません」
目が潤むのを悟られないよう、伏し目がちで小さな声で返事をする。

456 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:17:06 ID:J3a2uVCm0
それを紫苑お姉さまはどう勘違いしたのか、
「瑞穂さん、この子に何かなさったのですか?」
「え、いいえ!ぼ…私は何も」
私も慌てて否定する。
「何にもありません。紫苑お姉さま」
「そう?」
「それにしても紫苑さん。こちらの方は紫苑さんのご友人ですか?」
「はい。私の親しい大事な友人で、大切な妹ですの」
紫苑お姉さまが嬉しそうに云う。

その言葉で私の心の何かが一気に吹き飛ぶ。

(…馬鹿だった。私は本当に馬鹿だった)

「とても優しくて、面白くて、人を明るくしてくれる人ですの」
「そうですか。では、私とも親しい友人になって頂けますか?」
宮小路さまは、晴れやかで屈託のない笑顔を私に向ける。

(なんて優しい人たち…)

紫苑お姉さまが月の魅力なら、宮小路さまは太陽の魅力。
二人がやさしく私を照らしてくれる。
「宮小路さま。…親しく瑞穂お姉さまと御呼びさせて頂いても宜しいのでしょうか?」
(私を、こんな私を、お二人の近くに招いてくださるのですか?)
震え声で尋ねる私の言葉に、嬉しそうに頷いてくださる瑞穂お姉さま。
「勿論ですよ。それでは貴女のお名前を…」
限界だった。
私の心の堤防が決壊する。
涙が溢れ出し、声を出して私は泣く。

457 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:19:29 ID:J3a2uVCm0
突然、私が泣き出したので驚いたのだろう。
瑞穂お姉さまは狼狽し、紫苑お姉さまは心配そうに私の肩に手をかける。
「どうしましたの?なにか…」
私は泣きながら、紫苑お姉さまに抱きつく。
「御免なさい、御免なさい、御免なさい」
そして、泣きながら謝る。それしか胸のうちを吐き出す言葉は無い。
説明など出来るわけが無い。
だが、
「許しますよ。なんであっても」
そう云って、紫苑お姉さまは私の頭を撫でてくれた。
それ以降、何も聞かずに紫苑お姉さまは私の頭を撫で続けてくれた。
その手で撫でられる毎に、私の心が軽くなっていくような気がした。


458 :支援:2008/03/21(金) 21:23:32 ID:arhXP/Qr0 ?2BP(512)


459 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:24:09 ID:J3a2uVCm0
〜エピローグ〜
――6月末。
全校生徒によるエルダー選挙が行われる。
今年の有力候補は2名、瑞穂お姉さまと厳島生徒会長。
でも、眉目秀麗、成績優秀な瑞穂お姉さまが選ばれるであろうと私は確信している。
手元にあるエルダー選出用投票用紙を眺める。
そこには学年、組、記入者名、推薦する生徒名の記入欄。
そしてその下には1行だけの注意書き。

※A組十条紫苑さんの名前を記入することはできません

(瑞穂お姉さまには申し訳ありませんが…)
私の記入するお名前は一人しかいない。
私はボールペンで、下の注意書きを二重線を引いて削除した。
そして、その方の名前を丁寧に記入欄に書き込む。

エルダー選挙の結果、最初の投票において82%の得票を得て瑞穂お姉さまが第72代エルダーシスターとなった。
単独にてこれほどの高い支持を得たエルダーは学院史上、例がないことなのだそうだ。

その稀有な人の傍らで、今日も紫苑お姉さまが楽しそうに微笑んでいる。


Fin

460 :L鍋 ◆DYAKFqD80g :2008/03/21(金) 21:24:59 ID:J3a2uVCm0
お粗末さまでした。
ちょっと長すぎたかも。
スイマセン。

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